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Channel: アジア映画巡礼
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@香港:ヒット中の呉鎮宇主演作『逆流大叔』

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毎日、1~2時間の激しいスコールに見舞われる香港。気温は31度とあまり高くないのですが、雨が降った後はムシっと暑くなります。そんな中、昨日、今日と、面白い映画を見てきました。1本目はタイトルにあげた香港映画『逆流大叔(Men on the Dragon)』で、呉鎮宇(ン・ジャンユー/フランシス・ン)主演の、というか、スターは彼しか出ていない香港映画です。8月2日に公開されて、すでに20日近くになるというのに、私が見に行った月曜日も又一城のモールにある映画館は8割の入り。チケットを買ったのが30分ぐらい前で、後ろの方は全部埋まっていたため、誰もいない前から4番目の列の端の席にしたのですが、中に入ってみると隣にイチャイチャカップルは座ってくるは、その後も結構若い3人組や2人組が真ん中の席に入ってきます。なんで~、と思っていたら、前の方の席には女子高校生か中学生の4人連れが座り、真ん中パートの席はどんどん埋まってきます。平日午前中の上映なので、一般料金でも50HKドル(700円)、シニアは25ドル(350円)ということで少しは見る人も多いかな、と思っていたものの、シニア、中年、30代以下がそれぞれ3分の1ずつ、という構成で席が8割埋まってしまったのにはびっくりしました。こんなに入っている香港映画を見るのは久しぶりです。

Man on the dragon.jpg

物語は、労働着を着た4人の男が乗ったブロードバンド会社のバンが、道を走るシーンから始まります。4人は龍哥こと陳龍(ン・ジャンユー)、黄淑儀という女性のような名前を持ったメガネに口ひげの中年男(潘燦良)、元ピンポンの選手で20代の威廉(胡子彫)、そして新人で20歳そこそこの陳自豪でした。4人は会社のリストラに対する抗議集会にかり出されたのですが、会社側のコワモテ上司泰哥(黄徳斌)が姿を現すととたんに腰砕けに。しかし会社側はリストラを強行、一番若い陳自豪がクビを切られました。意気の上がらぬ社員たちに対し、会社は自らがスポンサーになっているドラゴンボート・レースに会社チームとして参加することを命じて、女性の訓練員ドロシー(余香凝)に預けて特訓させます。いろんな事情を抱えている男たちでしたが、龍哥、淑儀、威廉に泰哥も加わり、いやいやながらドラゴンボートに取り組み始めます。

大叔たちの事情とは、いわゆる「家庭の事情」でした。古いアパートに住む龍哥は、隣の部屋に住む美容関係の仕事をしているキャロル(胡定欣)と恋人同然の仲。いつも隣の部屋で料理を作り、キャロルの中学生の娘も交えた3人で食事をしては、自分の部屋に帰る毎日。娘の学校の書類にサインをしてやったりと、すでに父親のような存在の龍哥でしたが、キャロルは別れた芸術家で娘の父親である男にまだ未練があるようで、いまいち結婚に踏み切れないのでした。淑儀の方は、団地の狭い部屋に妻と2人の幼い娘、そして中国出身で普通話しか話せない母親と一緒に住んでいます。生活は楽ではなく、劉徳華(アンディ・ラウ)のコンサートに行きたいという妻の望みも叶えられないまま。母親と妻の仲があまりよくないのも悩みの種で、夜中央の広場でビールを飲んでは憂さを晴らす毎日。ボートの練習をしていても、はつらつとしたドロシーについ、ふらふらっとなってしまいます。コワモテの泰哥は管理職で、給料も現場で働く男たちよりずっといいため、こぎれいなマンションに住んでいるのですが、中学生の息子はゲームに夢中で、帰っても無視されます。また、妻はどうやら浮気をしているらしく、先日妻が海外旅行で使ったスーツケースには男性名のタグが。ぶっきらぼうながら妻子を愛している泰哥は、悩んだ末相手の男の不動産会社に乗り込みます。そして、威廉も卓球の選手に戻ってやり直すことを決意、そういったもやもやをすべて乗せて、ドラゴンボート・レースが始まります。ドラゴンに乗った男たちの運命はいかに? 逆流を漕ぎきれるのでしょうか??


ここに挙げた出演者名をン・ジャンユー以外にも知っている方は、チョー香港映画通です。私も全然知らず、黄徳斌をどこかの映画で悪役で見たような気がする、と思った程度。監督は陳詠燊という人で、英語名は何とサニーハハハ・チャンなんだとか。2000年に香港演藝学院を卒業し、その後テレビ・プロデューサー、映画の脚本家、作家、専門学校の講師などを経て、このたび本作で映画監督としてデビューしました。脚本は『地下鉄』(2003)、『捉妖記2』(2005)など、結構有名な作品を20作近く担当していて、本作も脚本が上手なことが成功の基盤となっています。特に、香港人がビビッドに反応する「'70・'80年代ネタ」を上手に入れ込んでいて、「獅子山下」や「羅文」「黄霑」、「英雄本色」といったギャグが出て来た時には館内は大笑い。通路を隔てて私の左側に座っていたおじさんは、しょっちゅう呵々大笑していました。

演出力もなかなかのもので、最初はふまじめ半分でやっていた彼らが、だんだんとボートを漕ぐこと、みんなで力と気を合わせることの面白さに目覚めていくところなど、非常に巧みに描かれています。訓練員ドロシー役の余香凝もさわやかでチャーミング、彼女も含めて、なかなか上手なキャスティングです。おじさんチームはすんなり優勝したりはしないものの、彼らが達成感や充実感を味わうさわやかなシーンは、見ているこちらにもその気分が伝染してきます。隣に座っていたカップルも、いちゃいちゃするのを忘れたかのように、ずっと映画に見入っていました。各人の問題はハッピーエンドとはならないのですが、こういう人のいる香港っていいな、と思わせられる、久々に香港映画らしい作品でした。現在すでに600万香港ドル(約8500万円)稼いだそうで、まだまだ快進撃は続きそうです。早くも来年の「香港電影金像奨」という呼び声も高く、ちょうどいい時に来合わせて見られてラッキー。予告編を付けておきます。

天下一電影發行《逆流大叔》正式預告 8月2日 一鼓作氣 破浪前行

ン・ジャンユー、お腹もボテッとしてきてだいぶ年取ったなあ、という感じですが、ちりちりパーマ頭でかわいいおじさんぶり。「黄淑儀(実はこの名前の脇役女優がいたのです)」役の潘燦良は、今後コメディー映画に引っ張りだこになるかも知れません。若いイケメン男性が出ていないのは残念でしたが、日本でも映画祭上映とかされるといいですね。

 

映画祭上映と言えば、アジアフォーカス・福岡国際映画際2018で上映される香港映画『大楽師』は飛行機の中で見ました。借金の返済を迫られている男(姜皓文)が人気歌手(顔卓霊/チェリー・ガン)を誘拐して、身代金を取るまでの間海上生活をしている友人(鄭中基/ドナルド・チェン)に預けますが、音楽好きの二人はやがて意気投合して、新しい曲を作り始める、というもの。これも主役の2人が魅力的で、引き込まれる作品でした。こちらの映画祭の公式サイトで、ぜひ御確認下さい。間もなく映画祭の秋ですね。いろいろ楽しみにしていましょう。



@香港:マ・ドンソク主演作『チャンピオン』が面白い!

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香港でもう1本見た面白い作品が、韓国映画『チャンピオン』でした。マ・ドンソク主演のアーム・レスリング(腕相撲)チャンピオンのお話で、すでに日本でも10月20日に公開が予定されているため(公式サイト)、それを待っておられる方も多いと思います。日本での公開タイトルは『ファイティン!』となりましたが、一足先に見てみると、これが面白い! 簡単にですが、ご紹介しておきます。

「韓国映画 チャンピオン」の画像検索結果

映画の始まりはアメリカ、ロサンゼルスから。クラブのガードマンであるマーク(マ・ドンソク)は真面目一方の男。腕相撲(アームレスリング)のチャンピオンになったこともあるマークに、同じ韓国人の青年ジンギ(クヮン・オル)は腕相撲の賭け試合をしてお金を儲けさせてくれ、と頼み込み、見事マークは勝ちを収めるのですが、ジンギが賭け金をいただこうとすると騒ぎになり、そのゴタゴタでマークはクビになってしまいます。その後、スーパーマーケットのガードマンとして働いていたマークのところに、先に帰国したジンギから電話が入ります。韓国で腕相撲大会に挑戦してくれ、というジンギの願いを聞き入れ、30年ぶりに韓国に戻るマーク。実はマークはペク・スンミンという韓国名を持ち、10歳ぐらいまで韓国で育ったのですが、夫を亡くした母親が彼を養育できず、アメリカに養子に出されたのでした。

帰国したマークをジンギは高級車で迎え、ヤクザでショッピングモールを縄張りにしているユ社長に紹介し、自分は彼のマネージャーであると名乗ります。ユ社長は賭け腕相撲でのマークの勝ちぶりを見て気に入りますが、自分の指示通りに勝ち負けをあやつらないマークに手を焼きます。一方マークは母の消息を尋ねて、昔住んでいた家にそっと行ってみたところ、その家に入ろうとしているのは、小学生の兄と妹。母は再婚したのか? この兄妹は自分の甥と姪なのか? そのガタイのよさと強面から、誰にでも悪人と誤解されてしまうマークは、聞こうにも聞けません。やがて、子供たちの母親スジン(ハン・イェリ)がユ社長が縄張りにしているショッピングモールに店を持っていることがわかり、ユ社長から借金をしていることもわかってきます。スジンに母親のことを聞こうとするのですが、ユ社長の手先のヤクザかと怖がられたりして、なかなか話ができません。そんな時、ある事件が起きて、やっとマークはスジンが亡き母の娘だとわかるのですが、そこにはさらなる真実が隠されていたのでした...。

見どころはまず、マ・ドンソクの極上の演技。腕っ節が強いチャンピオンでありながら、寡黙で控え目、人の良さは天下一品。このギャップがたまりません。ほとんど笑わず、しゃべらずの演技で、マークという人間を見事に形成してみせます。英語も達者で、マ・ドンソクのイメージ一新です。久しぶりに帰ってきた韓国でのカルチャー・ギャップでも笑わせてくれ、いつものマ・ドンソクのキャラなら「なんじゃあ、こりゃぁぁぁ!」と叫ぶようなシーンでも、表情とちょっとしたしぐさだけでこちらの笑いを引き出してくれます。しみじみ、いい俳優さんですねえ。

それに対するジンギのキャラ設定は、舌先三寸のイケメン、調子が良くて何事にもめげない男で、父親とのからみでちょっとしんみりさせる場面はあるものの、マークと好対照をなす人物です。クォン・ユル、これまでほとんど認識していなかった俳優さん(ファンの方、ごめんなさい)だったのですが、この作品では光っていました。さらに、『春の夢』(2014)のハン・イェリが堅実な演技を見せていますし、子役の2人がかわいくて芸達者。脇もしっかりしていて、面白い作品になっています。日本公開が楽しみですね。

日本版の予告編がまだみたいなので、韓国版の予告編を付けておきます。マ・ドンソク主演作『ファイティン!』(日本では『ファイト!』と言うところを韓国では『ファイティン!』と言います)、お楽しみに。

'챔피언' 메인 예고편

@香港:オマケあれこれ

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香港では、あと1本、甄子丹(ドニー・イェン)の『大師兄』も見ました。

大師兄 (Big Brother)電影海報 

ドニーさん版「GTO」と言える作品なのですが、ドニーさんの中学(日本で言えば高校)教師はどうもミスキャスト。英語ができるので、それでまくし立てたりもするものの、やっぱりアクションシーン以外は冴えません。アクションシーンはものすごくガチなのが2箇所ありましたが、アクション監督の谷垣健治さんの力が入りすぎ、さわやかさとは縁遠い出来上がりに。ドニーさんが教える問題児たちは、それぞれにうまくキャラが作られていたので、そちらの路線に合わせてくれたらよかったのにな、と残念でした。問題児たちの中には、インド・パキスタン系の男の子もいて、夢は歌手、ということで、がんばっていたりします。ありきたりなキャラ作りなのですが、それぞれにハッピーエンドになっていて、後味はよかったです。下の子たちの中から、明日の香港映画スターが生まれるかも。

また香港では、インド映画も公開が予定されています。こんな看板が、シネコンに飾ってありました。


そう、ヒンディー語映画『Hindi Medium(ヒンディー語による教育)』ですね。「起跑線」は「スタートライン」という意味なので、ちょっと意訳したタイトルになっています。極端な「インド式お受験」映画なのですが、東アジアの受験地獄と通じるところがあり、中国語圏のみならず、日本で公開しても興味を持たれるかも。この間も書いたように、主演男優のイルファーン・カーンが今闘病中なので、彼に元気を与えるためにも、まず香港でヒットしてほしいですね。

インド映画と言えば、ずっとご紹介できないで気になっていたのですが、昨年から始まった「インディアン・シネマ・ウィーク・ジャパン」が、今年も9月8日(土)~21日(金)にキネカ大森で開催されますが、今年はかなり充実のラインアップ。マニラトナム監督作やボリウッド映画の最新作2本も入っていて、インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン(IFFJ)の対抗馬という感じになってきました。タイトルとデータ、予告編だけ付けておきますので、スケジュール等詳しいことはキネカ大森HPをご覧下さい。 

