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2015年中国映画興収ベスト10

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”師走”の超押し詰まり的忙しさから、やっと少し解放されました。まだ家事は残っているのですが、このあたりでどどっと2015年総括をしちゃいます。まずは、中国映画から行ってみましょう。

今年の中国映画界は、香港との合作『モンスター・ハント』がスーパーヒット。24億元強(約360億円)の興収を上げて、中国映画の歴代興収記録を更新しました。他の作品も、2014年の興収ベスト10と見比べると、軒並み興収を延ばしていることがわかります。今回参照したのは、洋画も入れた興収ベスト20をアップしている「2015年内地電影票房総排行榜」で、『モンスター・ハント』は『ワイルド・スピード SKY MISSION』を僅差で破って第1位、また20本中半数以上にあたる11本が中国映画となっています。

★  ★  ★  ★  ★

2015年中国映画興収ベスト10 

第1位 『モンスター・ハント(原題:捉妖記)』 24.38億元 
 監督:許誠毅(シュー・チョンイー)
 主演:井柏然(ジン・ポーラン)、白百何(バイ・バイホー)、湯唯(タン・ウェイ)、姜武(ジャン・ウー)、曾志偉(エリック・ツァン)
こちらでご紹介した痛快ファンタジー作品。でも、「2015中国映画週間」で上映されてしまったので、もう日本公開の目はないかも(泣)。DVD化を切に望みますが、こちらも希望薄。中国映画週間とIFFJは、大作・話題作にとっては「ありがた迷惑」的映画祭ですね....。

[正式預告]《捉妖記》(Monster Hunt),7月16日上映

 

第2位 『港囧』 16.2億元 
 監督:徐峥(シュー・チェン)
 主演:徐峥(シュー・チェン)、趙薇(ヴィッキー・チャオ)、包貝尔(バオ・ベイアル)
※2013年のしたまちコメディ映画祭で上映された『ロスト・イン・タイランド』に続く、『人在囧途』(2010)から始まったシリーズの第3作。今回は、「ロスト・イン・ホンコン」です。

《港囧》首支正式?告片 | "L?c L?i ? HongKong" trailer chính th?c đ?u tiên (Vietsub)


第3位 『夏洛特煩悩』 14.39億元 
 監督:閻非、彭大魔
 主演:沈騰(シェン・トン)、馬麗(マー・リー)
※舞台劇「シャーロットの悩み」の映画化。国慶節に公開されて大ヒットになったものの、盗作疑惑も持ち上がり、さらに話題になったコメディ映画。

夏洛特?? Goodbye Mr.Loser (2015) 全部?影?告片

 

第4位 『煎餅俠』 14.2億元 
 監督:董成鵬(大鵬)(ダー・ポン)
 主演:董成鵬(大鵬)(ダー・ポン)、袁姍姍(メイベル・ユアン)

【酷6預告】《煎餅俠》發佈終極預告 大鵬跌宕起伏追夢終成正果

 

第5位 『尋龍訣/鬼吹灯之尋龍訣』 10.14億元(更新中)
 監督:烏尔善
 主演:黄渤(ホアン・ボー)、陳坤(チェン・クン)、舒淇(スー・チー)、アンジェラベイビー
※ネット小説「鬼吹灯」の映画化で、ファンタジー・アドベンチャー大作のようです。本作が第4部で、12月18日に公開されたばかり。現在も上映が続いています。

??? Mojin-The Lost Legend 2015 ?作?告片

 

第6位 『澳門風雲2/賭城風雲2』 9.72億元 
 監督:王晶(ウォン・チン)
 主演:周潤發(チョウ・ユンファ)、張家輝(ニック・チョン)、劉嘉玲(カリーナ・ラウ)

《賭城風雲2》電影預告

 

第7位 『西遊記 ヒーロー・イズ・バッック(原題:西游記之大聖帰来)』 9.56億元
 監督:田暁鵬(ティエン・シャオポン)
 声優:張磊(ジャン・レイ)、林子傑(リン・ズージエ)、童自栄(トン・ズーロン)
※「西遊記」新作3Dアニメ。

映画「西遊記之大聖帰来」オフィシャルな国際版の予告【Monkey King: Hero is Back International Teaser Trailer】-Japanese Subtitles

 

第8位 『ドラゴン・ブレイド(原題:天将雄師)』 7.43億元 公式サイト
 監督:李仁港(ダニエル・リー)
 主演:ジャッキー・チェン、ジョン・キューザック、エイドリアン・ブロディ
※2016年2月、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショーの予定。ジャッキーのメイクが馴染めず、中国の西域にローマ帝国軍が現れるというストーリーも何なんですが、まあ取り合わせの妙というか、ジャッキーとジョン・キューザックの友情、ジャッキーとエイドリアン・ブロディの対決を見ておかれるのものちの話題になるかと....。

 【映画 予告編】 ドラゴン・ブレイド (特報)

 

第9位 『神なるオオカミ(原題:狼■騰)』 6.97億元
 監督:ジャン=ジャック・アノー
 主演:馮紹峰(ウィリアム・フォン)、竇驍(ショーン・ドウ)、バーサンジャブ
※フランスとの合作。2016年1月12日よりヒューマントラスト渋谷の「未体験ゾーンの映画たち2016」にて上映。

 『セブン・イヤーズ・イン・チベット』などのジャン=ジャック・アノー監督が手掛けた感動作!映画『神なるオオカミ』予告編

 

第10位 『九層妖塔/鬼吹打之九層妖塔』 6.8億元 
 監督:陸川(ルー・チュアン)
 主演:趙又廷(マーク・チャオ)、姚晨(ヤオ・チェン)
※香港との合作作品。「鬼吹打」シリーズのこれが第3作?

