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Channel: アジア映画巡礼
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本日初日!『バジュランギおじさんと、小さな迷子』

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全国のインド映画ファンの皆様、本日、『バジュランギおじさんと、小さな迷子』に逢いに行って下さいましたでしょうか? 小さな迷子ことムンニーちゃん(「ムンニー」は小さな女の子を呼ぶ言葉で、男の子なら「ムンナー」となります。「おチビちゃん」という感じ)、本名シャヒーダーちゃん(それとも「シャーヒダー」? これがちょっとわからず、なので、どなたかご存じなら教えて下さい。名前としてはどちらもアリです。映画の中では、著名クリケット選手にちなんで、その名前を女性形にした、ということでしたね)を演じた、ハルシャーリー・マルホートラちゃんに「ヤられた!」となった方が多かったことでしょう。

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もちろん、サルマン(サルマーン)・カーン演じるパワンのあの愚直なまでの「バジュランギ(ハヌマーン)」ぶりに心打たれた方や、『女神は二度微笑む』(2012)での警部役に勝るとも劣らないナワーズッディーン・シッディーキーの芸達者ぶりに、あらためて「ナワちゃん、ステキ❤」と惚れ直した方もいらしたのではないでしょうか。私は、パキスタン側の国境警備隊長や、パワンを取り調べたパキスタン警察の警部(ラージェーシュ・シャルマー)にも惚れました。いいキャスティングでしたね。

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さて、そんな『バジュランギおじさんと、小さな迷子』を軸にして、インド映画から見つかる宗教的な要素について、映画サイト「BANGER!!!」に書かせていただきました。2回に分けて掲載されますので、まずはこちらをどうぞ。『バーフバリ』や『パッドマン 5億人の女性を救った男』にも言及しています。先に『バジュランギおじさんと、小さな迷子』をご覧になってから、お読みいただければ幸いです。本作の公式サイトはこちらです。『パッドマン』に続いてヒットしますように!

<オマケ>

すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、『バジュランギおじさんと、小さな迷子』でナワーズッディーン・シッディーキーが演じるチャンド・ナワーブが駅でレポートをしているシーンには、元ネタがあります。それがこちら。インドでの公開時に話題となりました。

Character of Nawaz in Bajrangi Bhaijaan inspired from real life video of Pak reporter




ドバイの「Bollywood Park」をご存じですか?

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本日のインド映画連続講座で、受講生の方から素敵なボリウッド映画グッズをいただきました。これです。



1975年の『炎』と、2006年の『クリッシュ』のグッズですね。インドのものとは思えないほどキレイ...なのは当たり前で、ドバイのおみやげでした。この方は、ドバイのテーマパーク「ボリウッド・パーク」に行ってらしたのです。


こんな風に、リティク・ローシャンの『クリッシュ』、サルマーン・カーンの『ダバング 大胆不敵』(2010)、シャー・ルク・カーンの『ドン 過去を消された男』(2006)、そしてアーミル・カーンの『ラガーン』などがフィーチャーされたコーナーを持つテーマパーク「ボリウッド・パーク」は、2016年にドバイにオープン。こちらの日本語サイトで詳しい情報が得られます。その英語版はこちら。また、英語の公式サイトはこちら。ドバイにいらした時、あるいは飛行機の乗り換えで立ち寄られた時は、ぜひいらしてみて下さいね。行けない私は、YouTubeで探した映像で疑似体験。おお~~~。

Tour of Bollywood Parks Dubai


インド映画自主上映会:カンナダ語映画『KGF Chapter 1』とテルグ語映画『F2』追加上映

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Periploさんから続けて情報を送っていただきました。もともとは在日インド人向けの自主上映会、最近は日本人観客の数が増えて、特にテルグ語映画は人気が高いそうです。『バーフバリ』熱まだ冷めやらず、というところかも知れません。そんなわけで、今回はカンナダ語映画上映のお知らせと共に、テルグ語映画の追加上映のお知らせも付いています。

KGF(film)poster.jpg

『KGF Chapter 1(コラール金鉱 チャプタ―1)』
2018/カンナダ語/155分/英語字幕
 監督:プラシャーント・ニール
 主演:ヤシュ、シュリーニディ・シェッティ、アナント・ナーグほか
■日時:2019年1月27日(日)午後 12:30~
■会場:埼玉県川口市SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ アクセス
■料金:大人1,500円
■主催:東京カンナダ人会

KGF(film)poster.jpg

Periploさんの詳しい解説はこちら。私も読んだ時に思わず「『血の抗争1、2』のカンナダ語版か!?」と叫んでしまった、カーヴェリ川長治さんのご紹介ブログはこちら。何と、12月21日の公開から1か月で22億ルピーを稼ぎ、カンナダ語映画歴代興収第1位、それも2位の3倍の興収を挙げている、というのですから、その人気のほどがわかろうというもの。カンナダ語映画にもついに”100カロール・クラブ”入り、つまり10億ルピー以上の興収を挙げる作品が出現しましたね。予告編をどうぞ。

KGF Trailer Kannada | Yash | Srinidhi Shetty | Prashanth Neel, Vijay Kiragandur, KGF Kannada Trailer

なお、Periploさんのお話ですと、「開始時刻に12:30と13:00と2説があり、カンナダ人会に問い合わせて返事を待っているのですが反応がなく、しびれを切らせて一旦アップしました」とのこと。開始時刻にご注意下さい。あと、中に使われているアイテム・ソングの1つにタマンナー(『バーフバリ』のアヴァンティカですね)がゲスト出演しているナンバーがあるのですが、まだ正式に動画がアップされていないようなので、「なんで私たち、動かないの?」の歌詞ヴァージョンでどうぞ。

Jokae Song with Lyrics | KGF Kannada | Yash | Tamannaah | Prashanth Neel | Hombale Films | Kgf Songs


『F2 Fun & Frustration』(追加上映)
2019/テルグ語/148分/英語字幕
 監督:アニル・ラーヴィプーディ
 主演:ヴェンカテーシュ、ワルン・テージ、タマンナー
■日時:2019年1月25日(土)午後 8:00~
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典 アクセス
■料金:大人2,800円
■主催:インドエイガドットコム HP

F2 Fun And Frustration Photos

1月15日にご紹介した作品の再上映です。


キドラット・タヒミック監督の『500年の航海』が辿り着くところ

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フィリピンで最もユニークな監督として知られるキドラット・タヒミック監督。いや、フィリピンで一番どころか、世界でも有数のユニークな監督と言っていいかも知れません。日本とのご縁は、1982年の「国際交流基金映画祭-南アジアの名作をもとめて-」で『悪夢の香り』(1977)が上映され、初来日を果たした時から。その後、隔年開催の山形国際ドキュメンタリー映画祭の常連としてたびたび来日、あるいは東京国際映画祭や国際交流基金の催し等で何度も日本にやってきています。タヒミック監督の作品はドキュメンタリー映画に分類される作品が多いのですが、『悪夢の香り』のような劇映画もあり、また、ドキュドラマというか、ドキュメンタリーと劇映画がミックスした作品もあって、ジャンル分けなどするだけ無駄の「タヒミック映画」と言うしかありません。


中でもすごい、というか正直に言うとあきれるのは、映画がエンドマークで終わらず、何年間も増殖し続けること。今回公開される『500年の航海』も、撮り始めたのが1980年頃と言いますからすでに製作期間40年近く。確か最初に見て、「世界一周したのはマゼランじゃない、彼の奴隷のエンリケだ!」という主張に新鮮さを憶えたのがもう10年以上前ですから、『500年の航海』というタイトルもダテではありあません。不思議な不思議なタヒミック・ワールド、ぜひあなたも世界一周、5世紀漂流の船に乗り込んでみて下さい。まずは、作品データをどうぞ。

 

『500年の航海』 公式サイト  
2017/フィリピン/英語・スペイン語・タガログ語/161分/原題;Balikbayan#1-Memories of Overdevelopment Redux VI
 監督:キドラット・タヒミック
 出演:キドラット・タヒミック、ジョージ・スタインバーグ、カワヤン・デ・ギア、カトリン・デ・ギア
 配給:シネマトリックス
※1月26日(土)よりシアター・イメージフォーラムにてロードショー


(C)Kidlat Tahimik

当初、マラッカ出身の奴隷エンリケを演じていたのは、若き日のタヒミックでした。マゼランと共にヨーロッパに渡り、宮廷でも一悶着起こすなど中世の大航海時代当時の国際交流が描かれますが、史実を辿るというよりも、タヒミック流のコント「ウェスト・ミーツ・イースト」となっています。そうこうするうちに時代は巡り、タヒミックの次男カワヤンが立派な大人になって登場、彼の姿がマゼランにタブって「マゼラン、現代に輪廻転生」という物語に発展していくという、筋を書いても何だかよくわからない作品なのですが、いろんなインスピレーションを喚起してくれるところがとても面白いのです。

(C)Kidlat Tahimik

その一つがヨーロッパとアジアとの関係で、インド映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』(2018)の最後のスピーチを訳している時に、「最初のエベレスト・マンは? テンジン、そう、テンジンです」という主人公ラクシュミの言葉に、この『500年の航海』を思い出したりしたのでした。エベレストの場合は正確に言うと、イギリス探検隊のメンバーだったニュージーランド出身のヒラリーが、ネパール人シェルパのテンジンと共に登頂に成功したのですが、長い間「エベレスト初登頂はヒラリー」という言い方しかされてこなかったのです。こんな風に、タヒミックが世界の見方を変えてくれるのが、『500年の航海』です。

(C)Kidlat Tahimik

また、タヒミックの次男カワヤン・デ・ギアの登場も、タヒミック作品を見てきた人には感慨深いはず。タヒミック(本名エリック・デ・ギア)には妻のカトリン・デ・ギア(ドイツ人)との間に息子が3人いて、長男のキドラット・タヒミックJr.、次男のカワヤン、三男のカブニャンとなるのですが、その子たちは幼い時からタヒミックのこれまた増殖するドキュメンタリー映画『虹のアルバム』(1981~94)の出演者として、観客にはお馴染みなのです。あのかわいい金髪少年がこんなに大きく成長して...と、東京国際映画祭2018で上映された『それぞれの道のり』に登場した三男カブニャン(このTIFFの上映レポートはこちら)に続いて、本作では次男カワヤンを見ることができます。

(C)Kidlat Tahimik

こんな風にタヒミック作品は相互につながりを持っており、『500年の航海』に合わせて他作品も見てみると、また新たな発見があったりします。それを考慮して、今回のロードショーでは「キドラット・タヒミック特集」を同時上映し、観客にタヒミックの魅力を多面的に伝えようとしています。というわけで、シアター・イメージフォーラムでの上映は、こんなスケジュールになっているのでした。