『ならず者たち』
2014年/ヒンディー語/152分/原題:Gunday
監督:アリー・アッバース・ザファル
出演:ランヴィール・シン、アルジュン・カプール、プリヤンカー・チョープラー、イルファーン・カーン

Gunday | Official Trailer | Ranveer Singh | Arjun Kapoor | Priyanka Chopra | Irrfan Khan  

 

『アルヴィ』
2017年/タミル語/130分/原題:Aruvi
監督:アルン・プラブ・プルショータマン
出演:アディティ・バーラン、ラクシュミ・ゴーパーラスワーミ

 Aruvi - Official Trailer | Arun Prabu | Bindhu Malini, Vedanth | Dream Warrior Pictures

 

『神が結び合わせた2人』
2008年/ヒンディー語/164分/原題:Rab Ne Bana Di Jodi
監督:アーディティヤ・チョープラー
出演:シャー・ルク・カーン、アヌシュカー・シャルマー、ヴィナイ・パータク

Rab Ne Bana Di Jodi | Official Trailer with English Subtitles | Shah Rukh Khan | Anushka Sharma

 

『レディース・オンリー』
2017年/タミル語/130分/原題:Magalir Mattum
監督:ブランマー
出演:ジョーティカ、ウルワシ、バーヌプリヤ、サランニャ・ポンヴァンナン

Magalir Mattum Official Trailer(2017) | Jyotika | Bramma | Ghibran | Suriya

 

『マジック』
2017年/タミル語/163分/原題:Mersal
監督:アトリ
出演:ヴィジャイ、サマンタ・ルス・プラブ、カージャル・アグルワール、ニティヤ・メーナン

 Mersal - Official Tamil Teaser | Vijay | A R Rahman | Atlee

 

『ドゥルガー~女神の闘い~』
2016年/ヒンディー語/128分/原題:Kahaani 2
監督:スジョイ・ゴーシュ
出演:ヴィディヤー・バーラン、アルジュン・ラームパール、ジュガル・ハンスラージ

Kahaani 2 - Durga Rani Singh | Official Trailer | Vidya Balan | Arjun Rampal | Sujoy Ghosh

 

『マヘーシュの復讐』
2016年/マラヤーラム語/121分/原題:Maheshinte Prathikaaram
監督:ディレーシュ・ポタン
出演:ファハド・ファージル、アパルナ・バラムラリ

Maheshinte Prathikaram | Official Trailer | Fahadh Faasil | Dileesh Pothan | Aashiq Abu

 

『親友の結婚式』
2018年/ヒンディー語/125分/原題:Veere Di Wedding
監督:シャシャーンカ・ゴーシュ
出演:カリーナー・カプール、ソーナム・カプール、スワラー・バースカル、シカー・タルサーニヤー

 Veere Di Wedding Trailer | Kareena Kapoor Khan, Sonam Kapoor, Swara Bhasker, Shikha Talsania| June 1

 

『同意』
2018年/ヒンディー語/140分/原題:Raazi
監督:メーグナー・グルザール
出演:アーリヤー・バット、ヴィッキー・コウシャル、ラジト・カプール、ジャイディープ・アフラーワト

‘Raazi’ Official Trailer | Alia Bhatt, Vicky Kaushal | Directed by Meghna Gulzar | 11th May 2018

 

『吹き渡る風に』
2017年/タミル語/134分/原題:Kaatru Veliyidai
監督:マニラトナム
出演:カールティ、アディティ・ラーオ・ハイダリー、ルクミニ・ヴィジャヤクマール

Kaatru Veliyidai - Trailer | Mani Ratnam, AR Rahman | Karthi, Aditi


アジアの旅の困り事(超パーソナル事件)

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年を取ると共に、困り事が増えてくるアジアの旅ですが、今回もいろいろありました。自分自身のメモのために、書いておきたいと思います。

①指紋認証事件

アジアの国々でも、入・出国時に係官がパスポートと搭乗券をチェックするのではなく、機械でパスポート及び指紋、あるいは指紋と虹彩をチェックして、入・出国の処理を済ませるところが増えてきました。実は私は、数年前から香港ではe-チャンネルと呼ばれる自動化ゲートを通ってその処理ができるよう、登録してあるのです。従って、パスポートの裏表紙に、香港入境事務処によるe-チャンネルのバーコード紙が貼ってあります。ところが、最初に指紋を登録しておいて、e-チャンネルのゲートを通るたびに指紋認証ガラスに人差し指を押しつけるのですが、毎回認証してもらえず、係官の手を煩わせる、ということが続いていました。左右の指を換えてもダメ、水分を付けてもダメ、べたーっと広がるように押しつけてもダメ。しょうがないんで毎回、「阿Sir、晤該!」あるいは「Madam!」とか係官を呼ぶことになります。香港には毎年2回寄っているので、数年間では10回ほどe-チャンネルを通ったのですが、スルーできたのは1回だけ。最初の登録の仕方が悪かったのかなあ、とか、毎回落ち込んでいたのでした。

今回の旅では、シンガポールが紙の入・出国カードと併用ながら指紋認証の自動化ゲート仕様となり、また香港は、e-チャンネルが廃止されたのか、全員が自動化ゲートで指紋&虹彩認識での処理となっていました。香港の自動化ゲートは、e-チャンネルとはちょっと仕様が変更になり、最初にガラス板に乗せてスキャンしてもらうのはパスポートの写真があるページ。でも、e-チャンネルの時のバーコードも生きているようで、このあたりでモタモタしてしまいました。で、指紋認証ですが、私の場合、シンガポールも香港も何度やってもハネられて、結局今回も係官を呼ぶ羽目に。香港では、最初からやり直しさせられたりしてあとに並んでいる人に大迷惑をかけたのですが、その後出国エリアでよくよく自分の指を見てみると、指紋がない、ということに気がつきました。表面がつるっつるで、拡大鏡で見るとかろうじて指紋が見えますが、それでも真ん中エリアあたりは渦巻きが全然認識できません。パソコンを打ち過ぎたせいだろうか? と思ったものの、親指もほとんど指紋が見えないので、どうも別の原因のようです。

ネットで調べて見ると、手荒れなどで指紋が見えなくなることは結構あるようで、「インド入国時に指紋が登録できなくて苦労した」と書いている人もいて、今後のアジアの旅は入国第1歩でつまづきそうです。このあといろいろ調べて見るつもりでいますが、指紋を復活させるのはなかなか面倒なよう。皆様は大丈夫ですか?

「私の肉球でよければ、猫の手貸しますが」(旺角廣東道合發茶餐庁の看板猫)

②宅配便お知らせメール事件

バンコクからシンガポールに移動して3日後、クロネコヤマトから「宅急便お届けのお知らせ」というメールが入ってきました。私はクロネコメンバーズに登録しているせいか、この不在連絡メールがきちんと入ってくるのです。で、「08月16日 09時50分にお届けに参りましたが、ご不在でしたので持ち帰りました」とあって荷物の伝票番号があり、再配達の依頼先として、「担当ドライバー」「インターネット」「サービスセンター」の3者が挙がっていて、前2者にはサイトのアドレスが付いています。荷物の種類が「クール冷蔵」となっているので、これはすぐに連絡して、このあと1週間ほど不在であるため送り主に返送してほしい、と伝えなくては、とあせりました。

まず、メールに返信してみたのですが、流れるものの、送信記録には出てこないので、どこにも到着していないようです。よくよく見ると、「※このメールに返信されましても、お答えする事は出来ませんのでご了承願います」と書いてありました。続いて、「インターネット」の所にあるサイトのアドレスをクリックしてみたのですが、クロネコメンバーズのサイトにつながり、荷物をどこでいつ受け取るか、ということが入力できるようになっているものの、「返送」の選択肢はありません。また、文章を送れるような選択肢もありません。メールなんか送ってこられた日にゃあ、面倒なので、そういう選択肢を設けてないのでしょうね。「サービスセンター」にはフリーダイヤル番号とお客様サービスセンターの番号が書いてあるのですが、どちらも何度掛けても話し中。日本では呼び出し音が鳴っていてもずっと待っていれば、5分後ぐらいには繋がるわけですが、シンガポールのスターハブのSIMは、話し中となったとたんに切れてしまいます。掛け直すこと数回、こりゃ、ダメだ、と悟りました。

シンガポールのフードコートのコーヒー屋さん。職人技で淹れてくれて楽しい。

で、最後に「担当ドライバー」のサイトのアドレスを開けてみると、最寄りの営業所の電話番号とファックス番号が書いてあります。電話番号はやはり話し中でダメ(実はずっとあとになって、スマホからの海外電話の掛け方がまずかったのだ、ということがわかるのですが、この時は何度掛けてもつながらずメゲました)だったのですが、ファックスなら送れるかも、と、次の日からファックスの送れるところを探すことにしました。この不在連絡メールは、律儀に毎日入ってきて、朝イチでこれを見せられると1日中どよ~んとしてしまいます。早く処理してしまいたい、とファックスを書き上げて、確か20年ぐらい前はシンガポール・テレコムからファックスを送っていたな、と検索するも、シンガポール・テレコムの電信局の場所が全然出て来ません。英語でも「シンガポールから国際ファックスを送る」とか検索をかけてみたのですが、旅行者が送れる場所、ということ自体が想定されていないのか、手がかりがありません。5つ星ホテルならフロントから送れるのに、とか思いながら、滞在中の安ホテルのフロントのお姉さんに相談してみると、2つの場所を挙げてくれました。

一つは近くなので行ってみたら、小さなビルの9階で、受付のインド系のおじさんが「そこは普通の住居だよ」と首をひねります。9階まで行ってみたところ、確かに外の靴置き場にはいろんな靴が10数足置いてあって、洗濯物などを見る限り、インド系の人の寮になっていて数人が住んでいる、という雰囲気。フロントのお姉さん、どうやって検索したんだろう? 続いて教えてもらったのは、オーチャードのスコット・ロードにあるファー・イースト・プラザ(遠東商業中心)というショッピングモールの本屋さん。このビル、入るとなぜか懐かしい臭いが。知らなかったのですが、ここはシンガポールにおけるビルマ人(ミャンマー人)の拠点ビルの一つのようでした。ビルマ語の看板などがあちこちの店に見えます。


ビルマ語の新聞なども売っています。仏陀のお写真、1枚買ってくればよかった。


ですが残念ながら本屋さんには開店時間を過ぎているのにチェーン+鍵がかかっていて、どうやら気まぐれに開店するお店のようでした。仕方なく、また次の日フロントのお姉さんの手を煩わせて、もう1軒探してもらいます。今度は、シティホール近く、聖アンドリュース教会の北側にあるペニンシュラ・プラザの中のお店。A1 Photocopy & Laminatingというお店で、これは信頼できそう、という割と大きな店舗でした。で、日本までだと1枚3.5シンガポールドル(約280円)ということでファックスを送ってもらおうとしたのですが、「相手側の電話は鳴ってるんだけど、流れていきませんね」とのことで、2、3度やり直したのですが結局ダメ。お金を返してくれました。(今調べて見ると、このビルも「シンガポールの小ビルマ」として知られているようで、してみると、ホテルのフロントのお姉さんはビルマ系の女性だったのかも知れません)


もう、教会(↗)にお祈りにいきたくなるほど、ファックス作戦は大失敗。クロネコぉ~、私の時間を返せ!でした。香港に着いてもまだあきらめきれず、というかしつこく毎日メールが入っていくるので、セブンイレブンでも聞いてみたのですが、「日本へファックス」と言ったとたん「何言ってんの」という顔をされ「No」の返事が。香港も、尖沙咀の中間道にある郵便局の隣に、昔は香港電話局の事務所があって、そこで簡単にファックスを送れたのですが、今やすべて携帯電話に取って代わられて、電話局も姿を消しました。

帰国後、ヤマト本社のページを使い、「海外からメール連絡ができるようにしてほしい」とクレームを出したのですが、どうせ返事は来ないだろうなあ。なお、そのクール便の荷物については、ヤマトから差出人に連絡が行き、「インド通信」関係の方だったので事務局の友人に連絡が入り、25日の発送作業日に届けてもらうよう手はずがついていました(中身は小ぶりのみかん10数個で、「インド通信」の発送作業日に皆さんで、ということだったようです)。ただ、友人もまさか私がメールで不在連絡を受け取っているとは知らず、私には帰国まで連絡なしだったので、最後の2日間メールが来ないのでやれやれと思ったものの、ドタバタにうんざりして帰国したのでした。帰国してみてありがたかったのは、ヤマトの配達の方が不在連絡伝票をちゃんとポストに落とし込んでいてくれていたこと。これがドアポストから何枚もピロピロ出ていた日には、空き巣にも狙われますからね。こういう風に、我々が接する人は素晴らしいのですが、ヤマト、中枢部は「?」の多い会社です。


③空港アンケート事件

これは事件というほどではないのですが、帰国日に空港でパソコンを広げ、メールの返事を書こうとしていると、若い女性が少しなまりのある日本語で話しかけてきました。「香港ツーリズムの旅行客へのアンケートなんですが、よろしいでしょうか?」はいはい、いいですよ、と答えて隣の席に座った女性とやりとりしたのですが、実に質問項目が多いのです。「今回の旅行はどこどこへ行ったのか」「航空券はどうやって手に入れたのか」「ホテルの予約はどうやってしたのか」「団体旅行なのか個人旅行なのか」「香港は何回目か」「香港に来た目的は」「香港ではどんなことをしたのか」「お金はどのくらい使ったのか」etc.etc.30項目ぐらいあったのでは、と思います。下の女性が、アンケート係の鄧小姐です。


