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Channel: アジア映画巡礼
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タミル語映画はサイコがお好き~『Anegan』と『Enakkul Oruvan』

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チェンナイはそれほど暑くなくて助かっています。最高気温は33度ぐらいなので、昼間のかんかん照りだと「暑いよう~;;」なんですが、朝夕は涼しくて快適です。ホテルの部屋も冷房いらず、というか、冷房を止めていても夜寒く、お布団に毛布をかけてもらったほど。泊まっているホテルThe Residencyは、ビジネスマンがよく泊まるような中級の上ぐらいのホテルですが、T.ナガルというサリー屋さんや宝石商のお店がいっぱいある商業地区のはずれにあります。早期予約割引で1泊8千円ぐらい。もちろん、豪華ビュッフェ朝食付き。南インド料理の朝食ヴァリエーションを楽しんでいます。

映画は、この前の『Baby』はエクスプレス・アヴェニューというショッピングモールにあるシネコン「エスケープ」で見たのですが、タミル語映画は別のショッピングモール、チェンナイ・シティ・センターのINOXで見ることにしました。昨年も書いたのですが、このショッピングモールはチェンナイで最も早く登場した欧米型のショッピングモールだったものの、今はさびれる一方。今回も本屋のランドマークが撤退し、さらにさびれた感が漂っていました。なお、あとで判明したところによると、私の大好きな本屋ランドマークは、ネットの本屋に顧客を奪われた結果店舗を全部閉鎖したそうです。本を実際に手にとって見られる場所がなくなり、とーっても不便になりました。

Anegan Poster.jpgEnakul-Oruvan-Movie-Stills.jpg

話がそれましたが、INOXで見たのは『ANEGAN』と『ENAKKUL ORVAN』の2本です。『ANEGAN(アネーガン/多変化人間)』は日本でも2月のタミル語映画上映会で上映された作品で、こちらにデータなどを紹介してあります。主人公は、ゲーム会社にITエンジニアとして雇われるアシュヴィン(ダヌシュ)と、そこで働く金持ちの娘マドゥ(アミラ・ダストゥール)。マドゥは精神科の女医の治療を受けているのですが、というのも彼女の深層意識には何人かの人格が現れてくるためでした。


彼女が語る最初の物語は1962年のビルマ。母親がインド人女性の金持ちの娘(アミラ・ダストゥール)がインドからの労働者青年(ダヌシュ)に命を助けられ、やがて二人は恋仲に。しかし、ビルマ軍の将校である父親(ムケーシュ・ティワーリー)は反対し、二人はネ・ウィンによる軍事クーデターが起こったことでインド人排斥の風潮が高まる中、インド人夫婦に化けてインド人が強制送還される船に乗り込もうとします。しかし、そこを父親に見つかってしまい、二人は海中へ身を投じるのですが....。


次の物語は1987年のマドラス。警部(アシーシュ・ヴィデャールティー)が登場します。貧しい青年(ダヌシュ)と、医者の娘(アミラ・ダストゥール)が恋に落ちるのですが、やはり二人は結婚できません。そこに新たな見合い相手(カールティク)が現れるのですが、彼はとんでもない男でした....。


ここで起きる事件が現代によみがえり、主人公2人と警部、そして現在はゲーム会社社長となっている見合い相手に関わる謎が解き明かされていきます。恋あり笑いありアクションあり、スリルとサスペンスもいっぱいで、もちろんダヌシュは踊りまくります。予告編を付けておきましょう。

Anegan Trailer (Revised) | Dhanush | Harris Jayaraj | K.V. Anand

そういう娯楽要素満載の映画なのですが、心理的な要素がすべての元というタミル映画お好みのテイストが全編に流れていて、いちいち対応する事柄を確認させられている気分になってしまいます。上記の3時代の設定の他、古代にも何かあったということまでほのめかされていて、数本の映画を一挙に見せられてゲップが出そうでした。ヒロインのキャラがウルサイのとあいまって、少々疲れました。

Enakkul Oruvan poster.jpg

続いての『ENAKKUL ORUVAN(エナックル・オルヴァン/私といる誰か)』は、どこかで聞いたタイトルだと思ったら、昔のカマラハーサンの作品と同題名でした。今回の『ENAKKUL ORUVAN』は、カンナダ語映画『LUCIA』(2013)のリメイクだそうです。主演はシッダールト、ディーパ・サンニディ、監督は新人のプラサード・ラマル。予告編を付けておきましょう。

Enakkul Oruvan Official Theatrical Trailer | Siddharth | Santhosh Narayanan

本作の中では、2つの話が同時進行します。カラーで描かれるのは、古い映画館に勤める、ちょっとトロい青年ヴィグネーシュ(シッダールト)の物語。彼は、映画を見に来たピザ屋の店員ディヴィヤ(ディーパ・サンニディ)が好きになります。もう一つのお話で、モノクロで描かれるのは、人気スターであるヴィッキー(シッダールト)の物語。彼はある日バイクの宣伝に出ていた娘ヴィディヤ(ディーパ・サンニディ)が気に入り、アイテムソングの相手役に起用します。そこから2人の恋が始まっていくのですが....。

Enakkul Oruvan movie Wallpaper -16743

ヴィグネーシュもヴィッキーもクスリを飲んでいて、これがどうやら精神高揚剤というかヤクのようなクスリらしく、それが2人をつなぐ鍵となります。さらに、このクスリを捜査している警察もからんできます。タミル語がほとんどわからない私は、2人は別人なのか、それともどちらかが現実で一方は夢なのか、ということがわからず、まるで五里霧中でいる気分でしたが、シッダールトは二役を実に上手に演じ分けており、その点は見応えがありました。

それにしても、タミルの人はこういうサイコロジーを下敷きにした映画が本当に好きですね。謎とサスペンスに満ちた物語、確かにこれまでヒット作がいっぱい出ていますが、さてこの作品はどうでしょう?

INOXへは昨日もタミル語映画を1本見に行ったのですが、こちらはコメディタッチの作品だったのでご紹介はまたあとで。INOXに入るとフロアにいたスタッフの人に、「昨日も来てましたね!」と声を掛けられてしまったので、今日は別のシネコンに行こうと思います....。



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