まさに、「タヒミック祭り」ですね。この際、どっぷりとタヒミック・ワールドにハマってみて下さい。『500年の航海』の予告編はこちらです。

キドラット・タヒミック 『500年の航海』予告編

最後に、監督近影をオマケに付けておきましょう。現在76歳。まだまだ映画を増殖させそうなキドラット・タヒミック監督でした。

『バジュランギおじさんと、小さな迷子』@BANGER!!の後半がアップされました

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上映2週目でますます好評&好調な『バジュランギおじさんと、小さな迷子』。ツイッター上には感動のコメントが溢れていますが、毎日新聞や朝日新聞でも紹介され、ネットでの紹介記事もどんどん増えています。それに従って上映館も拡大中。詳しくは作品公式サイト公式ツイッターをご覧下さい。

©Eros International all rights reserved ©SKF all rights reserved

私も先日、「BANGER!!!」のサイトに拙文を掲載していただいたのですが、その続きがアップされました。こちらです。また、最初の記事(1/2)はこちらです。本当は1回で掲載されるはずだったんですが、私が長く書きすぎてしまったので、2分割となりました。


その中では、11月&12月の「スペース・アーナンディ/インド映画連続講座:ジェスチャーを読む!」で取り上げた、トイレにまつわるジェスチャーに言及しています。画面撮りで申し訳ない(配給会社様にも、それから読者の皆様にも)のですが、下のシーンですね。さて、このVサインの意味は? 私も「半信半疑」と書いていまして、3月にインドに行った時に友人に聞いてくる予定です。びろうな話なのでちょっと聞きにくいのですが、男性に聞かないとダメだろうし...と考えて、かなり年下の映画研究者に聞いてこようと思っています。もし、皆さんの中でご存じの方がいらっしゃいましたら、「映画の使用法は正しい」とか、コメントをお寄せ下さい。


「BANGER!!!」の文には書かなかったのですが、もう一つとっても印象に残る、ムンニーことハルシャーリー・マルホートラちゃんのジェスチャーがあります。平手でおでこをペチッと叩くしぐさです。これは、「もう!」「この人、なんてバカ!」「救いようがない!」、あるいは自分に対して同様に感じたり、「しまった!」といった時にインド人がやるしぐさで、普段でも見かけますが、映画の中にもよく出て来ます。再び画面撮りの写真ですみません、これです。


ムンニーがやるとおしゃまでとってもかわいらしく、一緒にやりたくなってしまいます。上の写真はパキスタン大使館に行った時のシーンですが、予告編を見るとほかのシーンでもやっている姿や、何とパワン(サルマーン・カーン)までやっているシーンが出て来ます。ため息に代わる、定番ジェスチャーなんですね。

映画『バジュランギおじさんと、小さな迷子』予告編

なお、このジェスチャーをやる時には、「レー!」という感嘆詞をよく発します。さあ、あなたもおでこペチッ、「レー!」を練習して、今度インドやパキスタンに行った時にやってみましょう!


2月2日(土)はP.ラムリーとデートを

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本日より、「ラララ♫東南アジア[クラシックス」」の上映が始まります。以前こちらの記事でもご紹介したのですが、もう一度スケジュール等を付けておきます。主催は国際交流基金アジアセンター(HP)と、会場ともなるアテネ・フランセ文化センター(HP)です。

♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪ 

「ラララ♫東南アジア[クラシックス]」
【上映スケジュール】
1月30日(水) 16:15 『プアンとペーン』(132分)
        19:00 『少女ルーペ』(127分) 

1月31日(木) 16:20 『水かけ祭りの雨』(126分)
        19:00 『オペラジャワ』(120分) 

2月1日(金) 15:50 『少女ルーペ』(127分)
        18:30 『プアンとペーン』(132分) 

2月2日(土) 11:20 『水かけ祭りの雨』(126分)
        14:00 『オペラジャワ』(120分)
                   16:30 『わが義母』(117分)
                   18:30 シンポジウム(65分予定・シンポジウムのみ入場無料) 
         <ゲスト>
          カレン・チャン
     (アジアン・フィルム・アーカイヴ エグゼクティヴ・ディレクター)
                     石坂健治(東京国際映画祭プログラミング・ディレクター)
【会場】アテネ・フランセ文化センター 4階ホール
    (千代田区神田駿河台2-11/TEL:03-3291-4339)
【料金】一般:1,300円
    学生/シニア:1,100円
    3回券(一般・学生・シニア共通):2,700円
    会員:800円

♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪ 

それで、今回の配付資料にP.ラムリーのことをちょっと書かせていただいたのですが、その原稿依頼の時アジアセンターの担当者の方が、「ブログで、ミン ウォンの個展に関連してP.ラムリーについて書かれた記事を拝見しました。ぜひ、P.ラムリーの影響のひとつとしてミン ウォンにも言及していただけますと幸いです」と書いて来て下さったのです。ミン ウォン? 来年末閉館予定の原美術館でインスタレーションをやった、あのシンガポールのアーティスト? あの時はウォン ハンミンさんが来て、マレー半島の映画館の写真がいっぱい見られて、おみやげに切手をもらって....と、肝心のミン ウォンのビデオインスタレーションのことをすっかり忘れていたのでした。7年半前の出来事なので、忘却の彼方だったのです、すみません~。詳しくは、このブログ記事を見ていただきたいのですが、ミン ウォンの「フォー マレー ストーリーズ」と題されたビデオインスタレーションの中で取り上げられた4本のうちの1本が、今回上映される『わが義母』なのでした。


 ネオ チョン テク(デザイン:ミン ウォン)「Four Malay Stories」 カンヴァスにアクリル 2009年

上の絵は、シンガポール最後の映画看板絵師ネオ チョン テク氏が描いたこのインスタレーションの看板絵で、『わが義母』は右の男性2態が該当します。サックスを吹いているのはP.ラムリー演じる主人公だろうとわかりますが、両手にフォークを持ち、目をぎゅっとつぶっている男は一体....。目から流れているのは何? と、すごく気になりますよね。というわけで、この看板を見た人は、『わが義母』がどうしても見たくなるはず。さすが、映画看板の師父だけありますね。2日(土)はぜひ、P.ラムリーとのデートにお出かけ下さい。

私は、研究会とかいろいろ重なってしまって、『わが義母』も、それから未見の『水かけ祭りの雨』も見られません。とっても残念なのですが、2日(土)午後6時半からのシンポジウムには駆けつける予定です。P.ラムリーの作品はまだまだ面白いものがいっぱいありますので、また上映される機会があることを願っています。

インド映画自主上映会:タミル語映画『Peranbu』

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Periploさんからお知らせをいただきました。今回は、マンムーティ主演のタミル語映画です。

Mammootty in Peranbu (2018)

『Peranbu(大いなる愛)』
2019/タミル語/147分/英語字幕
 監督:ラーム
 主演:マンムーティ、サーダナー、アンジャリ
■日時:2019年2月11日(月・祝)午後 2:00~
■会場:埼玉県川口市SKIPシティ、彩の国ビジュアルプラザ 
■料金:大人2,000円
■主催:セルロイドジャパン HP

Mammootty in Peranbu (2018)

Periploさんの詳しい解説サイトはこちら。Periploさんからいただいたメールによると、本作はあちこちの国際映画祭に出品されているようで、「タミル語映画で映画祭アイテムというのは、昨年の『世界はリズムで満ちている』などもありましたが、それでもかなり珍しいものだと思います。マンムーティはここのところ本拠地マラヤーラム語映画界での主演作がことごとくフロップで、さらにミソジニー的との批判を浴びることも多く、本作が久々に批評家から好意的に迎え入れられたことで安堵しているでしょう」とのことです。また、「音楽は巨匠イライヤラージャーの息子ユヴァン・シャンカル・ラージャーです」という情報も教えていただきました。最後に、予告編を付けておきます。

Peranbu | Official Trailer | Mammootty | Ram | Yuvan Shankar Raja | Vairamuthu | Anjali | Sadhana

 

<追記>Periploさんの解説サイトを読むと、ラーム監督はタミル語映画界のニューウェーブの1人に分類されるようで、これまでの作品も、世界各地の映画祭で上映されているようです。また、俳優としても活躍しており、監督・主演作もあります。ちょっと、ラーム監督の簡単な紹介と、監督作品の予告編を付けておきましょう。

ラーム監督
 本名:ラームスブラマニアム(Ramsubramaniam)
 生年月日:1974年10月11日
 出身地:不明
 学歴:マドゥライ、アメリカン・カレッジ大文学部卒
    チェンナイ、マドラス・クリスチャン・カレッジ大大学院文学修士(タミル文学)
 フィルモグラフィー;
  2007 Kattradhu Thamizh タミル語(監督作)
     主演:ジーヴァ、アンジャリ、カルナース

Katradhu Tamil (Tamil M.A) Theatrical Trailer

  2013  Thanga Meengal タミル語(監督・主演作)
     主演:ラーム、ベビー・サーダナ、シェリー・キショール
     61st National Film Awards ~Best Feature Film in Tamil、Best Child Artist、Best Lyrics
              Tamil Nadu State Film Award 2013 for Best Director
               Pondicherry State Film Award 2013 for Best Film
              8th Vijay Awards for Best Film

Thangameenkal Offical Theatrical Trailer  

      2017 Taraman タミル語(監督作)
       出演:アンドレア・ジェレミア、アンジャリ、ヴァサント・ラヴィ
       Official Selection, 47th International Film Festival Rotterdam 2018
       Official Selection, 01st REAKTOR Indian Film Festival, 2018 (Vienna)
       Official Selection, Jaffna International Cinema Festival 2017 ]
       Official Selection, 14th Chennai International Film Festival 2017
       Ananda Vikatan Cinema Awards 2017 ~Best Dialogues、Best Lyrics、Best Child Artist、Best Debut Actor (Male)

Taramani - Official Teaser | Andrea Jeremiah, Vasanth Ravi | Yuvan Shankar Raja | Ram  

    2018 Savarakathi タミル語(出演作)
        監督:G.R.アディティヤ
      主演:ラーム、ミシュキン、プールナ

Savarakathi - Official Trailer | Mysskin, Ram, Shamna Kasim | Arrol Corelli | GR Adithya

    2018 Peranbu タミル語/マラヤーラム語(監督作)
      出演:マンムーティ、アンジャリ、サーダナ
      World Premiere at 47th International Film Festival Rotterdam
      Asian Premiere at 21st Shanghai International Film Festival

たくさんの賞を獲得した『Thanga Meengal』の子役の女の子が、今度の作品にも出ているようです。ご興味がおありの方は、ぜひお運び下さい。 


恭喜發財! すごい映画『イップ・マン外伝 マスターZ』がやって来る! 