ものすごく細かいアンケートなので、日本語が母語でない彼女は先の質問の答えを憶えていないらしく、「一人旅だ」と回答したのに、その後「ホテルには誰と泊まりましたか?」というような質問を重ねてしたりして、ちょっとイラっとしました。その上、プライベートに踏み込む質問も多く、「年収は何ドルぐらい?」「既婚か、未婚か、未亡人か、離婚経験者か」等々、そこまでのデータ取って何に使うの?と言いたくなるような質問も多かったです。鄧小姐自身も「質問が多すぎるんですよね」とうんざりしたように言っていました。


御礼にもらったのがこんな記念品で、マグネットになっています。というわけで、香港の空港で香港旅遊發展局(Hong Kong Tourism Board)の人が近寄ってきたら、即、逃げましょう。でも、彼女がタブレットで入力するところを間近に見られ、「漢字を手で書くとそうやって活字化できちゃうんですね」と日本語フォントにもある便利な機能を確認できたりして、楽しかったのでした。


[番外編]「食●啦你!」事件

上に書いた「」内の広東語(●=si)は、粗口(チョウハウ=罵り言葉)です。非常に汚い言葉なので、よい子の皆さんは絶対に真似してはいけません。しかし、私は香港のトイレで●をふんづけてしまい、思わずこの言葉を言ってしまいました。しかもですよ、尖沙咀のYMCA内レストランの女性トイレ個室で。ここのYMCAはペニンシュラ・ホテルの隣にあるだけあって、落ち着いているし、そこはかとない高級感が漂っています。前にもブログに書いたのですが、ここのレストランには98香港ドルのサラダバーがあり、生野菜不足の旅の最後には、かならずここのサラダバーで野菜サラダをがっぽりと食べるのが最近の習慣になってしまいました。パンもスープもサラダバーの中に含まれるし、ソフトドリンクも付いてきます。今回は、どのサラダも絶品でした。


食事をしたあと、私は必ず、できるだけ早く歯を磨きます。というわけで、お勘定を済ませると、奥の方にあるトイレに行ったのでした。トイレに入った時から、なんとなく臭いなあ、YMCAもハウスキーピング能力が落ちたか、と思っていたのですが、歯を磨いてから個室に入ろうとして、たまたま空いていた中央付近の個室に入って扉を閉めたところ...。床に丸く平たくなっていた●をスニーカーで踏んづけてしまったのです! なぜこんな床に、べちゃっと●がある?? 仕方がないのでスニーカーの裏と床と両方、トイレットペーパーでできるだけきれいにお掃除しました。かつて庶務係だった私は、トイレが汚いとすぐ掃除してしまうのです。で、床から目を上げると、壁にも臭うものが。うっ、何じゃこりゃあああああ! 仕方がない、壁も掃除です。子供を抱き上げてさせている時に飛んじゃったんですかね。しかし、拭けよ、母親。せめて職員に言って、謝って掃除してもらってから店を離れなさい。

映画では、『モンガに散る』(2010)とかいろんな映画で見てきた●の上にスニーカー、のシーンですが、自分がその目に遭ったら何と面倒なことか。人間の●は本当に臭いのです。泊まっているホテルに戻って、洗面台に敷いたスーパーのポリ袋に水をため、その中で歯ブラシを使って靴裏を洗い、水はトイレに捨てたのですが、石けんも使って数度繰り返して洗ってもまだ臭います。帰国して再度お湯で洗ったのですが、いやいや、ひどい目にあいました。マナーの悪い旅人のいそうな場所に行く時は、注意しましょう。アジアを旅して40年、初めての「食●啦你!」体験でした。


来るぞ来るぞ!『マガディーラ 勇者転生』

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8月31日(金)から公開されるインド映画『マガディーラ 勇者転生』を、一足先にDVDで見せていただきました。こんな展開だったのか! いやあ、チョー面白いです。ざっくりとした筋は知っていたものの、思いもかけぬ超絶アクションシーンがあったり、ここは物語のキモだ、と思っていたインド版予告編シーンが、「そんだけなのぉ?」だったりと、予想を裏切ってくれる面白さがテンコ盛り。『バーフバリ』2作と比べると、「若書き(若描き)」ならぬ「若撮り」の感じを受けますが、公開当時大ヒットしたのがわかる、勢いと強烈な個性のある作品です。まずはデータからどうぞ。


『マガディーラ 勇者転生』 公式サイト
 2009年/インド/テルグ語/原題:MAGADHEERA/字幕翻訳:藤井美佳/日本語字幕監修:山田桂子

 監督・脚本:S.S.ラージャマウリ 
 製作:アッル・アラヴィンド、B.V.S.N.プラサド 
 撮影:K.K.センティル・クマール 
 音楽:M.M.キーラヴァーニ
 出演:ラーム・チャラン、カージャル・アグルワール、スリハリ、デヴ・ギル、スニール、サラット・バーブ
 配給:ツイン

※8月31日(金)より新宿ピカデリー、なんばパークスシネマほか、全国順次ロードショー!

©GEETHA ARTS, ALL RIGHTS RESERVED.

オープニング・タイトルでは、人数が数えられる声が聞こえてきます。「1人、10人、32人、...95人、99人!」その合間に意味深なセリフがはさまります。これはいったい...と謎めく始まりですが、舞台となるのは1609年の北インド、アーラーヴァリ山脈にあるバイラヴァコーナの地。今しも死に瀕したウダイガル王国のミトラ姫(カージャル・アグルワール)が、こちらも血まみれになった戦士バイラヴァ(ラーム・チャラン)に呼びかけます。「あの世にいくならせめて、妻として死なせて...」そして、谷底に落下していく2人。その後バイラヴァの鎧がウダイガル王国を攻めてきたシェール・カーン(スリハリ)の手によって荼毘に付され、「必ずよみがえれ」という言葉が掛けられます。

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そこから一転して時代は400年後に飛び、バイクレーサーのハルシャ(ラーム・チャラン二役)がカッコよく登場。友人(スニール)らが見守る中、掛け元の女(ムマイト・カーン)がこっそり引き上げたバーを見事に飛び越して、無事着地するハルシャ。賭け金を持ち逃げしようとした女を追いかける時に、ちょっとしたハプニングはあったものの、ハルシャには向かうところ敵なしなのでした。ところが、雨の中オートリキシャに乗って急ぐハルシャが、バスを待っていた女性と手が触れたとたん、電流を感じてしまいます。その女性インドゥ(カージャル・アグルワール)を追いかけているうちに、ハルシャはインドゥの従兄で、悪辣なラグヴィール(デーウ・ギル)とも知り合いになるのですが、実は彼ら3人には前世の因縁があったのでした...。

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お話はさほど複雑ではなく、プロローグを経て400年前の人物がそれぞれに転生している現代パートが調子よく進み、そしてまた400年前に戻って重厚な時代劇になるという構成になっています。どちらのパートでもソング&ダンスシーンにアクションシーンと見どころが満載ですが、現代パートではラーム・チャランの父で「メガスター」と呼ばれているチランジーヴィが特別出演する大サービスも。ここは、「もう1回上映して!」と叫びたくなる、超のつく見どころとなっています。チランジーヴィ、やっぱり貫禄はもちろんですが、色気も茶目っ気もあっていいですねー。息子を見事、翻弄しています。

Bangaru Kodipetta Full Video song || Magadheera Movie || Ram Charan, Kajal Agarwal

ラーム・チャランの方は、現代パートのチャラ男も時代劇パートの寡黙な戦士もどちらもハマリ役ですが、中でも現代パートで見せるクネクネダンスは絶品で、目を奪われます。特に上に付けた「Bangaru Kodipetta(金のめんどり)」は、ここ、ワイヤー使ってんじゃないの、と疑いたくなるようなシーンもあって、メイキングが見てみたいです。さらに、ラーム・チャランは何かにまたがる姿が優美で、現代パートのバイク、馬、そして時代劇パートの乗馬シーンが非常に美しく、ほれぼれしてしまいます。この点は、最後に付けたS.S.ラージャマウリ監督のインタビューでも語られていて、万人が認めるところなのだなあ、と感心しました。

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カージャル・アグルワールの方は、ミトラ姫の役はちょっとそぐわないものを感じる時がありますが、現代パートの方はいつものちゃきちゃき娘ぶりで、その派手な美しさが印象的。現代パートは脚本が少々ありきたりで、笑いの取り方なども陳腐なのですが、そのあたりが「若撮り」と言いたくなるゆえんです。宣伝さんから配布された画像の中に、本作撮影時のS.SS.ラージャマウリ監督の画像があったのですが、今から10年近く前なので、確かにお若いですね。

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さて、そんなラージャマウリ監督の公式インタビューを、宣伝さんが配信してくれました。ここに全文を貼り付けておきましょう。

☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆ 

S.S.ラージャマウリ監督インタビュー 

インタビュアー:江戸木純

 Q:『マガディーラ 勇者転生』は輪廻転生を核にした物語ですが、監督は本作以前や本作に続く『マッキー』でもユニークな輪廻転生の物語を描かれています。監督が輪廻転生にこだわる理由と本作の構想はどこから生まれたのかを教えてください。

S.S.ラージャマウリ(以下、SSR):輪廻転生を扱う理由にさほど深い意味やこだわりはありません。現在と過去が交錯する面白くユニークなドラマを語るための装置のようなものですね。この映画に関して言えば、『バーフバリ』2部作と同じように父が物語の草案を練りました。部分的にはさまざまな神話や民話、過去の古典的な映画の要素も取り入れています。また、観客のみなさんに喜んでもらえるようにという商業的な視点から、現代と過去、それぞれのシーンで歌と踊り、そしてハードなアクションや格闘シーンを入れ込みました。 

Q:この物語はラージャスターンに栄えたウダイガル王国と現代のハイダラーバードという2つの場所で語られます。この2つの土地を設定されたことに何か特別な理由がありますか?

SSR:私は、ラージャスターンはインドの中で最も美しい場所のひとつだと思っています。美しい砦の数々をはじめ、広大で素晴らしいロケーションがたくさんあるのです。それらの場所は、私が400年前の物語を語るために完璧な場所ばかりでした。一方、私たちが熟知しているハイダラーバードはまさに現代都市で、現代の場面を描くのにこれ以上の場所はありませんでした。 

Q:『マガディーラ 勇者転生』の成功は、『バーフバリ』2部作の製作に対し、どのような影響を与えましたか? また、本作での経験が『バーフバリ』2部作に活かされた部分はありますか?

SSR:映画製作の最終権限は各作品のプロデューサーが持っていて、作品が実現するかどうかは、プロデューサーがいかにその物語を信じるかにかかっています。『マガディーラ 勇者転生』の場合は、プロデューサーが脚本をとても気に入ってくれ、その物語を語るために必要なテルグ映画史上最高となる高額な製作費を集めてくれました。『バーフバリ』2部作に関しても状況は同じで、他の作品の成功の影響というわけではなく、別のプロデューサーがその物語を信じて、莫大な製作費を集めてくれたのです。経験という面では、本作だけではなく、これまでのすべての作品の経験が次の作品に活かされています。VFXを多用し、多くのスタッフと共同作業を行ったこの映画での経験は『バーフバリ』2部作以上に、『マッキー』の企画の構想や製作実現に活かされたと思います。『バーフバリ』2部作はある意味さらに次元の違う挑戦でしたから。 

Q:『マガディーラ 勇者転生』は『バーフバリ』2部作以上に歌と踊りが作品の重要位置を占めています。特に冒頭の埠頭でのダンス・シーンはとても印象的ですし、ウダイガル帝国でのスペクタクル・ダンスシーンも素晴らしい見せ場となっています。この映画のダンス・シーンの創造の過程を教えてください。

SSR:第一に、ラーム・チャランが最高のダンサーだということはインドでは周知の事実で観客は彼のダンスに大きな期待を持っています。ですから、私は彼と彼の父親でもある伝説的なスター、チランジーヴィ氏とのダンス対決をこの作品で実現させたいと思いました。チャランにとっては父の前で踊ることは大きなチャレンジでもあります。彼はそれを見事にやり遂げ、素晴らしいシーンにしてくれました。ウダイガル帝国でのダンス・シーンは作品に優美さとスペクタクルな雰囲気を加えるために重要でした。有能な音楽監督のM.M.キーラヴァーニや素晴らしい歌手たち、ダンス・マスター(振付師)たちが常に最高の仕事をしてくれますので、ミュージカル・シーンを作るのはとても楽しく、実はそれほど難しい作業ではありません。 

Q:俳優ラーム・チャランの魅力を教えてください。

SSR:彼は常に物語を頭に入れ、自然体で演技します。踊りも抜群にうまいですが、特に乗馬の腕は抜群で、いくつもの場面でその技を発揮してくれました。本作で彼は全力を完全に出し切り、魅力の総てを発揮してくれたと思っています。 

Q:ヒロインのカージャル・アグルワール起用の理由を教えてください。

SSR:彼女の過去の出演作を見てエレガントで素晴らしい才能を持つ女優だということは知っていましたし、ぜひ一度私の作品に出て欲しいと思っていました。この映画では王女にふさわしい気品と美しさを持つ女優を探しました。同時に私たちのハードな撮影スケジュールにも合わせてもらわなければなりません。彼女はまさにそんな女優でしたし、完璧な仕事をしてくれました。

Q:悪役ラナデーヴ/ラグヴィールキャラクターは監督の作品の中でも特に強烈な存在です。あのキャラクターにモデルはありますか? 

