一昨年あたりからインド映画の公開本数が増えて、初日がバッティングというケースが多くなりました。本日もそれで、こちらでご紹介したダヌシュ主演のタミル語映画『バーラ先生の特別授業』(2023)と、こちらでご紹介したテルグ語映画『RRR』(2021)のメイキング・ドキュメンタリー『RRR:ビハインド&ビヨンド』(2024)が公開初日となります。どちらもよくできた映画で、できればダブルヘッダーをやっていただきたいぐらいですが、「いやいや、別々の日にじっくりと見た方がいいです」派の人もいらっしゃると思いますし、それに、『RRR:ビハインド&ビヨンド』の公開に合わせて、元となった映画『RRR』(2021)も上映プログラムに入れている劇場が多いため、「ダブルヘッダーなら絶対『RRR』と『RRR:ビハインド&ビヨンド』」の方もいらっしゃるでしょうし。さらに、『デーヴァラ』(2024)も上映中なので、「タラクさんダブルヘッダー」の方もいらっしゃるかと思います。いや~、インド映画にこんな時代が来るとは信じられませんね。
本日、皆様パンフレットをお求めになると思いますが、ちょっと2作品のご紹介の追加を。まずは『バーラ先生の特別授業』の出演者をご紹介しておきます。
『バーラ先生の特別授業』 公式サイト
2023年/インド/タミル語/134分/字幕:中島可愛・字幕監修:小尾淳/原題:Vaathi
監督:ヴェンキー・アトゥルーリ
出演:ダヌシュ、サムユクタ、サムドラカニ、タニケッラ・バラニ
配給:SPACEBOX
※4月11日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次公開中
©Fortune Four Cinemas ©Sithara Entertainments ©Srikara Studios
主演はダヌシュ。本名はヴェンカテーシュ・プラブ・カストゥーリー・ラージャーと言うのですが、「カストゥーリー・ラージャー」は監督兼製作者である父親の名前を引き継いだものなので、「ヴェンカテーシュ・プラブ」が個人名でしょうか。でも、彼はデビュー時に芸名を「ダヌシュ」と決め、以後、ずっとその名前で活躍しています。Wiki「Dhanush」によると、1995年のタミル語映画で、カマル・ハーサンとアルジュンが主演した『Kuruthipunal (血の河)』という作品の中に「ダヌシュ作戦」というものが登場するそうで、それから名付けたのだとか。ヒンディー語では「ダヌシュ」は「弓」という意味なのですが、タミル語でも同じなら、細身でしなる「弓」は彼にピッタリですね。父親の監督作品『Thulluvadho Ilamai』でデビューしたのが2002年ですから、1983年7月28日生まれのダヌシュはまだ十代の頃。デビュー当時はこう言っては悪いのですが、体が細くて貧弱で、スターオーラが皆無でした。しかし、アクションシーンになると素晴らしい飛び蹴りを見せてくれることから、「まさにインドのブルース・リー」とか何かに書いた憶えがあります。
©Fortune Four Cinemas ©Sithara Entertainments ©Srikara Studios
徐々に人気を得てきた彼が大ブレイクしたのは、2012年の作品『3』から。2004年に結婚した妻アイシュワリヤー・ラジニカーントの監督第1作でした。映画もそうですが、ダヌシュが歌った挿入歌「Why This Kolaveri Di (この殺意の塊は何だい、お嬢ちゃん)」が大ヒットしたからです。ダヌシュの物憂げな声でこうささやかれると、インド中の女性が腰砕けになったようですし、一方男性たちは、あの歌い方を真似して彼女や妻に聞かせたに違いなく、かなり長い間ヒットチャートを賑わせていました。この歌のPV、前にもご紹介したような気がしますが、画面にダヌシュだけでなく、監督のアイシュワリヤー・ラジニカーント(申し遅れましたが、”スーパースター”ラジニカーントの長女です。残念ながら、ダヌシュとは2024年に離婚してしまいました)や作曲家のアニルド・ラヴィチャンダル、そして『3』の共演者シュルティ・ハーサンがいますので、コリウッドの大物揃いのシーンを、今一度ご覧いただきましょう。