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本日は、中華世界では農暦新年の初一、元旦です。恭喜發財、萬事如意、身体健康、豬年吉祥!! 皆様にとって、本年がよいお年となりますように。私は西暦新年の時は風邪を引いてしまったので、農暦新年で仕切り直しです...が、わが家は今リフォーム中で、昨日台所やお風呂、洗面所等が撤去されてしまい、とてもお正月とは思えない寒々しい眺めに。これでは、財神は来て下さりそうにありません。

というわけで、わが家の不運続きを吹っ飛ばしてくれるような、勢いのある香港映画をご紹介しようと思います。誰あろう、張晋(マックス・チャン)の主演です。『イップ・マン 継承』(2015)で甄子丹(ドニー・イェン)演じるイップ・マン師父とのすごい対決を見せてくれた、マックス・チャンの張天志(チョン・ティンチー)を憶えていらっしゃる方は多いはず。そうです、今回はあの張天志が主人公なのです。では、まずは作品データをどうぞ。

 

『イップ・マン外伝 マスターZ』 公式サイト  
2018年/香港・中国/広東語/108分/原題:葉問外傳 張天志/英語題:Master Z: The Ip Man Legacy
 監督:ユエン・ウーピン(袁和平)
 主演:マックス・チャン(張晋)、デイヴ・バウティスタ、ミシェル・ヨー(楊紫瓊)、トニー・ジャー、リウ・イェン(柳岩)、クリッシー・チャウ(周秀娜)
 配給:ツイン
※3月9日(土)より、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー!

 

© 2018 Mandarin Motion Pictures Limited All Rights Reserved

『イップ・マン 継承』では、一度は詠春拳の道場を開いたものの、イップ・マン(ドニー・イェン)に敗れて自分は指導者の道は歩まない、と決心した張天志(チョン・ティンチー)。その後張は小さな食料品店を開き、それまで引き受けていた闇の殺し屋の仕事も元締め(元華/ユン・ワー)に断わりを入れて、息子峰(フォン)と共にひっそりと暮らし始めます。ところが配達の途中、そのあたりを仕切り、阿片を蔓延させている長楽グループのキット(鄭嘉穎/ケビン・チェン)が2人の女性、ジュリア(リウ・イェン)とナナ(クリッシー・チャウ)を追っている場面に遭遇し、争いに巻き込まれてしまいます。張は、フォンの誕生日プレゼントを足蹴にされたこともあって、キット一味をこてんぱんにのしてしまうことに。実はクラブのホステスであるナナは阿片中毒で、キット一味から阿片の代金の催促を受けていたのですが、ナナの働くクラブのオーナーであるフー(釋彦能/シー・イェンネン)の妹であり、自身も歌姫として働いているジュリアが立て替えて精算してやったのでした。それにも関わらずキットが難癖をつけ、2人はキット一味に追われていたのです。

© 2018 Mandarin Motion Pictures Limited All Rights Reserved

こうして張とジュリアたちは知り合うことになりますが、この事件で張はキットに恨まれ、店に放火されてしまいました。放火によって店は丸焼けとなり、フォンはやけどで重傷、張も腕をやけどしてしまいます。そんな2人を助けたのはジュリアで、病院に連れて行き、その後は自分とナナの住むフラットに親子を住まわせることにしました。また、ナナは兄フーに相談し、張はフーのクラブでボーイとして働くことになります。フーは、長楽グループの総帥であるクワン姐(ミシェル・ヨー)を尊敬していました。クワン姐は長楽グループを近代企業に変身させて、これまでの裏社会組織のイメージを一掃しようとしますが、彼女の弟キットはそれに反発します。キットは幼なじみのサン(譚耀文/パトリック・タム)を引き込み、阿片ビジネスの拡大を画策、ですが阿片ビジネスは、表向きは一流レストランのオーナーである大物が裏で仕切っていたのでした....。

© 2018 Mandarin Motion Pictures Limited All Rights Reserved

登場人物が多いのですが、それをうまくさばいていて、それぞれが見事にキャラ立ちしているのはさすがユェン・ウーピン監督。特に、張を演じるマックス・チャンを筆頭に、クンフーはお久しぶりのミシェル・ヨー、『カンフー・ハッスル』(2004)で豚小屋砦に住む苦力として活躍したシー・イェンネン、さらにはジュリア役のリウ・イェンなどが鮮やかな手並みを見せてくれてサービス満点。トニー・ジャーはどうしたのかって? ご心配なく、謎の男として登場し、最後に彼の正体がわかるようになっているのですが、マックス・チャンとの街頭での激しい闘いを見せてくれます。本作のアクション監督はユエン・ウーピン監督の弟ユエン・シュンイー(袁信義)ですが、ガラスが割れるアクションシーンが好きなようで、マックス・チャンとトニー・ジャーの対決でもショーウィンドーが派手に粉砕されます。

© 2018 Mandarin Motion Pictures Limited All Rights Reserved

こういった見応えのある張天志のアクションシーンが、ちょっとお遊び的なフー(シー・イェンネン)相手のものも含めていくつもあるのですから、堪えられません。クワン姐(ミシェル・ヨー)相手の闘いは、上の画像のように武器まで登場、久々のミシェル・ヨーのアクションも実に魅せてくれます。『クレイジー・リッチ!』(2018)での大家の奥様然とした役にも通じる、裏社会の人間ながら誇りも実力も持っている「女強人」を演じるミッシェル・ヨー、そのチーパオ(旗袍)姿の美しさはここで画像を使えないのが残念なぐらいです。レトロなチャイナ風味がお好きな方は、ぜひお見逃しなく。

© 2018 Mandarin Motion Pictures Limited All Rights Reserved

レトロと言えば、1960年代の香港が事細かに再現されているのも本作の見どころの一つ。露地にある貸本屋で子供たちがマンガ本を読んでいたり、息子のフォンが誕生日にもらうのは、当時のヒーローマンガのキャラクターが台に乗って動くオルゴールだったり。そして、街頭にずらりと並ぶ香港特有の看板を使っての、華麗なアクションシーンもあるのですから、香港の観客たちにとっては懐かしさいっぱい、というところでしょう。それもあってか、香港では昨年12月20日に公開され、つい先日まで上映が続いていたというヒット作となりました。こちらでもご紹介した通り、昨年末の時点で2018年の興収第8位となっています。日本でも、久々の香港映画のヒットになってほしいですね。

© 2018 Mandarin Motion Pictures Limited All Rights Reserved

なお、邦題の「マスターZ」ですが、これは英語題名「Master Z: The Ip Man Legacy」からつけられたもので、この「Z」は「張」の普通話読み「Zhang」の頭文字だと、中国語に詳しい方はすぐおわかりになるはず。宣伝プロデュースを担当する江戸木純さんのお話によると、「『Master Z』は製作開始時点から決定していた国際英語題名で、張天志の張の普通語表記(Zhang)のZに、マックス・チャン(張晋・Max Zhang)のZをかけています。つまりこれは『イップ・マン』系列のスピンオフであると同時に、マックス・チャンという香港最後の武打星を世界に売り出すために企画されたものなのです。ちなみに日本では”マスター・ゼット”と発音しますが、マックス・チャン自身は”マスター・ジー”と言っています」とのことです。日本でもこの際、”マスター・ジー”をブレイクさせましょう!

© 2018 Mandarin Motion Pictures Limited All Rights Reserved

ところで私、本作を見ていて”マスター・ジー”にあだ名を付けました。「3%しか笑わない男」、ほんっとーに、笑わないのです、この最強男は。嬉しいことがあっても、唇の端をちょっと上げて、ほんの少し微笑むだけ。そのほころび度3%、というわけでこんなあだ名を付けたのですが、あのイップ・マン師父の味わい深いほんわか100%笑顔に比べると、それじゃ人生、いろんな局面で不利ですぜ、と言いたくなってしまいます。本作では、ジュリアとの間に心の通い合いもあるようですが、「3%の笑顔」がせめて「30%の笑顔」になるのかどうか、そういった点にもご注目下さい。最後に予告編を付けておきます。

『イップ・マン外伝 マスターZ』特報

 


目撃!中国インディペンデント・ドキュメンタリー第12回:胡傑監督『グラーグの書(格拉古之書)』

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専修大学の土屋先生から、お知らせをいただきました。胡傑監督のドキュメンタリー映画の上映です。いただいたお知らせを、そのまま貼り付けておきます。

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目撃!中国インディペンデント・ドキュメンタリー第12回
胡傑監督『グラーグの書(格拉古之書)』上映と討論のお知らせ

上映:胡傑監督『グラーグの書(格拉古之書)』(2013年、38分)日本語字幕
日時:2019年2月16日(土)午後3時~ 
   上映後に討論と翰光さんによる現地報告
場所:専修大学神田校舎(神保町)301教室    
   参加無料・申込み不要
主催:視覚文化研究会(専修大学社会科学研究所グループ研究)
   時代映像研究会、「中国60年代と世界」研究会
問い合わせ:専修大学土屋昌明研究室 tuwuchangming@yahoo.co.jp

このドキュメンタリーは、1957年に中国でおこなわれた反右派運動で政治的な批判を受け、農村や工場などで労働を通して自己改造をするよう強制される施設(労働改造所)におくりこまれた張先痴と、出所後に彼と結婚した楊文婷に取材しています。
反右派運動では、公式発表で55万人が人権蹂躙の被害者となりました。張先痴は、強制労働に従事させられた経験を驚くべき記憶力で本に書いたのです(『格拉古軼事』『格拉古実録』『格拉古夢魘』)。人身束縛の収容所における極限的な人間性を描いた文学として読むこともでき、ソ連のグラーグの生活を描いたソルジェニツインにたとえられています。
張先痴に感銘をうけたインディペンデントの映像作家たちがドキュメンタリーやドラマに表現してきました。その先駆けが本映画です。日本では本研究会が2017年に張先痴・楊文婷両氏を招いたときに1回上映しましたが、他では見られません。張先痴の経験とこの時代の重要性を鋭くとらえようとする監督の姿勢にも感銘をうけます。

ところで、いま中国では、非政府系のキリスト教会がつぎつぎと抑圧されています。昨12月9日に四川省成都にある秋雨教会が大規模な弾圧を受け、牧師および100人以上の関係者・信徒が拘留されました。張先痴はその信徒の一人で、幸い拘留はされませんでしたが、深夜に社区の人員らによる警告を受けました。張先痴さんは85歳で、視力を失いかけており、この深夜の警告のあと体調を崩し、現在、入院中です。討論では、こうしたキリスト教会に対する弾圧についても話し合いたいと思います。

 