SSR:私の映画の中には数多くの悪役が登場します。過去の作品では悪役は見た目も悪く粗雑なキャラクターが多かったのですが、本作ではヒロインが外見的には騙されそうなハンサムな悪役を設定しました。デヴ・ギルは、外見は良いが内面が悪魔のようなキャラクターを見事に演じてくれました。 

Q:この映画にはスケールが大きく、想像を絶するアクションとスタントの見せ場がたくさんありますが、あれらのアクション・シーンは監督のアイデアでしょうか?

SSR:アクション・シーンの撮影は私が最も好きで、得意とするものです。アクション・シーンがうまくいったときの気持ちよさは格別です。私はまず、私の考えや構想をアクション監督にしっかりと伝え、それぞれのアクションやスタントを構成してもらいます。実際のアクションとスタントの最終決定はアクション監督に任せます。本作ではアクション監督(ピーター・ハイン)との共同作業が完璧にうまくいき、最高の結果を出すことができました。彼とはその後の映画でも何度も組んでいます。本作のアクションではウダイガルでの「100人斬り」のシーンが特に気に入っています。100人以上のスタッフとキャストがひとつになった、思い出深いシーンです。 

Q:最後に日本のファンの皆さんにメッセージをお願いします。

SSR:最初に、すべての日本の観客の皆様に『バーフバリ 王の凱旋』の大成功に関して感謝いたします。現在も上映が続いているというので驚いています。本当にありがとうございます。『マガディーラ 勇者転生』は『バーフバリ』2部作を応援していただいた皆さんなら、必ず気に入っていただける作品だと信じています。楽しんでいただければ幸いです。

☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆ 

さあ、今週金曜日は『マガディーラ 勇者転生』にGO! 現代と400年前とを行き来しながらお楽しみ下さい。 

 

スペース・アーナンディ/インド映画講座:女優シリーズ最終回「シュリーデーヴィー」+アラヴィンダン特集

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スペース・アーナンディのインド映画講座第Ⅱ期「女優シリーズ」も、いよいよ最終回です。ラストを飾るのはシュリーデーヴィー。追悼の意味も込めて、昔の映像などもお見せできればと思います。7月にも実施したプログラムですが、今回はこの夏に見てきたシュリーデーヴィーの遺児ジャーンヴィー・カプールのデビュー作『Dhadak(鼓動)』のお話なども交えながら、彼女の魅力とその継承者についてお話ができればと思います。また、第Ⅲ期として11月から新しいシリーズが始まるのですが、その内容についてもお伝えする予定です。

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スペース・アーナンディ/インド映画連続講座第Ⅱ期
「女優が輝くボリウッド映画の魅力」
<第6回>シュリーデーヴィー

 スペース・アーナンディでは、毎年1つのテーマで行う「インド映画連続講座」を開催中ですが、男優シリーズの第Ⅰ期「スターで辿るボリウッド映画史」に続き、第Ⅱ期では「女優が輝くボリウッド映画の魅力」というテーマでお話をしています。その最後を飾るのが、本年2月24日に惜しくも亡くなったシュリーデーヴィー(シュリデヴィ)。昨年秋に1年間の予定を立てた時には、こんなことになるとはつゆ知らず、『マダム・イン・ニューヨーク』で日本でも知られるようになり、今後の活躍も期待される彼女のこれまでの歩みを知ってもらおうと思い、最後に取り上げることにしたのでした。
 シュリーデーヴィーは南インドに生まれ、タミル語映画で1970・80年代に活躍した後、ムンバイにやってきてそこでも大人気女優となります。アミターブ・バッチャンの人気に陰りが見え始めた1990年代、シュリーデーヴィーが次々とヒット作を出すもので、当時のボリウッドは「ワン・ウーマン・インダストリー」と言われたほど。そんな彼女の作品と人生を辿りながら、ドバイでの急死の真相も探っていきます。ポスタープレゼントは、主演作の遺作となってしまった『Mom(ママ)』(2017)のポスターです。
 なお、「女優が輝くボリウッド映画の魅力」講座と抱き合わせで開催してきた「映画で学ぶヒンディー語塾」も最終回となります。最後はまとめですが、初めての方でも初心者の方でもノープロブレム。30分の濃密なヒンディー語学習体験をどうぞ。

 日時:2018年9月15日(土) 15:00~17:30
 場所:スペース・アーナンディ(東急田園都市線高津駅<渋谷から各停で18分>下車1分)
 定員:20名
 講座料:¥2,500(含む資料&テキスト代)
 講師:松岡 環(まつおか たまき)
ご予約は、スペース・アーナンディのHP「受講申し込み」からどうぞ。ご予約下さった方には、ご予約確認と共に、スペース・アーナンディの地図をメール送付致します。床におザブトンをひいて座っていただく形になりますので、楽な服装でお越し下さい(申し訳ないのですが、スペースの関係上イス席はご用意できません。悪しからずご了承下さい)。皆様とお目にかかれるのを楽しみにしております。(松岡 環)


[講師紹介]
1949年兵庫県生まれ。麗澤大学、国士舘大学非常勤講師。大阪外大(現大阪大)でヒンディー語を学び、1976年からインド映画の紹介と研究を開始。1980年代にインド映画祭を何度か開催したほか、様々なインド映画の上映に協力している。『ムトゥ踊るマハラジャ』『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』『きっと、うまくいく』『pk』など、インド映画の字幕も多数担当。著書に、「アジア・映画の都/香港~インド・ムービーロード」(めこん/1997)、「インド映画完全ガイド」(世界文化社/2015/監修)など。

(写真はいずれも2015年の来日時のもの)

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ついでにのお知らせですが、川崎市市民ミュージアムで、今は亡きインドの監督アラヴィンダンの上映特集があります。チラシを付けておきますので、ミュージアムの公式サイトもご参照いただき、スペース・アーナンディにいらっしゃる前に名作『サーカス』(1978)もぜひご覧になってみて下さい。私たちインド映画祭実行委員会が開催した、初めてのインド映画祭で1983年に上映した作品で、村にやってきたサーカスが村人たちの間に立てる波紋を、モノクロ画面で静かに描いています。

 他の作品も秀作揃い。土日の上映ですので、少し遠くからでもぜひお出かけ下さい。


インド映画自主上映会:テルグ語映画『Gita Govindam』&カンナダ語映画『 Tagaru』

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Periploさんから、2本の作品の自主上映会案内を続けていただきました。いただいた情報を貼り付けておきます。

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『Geetha Govindam(ギータ・ゴーヴィンダ)』
(2018/テルグ語/144分/英語字幕)
 監督:パラシュラーム
 主演:ヴィジャイ・デーヴァラコンダ、ラシュミカー・マンダンナ、スッバラージュ
■日時:2018年9月8日(土)午後 5:00~
■会場:イオンシネマ市川妙典 アクセス
■料金:大人/予約2,400円、当日2,600円
■主催:インドエイガドットコム 予約はこちらから

Geetha Govindam.jpg

上映情報と共に寄せられたPeriploさんのコメントはこちら。「ヴィジャイ・デーヴァラコンダは、数年前にも一度だけ自主上映作品のなかで見ていたはずなのですが、記憶に残りませんでした。その後徐々に認められてきていたのですが、2017年に、『デーヴダース』の現代的翻案である『Arjun Reddy』が大ヒットして重要な若手スターとなりました。この作品は、テルグ語圏に限定すれば、同年の『バーフバリ』に匹敵するインパクトを持っていたと言われています」

『バーフバリ 王の凱旋』クマラ・ヴァルマのスッバラージュも出ていますよ~。予告編を付けておきます。(YouTubeで「Geetha Govindam Subbaraju」で検索すると、テルグ語でスピーチするお姿が拝めます)

Geetha Govindam Official Teaser || Vijay Deverakonda, Rashmika Mandanna, Parasuram  

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 Tagaru.jpg

『 Tagaru(雄羊)』
(2018/カンナダ語/129分/英語字幕)
 監督:ドゥニヤ・スーリ
 主演:シヴァラージクマール、ダナンジャヤ、バーヴァナほか
■日時:2018年9月9日(日)午後1:00~
■会場:埼玉県川口市、スキップシティ アクセス
■料金:大人1,500円
■主催:東京カンナダ人会 予約はこちらから

Tagaru Poster

Periploさんの詳しいご紹介サイトはこちらです。また、お知らせと共に書いてあったコメントも付けておきます。「これまで流血ものを回避して作品を選んでいた東京カンナダ人会が、方針を変更したのか、ギャングものを持ってきました。南インドではバイオレンスにも本場というものがあるようで、テルグならラーヤラシーマのファクション抗争、タミルならマドゥライのカースト対立、カンナダではバンガロールのアンダーワールドというのが名物になっています。今回作品のドゥニヤ・スーリ監督はこのジャンルで最もエッジの立ったものを作るので評判の人です。現地でも半年以上のロングランとなったヒット作です。なお、タイトルの『Tagaru』は、例によって羊とも山羊とも訳される語ですが、日本人にとってはあの巻いた形の角はどちらかと言えば羊だろうかと思い、『 Tagaru(雄羊)』としました」

スタイリッシュな予告編はこちら。

Tagaru Teaser Official Video | Dr Shivarajkumar, Bhavana, Manvitha, Suri

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自主上映のほか、一般公開のインド映画も続々決まりつつあります。近日中に、つい先日情報リリースとなったヒンディー語映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』(2018)をご紹介しますので、お楽しみに。公式サイトはこちらで、12月7日(金)から公開の予定です。

The poster features Akshay Kumar dressed in white.

 

インドのスッパルヒーロー『パッドマン』!

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大学の集中講義+αで地獄の4日間を過ごしていましたので、ご紹介するのが遅くなってしまいました。やっと口チャックを開くことができて嬉しい作品、『パッドマン 5億人の女性を救った男』が12月7日(金)に公開となります。まだ3か月先でしょ、と言われそうですが、3か月前には、この作品の字幕翻訳をさせていただいていた私は、クライマックスの演説を訳しながら目にじわ~っと涙を浮かべていたのでした。やっと公式サイトができて、映画関係の情報ページにも続々と報道がアップ、さらには日本版ウィキペディアまでできてしまっている本作は、実在の人物アルナーチャラム・ムルガナンダム氏がモデルとなっています。

この人は名前からもわかるようにタミル・ナードゥ州の人で(インド映画ファンなら、『アルナーチャラム 踊るスーパースター』と、1997年のラジニカーント主演映画のタイトルがすぐ浮かびますよね)、コインバトール出身。新婚の妻が生理の手当に汚い布を使っているのを見て心を痛め、自らナプキン=パッドを手作りしてしまったという愛妻家です。しかしながら、女性の生理について面と向かって話題にするのはタブーであるインド社会のこと、性能のいいナプキンを作ろうと努力すればするほど変人扱いされ、やがては村八分のような状態に。それでもさらに研究を重ね、清潔なナプキンが簡単に作れる簡易機械を発明、それで作ったナプキンを女性たちが村や町で売り歩くというシステムを考え出した人なのですが、やがては女性たちが銀行ローンを組んで簡易機械を購入し、ナプキン製造販売業を起業できる道も開いたという、偉大な人物です。だから、インドのほぼ全女性を救った、ということで、こんな副題が付いたのですね。


映画では、舞台をタミル・ナードゥ州からマディヤ・プラデーシュ州の都市インドールに近い町マヘーシュワルに移し、ナルマダ河に沿って広がるこの田舎町で、主人公のラクシュミことラクシュミカント・チャウハン(アクシャイ・クマール)が妻ガヤトリ(ラーディカー・アープテー)と結婚式を挙げるシーンから始まります。小さな作業所を仲間と共に経営しているラクシュミは、ともかく工夫の好きな男で、いろんな物を妻のために発明というか工夫して作るのですが、その延長線上にナプキンもあった、というのがよくわかる導入部になっていて、なかなか面白いです。前半は、2人の愛情物語に「生理」がくさびのように打ち込まれ、それが家庭に影を落としていって、妻が実家に帰らざるを得なくなるまでを描きます。


後半は、ナプキン研究のためインドールに出て、大学教授の家に住み込んで知識を得ようとしたものの、自分のやるべきことに気づき、ナプキン製造の簡易機械を作ることに心血を注ぐラクシュミが描かれます。その過程で、ラクシュミは自分のもっともよき理解者となるデリーから来た女性、パリー(ソーナム・カプール)と出会います。パリーの父親はデリーのIIT(インド工科大学)の教授で、IITで開かれる発明大会のようなイベントにラクシュミのナプキン製造機を出品させ、それをきっかけにラクシュミとパリーはますます深く結びついていくことに。このあたりはフィクションではと思うのですが、ソーナム・カプールがパリーにピッタリで、なかなか楽しいシーンが続きます。さらに、国連から演説を頼まれたり(これが、最初に書いた感動シーン)、名誉ある国の勲章パドマシュリをもらったりするのですが、妻帯者であるラクシュミとパリーの恋は....、というわけで、あとは映画をご覧になって下さいね。


生理ナプキンに関して言えば、私も1970年代の後半、どの年だったのか忘れましたが(1975年からは毎年インドに行っているのです)、デリーのコンノート・プレイスに近い薬局でナプキンを買ったことがあります。その頃は毎年、1か月近くインドを旅行していたため、必ずナプキンを持って行く羽目になったのですが、たまたまその年は途中で足りなくなりそうで、買いに走ったのでした。買ってみると「えええ~」という感じで、ぼわんとした分厚いナプキンが個別包装されずにそのままビニール包装に入っていて、しかも買う人がめったにいないのか、包装の外側はほこりだらけ。うむむ、大丈夫かなあ、と思いながら2、3枚使った憶えがあります。当時の値段は忘れたのですが、本作では2001年の設定で、ナプキンが1袋55ルピーとされていて、「そんなに高いもの、とても使えないわ」と妻のガヤトリが拒否するシーンが出て来ます。確かに、20年近く前の地方都市の物価なら、55ルピーあれば豪華な食事ができたでしょうから、今の日本で「ナプキン1000円」と言われたようなものなのかも。


