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台湾映画の青春旋風『私の少女時代 -OUR TIMES-』

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また台湾から、青春旋風映画がやってきました。以前『あの頃、君を追いかけた』(2011)という映画が大ヒットし、高校生ライフをみずみずしく、かつノスタルジックに描いた台湾映画ブームを巻き起こしたのですが、本作『私の少女時代 -OUR TIMES-』もそのカテゴリーに入る作品と言えそうです。ただ本作は、後日大人になってからの時代に豪華プレゼントが用意されており、台湾映画ファンのみならず、香港映画ファン、華流ファンも大満足の作品となっています。まずは基本データからどうぞ。

 

『私の少女時代 -OUR TIMES-』  公式サイト

2015年/台湾/134分/中国語・閩南語/原題:我的少女時代/英題:Our Times
 監督:陳玉珊(フランキー・チェン)
 主演:宋芸樺(ビビアン・ソン)、王大陸(ダレン・ワン)、李玉璽(ディノ・リー)
 特別出演:劉徳華(アンディ・ラウ)、陳喬恩(ジョー・チェン)、言承旭(ジェリー・イェン) 

 配給・宣伝:ココロヲ・動かす・映画社 ○
 パブリシティ:クレスト・インターナショナル 

※11月26日(土)より新宿武蔵野館他にて全国順次ロードショー

(C)2015 Hualien Media Intl. Co., Ltd、Spring Thunder Entertainment、
Huace Pictures, Co., Ltd.、Focus Film Limited

映画は、現在はOLとして働く林真心(リン・チェンシン/ジョー・チェン)から始まります。上司に言われると残業もつい引き受けてしまい、後輩たちにうらまれて自分のふがいなさに落ち込むチェンシン。でも、アンディ・ラウの歌「忘情水」を聞いたとたん、”私の少女時代”のいろんな思い出がいっぺんに甦ってきます。チェンシンの高校時代、1990年頃の台湾では香港ポップスが大人気で、チェンシンは「将来はアンディと結婚する」と固く決心するほどの華仔ファンでした。でも、外見はダサいメガネ女子で、何かというとドジばっかりするチェンシンは、現実にはボーイフレンドもいなくて、バスケ部のエース欧陽非凡(オウヤン・フェイファン/ディノ・リー)に一方的に胸をときめかせる日々だったのです。

そんなある日、チェンシンのもとに手紙が届きます。ラブレターかと喜んで開けてみれば、これが何と不幸の手紙ならぬ”幸福の手紙”で、同じ事を書いて3人に送るよう命じる内容でした。チェンシンは、隣家の同級生でいつもくやしい思いをさせられているモテモテ美少女と、担任の数学教師、そして学校一の不良、徐太宇(シュー・タイユィ/ダレン・ワン)に送ることにしました。タイユィを選んだのは彼がフェイファンにからんでいるのを目撃したからで、「憧れの彼に代わって復讐してやる!」と義憤に燃えて手紙をタイユィに送ったチェンシンでしたが、それがとんでもない出来事へと発展していくことになります...。

(C)2015 Hualien Media Intl. Co., Ltd、Spring Thunder Entertainment、
Huace Pictures, Co., Ltd.、Focus Film Limited

ストーリーの骨格は単純なのですが、もういろんなエピソードが山と詰め込まれていて、それがまたマンガチックに描かれているため、面白いやら気の毒やらうらやましいやら。チェンシンのダメ子ちゃんぶりに笑い、フェイファン(しかし、こんな名前の子っているんでしょうか?)のカッコ良さに目を見張ったりしているうちに、最初はすごい不良に見えていたタイユィがだんだんいい男ぶりに見え始める頃には、この作品にうまうまと乗せられてる、という次第です。私は実は機内上映で見て、それから試写で日本語字幕付きのを見せていただいたのですが、2度も見たのに何か取りこぼしているエピソードがあるような気が今もしていいます。それぐらい、エピソードがテンコ盛りなのです。

(C)2015 Hualien Media Intl. Co., Ltd、Spring Thunder Entertainment、
Huace Pictures, Co., Ltd.、Focus Film Limited

高校時代のラストでチェンシンは結局ボーイフレンド(どっちがボーイフレンドだったのかは見てのお楽しみ)と別れ、現在しがないOLをしているわけですが、回想が終わってからの最後の部分が最初に書いたようにとっても素敵なのです。アンディ・ラウが自身の役で出演し、意外な出会い方でチェンシンと出会うのが豪華プレゼントその1。そして、チェンシンがかつてのボーイフレンドと再会するのが豪華プレゼントその2。実はこの成長したボーイフレンドを演じているのがジェリー・イェンで、最初何の予備知識もなく見た時は目が点になりました。いやー、確かに高校生役のあの俳優もカッコ良かったけど、ジェリー・イェンとではちょっと落差があるのでは...。

(C)2015 Hualien Media Intl. Co., Ltd、Spring Thunder Entertainment、
Huace Pictures, Co., Ltd.、Focus Film Limited

とはいえ、高校生イケメンを演じたディノ・リーもダレン・ワンも、どちらも将来が楽しみな逸材です。ディノ・リーは歌手李亜明(リー・アーミン)の息子だそうで、1980年代に出た李亜明のカセットテープなどを見てみると、どことなく面影が似ています。ディノ・リー自身も歌手だそうで、またドラマ出演もすでに何作かあるようです。一方のダレン・ワンはすでにドラマも映画も経験豊富ながら、大ブレイクしたのは本作において。爽やかさとワルっぽさが混じったこのルックスは、今後さらに人気が出そうな予感がします。今からしっかりチェックを入れておきましょう。

(C)2015 Hualien Media Intl. Co., Ltd、Spring Thunder Entertainment、
Huace Pictures, Co., Ltd.、Focus Film Limited

ヒロイン役のビビアン・ソンは、話題作『等一個人珈琲(本当は王偏→口偏)』(2014)でデビュー、本作が2作目となります。本作では多くの映画賞にノミネートされ、今後の台湾映画界で一番活躍が期待される女優となりました。この人のこれからの活躍にも要注目です。『私の少女時代 -OUR TIMES-』は台湾のみならず、香港でも2015年の興収では、先日日本でも公開された『小さな園の大きな奇跡』に続く第2位という好成績を挙げています。グラスホッパーの歌「失恋」などが使ってあったりしたので、香港の観客も懐かしくてつい引き込まれたのでしょう。ちょっぴりセンチメンタルな予告編を付けておきますので、ぜひ大きなスクリーンでご覧下さいね。
淡い初恋の物語が展開!映画『私の少女時代-Our Times-』予告編

 



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