インド映画が上映される2つの映画祭in3月①イスラーム映画祭4

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インド映画の次なる公開作がなかなか聞こえてこないのですが、3月の2つの映画祭でインド映画が上映されることになりました。その①は、3月16日(土)からの渋谷ユーロスペース開催を皮切りに、名古屋シネマテーク(3月30日~)、神戸・元町映画館(4月27日~)と3都市で開催される<イスラーム映画祭4>。その②は、3月8日(金)から開催される<第14回大阪アジアン映画祭>で、本日ラインアップが発表されました。どちらもヒンディー語のメインストリーム作品ではありませんが、面白そうなインド映画です。まずは、<イスラーム映画祭4>の概要とラインアップからどうぞ。

<イスラーム映画祭4> 公式FB 
 3月16日(土)~3月22日(金) 東京・ユーロスペース
 3月30日(土)~4月5日(金)  名古屋シネマテーク
 4月27日(土)~5月3日(金)  神戸・元町映画館

【上映作品】(ストーリーは公式プレスより)
[メイン・プログラム~フォーカス・オン・イエメン~]
『わたしはヌジューム、10歳で離婚した』
2014年/イエメン/アラビア語/99分/原題:I Am Nojoom, Age 10 and Divorced
監督:ハディージャ・アル=サラーミー
幼くして結婚したヌジュームは、ある朝家を飛び出して裁判所へ駆け込み、離婚したいと訴える。驚く判事を前に彼女は、歳のかけ離れた夫の暴力に耐える日々と、自分が嫁に出されるまでの経緯を語り始めるのだった…。

 

『イエメン:子どもたちと戦争』
 2018年/フランス/52分/原題:Yemen: Kids and War
 監督:ハディージャ・アル=サラーミー
11歳のアフメド、8歳のリマ、9歳のユースフは、内戦下のイエメンに生きる人々の声を集め始める。彼らは負傷したり、親を失った子どもたちの他、画家やラッパー、SNSの人気モデルにもインタビューしてゆく…。

 

『気乗りのしない革命家』
 2012年/イギリス/70分/原題:The Reluctant Revolutionary
監督:ショーン・マカリスター
アラブの春”を取材すべくイエメンに入った作者は、現地の観光ガイド、カイスと出会う。ビジネスに支障をきたし、反政府デモに懐疑的なカイスだったが、デモ隊に発砲する政府の姿や死傷者を見て考えを変えてゆく…。

 

◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆

『その手を離さないで』
 2017年/ボスニア・ヘルツェゴビナ、トルコ/原題:Bırakma Beni/英題:Never Leave Me
 監督:アイダ・ベギッチ
シリアからトルコに逃れたものの、最愛の母も失い、シャンルウルファの孤児施設に引き取られたイーサ。彼はそこで同じ境遇のアフマドとモアタズに出会う。3人は各自の目的のため、街でティッシュ配りを始めるが…。

 

『ナイジェリアのスーダンさん』
 2018年/インド/マラヤーラム語/122分/原題:Sudani fron Nigeria
監督:ザカリヤ
地元サッカーチームのマネジャーを務めるマジード。ナイジェリアから招聘した選手サミュエルの活躍で彼のチームは快勝するが、ある日サミュエルは怪我を負ってしまい、マジードは自宅で彼の世話をすることになる…。
※「ナイジェリア出身なのにスーダン人と思われるサッカー選手と、所属チームのマネージャーとの友情を描くヒューマン・コメディ」とのことで、アフリカの西部(ナイジェリア)も東部(スーダン)も区別がついていないケーララのインド人ムスリムコミュニティとアフリカ人青年の交流を描く作品のようです。主演は泥棒役で『チャーリー』(2015)に出演していたソウビン・シャヒール。余談ながら、ナイジェリアは「製作される映画の本数が世界一」ということでも知られており、年間2000本の作品が生まれるというここの映画界は「ノリウッド」と呼ばれています。でも、ほとんどの作品がVCDやDVDリリースなので、公開作として作られるインドとは違う、というわけで、私は頑固に「インド映画こそが製作本数世界一」を貫いています(^^)。そんなエピソードが、本作の中にも出てくれば面白いのですが...。

 

『イクロ2 わたしの宇宙(そら)』
 2018年/インドネシア/100分/原題:Iqro My Universe
監督:イクバル・アルファジリ
”イクロ”とは、アラビア語起源の“読め”という命令形の動詞で、インドネシアではアラビア語でクルアーンを朗誦する練習方法を指す。祖父のもとでクルアーンを学んだアキラは、イスラームの誇りを胸に欧州へ旅立つ…。

 

『僕たちのキックオフ』
 2008年/イラク、クルディスタン、日本/81分/原題:Kick Off
 監督:シャウキャット・アミン・コルキ
イラク北部の都市キルクーク。家を失ったクルド人たちは、スタジアムの中で暮らしていた。ヒリンに淡い恋心を抱くクルド人青年のアスーは、地雷で片足を失った弟のため、民族対抗の少年サッカー大会を計画するが…。

 

『二番目の妻』
 2012年/オーストリア/89分/原題:Kuma
 監督:ウムト・ダー
トルコから欧州に移り住んで半世紀。クルド人一家の女主ファトマは、故郷の伝統を守りながら、夫や子どもたちとともにウィーンで暮らしていた。そんな彼女の息子のもとへ、東トルコの村からアイシェが嫁いでくる…。

 

『幸せのアレンジ』
 2007年/アメリカ/92分/原題:Arranged
 監督:ダイアン・クレスポ、ステファン・シェイファー
N.Y.のブルックリン。同じ学校の新任教師として出会った、ユダヤ教徒のラヘルとムスリマのナシーラは、ある授業をきっかけに友人関係になる。そして2人には、“お見合い結婚”を控えているという共通点があった…。

 

『西ベイルート』
 1998年/フランス、ノルウェー、レバノン、ベルギー/105分/原題:West Beyrouth/英題:West Beirut
 監督:ジアド・ドゥエイリ
1975年。西ベイルート(ムスリム地区)に住むターレクは、東ベイルート(キリスト教徒地区)のフランス学校に通っていた。しかし内戦が始まり、両地区が遮断される。初めは戦争に昂揚感を覚えるターレクだったが…

 

『判決、ふたつの希望』
 2017年/レバノン/113分/原題:Qadiyya Raqm 23/英題:The Insult
 監督:ジアド・ドゥエイリ
ある日パレスチナ人のヤーセルとレバノン人のトニーが、住宅の補修をめぐって諍いを起こす。トニーの放った“侮蔑”は2人の対立を決定的にし、法廷に持ち込まれた決着はやがて国を巻き込む大騒乱へと発展してゆく…。
※昨年日本でも公開され大ヒットした作品。公式サイトはこちら

 

『乳牛たちのインティファーダ』
 2014年/カナダ、パレスチナ、フランス/75分/原題:The Wanted 18
 監督:アメール・ショマリ、ポール・コーワン
パレスチナのある町の人々が、それまでイスラエルから買うしかなかった牛乳を独自に生産しようと、18頭の乳牛を“合法的”に手に入れる。しかし、イスラエル当局は牛を“国家の脅威”と見なし、その摘発に乗り出す…。

◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆

インド映画『ナイジェリアのスーダンさん』の予告編を付けておきます。楽しそうな映画ですので、ぜひお運び下さい。

Sudani From Nigeria Official Trailer | Zakariya | Soubin Shahir | Samuel Abiola Robinson


『世界はリズムで満ちている』インド在住カーヴェーリ川長治さんの評が出ました

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昨年10月の第31回東京国際映画祭(TIFF)で上映され、好評を博したタミル語映画『世界はリズムで満ちている(Sarvam Thaala Mayam)』。このTIFFでの上映がワールド・プレミアで、その後12月にインド公開が予定されていたのですが、12月は対抗する作品の公開が多いという理由から2月1日(金)の公開となりました。プロデューサーのラターさん(ラージーヴ・メーナン監督夫人)からは、「インドでも公開されました。反応は”positive”です」というメールを先日いただたのでホッとしました。ネットでの映画評でもおおむね評価が高いようで、星5つのうち4.5というのを最高に、星4、3.5、そして3と、「見る価値あり」以上が並びました。ボリウッド映画では星2つとかが多い昨今、この星取り表はなかなかのものです。


そんな中、本日はいつも愛読しているカーヴェーリ川長治さんのブログ「カーヴェーリ川長治の南インド映画日記」に『世界はリズムで満ちている』の紹介文が載っているのを発見、興味深い見方なので、ぜひ皆さんにも読んでいただきたく、ご紹介する次第です。こちらをぜひ、ご一読下さい。ご参考までに、TIFFの作品紹介サイトはこちらです。カーヴェーリ川さんが書いておられる「インド人ナースがドイツで医療業務に従事する」という事実は、これまでもマラヤーラム語映画で時々描かれてきましたが(『Kadal Kadannu Oru Mathukkutty』(2013)など)、タミル語映画での登場は珍しいですね。


インドでの公開に合わせて、音楽シーンのクリップもいろいろYouTubeにアップされていますので、以下に貼り付けておきます。

◆タミル語映画スターのヴィジャイの大ファンという主人公ピーター、彼の作品の封切り初日、映画館でファンクラブの友人たちと大騒ぎ。 ♫指笛が響く 爆竹が耳を破る♫

Peter Beatu Yethu | Tamil Full Video | Sarvam Thaala Mayam | Rajiv Menon | AR Rahman |GV Prakash

◆事件を起こし、ほとぼりが冷めるまで父に連れられて故郷の村に帰省したピーター。そこは太鼓作りの村で、「皮を扱う」ということから、近隣の村々から差別的な扱いを受けていました。村人たちは歌います。 ♫重荷はいつ消える 差別はいつなくなる♫

Dingu Dongu | Tamil | Full Video | Sarvam Thaalamayam | A R Rahman | Rajiv Menon

この他にも印象的な歌、そしてお話の軸となる南インドの打楽器、ムリダンガム演奏のシーンもたくさん出てきます。予告編はこちらです。

Sarvam Thaala Mayam - Official Tamil Teaser | Rajiv Menon | A R Rahman | GV Prakash | JioStudios


ところで日本での公開ですが、2社ほど配給会社さんが興味を示して下さったものの、どちらの会社とも商談は成立せず、残念ながら公開の予定はありません。この記事をご覧になって興味を持たれた配給会社様は、どうぞTIFF事務局までご連絡下さい。


インド映画が上映される2つの映画祭in3月②第14回大阪アジアン映画祭

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①でご紹介した<イスラーム映画祭4>に続いて、3月8日(金)から17日(日)まで開催される<第14回大阪アジアン映画祭>のご紹介です。公式サイトはこちらですが、映画祭の開催要項等、一番わかりやすく掲載されているのが何と!この大阪市のサイトです。大阪市にお住まいの皆さんにはいろいろ特典もあるようですので、チェックしてみて下さい。映画祭の上映作品ラインアップは以下の通りです。上映作品が非常に多いので、オープニング作品『嵐電』以外の日本映画は省略してあります。