こんな風に、目配りのきいたきめ細やかな脚本を書いたのは、監督のR.バールキ(上写真右)。単独脚本ではないのですが、以前の作品『Cheeni Kum(砂糖は控え目)』(2007)などに見られた、地味ながら着実な会話が今回も生きています。「今回も」と言えば、バールキ監督作には大スターのアミターブ・バッチャンが出演することでも知られていますが、今回も、前作『キ&カ~彼女と彼~』(2016)と同じくアミターブがカメオ出演。招かれたゲストのアミターブ・バッチャンがラクシュミの偉業を誉める、というシーンで、「アメリカにはスーパーマン、バットマン、スパイダーマンがいる。だが、インドにはパッドマンがいる!」と演説して、会場を沸かせてくれます。字数の都合でアメリカの「~マン」は1人落としてありますが、皆さんのお耳には聞こえると思います。

そして、アミターブ・バッチャンのカメオ出演と言えば、日本公開作で忘れられないのが『マダム・イン・ニューヨーク』(2012)。この作品のガウリ・シンデー監督はバールキ監督の夫人で、上写真のように、『マダム・イン・ニューヨーク』という邦題も決まっていなかった2013年9月のあいち国際女性映画祭で上映され、ご夫妻で来日したのでした。バールキ監督は、『マダム・イン・ニューヨーク』のプロデューサーも務めていたのです。この写真は『マダム・イン・ニューヨーク』の提供元ビオスコープ社の方からいただいたのですが、その5年後にバールキ監督作品の公開が決まるとは。またお2人で来日してほしいものですね。なお、『マダム・イン・ニューヨーク』は、本年2月24日に亡くなった主演女優シュリデヴィの追悼上映として、10月20日(土)から1週間限定で、横浜のシネマ・ジャック&ベティで上映されるそうです。『パッドマン』の予習としてもぜひどうぞ。劇場のお知らせサイトはこちらです。

日本版予告編がまだできていないので、インド版予告編を、と思ったのですが、それよりもセリフが少なくて、楽しい主題歌をフィーチャーした映像を付けておきます。「スーパーヒーロー」をインド風になまって「スッパルヒーロー」と歌っているのが、よけいに弾みを付けてくれて楽しいです。皆さんもご一緒に「♫スッパルヒーロー、スッパルヒーロー、スッパルヒーロー、ハイハイハイハイ♫」と歌ってみて下さいね。

The Pad Man Song | Padman | Akshay Kumar & Sonam Kapoor | Mika | Amit Trivedi | Kausar | Superhero

 

試写を拝見してから、またデータ等を入れた正式なご紹介をアップします。以前の紹介としては、この映画を今年3月にインドで見た時に書いた感想があるのですが、ちょっとけなしてしまい、すみません;;(あ、間違いもある。前半の町もインドールの一部だと思っていたのでした)。12月の公開まで、息の長い紹介を続けていきますので、『パッドマン』をどうぞよろしく。



『ダンガル きっと、つよくなる』ソフト発売・BDは何とオリジナル版!

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『ダンガル きっと、つよくなる』のソフトが出ました。ブルーレイとDVDなのですが、何と何と、ブルーレイが「オリジナル版」、つまり、全長版というか完全版というか、161分のインドで上映されたヴァージョンなのです。DVDは140分で、今春日本で公開されたインターナショナル版となっています。

また、特典映像も、ブルーレイの方が豊富。47分に及ぶメイキングが付けられていて、『ダンガル』製作の過程がつぶさにわかります。キャスティングから始まって、上の2人、年少のギータ役ザイラー・ワーシム(左)とバビータ役のスハーニー・バトナーガルが髪を切られるシーンなど、臨場感溢れるメイキング映像が続きます。ベリーショートにされて涙目の2人に、アーミル・カーンは「もっと短くしよう。バリカン持ってきて」と言ったりしています。父ちゃん、鬼だ....。一方のDVDは、「アーミル・カーンの肉体改造」と題された約6分のメイキング画像なのですが、これはこれで、ブルーレイのメイキングには収録されていない映像もあったりして、両方ほしくなるのが発売元ウォルト・ディズニー・ジャパンの思うつぼ。DVDのメイキング画像はレンタル版にも付いているようで、先日の集中講義でレポート提出してくれた学生さんがコメントしていました。昨日渋谷TSUTAYAに行ったら、『ダンガル』特集棚ができていて、ずらーっとタイトルが並んでいました。

(c)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016

アマゾン沼でのご注文はこちらからどうぞ。配給元のGAGAさん(実はBDをご恵存いただきました。ありがとうございます!)からは、「劇場でも引き続き上映する予定ですので、まだまだ多くの方に見て頂きたいと思います」とのご連絡をいただいています。メイキングを見ると、どうやって出演者たちがレスリングの訓練をしたのかがつぶさにわかり、またまた大画面で試合を見直したくなりました。「♫ダンガル、ダンガル♫」の歌に乗って、絶叫上映とかもいいですね。各地の劇場様、ぜひ上映企画をよろしくお願い致します~、ダンガル、ダンガル♫。 

 

パキスタン映画『娘よ』<パンドラ創立31周年特集上映>で上映

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友人の中野理恵さんの配給会社パンドラからご案内をいただきました。

=^_^=(=^..^=)

いよいよ、今週末9月15日(土)より、新宿K’s cinemaにて<パンドラ創立31周年特集上映>を開催いたします。 初日の9月15日(土)は、『レニ』(10:00~)、『100人の子供たちが列車を待っている』(13:30~)、『エルミタージュ幻想』(14:50~)、『娘よ』(16:45~)を上映予定予定。10月12日(金)までの期間に、全35作品を上映いたします。<特集上映>公式サイトはこちらです。

=^_^=(=^..^=)

パンドラのトレードマークというか、ロゴは猫なので、猫マークにしてみました。昨年、2017年3月に岩波ホールで公開されたパキスタン映画『娘よ』(2014年/ブログでのご紹介はこちら)ですが、待っていたのにDVDは出ずじまい。配信等で見ることはできるものの、我が家に来てただけなくて残念です、脚本・監督・製作のアフィア・ナサニエルさん&主演のサミア・ムムターズさん。アフィア・ナサニエル監督はこんな素敵な人で、北部の山岳&砂漠地帯での撮影など大変だったろうと思うのに、静かな声音でインタビューに答えてくれて、とっても印象深い人でした。


今回はその『娘よ』が大きなスクリーンで見られる、またとない機会です。ご覧になった方ももう一度、まだの方はぜひぜひこの機会に、素晴らしいパキスタンの風景と、女性が虐げられた立場に置かれている部族社会の現実とをご覧になってみて下さい。パンドラのサイトから、上映予定表を下にコピペしておきます。新宿K’s cinemaの公式サイトはこちらです。初日9月15日(土)は、<スペース・アーナンディ/インド映画連続講座>のシュリーデーヴィー特集があるので私は行けないのですが、期間中何度か上映があるようです。カンボジア映画『シアター・プノンペン』の上映もありますので、アジア映画好きの皆様はダブルヘッダーに挑戦してみて下さいね(ダブルヘッダーができるように組んである、素晴らしい!)。下に、『娘よ』の予告編を付けておきます。

日本で初めて公開されるパキスタン映画/『娘よ』予告編



 

丸橋広実さん著「おしゃべりなインド舞踊~ケララに夢中」

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インド古典舞踊モーヒニーアッタムの先生、丸橋広実さんからご著書をいただきました。題して「おしゃべりなインド舞踊~ケララに夢中」(ケララ企画/税別1,800円)。ケララ(私はケーララという表記が好み)とは、インド西南端にある州の名前です。ケーララのキーワードを並べてみると、「仮面舞踊カタカリ」「マラヤーラム語」「椰子の木」「バックウォーター」「象祭り」「カラリパヤットゥ」等々でしょうか。私は3、4回しか行ったことがないのですが、東側のタミル・ナードゥ州に比べると、「緑したたる」土地という印象が強い州です。最初に行ったのは1980年代初めで、当時はマドラスだったチェンナイから飛行機でトリヴァンドラム(現ティルヴァナンタプラム)に飛ぶと、西ガーツ山脈を越えたとたんそれまでの赤茶けた大地が緑色に変わり、湿潤な気候の土地に来たんだな、と思い知らされました。「おしゃべりなインド舞踊」の本の装丁は、そのケーララ州を写したような緑色の表紙となっており、とてもきれいです。

表紙を飾る美しい舞踊手は、もちろん丸橋広実さん。左上の舞踊手は、丸橋さんの先生であるリーラーマー師で、左側に「モヒニアッタムの巨匠、リーラーマー師に捧ぐ」とあるように、2017年6月に亡くなられました。本書は、その訃報から始まっています。右上には、丸橋さんのもう1人の先生、マールギー・サディ師の写真がありますが、こちらの先生も2015年12月に亡くなられたとか。この本は、丸橋さんが敬愛するお二人の先生に捧げられているようです。ほかのイメージ写真は、ケーララのおいしいお料理やカタカリなど。ケーララの地図も付いています。そして裏表紙は、一段と緑の色が鮮やかです。


もともと丸橋さんはとてもお話上手で、「インド通信」の発送作業に来て下さると、抱腹絶倒の語りでみんなを大笑いさせて下さいます。本書にある「これもアーユルヴェーダの治療なの?」というエピソードも、聞いた時はみんなで転げ回らんばかりに笑ったのですが、そこが見込まれて本書の出版となったようで、笑えるエピソードがいっぱいのほか、つらかったことも笑いに変えて記述してある、とっても楽しいご本です。丸橋さんのことがよくわかるのはもちろんですが、前述のお二人の先生のことや、ケーララのことも、アハハと笑いながらいつの間にか詳しくわかってしまうという、軽いノリながら内容豊富な本です。第五章には「インド映画にデビュー」という項目もあって、マラヤーラム語映画界の内幕(?)が書いてあります。えぇ~、こんなトンデモ映画界なのぉ? インド映画に関心をお持ちの方は、ぜひ読んでみて下さい。

丸橋さんは、ケーララに通ううちにマラヤーラム語もすっかり上達、今では日本で通訳もこなしているのですが、ケーララ滞在中にはテレビ番組に出演したりもしています。その映像がYouTubeにアップされていますので、下に貼り付けておきましょう。丸橋さんが華麗に舞う映像も見られます。

Interview with japanese dancer Hiromi Maruhashi

「おしゃべりなインド舞踊~ケララに夢中」をご希望の方は、出版元のケララ企画までご連絡下さい。最後になりましたが、丸橋さんご出版おめでとうございます! これからもがんばって下さいね!

<追記>

丸橋さんのモーヒニーアッタムを実際にご覧になりたい方は、9月29日(土)・30日(日)と代々木公園で開かれるイベント「ナマステ・インディア」の2日目、30日(日)にお越し下さい。夕方6時5分から20分間の公演が予定されています。時間は変更になる可能性もありますので、「ナマステ・インディア」公式サイトの「プログラム」でよくご確認の上、お出かけ下さいね。

 

 

インド映画連続講座&シアター駒鳥座でお目にかかりましょう

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スペース・アーナンディで開催させていただいている「インド映画連続講座」も第Ⅲ期を迎えることとなりました。2015年に「インド映画完全ガイド」(世界文化社)出版を記念して、この本の中にあるトピックスを解説することから始めた「インド映画連続講座」ですが、あれから本年11月で丸3年。「男優」「女優」シリーズを終えて、今回から「インド映画を読む!」というタイトルで、インド映画をもっと広く理解するための連続講座を始めることにしました。これまでお越し下さった皆様も、まだお目にかかっていない皆様も、よろしければぜひお運び下さい。

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スペース・アーナンディ/インド映画連続講座第Ⅲ期
「インド映画を読む!」
<第1回>ジェスチャーを読む!~シャー・ルク・カーン作品から~

(さあ、このジェスチャーは?)

