アーミル・カーンもやって来ますが、その前に『チェンナイ・エクスプレス』と『クリッシュ』がやって来ます。というわけで、ちょっとご紹介を。まずは、以前にもこちらでご紹介した『チェンナイ・エクスプレス』からです。「こちら」は昨年8月にタイのバンコクでこの映画を見た時の記事なのですが、結構詳しくストーリーが書いてありますので、ストーリーはこちらを参照なさって下さいね。まずは作品のデータをどうぞ――とまとめるために調べていたら、何と!チラシにあった「愛と勇気のヒーロー参上」という言葉は副題でした。キャッチコピーかと思ってた....。
『チェンナイ・エクスプレス』だけでは一般の人にわかりにくいから、ということで副題が付けられたのかと思いますが、微妙に内容とずれているし、あまり効果的な副題とも思えませんね。と、のっけから文句を言っているのは、副題が付くと以後タイトルを引用する時に正式邦題の一部として副題も書かないといけないからです。「えーっと、何て言う副題だっけ??」というようなのは、むしろ付けないでいただきたい、というのが正直なところ。シャー・ルク・カーン作品は、どうも日本公開時の邦題にいまいちツキがないようです。よーし、次回『ハッピー・ニュー・イヤー』の時には....(間もなく、10月24日から本国公開ですね~)。
『チェンナイ・エクスプレス 愛と勇気のヒーロー参上』 予告編
2013/インド/ヒンディー語/141分/原題:Chennai Express
監督:ローヒト・シェッティ
音楽:ヴィシャール=シェーカル
主演:シャー・ルク・カーン、ディーピカー・パードゥコーン、サティヤラージ
配給:日活
※10月26日(日)、28日(火)、30日(木)20:35~
ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開 劇場サイト
<公式配布のストーリー>
ムンバイに暮らすラーフルは40歳になってもまだ独身。彼は友人とゴアへ遊びに行く計画を立てていたが、祖父が100歳を前に頓死。祖母から、個人の遺志として遺灰をタミル・ナードゥ州ラーメーシュワムの海にながしてくれるように懇願される。彼は、とりあえずチェンナイ行きの列車に乗り込んで、そこからゴアへ向かおうとするが、列車内で美女ミーナーを助けたことから、タミルの村の家族抗争に巻き込まれる。困惑するラーフルだったが、やがてミーナーを救うために、命を賭けて戦う決意を固めるのだった!!
<配役>
ラーフル:シャー・ルク・カーン
ミーナー:ディーピカー・パードゥコーン
ミーナーの父:サティヤラージ
タンガバッリ(ミーナーの婚約者):ニキティン・ディール
ラーフルの祖父:レーク・タンダン(出演当時83歳!)
ラーフルの祖母:カーミニー・コゥシャル(出演当時85歳!)
村の警官:ムケーシュ・ティワーリー
カメオ出演(踊り子):プリヤーマニ
(一部表記が字幕等と違っているものがあるかも知れません。お許しを)
『チェンナイ・エクスプレス 愛と勇気のヒーロー参上』(以下、副題略)の見どころは、何と言っても「北と南」。ラーフル(またこの役名^^。シャー・ルク・カーンによく付けられる役名で、『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』の中でネタにされていましたが、本作ではまたそれをネタにしています)は北インドのムンバイ在住。彼が祖父の遺灰を流すために行こうとしているのは、南インドの東海岸にあるラーメーシュワラム。ちょうど、スリランカと互いに細長い半島が突き出している所です。そしてラーフルが本来行きたかったゴアは、西海岸の、北インドと南インドの境目にあたる場所。本当なら北インドにとどまっていたはずの男が、南インドと出会う、というのがこの作品の隠れたテーマでもあります。
以前の作品なら、南インドをバカにしたような描写が垣間見えることもあったのですが、本作は南インドをとても魅力的に描いています。もちろん、ドンやその配下が出てきたりもするのですが、南インドの人情と豊かな文化を見せ、時には南インド映画へのリスペクトも溢れさせています。その最たるものが、ラストの「ルンギーダンス」のシーンですね。これにはラジニカーント・ファンも大喜びでしょう。歌の中の「Anna(アンナー)」は「兄、兄貴」、「Thalaiva(タライヴァー)」は「ボス」というような意味です。ヴィジャイ主演の映画に『Thalaivaa』(2013)という作品があるのですが、偶然にもこの『チェンナイ・エクスプレス』と同じ時期に封切られています。
そして、本作で北インドと南インドをつなぐ象徴のような存在が、ディーピカー・パードゥコーン演じるミーナー。登場直後はタミル語をしゃべり、やがてヒンディー語ができることがわかってきますが、ゴアの言葉であるコンカニー語を話す両親のもとに生まれ、南インドのカルナータカ州ベンガルール(バンガロール)で育った彼女には、まさにピッタリの役です。ディーピカーのデビュー作はカンナダ語映画なので(しかも、個性派俳優ウペンドラと共演!)、本作で久々に南インド映画の世界に戻った、という感じでしょうか。「北と南」のいろんな出会いをお楽しみ下さい。
あとはもちろん、ソング&ダンスシーン、アクションシーン、コメディシーンと見せ場は数々あります。そのコメディシーンの中で、インド映画ファンなら大笑いなのが『シャー・ルク・カーンのDDLJ ラブゲット大作戦』(1995)をパクったシーン。メイキングDVDの中ではディーピカーが、「ついにシャー・ルク・カーン相手にDDLJの名シーンをやったわ!!」とガッツポーズをしていました。女の子の夢ですよね~。
さらに列車の中での歌合戦シーンも爆笑間違いなし。『DDLJ』のこの歌はもちろん、アクシャイ・クマール主演の『Rowdy Rathore(乱暴者ラートール)』(2012)のこの歌や、引用の定番とも言える『Bunty Aur Babli(バンティーとバブリー)』(2005)のこの歌など、インド映画ファンなら悶え死にしそうなほどインド映画ネタが潜ませてあります。それを見つけていくのも醍醐味ですね。ここでネタバレを書いてしまって申し訳なかったのですが、まだまだありますのでお楽しみに。
最後に特筆したいのが、ロケ地の選択。あっと息を呑むような見事なシーンがいくつも出てきます。あそこに行ってみたい!と思われた方は、Wiki「Chennai Express」にロケ地が出ていますので、こちらの"Filming"の項を参照して下さいね。
それでは、劇場で『チェンナイ・エクスプレス』をた~っぷりとお楽しみ下さい。Let's Po!("Po"はタミル語で"Go")