 ❤  ❤  ❤  ❤  ❤  ❤  ❤  ❤  ❤  ❤

オープニング作品
『嵐電』
2019年/日本/114分/英題:RANDEN: The Comings and Goings on a Kyoto Tram
 監督:鈴木卓爾
 配給:ミグラントバーズ、マジックアワー

 

クロージング作品
『パパとムスメの7日間』
2018年/ベトナム/英題:Daddy Issues
 監督:落合賢

 


コンペティション部門(全14作品)
(注)【HK】印は【Special Focus on Hong Kong 2019】カテゴリーの作品です。
『アサンディミッタ』
2018年/スリランカ/98分/原題:Asandhimitta
 監督:アソカ・ハンダガマ
※アソカ・ハンダガマ監督は、東京国際映画祭で上映された『兵士、その後』(2012)などで、日本でもお馴染みです。『兵士、その後』の紹介はこちら

 

『ブルブルは歌える』
2018年/インド/95分/英題:Bulbul Can Sing
 監督:リマ・ダス
※「ブルブル」とは、下のポスターの題字にも描かれているように、鳥の「ナイチンゲール」のこと。本作では主人公の名前のようです。リマ・ダス監督は前作『Village Rockstars(村のロックスターたち)』(2017)で注目されたアッサム州の監督で、この『ブルブルは歌える』もシンガポール国際映画祭などで賞を取っています。昨年の香港国際映画祭で見た『Village Rockstars』の紹介はこちらですが、今回の作品は大阪アジアンから全国公開へと、ナイチンゲールのように舞い上がるでしょうか。

 

Source:IMDb

『過ぎた春』
2018年/中国/99分/英題:The Crossing/原題:[過春天
 監督:バイ・シュエ(白雪)

 

『オレンジ・ドレスを着た女』
2018年/フィリピン/100分/原題:The Girl in the Orange Dress
 監督:ジェイ・アベリョ 


『G殺』【HK】
2018年/香港/105分/英題:G Affairs/原題:G殺
 監督:リー・チョクバン(李卓斌) 

『ハイ・フォン』
2019年/ベトナム/98分/英題:Furie
 監督:レ・ヴァン・キエト 

『浜辺のゲーム』
2019年/日本・タイ・マレーシア・韓国/77分/原題?:Jeux de plage
 監督:夏都愛未
 配給:和エンタテインメント

 

『非分熟女』【HK】
2018年/香港/107分//英題:The Lady Improper/原題:非分熟女
 監督:ツァン・ツイシャン(曾翠珊)

 

『なまず』
2018年/韓国/88分/英題:Maggie
 監督:イ・オクソプ

 

『美麗』
2018年/台湾・中国/88分/英題:Meili/原題:美麗
 監督:ジョウ・ジョウ(周洲)

 

『アワ・ボディ』
2018年/韓国/95分/英題:Our Body
 監督:ハン・ガラム

 

『みじめな人』【HK】
2018年/香港/111分/英題:Still Human/原題:淪落人
 監督:オリヴァー・チャン(陳小娟) 

『七夕の妻』
2018年/フィリピン/81分/英題:Tanabata's Wife
 監督:チョイ・パギリナン、チャールソン・オン、リト・カサヘ 

『視床下部すべてで、好き』
2018年/フィリピン/110分/英題:With All My Hypothalamus
 監督:ドゥエイン・バルタザール

 


特集企画《ニューアクション! アジア》(全7作品)
『アルナとその好物』
2018年/インドネシア/106分/英題:Aruna & Her Palate
 監督:エドウィン 

『ビリーとエマ』
2018年/フィリピン/100分/英題:Billie & Emma
 監督:サマンサ・リー

 

『永遠なる瞬間』
2018年/フィリピン/83分/英題:Eternity between Seconds
 監督:アレク・フィグラシオン 

『ホームステイ』
2018年/タイ/132分/英題:Homestay
 監督:パークプム・ウォンプム

 

『桃源』
2018年/中国/110分/英題:Life of Zhang Chu/原題:桃源
 監督:ルー・ユーライ(呂聿来) 

『群山:鵞鳥を咏う』
2018年/韓国/121分/英題:Ode to the Goose
 監督:チャン・リュル(張律) 

『サッド・ビューティ』
2018年/タイ/92分/英題:Sad Beauty
 監督:ボンコット・ベンジャロンクン

 


インディ・フォーラム部門(全10作品、すべて日本映画) 


特別招待作品部門(全4作品、3作品が日本映画)
『いつか、どこかで』
2019年/セルビア・クロアチア・モンテネグロ・マカオ・日本・マレーシア/81分/英題:Somewhen, Somewhere
 監督:リム・カーワイ(林家威)
 配給:cinema drifters

 


特集企画《Special Focus on Hong Kong 2019》(全6作品)
『G殺』【コンペティション部門】
2018年/香港/105分/英題:G Affairs/原題:G殺
 監督:リー・チョクバン(李卓斌) 

『非分熟女』【コンペティション部門】
2018年/香港/107分//英題:The Lady Improper/原題:非分熟女
 監督:ツァン・ツイシャン(曾翠珊) 

『ハッピーパッポー』
2019年/香港/88分/英題:Missbehavior/原題:恭喜八婆
 監督:パン・ホーチョン(彭浩翔) 

『みじめな人』【コンペティション部門】
2018年/香港/111分/英題:Still Human/原題:淪落人
 監督:オリヴァー・チャン(陳小娟) 

『女は女である』
2018年/香港/93分/英題:A Woman Is a Woman/原題:女人就是女人
 監督:メイジー・グーシー・シュン(孫明希)

 

『雨季は二度と来ない』
2018年/中国・香港/39分/英題:Farewell Summer Night/原題:雨季不再来
 監督:ホアン・シャオポン(黄暁鵬)

 


特集企画《台湾:電影ルネッサンス2019》(全7作品)
『2923』
2018年/台湾/37分/原題:2923
 監督:サニー・ユイ(于瑋珊)

 

『気:呼吸の技法』
2018年/台湾・アメリカ/25分/英題:Chi: The Method of Breathing/原題:気
監督:リウ・イー(劉易)

 

『先に愛した人』
2018年/台湾/100分/英題:Dear Ex/原題:誰先愛上他的
 監督:シュー・ユーティン(徐誉庭)、シュー・ツーイェン(許智彦)

 

『Father(仮題)』
2018年/台湾/98分/英題:Father/原題:紅盒子
 監督:ヤン・リーチョウ(楊力州)
 配給:太秦

 

『小死亡』
2018年/台湾/17分/仏題:La Petite Mort /原題:小死亡
 監督:イヴェット・チョウ(周良柔) 

『悲しみより、もっと悲しい物語』
2018年/台湾/106分/英題:More Than Blue/原題:比悲傷更悲傷的故事
 監督:ギャビン・リン(林孝謙) 

『じゃあまたね』
2018年/台湾/25分/英題:till next time/原題:楔子
 監督:ポーリー・ホアン(黄芝嘉)

 

協賛企画《芳泉文化財団の映像研究助成》(全4作品、3作品が日本映画)
『オールド・ラブ』
2017年/韓国・日本/89分/英題:Old Love
 監督:パク・キヨン


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凄い数ですが、ぜひ10日間大阪に腰を据えて、アジア映画三昧して下さい。私は...すみません、また花粉症逃亡でインドと香港へ行ってきます。大阪アジアン映画祭とイスラーム映画祭のスタッフの皆様、ごめんなさい!


スペース・アーナンディ/インド映画連続講座「カーストと宗教を読む!」4月にも開講

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1月に開講し、明日も2回目がある予定のインド映画連続講座「インド映画を読む」<第2回>「カーストと宗教を読む!」。お陰様で好評で、明日もキャンセル待ちの方が数名いらっしゃるのに来ていただけない、という状態になってしまいました。そのため、4月に追加でもう1回、開講致します。本講座の利点は、インドの宗教グッズやカーストに関連する図像などを間近に見ていただけることで、神様シールのおみやげ付き。2か月先ですが、ご興味がおありの方はぜひどうぞ。

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Aamir Khan in PK (2014)

スペース・アーナンディ/インド映画連続講座第Ⅲ期
「インド映画を読む!」
<第2回>カーストと宗教を読む!~アーミル・カーン作品から~

 スペース・アーナンディでは、毎年1つのテーマで行う「インド映画連続講座」を開催中ですが、第Ⅲ期は、第Ⅰ期の男優シリーズ、第Ⅱ期の女優シリーズからはがらりと趣きを変え、「インド映画を読む!」と題してインド映画を深く読み込むための様々なトピックスを取り上げることにしました。
 好評だった<第1回>の「ジェスチャーを読む!」に続き、<第2回>では「カーストと宗教を読む!」と題して、インドと言えばこれ!という2つのテーマに挑みます。今回参照するのはアーミル・カーン主演作品、といえば皆さんもうおわかりですね。『ラガーン』『きっと、うまくいく』そして『PK』です。そのほか、『バーフバリ』や、最近カースト問題を果敢に取り上げる作品が増えたタミル語映画の話題もまじえながら、これを知っておけばインド映画がさらによくわかる、カーストと宗教に関する映画的基礎知識についてお話します。どうぞお楽しみに。
 なお、メインの講座と抱き合わせで開催してきた「映画で学ぶヒンディー語塾」では、実際に映画で使われた会話を学びます。ほんの1、2分の会話なのですが、アーミル・カーンがしゃべっていたセリフを実際に自分でしゃべってみると....。あれはこういう意味だったのか、この単語を置き換えれば、自分でも使える等々、アーミル気分に浸りながらヒンディー語が身につきます。ヒンディー語が初めての方でも大丈夫、カタカナ書きが付いているので、その通り読めば意味が通じてしまいます。30分間の濃密なヒンディー語学習体験をどうぞ。

『PK』に登場したものの、ホントはバンコク郊外にあるピンク・ガネーシャ像

 日時:2019年 4月13日(土)15:00~17:30・・・キャンセル待ち多数につき、追加開講
 場所:スペース・アーナンディ(東急田園都市線高津駅<渋谷から各停で18分>下車1分)
 定員:20名
 講座料:¥2,500(含む資料&テキスト代)
 講師:松岡 環(まつおか たまき)

ご予約は、スペース・アーナンディのHP「受講申し込み」からどうぞ。ご予約下さった方には、ご予約確認と共に、スペース・アーナンディの地図をメール送付致します。床におザブトンをひいて座っていただく形になりますので、楽な服装でお越し下さい(申し訳ないのですが、スペースの関係上イス席はご用意できません。悪しからずご了承下さい)。皆様とお目にかかれるのを楽しみにしております。(松岡 環)