 スペース・アーナンディでは、毎年1つのテーマで行う「インド映画連続講座」を開催中ですが、第Ⅲ期は、第Ⅰ期の男優シリーズ、第Ⅱ期の女優シリーズからはがらりと趣きを変え、「インド映画を読む!」と題してインド映画を深く読み込むための様々なトピックスを取り上げることにしました。
 <第1回>では、皆さんの意表を突き、「ジェスチャーを読む!」と題して、様々なインド的ジェスチャーを取り上げます。よく知られている、首を横に傾ける「イエス」のジェスチャーに始まって、それは何?という謎のジェスチャーまで、様々なジェスチャーとそれに込められた意味を、映画を参照しながら学んでいきます。<第1回>で参照するのは、シャー・ルク・カーンの主演作品。さて、どんな作品が登場するのでしょう? どうぞお楽しみに。
 なお、メインの講座と抱き合わせで開催してきた「映画で学ぶヒンディー語塾」も装いを新たにし、いよいよ実際の映画の会話を学びます。ほんの1、2分の会話なのですが、シャー・ルク・カーンがしゃべっていたセリフを実際に自分でしゃべってみると....。あれはこういう意味だったのか、この単語を置き換えれば、自分でも使える等々、シャー・ルク気分に浸りながらヒンディー語が身につきます。ヒンディー語が初めての方でも大丈夫、カタカナ書きが付いているので、その通り読めば意味が通じてしまいます。30分間の濃密なヒンディー語学習体験をどうぞ。

 日時:2018年11月10日(土) 15:00~17:30
 場所:スペース・アーナンディ
    (東急田園都市線高津駅<渋谷から各停で18分>下車1分)
 定員:20名
 講座料:¥2,500(含む資料&テキスト代)
 講師:松岡 環(まつおか たまき)
ご予約は、スペース・アーナンディのHP「受講申し込み」からどうぞ。ご予約下さった方には、ご予約確認と共に、スペース・アーナンディの地図をメール送付致します。床におザブトンをひいて座っていただく形になりますので、楽な服装でお越し下さい(申し訳ないのですが、スペースの関係上イス席はご用意できません。悪しからずご了承下さい)。
皆様とお目にかかれるのを楽しみにしております。(松岡 環)

[講師紹介]
1949年兵庫県生まれ。麗澤大学、国士舘大学非常勤講師。大阪外大(現大阪大)でヒンディー語を学び、1976年からインド映画の紹介と研究を開始。1980年代にインド映画祭を何度か開催したほか、様々なインド映画の上映に協力している。『ムトゥ踊るマハラジャ』『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』『きっと、うまくいく』『pk』など、インド映画の字幕も多数担当。著書に、「アジア・映画の都/香港~インド・ムービーロード」(めこん/1997)、「インド映画完全ガイド」(世界文化社/2015/監修)など。


(こっちは何かな?)

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そのほか、今週土曜日は『バーフバリ』を上映中の千葉駅前の映画館シアター駒鳥座でもお話することになっています。

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『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』シアター駒鳥座上映記念
アジア映画研究者・松岡環トークイベント
《インド映画の夕べ》

 

ユリイカ 詩と批評 第50巻第8号
▽特集*『バーフバリ』の世界:インド映画の神話と豊穣

  『バーフバリ』でインド映画に目覚めたかたも、インド映画に興味を持たれたかたも楽しめる! インドの文化や映画カルチャー、そしてポスト『バーフバリ』のオススメのインド映画などを、アジア映画研究者、松岡環さんにお話をしていただきます。

 松岡さんは《ユリイカ 詩と批評 2018年6月号 特集『バーフバリの世界』-インド映画と神話の豊穣》にて、江戸木純さんとの対談「インド映画に栄えあれ!」にも登場されているほか「インド映画名作ガイド――『バーフバリ』中毒者のためのインド映画案内」も執筆されております。

日時:9月22日(土) 18:00〜19:30 

場所:そごう千葉JUNNU 3F  16の小さな専門書店内 「シアター駒鳥座」
定員40名
参加料:『バーフバリ 伝説誕生』、『バーフバリ 王の凱旋 完全版』どちらかのシアター駒鳥座鑑賞レシートご持参で無料。または1000円(ドリンクチケット付き)。

ご参加は16の小さな専門書店HPからご予約ください。 

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千葉に行くと、またモノレールに乗れるので嬉しいです(←高架鉄。全回の乗車ルポはこちら)。千葉の皆様、お目にかかれるのを楽しみにしていますので、どうぞよろしく。


超傑作タイ映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』を見逃すな!

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近年ではピカイチのタイ映画と言える『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』が、いよいよ明日から公開となります。9月はなぜか仕事がてんこ盛りでやってきて、なかなかブログでのご紹介もできず公開直前になってしまいましたが、この映画を見逃すと一生後悔する!と言っても過言ではない、よくできたタイ映画ですので、ぜひお早めに劇場にお出かけ下さい。私はこれまでに3回見たのですが、何度見てもぜ~んぜん飽きません。最初にシンガポールで見た時のレポートはこちらです。1年後の今夏、やっと日本語字幕で拝見できて、さらに面白さがアップしました。ではまずは、データからどうぞ。

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』 公式サイト 
2017年/タイ/タイ語/130分/原題:Chalard Games Goeng/英題:Bad Genius
 監督:ナタウット・プーンピリヤ
 主演:チュティモン・ジョンジャルーンスックジン、チャーノン・サンティナトーンクン、イッサヤー・ホースワン、ティーラドン・スパパンピンヨー、タネート・ワラークンヌクロ
 提供:マクザム
 配給:ザジフィルムズ、マクザム
※9月22日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開

(c) GDH 559 CO., LTD. All rights reserved. 

冒頭、カンニングがバレたために追求されているのは、上写真右から、天才女子高生のリン(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)、演劇好きのかわいい女子高生グレース(イッサヤー・ホースワン)、グレースの彼で大金持ちのグータラ高校生パット(ティーラドン・スパパンピンヨー)、そしてリンと並ぶ天才的な頭脳を持つ高校生バンク(チャーノン・サンティナトーンクン)の4人。でもこれは、模擬テストならぬ模擬追求でした。自分たちの大規模なカンニングがバレた時のための、予行演習だったのです。

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時間はちょっとさかのぼり、リンが名門高校に入学を許された時の校長面接になります。リンは教師である父親(タネート・ワラークンヌクロ/上写真左)と2人暮らしで、リンの天才的な才能を伸ばすにはこの私立高校がふさわしいと判断した父は、女性校長に頼みに来たのでした。その場でリンは数学の才能を発揮して見せ、校長は優秀な学生であると喜んで、授業料とランチ代全面免除という特別待遇で受け入れることにします。もろ優等生の外見のリンに、証明書の写真撮りの時明るく声をかけてきたのは、裕福な家庭の娘グレースでした。こうして2人は親友になりますが、グレースは成績がよくなくて、演劇志望なのに学校の劇にも出してもらえない始末。リンは見かねて家庭教師になったものの、数学の試験の時、教えた問題が出ているにもかかわらず解けない様子のグレースに、ついある方法で答えを教えることに。

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おかげでいい成績が取れたグレースは、ボーイフレンドの大金持ちの息子パットにこのことを話し、パットはリンに「1科目3000バーツ(約1万円)で、試験の答えを教えてくれない?」と持ちかけます。パットはほかに数人の友人をつのり、こうして「リン先生のピアノ教室」と称するカンニング方式で、彼らは成績をアップさせることに成功しました。ところがある手違いから、カンニングがリンと並ぶ優等生のバンクにバレてしまい、一時は窮地に陥ることに。ですが、パットはリンと共にバンクも味方に引き入れ、グレースも加えた4人は、次の目標をアメリカの大学入学に向けた世界的な統一試験「STIC」に定め、時差を利用した大規模なカンニングを計画していきます...。

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カンニングは必ずバレる、というのが私の持論なのですが、今はスマホという最強武器がある時代。本作では、最初意表をつくやり方でカンニングが実行され、最後のクライマックス、STIC試験ではスマホが秘密裏に駆使されます。それぞれの場面はサスペンス度がそのたびにアップしていき、最後のSTIC試験は、試験後の追いかけっこに到るまでサスペンス度マックス状態で、見ているこちらは呼吸すら忘れそうになるほど。逃げるリンの背に、「早く、早く!」と声を掛けたくなってしまいます。切り返しの場面では、タイで待つパットとグレースの奮闘が描かれるのですが、悪事とはわかっていても、手に汗握りながらつい応援したくなる面白さ。脚本のうまさには脱帽、というか、5つぐらい帽子を脱ぎたくなる作品です。

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脚本と共に最高なのが、キャスティングと各俳優の演技です。特にリンは、物語の牽引役であるだけにミスキャストだと目も当てられませんが、モデルとして活躍しているチュティモン・ジョンジャルーンスックジンの起用はこれ以上ないブリリアントなキャスティング。9頭身の体型と地味目の顔立ちが、怜悧な天才少女を見事に体現します。あとの3人は、いわゆる美男美女タイプなのですが、中でもバンク役のチャーノン・サンティナトーンクンは甘い二枚目顔で、優等生ながらもろいところもあるバンクにピッタリ。中国語圏では公開と同時に彼が大人気となり、本作の大ヒットに繋がったのだとか。本作がデビューのチュティモン・ジョンジャルーンスックジンと違って、チャーノン・サンティナトーンクンは2014年に映画デビュー済みですが、2人とも今後は引く手あまたになること請け合いです。

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そして本作には、少し前にタイ映画『ポップ・アイ』(2017)をご覧になった方には「知ってる!」の俳優さんが出演しています。そう、『ポップ・アイ』では象と共に主演していたタネート・ワラークンヌクロですね。リンの父親役なのですが、要所要所で登場して、映画を引き締めています。タネート・ワラークンヌクロはもともとミュージシャンで、映画出演は『ポップ・アイ』が初めてなのですが、2017年にはその年の興行収入第1位となった本作にも出て、たちまち俳優として知られるようになりました。3人ともテレビドラマへの出演依頼も相次いでいるようですが、スクリーンでその姿を再び見てみたいですね。そうそう、リン役のチュティモン・ジョンジャルーンスックジンは、本年3月の大阪アジアン映画祭で上映され、目下開催中のアジアフォーカス・福岡国際映画際でも上映されている『ダイ・トゥモロー』(2017)にも出演しているようですが、ご覧になった皆様、いかがでしたか? 密かに「タイの黒木華」というニックネームを付けたチュティモンちゃん、これからもがんばってほしいです。

(c) GDH 559 CO., LTD. All rights reserved. 

下に、本作の予告編を付けておきます。お彼岸の連休中は、『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』をたっぷりとお楽しみ下さい!

カンニング描くタイの大ヒット作『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』予告編


シアター駒鳥座ご来場御礼&インド映画『あるがままに』上映のお知らせ

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本日、千葉駅前のシアター駒鳥座でトークをさせていただきました。ご来場下さった皆様、ありがとうございました! シアター駒鳥座は千葉駅前、そごうの隣の専門店ビルジュンヌの3階にあり、そこに展開している「16の小さな専門書店」によって運営されています。ビルジュンヌは箱根五稜郭ならぬ「六稜郭」の建物で、エスカレーターを中心に、売り場が放射状に展開。16の本屋さんがそれぞれ、「絵本」「ノンフィクション」「雑誌」等専門書をならべた本棚ごとに分かれていて、ユニークなディスプレイを展開しています。今サイトを調べて見たら、みんな鳥に関連するお名前の本屋さんなんですね。本棚の並ぶ書籍エリアの他、カモスキッチン(鴨さんなの?)、ピーコックアートギャラリー(孔雀さんまで!)、そしてシアター駒鳥座があるのでした。

本日のトークは、『バーフバリ』公開に関する裏話から始まって、『バーフバリ』がどんな国で見られているのか、続く公開作品は、等々、1時間半にわたって、映像も交えながらお話させていただきました。話し終わるともう終了時間だったのですが、その後も熱心なご質問がいろいろ出て、時間オーバー。でも、映像の映写条件もよく、配給会社さんが特別にご許可下さった『ムトゥ 踊るマハラジャ』や『あまねき旋律(しらべ)』の映像(エデン様、ノンデライコ様、ありがとうございました!)は音もクリアで、私も楽しませていただきました。素敵なシアターですね。近くだったら、通うのになあ。今日は、モノレールに乗る方も追求したので、16の書店さんをじっくりと見ている時間がなかったため、またいつか、お邪魔しようと思っています。


モノレールは、今日はお天気も良く、千葉~千城台往復を楽しみました。上は、都賀駅近く、下は千城台駅で撮ったものです。ラッピング車両がいろいろ走っていて、時間があれば駅にずっと座って見ていたかったです。千葉の皆さんは、お幸せですねー。 

 ©Gauurikaa Films

それから、字幕翻訳者の藤井美佳さんから、本年6月にTUFS Cinemaで上映された作品『あるがままに』の上映情報をいただきました。「老い」や「親の介護」など、いろいろな問題を考えさせてくれる秀作です。名優モーハン・アーガーシェーの演技が絶品! あの時見逃された方は、ぜひ今回ご覧になって下さい。

 ©Gauurikaa Films

『あるがままに Astu: So be it!』
インド/2013年/マラーティー語/123分/日本語・英語字幕付き
監督:スミットラー・バーヴェー
   スニール・スクタンカル
製作:シーラー・ラーオ
   モーハン・アーガーシェー
脚本:スミットラー・バーヴェー
出演:モーハン・アーガーシェー・・・・・シャストリ博士
   イラーワティー・ハルシェー・・・・イラ
   アディティ・クルカルニー・・・・・シュウェタ
   ミリンダ・ソーマン・・・・・・・・マーダヴ
   アムルター・スバーシュ・・・・・・チャンナンマ
   ナチケート・プールナパートレー・・ アンタ(象使い)
   オーム・ブトカル・・・・・・・・・ラーム
   イラー・バーテー・・・・・・・・・グプテ教授
音楽:サーケート・カーネートカル
撮影:ミリンダ・ゾーグ
編集:モーヒト・ターカルカル 

日時:2018年10月26日(金) 18:45開映(18:15開場)
会場:早稲田奉仕園スコットホール
定員:200名
参加費:無料/全自由席
主催:HMIホテルグループ
共催:公益財団法人早稲田奉仕園
   東京外語大学南アジア研究センター(FINDAS)
   公益財団法人在日インド商工協会(ICIJ)
   ホテルマネージメントインターナショナル株式会社(HMI)
申込:こちらから申込フォームより申し込み/締切は2018年10月19日(金)です。

