3日間の集中講義がやっと終わりました。大学の授業は1コマ90分。集中講義はそれを1日に5コマ、3日間やり、半期分の15コマをこなして単位を与える、という、教師にとっても学生にとってもかなり苛酷なプログラムです。でも、1日のうちで時間をフレキシブルに使うこともでき、2コマぶっ続けの授業とかもできるため、使い勝手のいいプログラムでもあります。とはいえ、帰宅してからも出欠の整理やらミニテストの採点やらをやっていると睡眠時間も削られるし、終わるともう廃人同然、というのが毎年のことでした。
そんなボロボロ状態だったのですが、『マルガリータに乾杯を!』のあいち国際女性映画祭のゲストとして来日したショナリ・ボース監督と、主演のカルキ・コーチリンにインタビューさせてもらえるというので、いそいそと出かけてきました。『キネマ旬報』から依頼されたインタビューで、今日はカルキ、明日は監督という予定だったのですが、インタビューの場に着くと、まずお目にかかったのがショナリ・ボース監督。コントラストが鮮やかな素敵なファッションでした。
「上はサリーのブラウスなの。それとスカートを組み合わせた、私独自のファッションよ」というボース監督。私もインドのクルター・パジャマを着ていたので、「あなたもインドのファッションね」と言われ、「そうなんです。でも、ファブ・インディア製品なんですよ」(「ファブ・インディア」はインドのユニ●ロとでも言うべき存在で、リーズナブルなお値段でなかなかセンスのいい服を提供しているショップです)と言ったら、「ファブ・インディア! あそこの服はホント助かるわよね~」というような話で盛り上がりました.ボース監督もご愛用のようです。
で、次にカルキへのインタビューとなったわけですが、じつはあいち国際女性映画祭の場で、あることが問題になっていました。それは、彼女の姓の発音です。「Kalki Koechlin」が彼女の名前の綴りで、インドでは普通、「カルキー・コーチリン」と発音されているのですが、フランス語読みにすると姓は「ケクラン」であるため、カルキがQ&Aでそのことを述べたのです。
これは、昨日愛知在住の友人から、メールで下のように教えてもらいました。
次に観客からカルキさんの姓の読み方がわからないという質問があり、これにカルキさんが答える一幕がありました。 これがどうやら、日本ロードショー用のチラシにある「コーチリン」は間違いで、本来は「ケーチュラン」と言うようなのです。(私の聞き取りもややおぼつかないのですが。) とはいえ、インド本国でも「コーチリン」と呼ぶ人の方が多いらしいので、日本で表記が間違っているのは仕方のないことと言えそうです。 Tさん、ありがとうございました。さらに、今日拙ブログにもコメントが入っていて、下のようにご指摘下さっています。(一部だけを引用したので、ちょっと文章がおかしくなっていますがお許しを) 配給会社様その他に「コーチリン」というヘンテコな表記から「ケクラン」に変更してくださいますようにお願いいたします。 実はですね、配給会社彩プロの方に、”ヘンテコな”「カルキ・コーチリン」という表記をお教えしたのは私です(笑)。彼女の姓をフランス語読みすると「ケクラン」になる、ということは、私も配給会社も承知していて、従って公式サイトの紹介ページや、マスコミ試写で配布したプレスの紹介欄には、”姓のフランス語読みは「ケクラン」”と断ってあります。「コーチリン」は、インドでは彼女の姓「Koechlin」が英語風に読まれてしまって、それが一般化している、ということなのです。配給会社に表記をお教えする時は、ヒンディー語での表記を確認したり、時にはYouTubeでいくつかの番組等を見て、司会者がどのように発音しているか、というのを確認した上でやっているのですが、今回は圧倒的に「コーチリン」だったため、この表記にして、キャスト紹介の中で留保を付けたのでした。インドでこれだけ「コーチリン」が使われている、ということは、彼女自身も認めているということなのだ、と思ってしまったのです。
でも、今回ご本人が「ケクラン」の方を希望なさることがわかったので、配給会社ではすでにポスターやチラシを刷ってしまっているものの、今後変更していくことを検討中のようです。というわけで、全面訂正までは今しばらくお待ち下さいね。
そんなわけで、カルキへのインタビューは、「ごめんなさい、実はあなたの姓を”コーチリン”にしたのは私です」というお詫びから始まったのでした。彼女は「いいのよ~」という感じで許してくれて、「インドではいつもそう呼ばれちゃうのよね」と言っていました。正しく発音すると「ケー(日本語の長母音ほどではないが少し長めに発音)クラン(鼻音化するン)」のようですが、日本での表記が訂正される場合は「ケクラン」になるのでは、と思います。

(C)All Rights Reserved c Copyright 2014 by Viacom18 Media Private Limited
and Ishaan Talkies
インタビューではとてもよく話してくれて、『マルガリータで乾杯を!』にかける彼女の熱意がひしひしと伝わってきました。詳細はまた別の機会に譲るとして、雑談の内容をほんのちょっぴりリークしてしまうと、初めて来た日本がとても気に入ったそうです。「皆さん、とっても控えめで丁寧で。ホテルのお部屋も小さいけれど機能的で、何でもきちんと揃っているでしょ。インドにはない美点だわ」とのこと。本場のお寿司もおいしかったそうです(笑)。それにしても、美しい人でした。映画の中よりも美しいぐらいで、知的で凜とした雰囲気と共にその美しい瞳と表情には、ずっと彼女を見つめていたいと思わせられてしまいます。サインにも気さくに応じてくれたので、友人ウマー・ダ・クーニャの出している雑誌「Filmindia Worldwide」にサインしてもらいました。