[講師紹介]
1949年兵庫県生まれ。麗澤大学、国士舘大学非常勤講師。大阪外大(現大阪大)でヒンディー語を学び、1976年からインド映画の紹介と研究を開始。1980年代にインド映画祭を何度か開催したほか、様々なインド映画の上映に協力している。『ムトゥ踊るマハラジャ』『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』『きっと、うまくいく』『パッドマン 5億人の女性を救った男』など、インド映画の字幕も多数担当。著書に、「アジア・映画の都/香港~インド・ムービーロード」(めこん/1997)、「インド映画完全ガイド」(世界文化社/2015/監修)など。

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「<第3回>地理を読む!~北インド、南インド、東インド~」に関しても、もう少ししたらご案内します。こちらもよろしくお願いします。


スペース・アーナンディ/インド映画連続講座「<3>地理を読む!」のお知らせ

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講座の案内ばかりが続いてすみませんが、4月と5月に開催する「地理を読む!」のお知らせです。

スペース・アーナンディ/インド映画連続講座第Ⅲ期
「インド映画を読む!」
<第3回>地理を読む!~北インド・南インド・東インド~

 スペース・アーナンディでは、毎年1つのテーマで行う「インド映画連続講座」を開催中ですが、第Ⅲ期は「インド映画を読む!」と題して、インド映画を深く読み込むための様々なトピックスを取り上げることにしました。
 好評だった<第1回>の「ジェスチャーを読む!」と<第2回>「カーストと宗教を読む!」に続き、<第3回>では「地理を読む!」と題して、インドを大ざっぱに3つに分け、それぞれの土地が映画の中にどう描かれているかを見ていきます。今回参照する作品は、北インド&東インドが登場するシャー・ルク・カーン主演作『ラジュー出世する』(1992)と『ディル・セ 心から』(1998)、さらに、コルカタを描く『女神は二度微笑む』(2012)などですが、『ディル・セ』にはケーララ州も登場。南インドはラジニカーントとヴィクラム主演作、さらには『世界はリズムで満ちている』(2018)等々から、日本人がインドの地理を認識する手がかりを探っていきます。その他、できれば「『バーフバリ』の地理」についても見てみたいのですが、これは当日のお楽しみ、ということで。
 なお、メインの講座と抱き合わせで開催してきた「映画で学ぶヒンディー語塾」では、実際に映画で使われた会話を学びます。ほんの1、2分の会話なのですが、今回もシャー・ルク・カーン作品からの一節ですので、シャー・ルクになった気分でしゃべってみて下さい。ヒンディー語が初めての方でも大丈夫、カタカナ書きが付いているので、その通り読めば意味が通じてしまいます。30分間の濃密なヒンディー語学習体験をどうぞ。

Shah Rukh Khan and Manisha Koirala in Dil Se.. (1998)Malaika Arora and Shah Rukh Khan in Dil Se.. (1998)

From ”Dil Se”

 日時:2019年 4月20日(土) 15:00~17:30
        5月18日(土) 15:00~17:30
 場所:スペース・アーナンディ
    (東急田園都市線高津駅<渋谷から各停で18分>下車1分)
 定員:20名
 講座料:¥2,500(含む資料&テキスト代)
 講師:松岡 環(まつおか たまき)
ご予約は、スペース・アーナンディのHP「受講申し込み」からどうぞ。ご予約下さった方には、ご予約確認と共に、スペース・アーナンディの地図をメール送付致します。床におザブトンをひいて座っていただく形になりますので、楽な服装でお越し下さい(申し訳ないのですが、スペースの関係上イス席はご用意できません。悪しからずご了承下さい)。
皆様とお目にかかれるのを楽しみにしております。(松岡 環)

[講師紹介]
1949年兵庫県生まれ。麗澤大学、国士舘大学非常勤講師。大阪外大(現大阪大)でヒンディー語を学び、1976年からインド映画の紹介と研究を開始。1980年代にインド映画祭を何度か開催したほか、様々なインド映画の上映に協力している。『ムトゥ踊るマハラジャ』『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』『きっと、うまくいく』『パッドマン 5億人の女性を救った男』など、インド映画の字幕も多数担当。著書に、「アジア・映画の都/香港~インド・ムービーロード」(めこん/1997)、「インド映画完全ガイド」(世界文化社/2015/監修)など。

Theatrical release poster depicts a pregnant woman, with a sightly surprised expression, standing. The city of Kolkata, during Durga Puja, is in the background. Text at the bottom of the poster reveals the title, tagline, production credits and release date.

『バーフバリ』の地図に関しては、どこかにあの画像が出ていないかと探したのですが、残念ながらインド版公式サイトにも見つからず。トールキンの「指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)」でも本の見返しが地図になっていたように、王国ファンタジーに欠かせないのはイメージを膨らませてくれる地図なんですね。絵が上手だったら自分で描いてしまうんですが、ああ、あの地図がほしい! 画面撮りして、つなぎ合わせてみようかな、などと考えています...。

 

韓国映画『神と共に』第一章&第二章日本で公開!

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韓国映画の昨年の大ヒット作、『神と共に』がいよいよ日本でも公開になります。やっと、マスコミ試写が始まり、大判の試写状が届きました。


以前、こちらの記事でもご紹介した『神と共に』は二部作で、5月24日(金)公開の『第一章:罪と罰』は140分、6月28日公開の『第二章:因と縁』は141分。マスコミ試写は、「第一章、第二章 連続でご覧いただけます」という日が2日もうけてあるのですが、インド映画なみの長さの本作、続けて見るのは相当大変です。長さだけでなく、内容の濃さ、ヘビーさも『バーフバリ』なみかそれ以上なので、これは1本ずつじっくりと楽しむ方がいいようです。というわけで、作品のご紹介はちょっと先になりますが、まずは公開のお知らせまで。あ、配給がツイン、首都圏での公開は新宿ピカデリーほかの劇場で、というところも『バーフバリ』とかぶりますね。それだけでなく、仏教思想もさらっと入っているので、インド映画ファンの方も楽しめるはず。会社名からして二部作に強いことを思わせるツインさん、『神と共に』も大ヒットを目指して下さい!



3月はタクちゃんと『家族のレシピ』でシンガポールへ

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近頃気になる俳優さんがいまして、それが斉藤工(たくみ)なんですね。と言うのも、この冬テレビをつければ求人検索エンジン「indeed」の様々なCFや、雪だるまと「タクちゃん!」「ユッキー!」と呼び合うZ空調のCFなど、この人の顔を見ない日はない、という状態だったものですから、昨年東京国際映画祭で見た『家族のレシピ』以来引きずってきた「気になる度合い」がますます高くなりまして。『家族のレシピ』を見るまでは、顔と名前ぐらいしか知らなかった齊藤工、本作ではなかなかのオーラを感じさせてくれて、一挙に私の中での存在感がふくれあがりました。『家族のレシピ』はいよいよ3月9日(土)から公開ですので、ちょっとご紹介しておきましょう。


『家族のレシピ』 公式サイト
2018/シンガポール・日本・フランス/日本語・英語・中国語/89分/原題:Ramen Teh
 監督:エリック・クー
 出演:齊藤工、マーク・リー、ジャネット・アウ、伊原剛志、別所哲也、ビートリス・チャン、松田聖子
 配給:エレファント・ハウス
※3月9日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー

(C)Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

物語の始まりは、群馬県の高崎市から。行列のできる評判のラーメン店「すえひろ」は、店主の和男(伊原剛志)、その弟明男(別所哲也)、和男の息子真人(齊藤工)という男3人で営んでいる店でした。真人は研究熱心で、いろんな味を試してみます。ところが父和男は、時間が来ると早々に仕事を切り上げ、飲みに行ってしまいます。真人の母が亡くなってから、ずっとそうなのでした。そんなある日、先に出勤した父は、調理場で倒れているのを明男に発見され、そのまま帰らぬ人となってしまいました。葬儀を終えた真人は、父の遺品の中から母メイリアン(ジャネット・アウ)が書いたレシピ・ノートと、両親や幼い自分の写真を見つけ、10歳の時に亡くなった母を思い出します。母はシンガポールの日本料理店で働く父と出会い、結婚したのですが、実母から結婚を認めてもらえず、真人の幼い時に和男と共にシンガポールを離れ、一度も帰国しないまま病気で亡くなったのでした。

(C)Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

遺品の中には、母の弟ウィーからの手紙も入っていました。真人は、シンガポールに行ってみる決心をします。その決心を後押ししたのは、以前からネット上で交流していたシンガポール在住のフード・ブロガー美樹(松田聖子)の存在で、美樹のレポートするシンガポールのフードシーンがとても魅力的なことに真人は惹かれていたのでした。シンガポールに行った真人は、美樹にシンガポールの食指南をしてもらい、叔父のウィー(マーク・リー)とも再会します。陽気なウィーとその家族に歓迎された真人は、肉親の暖かい絆を感じますが、問題は頑固な祖母(ビートリス・チャン)でした...。

(C)Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

日本でも映画祭上映された『12階』(1997)や『一緒にいて』(2005)など、緊張感溢れる作品を作り続けてきたエリック・クー監督の作品ですが、これまでとはがらりと作風が異なっています。メロドラマっぽいウェットな作りは、日本も含んだ国際共同製作を意識したからでしょうか。エリック・クー監督の言葉によると、「日本とシンガポールの外交関係樹立50周年を記念する作品の監督を依頼された時、私は食が完璧な題材になると考えました」とのことで、その時監督の脳裏にひらめいたのがバクテーとラーメンだったそうです。

(C)Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

バクテーは中国語では「肉骨茶」と書き、Wikiによると閩南語(=福建語、台湾語)の発音で「bah-kut-tê」となるのだとか。マレー半島へ移住して来た福建地方出身の中国人労働者によって生まれた料理で、「マレーシア、およびシンガポールの肉煮込み料理」と定義づけられることがあるようです。上の写真は、真人が考え出したバクテーとラーメンの融合した料理ですが、バクテーにもここにあるような骨付きの大きな肉が入っているのが特徴で、ほかにきのこやレタスなどを入れ、スターアニス(八角)やシナモン、クローブなど様々なスパイスで味付けがしてあるそうです。劇中では真人の父和男がおいしいバクテーを求めてシンガポールのいろんな店を食べ歩き、メイリアンの店でとびきりおいしいバクテーに出会う、という設定になっています。また、メイリアンの弟ウィーがバクテーの名手で、父を亡くした真人が叔父ウィーを訪ねていき、バクテーの秘伝を教えてもらうシーンも出てきます。そしてその後、このバクテーをラーメンと合体させるべく、真人が精魂を傾けることになります。