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これで仕事の山場は一応越えましたが、まだまだ、大きな仕事が残っています。夏の仕事の大きな山だった字幕翻訳forアジアフォーカス・福岡国際映画際のインド映画『腕輪を売る男』(2017/カンナダ語)は、イーレー・ガウダ監督が来日し、梁木ディレクターにインタビューしてもらったようです。こちらに記事がアップされているので、ご覧下さい。あら、でも映画が持っている多くの「?」には触れてないですね。それは上映会場でのQ&Aで、なのかしら。実は字幕翻訳にあたって、質問をいくつか送ったのですが、答えが返ってこなかったのです。お目にかかって、いろいろ聞きたかったです、ゴウダ監督。Q&Aがアップされるのを楽しみに待つことにしましょう。



「目撃!中国インディペンデント・ドキュメンタリー<第8回>」のお知らせ

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専修大の土屋昌明先生から、お知らせをいただきました。お送り下さった情報をそのまま貼り付けておきます。

目撃!中国インディペンデント・ドキュメンタリー 第8回

胡傑監督作品『遠山』
(1995 年撮影、45 分、日本語字幕)

中国インディペンデント・ドキュメンタリーが、一切の体制的なものから文字通り独立して撮影を始めた記念碑的作品。青海省でおこなわれている採炭の情景を記録している。地底で採炭する労働者のすさまじい労働環境、地底から地上への出口に向かってモッコを担いで上がっていく彼らの姿は、天国への階段を歩む姿にすら見えてくる。当時は炭鉱事故が頻発した時期で、この映画が民間で見られたあと、政府による炭鉱事故に対する施策が講じられるようになったといわれている。

日時:2018 年9月29日(土)
   15:00~16:15 上映
   16:30~解説と意見交換
場所:専修大学神田校舎301 教室(九段下・神保町)
主催:専修大学視覚文化研究会、土屋昌明研究室、時代映像研究会
問合せ:tuwuchangming@yahoo.co.jp
参加無料、予約不要


ドキュメンタリー映画では、10月6日(土)~26日(金)に新宿K's cinemaで「ドキュメンタリー/ドリームショー 山形in東京2018」として、昨年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された作品+αが上映されます。中国のドキュメンタリーで昨年の映画祭で優秀賞を受賞した『孤独な存在』(2016/沙青監督)始め、アジアのドキュメンタリー映画もたくさん含まれていますので、ご興味がおありの方は公式サイトで作品及び上映スケジュールをご確認の上、ぜひどうぞ。



「インド映画連続講座」追加開催 in 12月

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先日お知らせした、スペース・アーナンディの「インド映画連続講座」ですが、シャー・ルク・カーンの魅力のせいか、たちまち定員いっぱいになってしまいました。というわけで、11月10日(土)に加えて、12月8日(土)にも開催することになりました。内容は同じです。もう一度、ご案内を貼り付けておきます。

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スペース・アーナンディ/インド映画連続講座第Ⅲ期
「インド映画を読む!」
<第1回>ジェスチャーを読む!~シャー・ルク・カーン作品から~ 

「アーダーブ」のジェスチャー

 スペース・アーナンディでは、毎年1つのテーマで行う「インド映画連続講座」を開催中ですが、第Ⅲ期は、第Ⅰ期の男優シリーズ、第Ⅱ期の女優シリーズからはがらりと趣きを変え、「インド映画を読む!」と題してインド映画を深く読み込むための様々なトピックスを取り上げることにしました。
 <第1回>では、皆さんの意表を突き、「ジェスチャーを読む!」と題して、様々なインド的ジェスチャーを取り上げます。よく知られている、首を横に傾ける「イエス」のジェスチャーに始まって、それは何?という謎のジェスチャーまで、様々なジェスチャーとそれに込められた意味を、映画を参照しながら学んでいきます。<第1回>で参照するのは、シャー・ルク・カーンの主演作品。さて、どんな作品が登場するのでしょう? どうぞお楽しみに。
 なお、メインの講座と抱き合わせで開催してきた「映画で学ぶヒンディー語塾」も装いを新たにし、いよいよ実際の映画の会話を学びます。ほんの1、2分の会話なのですが、シャー・ルク・カーンがしゃべっていたセリフを実際に自分でしゃべってみると....。あれはこういう意味だったのか、この単語を置き換えれば、自分でも使える等々、シャー・ルク気分に浸りながらヒンディー語が身につきます。ヒンディー語が初めての方でも大丈夫、カタカナ書きが付いているので、その通り読めば意味が通じてしまいます。30分間の濃密なヒンディー語学習体験をどうぞ。 

 日時:2018年11月10日(土) 15:00~17:30~満席のためキャンセル待ち
        12月8日(土) 15:00~17:30~お申し込み受付中
 場所:スペース・アーナンディ
    (東急田園都市線高津駅<渋谷から各停で18分>下車1分)
 定員:20名
 講座料:¥2,500(含む資料&テキスト代)
 講師:松岡 環(まつおか たまき)
ご予約は、スペース・アーナンディのHP「受講申し込み」からどうぞ。ご予約下さった方には、ご予約確認と共に、スペース・アーナンディの地図をメール送付致します。床におザブトンをひいて座っていただく形になりますので、楽な服装でお越し下さい(申し訳ないのですが、スペースの関係上イス席はご用意できません。悪しからずご了承下さい)。
皆様とお目にかかれるのを楽しみにしております。           (松岡 環)

 

[講師紹介]
1949年兵庫県生まれ。麗澤大学、国士舘大学非常勤講師。大阪外大(現大阪大)でヒンディー語を学び、1976年からインド映画の紹介と研究を開始。1980年代にインド映画祭を何度か開催したほか、様々なインド映画の上映に協力している。『ムトゥ踊るマハラジャ』『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』『きっと、うまくいく』『pk』など、インド映画の字幕も多数担当。著書に、「アジア・映画の都/香港~インド・ムービーロード」(めこん/1997)、「インド映画完全ガイド」(世界文化社/2015/監修)など。

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今回は「ジェスチャー」のお話なので、ぴったりした画像がほしいため、静止画キャプチャーという新技術を習得しようとしています。無料ソフトがいろいろあるようですが、さて、どれが一番いいのやら。こういうのは、参照画像の「引用」ということで許されるようで、市販の出版物にも使われたりしています。静止画キャプチャーに詳しい方がいらっしゃいましたら、ぜひご教示下さい。


第31回東京国際映画祭アジア映画ラインアップ(上)

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昨日、今年の東京国際映画際のラインアップが発表となりました。記者会見は、今年の映画祭アンバサダー松岡茉優、コンペ部門の日本映画『半世界』の阪本順治監督、そして同じくコンペ部門の日本映画『愛がなんだ』の今泉力哉監督と主演女優岸井ゆきの、さらには作品の特集が組まれるアニメ映画の湯浅政明監督をゲストに迎え、約2時間にわたって行われました。スナップショットをいくつか付けておきます。下写真は、左から湯浅監督、阪本監督、松岡茉優、岸井ゆきの、今泉監督です。

 

阪本順治監督と今泉力哉監督

 

岸井ゆきのと湯浅政明監督

表情豊かで、しっかりと自分の意見を述べる松岡茉優アンバサダー

今年もメモなしでコンペ作品を紹介する矢田部吉彦プログラミング・ディレクター

我らがアジア映画研究のリーダーでもある、石坂健治プログラミング・ディレクター

発表されたラインアップの中から、例年のようにアジア映画をピックアップしてみました。作品数が多いので、2つに分けることにします。

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 《第31回東京国際映画祭》

2018年10月25日(木)–11月3日(土・祝)@六本木/日比谷

公式サイト(本年は早くから公式サイトが完備。予告編や本国での作品HPなども見られます) 

<コンペティション>
『詩人』
2018/中国/123分/中国語/原題:詩人/英題:The Poet
監督:リウ・ハオ(劉浩)
キャスト:ソン・ジア(宋佳)、チュー・ヤーウェン(朱亞文)、チョウ・リージン

 

©2018 Edko Films Ltd. All Rights Reserved. 


『ザ・リバー』
2018/カザフスタン・ポーランド・ノルウェー/108分/原題:/英題:The River
監督:エミール・バイガジン
キャスト:ジャルガス・クラノフ、ジャスラン・ウセルバエフ、ルスラン・ウセルバエフ

 

© Films Boutique 


『シレンズ・コール』
2018/トルコ/95分/原題:/英題:Siren's Call
監督:ラミン・マタン
キャスト:デニズ・ジェリオウル、エズギ・チェリキ、ブナル・トレ

 

『三人の夫』

2018/香港/101分/原題:三個丈夫/英題:Three Husbands
監督:フルーツ・チャン(陳果)
キャスト:クロエ・マーヤン、チャン・チャームマン

 

©Nicetop Independent Limited 

<アジアの未来>

『冷たい汗』
2018/イラン/88分/ペルシア語/原題:Araghe Sard/英題:Cold Sweat
監督:ソヘイル・ベイラギ
キャスト:バラン・コーサリ、アミル・ジャディディ、サハル・ドラトシャヒ

 


『母との距離』
2018/フィリピン/91分/タガログ語/原題:/英題:Distance
監督:ペルシ・インタラン
キャスト:イザ・カルザド、ノニー・ブエンカミノ、テレーズ・マルバール

 


『はじめての別れ』
2018/中国/87分/ウィグル語・中国語/原題:/英題:The First Farewell
監督:リナ・ワン(王麗[女那])
キャスト:アイサ・ヤセン、カリビヌール・ラハマティ、アリナズ・ラハマティ

 


『海だけが知っている』
2018/台湾/96分/中国語/原題:只有大海知道/英題:Long Time No Sea
監督:ツイ・ヨンフイ(崔永徽)
キャスト:ホアン・シャンホー(黄尚禾)、ジョン・ジアジュン(鍾家駿)、リー・フォンイン(李鳳英)

 

©Swallow Wings Films 


『ミス・ペク』
2018/韓国/98分/韓国語/原題:/英題:Miss Baek
監督:イ・ジウォン
キャスト:ハン・ジミン、キム・ジア、イ・ヒジュン

 

©2018 BAE PICTURES & CJ ENM. ALL RIGHTS RESERVED 


『ソン・ランの響き』
2018/ベトナム/101分/ベトナム語/原題:Song Lang/英題:The Tap Box
監督:レオン・レ
キャスト:リエン・ビン・ファット、アイザック、スアン・ヒエップ

  


『トレイシー』
2018/香港/119分/広東語/原題:翠絲/英題:Tracy
監督:ジュン・リー(李駿碩)
キャスト:フィリップ・キョン(姜皓文)、カラ・ワイ(恵英紅)、リバー・ホアン(黄河)

 

©2018 One Cool Film Production Limited / PJ One Cool Film Company Limited / Sun Entertainment Culture Limited / Big Honor Entertainment Limited / Honger Music Venture Limited 


『武術の孤児』
2018/中国/121分/中国語/原題:武林孤児/英題:Wushu Orphan
監督:ホアン・ホアン(黄璜)
キャスト:ジン・ジンチェン、ホウ・ユンシャオ、リウ・ジーハン

 

©Dadi Century (Beijing) Co.,Ltd. 

<特別招待作品>

『パッドマン 5億人の女性を救った男』
2018/インド/137分/ヒンディー語/原題:Padman/英題:Padman
監督:R.バールキ
キャスト:アクシャイ・クマール、ソーナム・カプール、ラーディカー・アープテー

 

※12月7日(金)から公開の本作が一足早くお目見え。公開時は横字幕なのですが、映画祭では下に英語字幕が横に入るため、縦字幕となります。その縦字幕化作業を先日やったばかりで、TIFFのお客様の反応を楽しみにしているところです。

『平昌2018冬季オリンピック公式映画:クロッシング・ビヨンド』
2018/韓国/80分/英語・ドイツ語・ダリー語・韓国語/原題:/英題:Crossing Beyond
監督:イ・スンジュン
キャスト:ビリー・モーガン、アクワシ・フリンボン、ダニエラ・イラシュコ=シュトルツ

 (続く)


第31回東京国際映画祭アジア映画ラインアップ(下)

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昨日の続きです。 

<ワールドフォーカス>

『世界の優しき無関心』
2018/カザフスタン・フランス/100分/カザフ語・ロシア語/原題:/英題:The Gentle Indifference of the World
監督:アディルハン・イェルジャノフ
キャスト:ディナラ・バクティバエヴァ、クアンディク・デュセンバエフ、クルジャミラ・ベルジャノヴァ



『それぞれの道のり』
2018/フィリピン/118分/フィリピノ語/原題:Lakbayan/英題:Journey
監督:ブリランテ・メンドーサ、ラヴ・ディアス、キドラット・タヒミック
キャスト:

 

※フィリピン映画100年記念オムニバス作品、ということで、豪華な監督競演となりました。1919年にフィリピン人監督として初めて劇映画を撮ったホセ・ネポムセノの作品、『農村の乙女』が起点となっているのでしょうか。3人の大監督によるオムニバス作品、どんな映画になっているのか楽しみです。

『世界はリズムで満ちている』
2018/インド/131分/タミル語/原題:Sarvam Thaala Mayam/英題:Madras Beats
監督:ラージーヴ・メーナン
キャスト:G・V・プラカーシュ・クマール、ネドゥムディ・ヴェーヌ、アパルナー・バーラムラリ


※南インドを代表する打楽器ムリダンガム作りの職人を父に持つ主人公が、自分もムリダンガムを習い始め、自らのリズムを生み出していく、というストーリーです。A.R.ラフマーンの音楽が素晴らしいのですが、主人公を演じるG・V・プラカーシュ・クマール(上写真右端)はラフマーンの甥で、作曲家、プレイバックシンガーとしても活躍中。俳優として本格的なデビューをした2015年以降、めきめきと頭角を現し、そのうちトップスターの仲間入りを果たしそうな気配です。また、主人公がムリダンガムを習う先生役のネドゥムディ・ヴェーヌは、アラヴィンダン監督の『サーカス』(1978)でデビューして以降、500本の作品に出演している大ベテラン。この2人の競演もお楽しみ下さい。