3 - Why This Kolaveri Di Official Video | Dhanush | Anirudh Ravichander | Shruti Haasan
その後のダヌシュ作品は、ヒンディー語映画に初主演して大ヒットとなった『ラーンジャナー』(2013)、『無職の大卒』(2014)とその続編(2017)、『クローゼットに閉じ込められた僕の奇想天外な旅』(2018)等々、日本でも映画祭上映されたり公開されたりしているので、皆さんご覧になっていることでしょう。こういう楽しい作品も多いダヌシュですが、一方でその体型が貧しい人々の役柄にハマるためか、虐げられた人々を描く作品にも多く出演しています。本作のバーラ先生は中流家庭の出身ではあるものの、虐げられた貧しい人々にとことん味方して戦う人で、ダヌシュのイメージにピッタリです。私の知人はブログで「良い映画だったが、学園モノなのに、教師はビシッ、バシッ、ガツン、ボッキッ!と悪人をバッタバッタと殴り倒す。『暴力はイカンヨナ~。暴力は!』まっ、映画だから許されるがネ」てなことを書いていましたが、ダヌシュのファンは彼の素晴らしいアクションを見ないと納得しないので、ま、観客サービスというところですね。ぜひ、劇場の大スクリーンでご覧下さい。
©Fortune Four Cinemas ©Sithara Entertainments ©Srikara Studios
また、いつもながらの悪役ではあるものの、知識人の悪役を演じるサムドラカニにもご注目。インド映画は悪役の皆さんと顔なじみになると、2倍楽しめますので、この顔ぜひご記憶下さい。『RRR』(2021)では、警察官になったラーマを何くれとなく守る叔父になって登場します。最後に、『バーラ先生の特別授業』の公開された本編シーンを付けておきます。(ダヌシュの跳びけりシーンもぜひ公開して下さいませ~♥)
2025年4月11日公開『バーラ先生の特別授業』本編映像
『RRR:ビハインド&ビヨンド』 公式サイト
2024年/インド/ドキュメンタリー映画/テルグ語、英語ほか/原題:RRR: Behind & Beyond/日本語字幕:藤井美佳
出演:S.S.ラージャマウリ、NTR Jr.、ラーム・チャラン、M.M.キーラヴァーニ 他
配給:ツイン
※2025年4月11日(金)より新宿ピカデリー他にて全国2週間限定ロードショー
S.S.ラージャマウリ監督は無事来日されたことと思います。ひょっとして、お顔は短髪のコレ↙に近い? いよいよ、明日は舞台挨拶@池袋ですね。
こちらは特に何も解説することはありませんので、ドキュメンタリー映画に出てインタビューに答えていらした皆さんを順番に書いておくことにします。
<インタビュー登場者>
監督/脚本 S.S.ラージャマウリ
原案 V.ヴィジャエーンドラ・プラサード
製作 D.V.V.ダナイヤ
ライン・プロデューサー S.S.カールティケーヤ
出演 ラーム・チャラン
衣裳 ラーマ・ラージャマウリ
アクション監督 キング・ソロモン
音楽 M.M.キーラヴァーニ
撮影 K.K.センティル・クマール
編集 A.シュリーカル・プラサード
出演 NTR Jr.
VFX監修 シュリーニワース・モーハン
美術 サーブ・シリル
振付師 プレーム・ラクシト
出演 アジャイ・デーウガン
出演 アーリヤー・バット
スタント統括 ニック・パウエル
作詞 チャンドラボース
本当に見応えのあるドキュメンタリーで、何度でも見たくなってしまいます。皆さんもぜひ、劇場でお楽しみ下さい。予告編を付けておきます。
『RRR:ビハインド&ビヨンド』本予告