(C)Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

バクテーとラーメンが象徴するのは、太平洋戦争で日本軍に侵略されたシンガポールと日本、娘を奪われたシンガポール人の母親と娘の夫の日本人という、対立する2つの存在です。それが、バクテー+ラーメンで「ラーメン・テー」になっていくまでの間に、両者の間にも理解と融合が生まれていくのが本作の見どころです。あまりひねりのない、直球勝負の展開ですが、それだけに最後はホロリとさせられてしまいます。「ラーメン・テー」を生み出すのが真人なら、シンガポールと日本をつなぐのも真人で、その真人をとても魅力的に演じているのが齊藤工なのです。タクちゃんファンには大満足の1本、と言えるでしょう。

(C)Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

もう1人、魅力的な存在なのが、真人の叔父ウィーを演じるマーク・リー(李国煌)。この人が登場したとたん、映画は一挙にシンガポールらしい雰囲気を放ち始め、その元気のいいセリフ回しとひょうきんな所作に、映画のリズムが弾けていきます。上の写真で、後列伊原剛志の右に立つのがマーク・リーですが、シンガポールでは知らない人は誰もいないという超人気スター。1998年のスーパーヒット作『Money No Enough/銭不够用(お金が不足)』にジャック・ネオ(梁智強)、ヘンリー・チア(程旭輝)と共に主演して以来、ジャック・ネオがおばあさんに扮した『Lian Po Po:The Movie/梁婆婆』(1999)ほかのたくさんのコメディ映画や、時にはホラー映画にトリオまたは単独で出演し、シンガポール映画を隆盛に導いてきました。本作でも、その貫禄と演技力を遺憾なく発揮しています。ウィーの姉で、真人の母親役であるジャネット・アウ(欧萱)も人気女優で、連ドラの女王的存在の人。「The Little Nyonya/小娘惹(小さなニョニャ)」(2008)始め、大人気となった主演ドラマは数知れず。というわけで、シンガポールでは一足先に『Ramen Teh/情牽拉麵茶』のタイトルで公開されました。

(C)Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale

もう1人、目玉となる俳優が松田聖子なのですが、ちょっと不思議な存在の女性として登場していて、その私生活シーンもあるものの、あまり生活感を醸し出していません。ひょっとして、エリック・クー監督が聖子ちゃんファンだったりして、それで出演となったのかも。そんなこんなで見どころがいろいろある『家族のレシピ』、アジア映画好きの方、アジアの街好きの方は、ぜひお見逃しなく。最後に予告編を付けておきます。

斎藤工主演、松田聖子共演!映画『家族のレシピ』予告編


こんな春先にホラーかよ!なんだけど面白い!!『コンジアム』

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ホラー映画の嫌いなcinetamaです。ホラー映画を見るとどうも何かがついてくるみたいで、タイ映画『心霊写真』(2004)の時も、香港で『陰陽路』の何作目かを見た時も、トンデモ事件発生で参りました。でも、アジア映画をフォローするためにはホラーも必須ジャンル。というわけで、今回もおそるおそる試写を見たのですが、これが何ともよくできた映画で、ラストはちょっと恐かったものの、とても楽しめました。3月23日(土)からの公開ですが、そろそろアジアン・ホラー映画ファンの噂にもなってきたようなので、このあたりでご紹介してしまいます。まずはデータをどうぞ。

 

『コンジアム』 公式サイト
2018/韓国/韓国語/94分/原題:昆地岩(곤지암)
 監督:チョン・ボムシク
 出演:ウィ・ハジュン、パク・ジヒョン、オ・アヨン、ムン・イェウォン、パク・ソンフン、ユ・ジェユン、イ・スンウク
 配給:ブロードウェイ
※3月23日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー


プレスによると、『コンジアム』とは、韓国京畿道(キョンギド)広州(クァンジュ)市に実在するコンジアム精神病院跡の廃墟のことだそうで、「大勢の患者が不可解な死を遂げ、院長が失跡もしくは自殺したとされるこの病院は、閉鎖後に幽霊の目撃情報などの恐ろしい噂が絶えず、2012年には”世界7大心霊スポット”の一つに選出された」のだとか。でも、今でも肝試し的に病院跡を訪れる人が後を絶たず、本作の主人公たちも、自分たちがYouTubeで流している恐怖動画チャンネル「ホラータイムズ」で現場の様子をライブ配信するべく、参加者を募ります。「ホラータイムズ」の主催者ハジュン(ウィ・ハジュン)を中心に集まった男女7人は、様々な機材を持ってソウル特別市からも近い広州市に乗り込み、病院跡近くにテントを設置。そこを本部にしてハジュンが配信を担当、他の6人は真夜中に病院跡へと乗り込みます。手持ちカメラのほか、各自には自分の顔を映し出すカメラを装備させて、強がったり怖がったりするその様子も録画。ドローンも使って、暗闇の中の荒れ果てた病院の様子を見せていきます。目標とするのは100万ページビュー。予想通り、チャンネルへのアクセス数は順調に増えていきますが...。

© 2018 showbox and HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED.

一昔前の『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999)的な構造のホラー映画です。『ブレア~』はアジア映画にも影響を及ぼしていて、インドネシア映画『Jelangkung(ジュランクン。確か、”コックリさん”という意味だったような...)」』(2001)などが生まれています。『コンジアム』は「YouTubeでライブ配信」という新しさを付け加えてあるものの、素人が撮った(と称する)映像で恐怖の存在を暴き、恐さを煽っていく『ブレア~』系統のホラーと言えます。ただ、これまでの作品と違うのは、映像を撮る素人自身も撮影対象となっていること。それぞれの体に自撮りカメラが付けてあり、彼らは常に被写体にもなっているのです。その自撮りカメラ映像が、これまた恐い。上の写真は4分割画面にそれを収めたものですが、煽りのアングルと光の当たり方で、まさに恐怖の仮面といった表情が出現しています。

© 2018 showbox and HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED.

映画の始まり部分では、合コンのような形で参加者と顔合わせし、車で現地に行く時も時間調整なのか途中でバンジージャンプをしたりと、青春ドラマみたいな描写が続きます。真夜中になるとそこから一転、病院跡に6人が侵入し、おどろおどろしい映像が送られてき始めます。現場の6人と、テントで指示を出し、映像を配信するハジュンとが交互に画面に登場するのですが、いかにもの素人映像から、上に写真を付けた4分割映像とかプロっぽい撮り方の映像まで、あの手この手で見せてくれる様々な映像と、それに付随する音声がとても凝っていて、劇中にぐっと引き込まれます。プレスによると、カメラは6タイプ、19台が同時に使われたそうで、大部分の映像が出演している俳優たち自身によって撮られたものだとか。音声は現場で拾った音だけで、効果音は排除されているとのことですが、各画面の映像に出演者たちの切羽詰まった声や足音等がシンクロし、絶大な効果を上げています。

© 2018 showbox and HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED.

とにかく、細部まで凝りに凝った作品と言え、製作会社ショーボックスのオープニング・ロゴまでもが、いつもとは違うカラーになっています。配信が始まると、画面に「ホラータイムズ」の放送フレームが出てくるのですが、そこにもご注目。最後まで目を離さないでいて下さいね。という風に、恐いんだけれど「おおっ!」もいっぱいあって、それへの興味が恐怖を凌駕してしまい、私でもしっかりと見られたのでした。ラストはちょっと恐いかも知れませんが、ホラーが苦手な方でも一見の価値はあります。最後に予告編を付けておきます。

映画『コンジアム』予告_2019年3月23日公開!!



 

デリーに来ています

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花粉症から逃れて、インドにやって来ました。ひっきりなしにソフトティシューで鼻をかむ必要のない快適さ、目がかゆくない爽快さを満喫しています。出発の2日ほど前から花粉症が重症化し、本当につらかったんですよー。それに比べると、デリーの空気の悪さなんてヘでもない、というか、それほど汚染度も高くない感じです。昼間の気温は20度ぐらいになりますが、朝は12、3度といったところで、ちょっと寒いです。

泊まっているのは、カイラーシュ・コロニーというメトロの駅前にある上のホテル。部屋もなかなか快適です。この辺には、こういった室数20~30ぐらいの中級ホテルがたくさんあって、インド人ビジネスマン御用達のようです。そして、うちのホテルは地階でビジネス・スクールが開かれているようで、朝、ビジネスマン&ウーマンが続々と地階に降りていきます。皆さん、勉強熱心ですねー。


もちろん朝食付きで、ビュッフェの陣容は曜日ごとに変わるようです。テーブルには、こんなメニューが置いてありました。私の本日の朝食はこんな感じ。

メニューと照らし合わせて、どれがどれだか当てて下さい。


デリーの地下鉄はすごく便利になりつつあり、路線がいろいろ増えました。目の前のカイラーシュ・コロニー駅は、南北に走るバイオレットラインの駅です。しかしこの高架の駅、エスカレーターのない所が多く、エレベーターはよく故障して動いてないし、上り下りが本当に大変。足腰が鍛えられます。


バイオレットラインとその西を走るイエローラインが南北路線の中心で、今ではそれにピンクラインやマゼンタラインが東西に走るようになり、乗り換えも便利になりました、と言いたいところですが、乗り換えに延々歩かないといけない駅が多く、これまた足腰の鍛錬になります。面白いのは乗り換えの方向を指示するラインで、何と裸足の足跡がぺたぺたと、というデザインなのです。さすが、ヒンドゥー教の国ですね。


今日はバイオレットラインからマゼンタラインに乗り換えて、ワサント・クンジュにあるショッピングモール、プロムナードのPVRシネマに映画を見に行ってきました。先日日本でも自主上映された『Gully Boy』(ガリー(路地の)ボーイ)です。主演はランヴィール・シンにアーリア-・バット。ムンバイのダーラーヴィー・スラムに住むイスラーム教徒の大学生ムラード(ランヴィール・シン)がラップ音楽に出会い、ラッパーとして高みに登っていく姿を描いたもので、父(ヴィジャイ・ラーズ)の横暴さによる家庭崩壊、犯罪に走る友人などのエピソードをまじえながらストーリーが進行します。最初ストーリーを読んだ時はフィリピン映画『リスペクト』と似ているかな、と思ったのですが、あんなにひりひりするような感覚は描かれていません。また、ラップの迫力も、『リスペクト』に比べるといまひとつ。『リスペクト』にはド迫力の女性ラッパーが出てきたのですが、ああいう出演者がほしかったです。

Gully Boy poster.jpg

とはいえ、ムラードの親友となるラッパーのM.C.シェールを演じたシッダーント・チャトゥルヴェーディーの存在感は好感が持て、物語に引き込まれます。また、気が強すぎるムスリム娘サフィーナー(アーリア-・バット)のキャラも面白くてチャーミングでした。見に来ていた観客のうち、若い人たちはノって見ていて、最後に拍手していました。最後が大盤振る舞いのハッピーエンドというのも『リスペクト』と比べて「甘い!」と感じるところですが、娯楽映画では仕方ないですね。観客はセリフに反応してよく笑っていましたが、一番笑いが起きたのは、サフィーナーの見合い相手となったムラードの親友が、「頼むから、俺とサフィーナーを結婚させないでくれ」とびびるシーン。その直前にサフィーナーはとんでもない暴力沙汰を起こしているので、観客も納得の大笑いでした。下に予告編を付けておきます。