『プロジェクト・グーテンベルク』
2018/香港/130分/広東語/原題:無雙/英題:Project Gutenberg
監督:フェリックス・チョン(莊文強)
キャスト:チョウ・ユンファ(周潤発)、アーロン・クォック(郭富城)、チャン・チンチュー(張静初)

 

© 2018 Bona Entertainment Company Limited 


『家族のレシピ』
2018/日本・シンガポール・フランス/89分/日本語・英語・中国語/原題:Ramen Teh/英題:Ramen Teh
監督:エリック・クー
キャスト:斎藤 工、マーク・リー、松田聖子

 

©Zhao Wei Films/Wild Orange Artists 


『サラとサリームに関する報告書』
2018/パレスチナ・オランダ・ドイツ・メキシコ/127分/アラビア語・ヘブライ語・英語/原題:/英題:The Reports on Sarah and Saleem
監督:ムアヤド・アラヤン
キャスト:アディーブ・サファディ、シヴァン・クレッチナー、イシャイ・ゴラン

 

『十年』

2017/タイ・香港・日本/95分/タイ語/原題:/英題:Ten Years Thailand
監督:アーティット・アッサラット、ウィシット・サーサナティヤン、チュラヤーンノン・シリポン、アピチャッポン・ウィーラセタクン
キャスト:ブンヤリット・ウィアンノン、キダカーン・チャットゲーオマニー、タナサワン・テープサトーン

 

<クロスカット・アジア#05 ラララ♪東南アジア>

『BNK48:Girls Don't Cry』
2018/タイ/108分/タイ語/原題:บีเอ็นเคโฟร์ตีเอต: เกิร์ลดอนต์คราย/英題:BNK48:Girls Don't Cry
監督:ナワポン・タムロンラタナリット
キャスト:BNK48(1期生)キャン、チャープラン、いずりな、ジャー、ジェーン、ジェニス、ジッブ、ゲーウ、カイムック、ケート、ゴーン、メイサー、マイ、ミオリ、モバイル、ミュージック、ナムヌン、ナムサイ、ニンク、ヌイ、オーン、ピアム、パン、プーペ 、さっちゃん、ターワン

 

©2018 BNK48 Office & Salmon House Co., Ltd. All Right Reserved.


『ブラザー・オブ・ザ・イヤー』
2018/タイ/124分/タイ語/原題:น้อง.พี่.ที่รัก/英題:Brother of the Year
監督:ウィッタヤー・トーンユーヨン
キャスト:サニー・スワンメーターノン、ウッラサヤー・セパーバン、ニックン・バック・ホラウェーチャクン

 

©2018 GDH 559 Co., Ltd. All Rights Reserved. 


『めくるめく愛の詩』
2016/インドネシア/85分/インドネシア語/原題:Ach... Aku Jatuh Cinta/英題:Chaotic Love Poems
監督:ガリン・ヌグロホ
キャスト:チコ・ジェリコ、ペフィタ・ピアース、ノファ・エリザ

 

©Amin Mohamad


『カンボジアの失われたロックンロール』
2014/アメリカ・カンボジア/106分/英語・クメール語/原題:/英題:Don't Think I've Forgotten: Cambodia's Lost Rock & Roll
監督:ジョン・ピロジー
キャスト:シン・シサモット、ロ・セレイソティア、バイヨン・バンド

  


『輝ける日々に』(『サニー』ベトナム版)
2018/ベトナム/117分/ベトナム語/原題:THÁNG NĂM RỰC RỠ/英題:Go-Go Sisters
監督:グエン・クアン・ズン
キャスト:ホン・アィン、タィン・ハン、ミ・ウエン

 

©2018 CJ HK ENTERTAINMENT 


『音楽とともに生きて』
2018/カンボジア/92分/クメール語・英語/原題:In The Life of Music/英題:In The Life of Music
監督:ヴィサル・ソック、ケイリー・ソー
キャスト:ヴァンダリス・ペム、スレイナン・チア、ソウナ・カニカ

 

©innovision Pictures 


『リスペクト』
2017/フィリピン/98分/タガログ語/原題:Respeto/英題:Respeto
監督:トレブ・モンテラスII
キャスト:アブラ、ディド・デ・ラ・パス、ルーニー

  


『悪魔の季節』
2018/フィリピン/234分/タガログ語/原題:Ang Panahon ng Halimaw/英題:Season of the Devil
監督:ラヴ・ディアス
キャスト:ピオロ・パスカル、シャイーナ・マグダヤオ、ピンキー・アマドア

 

© Giovanni D. Onofrio 


≪ピート・テオ特集≫
『15 Malaysia』
2009/マレーシア/80分/マレーシア語、中国語、タミル語/原題:15 malaysia/英題:15 Malaysia
プロデューサー:ピート・テオ
監督:ヤスミン・アフマド、ホー・ユーハン、ジェームス・リー、その他
キャスト:シャリファ・アマニ、アディバ・ヌール、その他

 

©2009 Redbag Msuic Sdn Bhd.


『Vote!』
2009?/マレーシア/約4分/?/原題:Vote!/英題:Vote!
プロデユーサー:ピート・テオ
監督:ベンジー・リム 

『Malaysia Day::Slipstream』
2009?/マレーシア/約4分/英語/原題:Malaysia Day::Slipstream/英題: Malaysia Day::Slipstream
作曲・プロデユーサー・監督:ピート・テオ 

『Here In My Home』(ミュージック・ビデオ)
2008/マレーシア/約4分/英語/原題:Here In My Hom/英題:Here In My Hom
プロデューサー・作曲:ピート・テオ
監督:ヤスミン・アフマド、ホー・ユーハン 

『I Go』(ミュージック・ビデオ)
2009/マレーシア/約4分/英語/原題:I Go/英題:I Go
プロデューサー・作曲・歌手:ピート・テオ
監督:カマル・サブラン 

 

<アジア三面鏡>
『アジア三面鏡2018:Journey』
2018/日本/83分/日本語、英語、中国語、ビルマ語、インドネシア語/原題:/英題:Asian Three-Fold Mirror 2018: Journey
監督:デグナー、松永大司、エドウィン
キャスト:長谷川博己、ニコラス・サプットゥラ、チェン・ジン

 

©2018 The Japan Foundation, All Rights Reserved.


<Cinema Athletic 31>
『ダンガル きっと、つよくなる』
2016/インド/140分/ヒンディー語/原題:Dangal
監督:ニテーシュ・ティワーリー
主演:アーミル・カーン、ファーティマー・サナー・シャイク

 

©Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016

※『ダンガル きっと、つよくなる』 がTIFFに参戦! 六本木ヒルズアリーナで開催される<Cinema Athleic 31>というプログラムで、懐かしの『がんばれ!ベアーズ』(1976)や日本映画『ピンポン』(2002)と共に上映されます。インド映画にはスポーツ映画の秀作も多いので、来年も<シネマ・アスレチック32>があるようなら、ぜひ参戦させてほしいところです。

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10月1日(月)には全スケジュールが発表され、チケットの発売は10月13日(土)から始まります。公式サイトをチェックして、チケット発売に備えて下さいね。今年もTIFF@六本木&日比谷でお目にかかりましょう!


インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン2018

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先日あったインディアン・シネマ・ウィーク(ICW)に続き、10月にはインディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン(IFFJ)が開催されます。その上映作品が発表になっていましたので、再録します。公式サイトでは、あらすじと共に予告編も見られますが、製作年がちょっとずれているものが多いような...。以下には、製作年を訂正してアップしておきました。

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インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン
IFFJ2018 公式サイト

10月6日(土)~26日(金)
シアター・イメージフォーラム 劇場サイト 

『強制捜査 ~インド国税局より』
2018/ヒンディー語/120分/原題:Raid
監督:ラージ・クマール・グプター
出演:アジャイ・デーウガン、イリアナ・デクルーズ、ソウラブ・シュクラー

 Ajay Devgn's Raid poster.jpg

『あなたのスールー』
2017/ヒンディー語/140分/原題:Tumhari Sulu(原題は「スル」と両方とも短母音。ヒロインの名前スローチュナーの愛称)
監督:スレーシュ・トリヴェーニー
主演:ヴィディヤー・バーラン、ネーハー・ドゥーピヤー、マーナヴ・カウル

Tumhari Sulu - Poster.jpg 

『SKTKS ~お見合い大作戦~』 
2018/ヒンディー語/138分/原題:Sonu Ke Titu Ki Sweety
監督:ラヴ・ランジャン
出演:カールティク・アーリャーン、ヌスラト・バルチャー、サニー・シン・ニッジャル

 Sonu Ke Titu Ki Sweety - Movie Poster.jpg

『ブラックメール』
2018/ヒンディー語/137分/原題:Blackmail
監督:アビナイ・デーウ
主演:イルファーン・カーン、キールティ・クラーリー、ディヴィヤー・ダッター

 The poster features face of a person wearing a Paperbag Mask and title appears at bottom.

『アイヤーリー ~戦場の奇術師~』
2018/ヒンディー語/158分/原題:Aiyaary
監督:ニーラジ・パーンデー
主演:シッダールト・マルホートラー、マノージュ・ヴァージペーイー、ラクル・プリート・シン

 Aiyaary - Poster.jpg

『フィッローリ ~永遠の詩(うた)~』
2017/ヒンディー語/136分/原題:Phillauri
監督:アンシャーイー・ラール
出演:アヌシュカー・シャルマー、ディルジート・ドーサーンジュ、スーラジ・シャルマー

Phillauri Film Poster.jpg 

『ムバーラカーン』
2017/ヒンディー語/154分/原題:Mubarakan
監督:アニース・バーズミー
主演:アルジュン・カプール、アニル・カプール、イリアナ・デクルーズ

Mubarakan Poster.jpg 

『六人と一間』
2018/ヒンディー語/119分/原題:Teen Aur Aadha/英題:Three and a Half
監督:ダル・ガイ
主演:ジム・サルヴ、アーリヤ・ダーヴェー、ゾーヤー・フセイン

Teen Aur Aadha Poster 

『シャバーナーと呼ばれる女』
2017/ヒンディー語/147分/原題:Naam Shabana
監督:シヴァム・ナーイル
主演:タープシー・パンヌー、アクシャイ・クマール、マノージュ・ヴァージペーイー

The poster features Taapsee Pannu running and Sniper-rifle aim-pointer appears on her. At bottom appears title of the film. Images of rest star-cast appears at the top.

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上映スケジュールはこちらです。昨年の上映館とは違っていますので、お間違いなく。今回の劇場、シアター・イメージフォーラムもネット予約ができるようですので、ご活用下さい。

 

インド映画自主上映会:カンナダ語映画『 Sarkari Hi. Pra. Shaale, Kasaragodu, Koduge: Ramanna Rai』

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Periploさんから、上映会のお知らせをいただきました。今回もカンナダ語映画です。東京カンナダ人会の皆さん、がんばってらっしゃいますね。日本のカンナダ語映画ファンの皆様、アジアフォーカス・福岡国際映画際のカンナダ語映画『腕輪を売る男』はご覧頂けましたでしょうか。梁木ディレクターによるイーレー・ガウダ監督のインタビューと、上映時のQ&Aもご参考までにどうぞ。

Sarkari. Hi. Pra. Shale Kasaragodu, Koduge: Ramanna Rai Poster

『 Sarkari Hi. Pra. Shaale, Kasaragodu, Koduge: Ramanna Rai(公立カーサラゴード高等・初等学校)』
(2018/カンナダ語/147分/英語字幕)
 監督:リシャブ・シェッティ
 主演:アナント・ナーグ、プラモード・シェッティほか
■日時:2018年10月7日(日)午後 1:00~
■会場:埼玉県川口市、スキップシティ アクセス 
■料金:大人1,500円
■主催:東京カンナダ人会 予約はこちらから

Shpskasargodu.jpg

Periploさんの詳しいご紹介サイトはこちらです。また、お知らせと共に書いてあったコメントも付けておきます。「この作品は9月初めのバンガロール滞在時に劇場で見たのですが、映像・音楽のセンスが秀逸で(例えばこちら)、劇場では途中まで「すごい傑作を目撃しているのではないか」と震えながら見ていました。しかし後半に入りやたらと引っ張る展開となり、最後にお約束のカンナダ語民族主義(偏狭バージョン)が出てきてどんよりとなりました。結局、カルナータカでラジニ映画の上映を阻止しようとするような人たちに向けて作ってるのかなあ、カンナダ映画界はそういう人たちを一番のお客さんとせざるを得ないのかなあ、などと思いを巡らせました。とはいえ、そうしたカンナダ右翼は、かならずしも路上で投石をするような底辺の人たちばかりではなく、中産階級にも支持者がいるというのは、カーヴェリ川長治さんのツイート、あるいは本作が東京カンナダ人会によって上映されるという事そのものによっても想像され、まだまだ探求が必要と痛感します。とはいえ、北ケーララの風光がこれだけ描写されるのはマラヤーラム語映画でもそうはないので、一見の価値はある作品と思います」とのことです。予告編を付けておきます。

Sarkari Hi. Pra. Shaale, Kasaragodu - Official Trailer | Anant Nag | Rishab Shetty | Vasuki Vaibhav


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