Gully Boy | Official Trailer | Ranveer Singh | Alia Bhatt | Zoya Akhtar |14th February

映画終了後、ショッピングモールをうろついていたら、数年前にドラえもんの水鉄砲を買ったお店を発見。


今年はホーリーが3月21日とのことなので、色粉や水鉄砲がいろいろ売られていました。今年はドラちゃんはいなくて、代わりにハロー・キティやチョーター・ビーム(インドの有名なアニメのキャラクター)の水鉄砲が。お店の人がいろいろ親切にしてくれたので、皆さんの写真を撮らせてもらいました。


デリーでは研究調査もちょこっとやるため、映画はあまり見られそうにありません。でも、ヴィッキー・カウシャルの『Uri(ウリ)』だけは見たいと思っています。では、またレポートしますので。


高いぞ、デリーの映画料金

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昨日に引き続き、今日もインド映画『Luka Chuppi(かくれんぼ)』を見たのですが、その料金の高さに仰天。昨日見たのはショッピングモール「プロムナード」にあるPVRのシネコンでしたが、414ルピー(662円)という値段に「うそっ!」と思ったのでした。それが、今日『Luka Chuppi』を見たホテル近くの映画館Mシネマでは何と600ルピー(966円)と言われてもう仰天絶句。確かにここは座席が豪華なんですが、ソファー状のゆったり座席ったって「それがどうした」程度のものなので、この値段設定はボッてるとしか思えません。それにしても、昨年は300ルピー台だったと思うので、ものすごい物価上昇率ですね。

Luka Chuppi poster.jpeg

で、その『Luka Chuppi(ルカー・チュピー)』ですが、昨年ヒットした『Sonu Ke Titu Ki Sweety(ソーヌーのティートゥーのスィーティー)』のソーヌー役で一躍人気者になったカールティク・アリャーンの主演で、狙うところは同じく結婚コメディ路線。マトゥラーの名士である地方政治家トリヴェーディー(ヴィナイ・パータク)を父に持つ娘ラシュミ(クリティ・サナン)が、父のコネでケーブルテレビ局でのインターンをすることになり、記者のグッドゥ(カールティク・アリャーン)とカメラマンのアッバース(アパルシャクティ・クラーナー)が同僚として彼女を迎え入れます。やがてラシュミとグッドゥは恋に落ち、一緒に住むことになりますが、ラシュミが同棲を主張したことから話がややこしくなります。家を借りるためには結婚式を挙げていることが前提なので、部屋に結婚式のフェイク写真を飾ったりしていたのですが、ある時グッドゥの家族に同棲がばれ、また、ラシュミの両親にもわかってしまって、結婚式をやり直すことに。ところが、結婚式のやり直しはそう簡単にはいかず、2人も両家の家族も振り回されてしまいます...。

Luka Chuppi Official Trailer | Kartik Aaryan, Kriti Sanon, Dinesh Vijan, Laxman Utekar | Mar 1

上の予告編からも見て取れるように、テレビのシットコムみたいなテイストの作品で、まあ多少は笑えるもののそんなに面白い作品というわけでもなく...と、「金返せ~」とエンドロールのソング&ダンスシーンを見ながら思ったのでした。観客は10人ちょっとでしたが、子供連れの一家+αで一族で見に来ている人も。こんな映画に3~4,000ルピーぐらい支払っても懐が痛くない家庭の人たちって、どんな風にお金を稼いでるんでしょうね。そんなよけいなことばかり考えてしまった、『Luka Chuppi』でした。


ベトナム映画『ベトナムを懐(おも)う』&『漂うがごとく』公開迫る

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昨年開催され、大好評だったベトナム映画祭。多種多様な作品が紹介されていてとても楽しめましたが、その中の2本が3月23日(土)より一般公開となります。今のベトナム映画の水準を示してくれると共に、国を離れた人や現代ベトナムの若者の心象風景を見事に伝えてくれる作品2本です。春休みにぜひどうぞ。


 『ベトナムを懐(おも)う』 公式サイト

2017年/ベトナム/ベトナム語・英語/88分/原題:Dạ cổ hoài lang/英語題:Hello Vietnam
 監督:グエン・クアン・ズン
 出演:ホアイ・リン、チー・タイ、ゴック・ヒエップ、ディン・ヒウ、ジョニー・バン・トラン、トリッシュ・レ、タイン・ミー、チョン・カン、オアイン・キウ
 配給宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト(アルゴピクチャーズ内)
※3月23日(土)新宿K's cinemaほか全国順次ロードショー


©HK Film

物語の舞台は1995年冬、雪に見舞われたニューヨーク。年老いたトゥー(ホアイ・リン)は息子グエンが住まわせてくれている老人ホームから無断で抜け出し、息子のアパートにやってきます。ところがそこでは、孫娘タムがアメリカ人ボーイフレンドのハリーといちゃいちゃの真っ最中でした。トゥーが勝手に抜け出してきたことがわかって、タムはよけいに頭にきます。そんなタムなど無視して、トゥーは旧友のナム(チー・タイ)に電話を掛け、家に来るように言います。ナムも老人ホームから息子の家に戻ったのですが、息子一家は外出していて、孤独を感じていたのでした。なぜ二人が家に戻ったかと言えば、その日はベトナムでは大事な荒神様を祀る日だったからです。さらにトゥーにとっては、ベトナムで亡くなった妻の命日でもありました。息子グエンがアメリカに渡ったあと、トゥーは妻と二人、グエンからの仕送りで暮らしていたのですが、トゥーがひとりぼっちになってしまったのでグエンが引き取ったのです。英語もできないトゥーがアメリカで思い出すのは、若かった日々。金持ちの息子だったナムと月琴を弾いて歌うのが生業のトゥーは、共に1人の女性を愛していたのでした...。

©HK Film

もとは大人気の舞台劇だったそうで、ニューヨークでのシーンはほぼそれを踏襲しているのではないかと思われます。それにフラッシュバックがたびたび挿入され、ベトナムロケの豊かな自然と共に過去の物語を見せてくれます。物語の背景がわかっていればもっとよく主人公の心情などが理解できる作品ですので、公式サイトにあるキーワードの解説や、劇場用カタログに掲載される加藤栄先生の解説文をぜひお読み下さい。私も、荒神様の日が何かわからず、あとで加藤先生の解説を読んで大いに納得したのでした。日本でも、昭和30年代頃までは「荒神(こうじん)」も親しい神様で、関西では「おくど(かまど)の神さん」として、毎年かまどの煙突に貼るお札を張り替えたりしていたのですが、かまどが姿を消してしまうと、荒神の記憶も薄れてしまいましたね。なお、大東文化大で教えておられる加藤先生は、東京外語大でベトナム語を学び、多くの文学作品を翻訳しておられます。ベトナムに興味を持たれた方は、文学作品も読んでみて下さい。

©HK Film

ベトナム戦争の記憶も遠くなってしまったのですが、1975年のベトナム戦争終結まで、日本でも様々な戦争反対運動が行われました。ナパーム弾という密林を焼き払う爆弾を雨あられと降らせて、南ベトナムで反政府のゲリラ活動を行う人々を一掃しようとした米軍の作戦など、半世紀近く経つ今でもよく憶えていますが、団塊の世代の皆さんには青春の記憶と重なるかも知れません。グエン・クアン・ズン監督は、その頃岩波ホールで上映されたベトナム映画『無人の野』(1979)の脚本を書いた作家を父に持つ人だそうで、あの映画の、黒いビニール袋に赤ん坊を入れて水の中に沈め、自分たちは息を殺して水の中に潜って米軍攻撃から逃れた若い夫婦を憶えている世代としては、感慨深いものがあります。


©HK Film

そういったベトナムの歴史を背景にし、老人問題、世代間格差、特に異国で暮らす3世代のそれぞれの思いをユーモアもまじえながら描写している本作は、含蓄の多い作品となっています。日本の若い世代でベトナム好きの方にも、知らなかったベトナムの現実を見せてくれるのでは、と思いますので、ご覧になってみて下さい。なお、ニューヨークの鴨さんが名(迷?)演技を見せてくれますので、最後のエンドクレジットも含めてお見逃しなく。


 

『漂うがごとく』 公式サイト

2009年/ベトナム/ベトナム語/106分/原題:Choi voi/英語題:Adrift
 監督:ブイ・タク・チュエン
 出演:ドー・ハイ・イエン、リン・ダン・ファム、ジョニー・グエン、グエン・ズイ・コア
 配給宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト(アルゴピクチャーズ内)
※3月23日(土)新宿K's cinemaほか全国順次ロードショー

©Vietnam Feature Film Studio1,Acrobates Film

ある家で行われている結婚披露宴から始まる本作は、花嫁であるズエン(ドー・ハイ・イエン)がくるくると立ち働く一方で、夫のタクシー運転手ハイ(グエン・ズイ・コア)が友人たちにお酒を飲まされ、酔いつぶれる姿を描いて、この結婚の先行きに不安があることを暗示します。結婚後も旅行ガイド兼通訳として働くズエンには、ちょっと変わった女友達カム(リン・ダン・ファム)がいて、まるで高等遊民のようなその生活について行けないものを感じながらも、ズエンは気がつくとカムの所に足を向けていました。そんなカムから頼まれて届け物をしに行った先で、ズエンはトー(ジョニー・グエン)という男と知り合い、危険な臭いを持つ彼に惹かれていきます..。

©Vietnam Feature Film Studio1,Acrobates Film

トラン・アン・ユン監督作品や、他のアート系アジア映画の記憶が呼び覚まされるような作品で、好みが分かれるかも知れません。過渡期のベトナムの様々な姿の一つとも言えるのでしょうが、現実逃避しているようなカム、結婚生活が始まったばかりというのにカムの生き方にずるずると影響を受けているズエン、そこに現れる謎めいた男のトーという構成は、決してハッピーエンドにはならないことを予感させてくれます。脚本を担当した、自身も監督でありプロデューサーであるファン・ダン・ジーの言を借りると、「本作は、満たされない渇望や人間の欲望をさらけ出すことがテーマ」だそうで、そこに標準を合わせると、登場人物たちのいろんな言や振る舞いも納得できます。

映画『漂うがごとく』予告編

主人公ズエンを演じるのは、『モン族の少女 パオの物語』(2006)で初々しい主人公を演じたドー・ハイ・イエン。すっかり成熟した大人の女性となり、『モン族の少女』とは違った魅力をたたえるドー・ハイ・イエンは一見の価値があります。上の予告編でご確認の上、ぜひ劇場で再会してみて下さい。


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