九?妖塔 Chronicles of the Ghostly Tribe (2015) 中国版?告片

★  ★  ★  ★  ★

日本公開間近の作品もありますので、ぜひ楽しんで下さいね!


 


2015年韓国映画観客動員数トップ10

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毎年力作、大作、話題作、&ユニークな作品が出現し、アジア映画では日本公開作が一番多い韓国映画。私が毎日チェックしている朝鮮日報のサイト「エンタメコリア」に、早くも2015年の観客動員数トップ10が出ました。要領よくまとめてあるこちらの記事を引用させていただいて、それに一部作品の興行収入データ(最終データの一歩手前ぐらいのデータをいくつか見つけることができました)と、予告編を加えたのが下のリストです。

★  ★  ★  ★  ★

第1位 『ベテラン』 公式サイト 
 監督:リュ・スンワン
 主演:ファン・ジョンミン、ユ・アイン、オ・ダルス、ユ・ヘジン
 観客動員数:1341万4009人
 興行収入:1048億7000万ウォン(最終データではありません)
※日本でも現在ヒット中! まだの方は3が日にぜひ。拙ブログではこちらでご紹介しています。

映画『ベテラン』予告編  


第2位 『暗殺(原題)』
 監督:チェ・ドンフン
 主演:チョン・ジヒョン、イ・ジョンジェ、ハ・ジョンウ
 観客動員数:1270万5700人
※日韓問題解決にも少し光が見えてきたので、日本公開もアリでしょうか?

[動画] チョン・ジヒョン&イ・ジョンジェら主演「暗殺」メイン予告編

 

第3位 『国際市場で逢いましょう』 公式サイト 
 監督:ユン・ジェギュン
 主演:ファン・ジョンミン、キム・ユンジン、オ・ダルス、チョン・ジニョン
 観客動員数:891万5904人
※日本でも公開され、ヒットしました。拙ブログでのご紹介はこちら。DVDも絶賛発売中です。2015年は『ヒマラヤ』も現在韓国でヒットしており、まさに”ファン・ジョンミン祭り”の年となりました。 

映画『国際市場で逢いましょう』日本オリジナル予告編  

 

第4位 『内部者たち(原題)』
 監督:ウ・ミンホ
 主演:イ・ビョンホン、チョ・スンウ、ペク・ユンシク
 観客動員数:699万9771人
 興行収入:561億ウォン(最終データではありません)
※イ・ビョンホン久々の現代劇ヒット作。チョ・スンウ、ペク・ユンシクとの三つどもえ対決のようで、日本公開が待たれます。

[動画]イ・ビョンホン&チョ・スンウ主演「内部者たち」メイン予告編

 

第5位 『思悼(原題)』
 監督:イ・ジュニク
 主演:ソン・ガンホ、ユ・アイン
 観客動員数:624万6851人
 興行収入:485億9000万ウォン(最終データではありません)
※2014年は興収トップ10に時代劇が4本もランクインしたのに、今年は本作と『朝鮮名探偵』だけでした。『ベテラン』でファンを増やしたユ・アイン主演作だけに、これも日本公開となるか?

[動画] ソン・ガンホ&ユ・アイン主演映画「思悼」メイン予告編

 

第6位 『延坪海戦(原題)』
 監督:キム・ハクスン
 主演:キム・ムヨル、イ・ヒョヌ、チン・グ
 観客動員数:604万3784人
※2002年に実際に起こった、韓国と北朝鮮の軍事衝突を映画化。

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第7位 『黒い司祭たち(原題)』
 監督:チャン・ジェヒョン
 主演:キム・ユンソク、カン・ドンウォン
 観客動員数:544万2012人
 興行収入:423億4000万ウォン(最終データではありません)
※キム・ユンソクとカン・ドンウォンと言えば、『チョン・ウチ 時空道士』(2009)の名コンビ。さて、現代劇の今回はどんな展開に?

Gang DongWon~映画「黒い司祭たち」メイン予告編

 

第8位 『ヒマラヤ』
 監督:イ・ソクフン
 主演:ファン・ジョンミン、チョンウ
 観客動員数:459万2431人(更新中)
 興行収入:357億3000万ウォン(更新中)
※以前、チェ・ミンシク主演で『ヒマラヤ 風がとどまる所』(2009)という作品もありましたが、本作はエベレスト登頂をめざす韓国の登山隊のお話です。『エベレスト3D』の韓国版?

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第9位 『朝鮮名探偵2 失われた島の秘密』
 監督:キム・ソクユン
 主演:キム・ミョンミン、オ・ダルス、イ・ヨニ
 観客動員数:387万2015人
 興行収入:295億3700万ウォン(最終データではありません)
※日本では、シネマート六本木でクローズ直前に公開されました。DVDも絶賛発売中です。韓国語の原題の副題は「日雇い労働者の娘」なので、元ネタのサイトはそちらが使われています。

『朝鮮名探偵2 -失われた島の秘密-』映画オリジナル予告編

 

第10位 『二十歳』  公式サイト
 監督:イ・ビョンホン
 主演:キム・ウビン、ジュノ(2PM)、カン・ハヌル
 観客動員数:304万4811人
※長身イケメン男子3人勢揃い、的作品。11月28日より全国各地で公開中です。すでに上映が終了したところもありますので、公式サイトでご確認下さい。

映画「二十歳」メイン予告編

★  ★  ★  ★  ★

では皆様、どうぞよいお年を。2016年もよろしくお願い致します。


2016年もたくさんのアジア映画を

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新年のご挨拶申し上げます。今年は申年、それにちなんで、アジアのサルたちの絵をどうぞ。


12年前に香港で買った年賀カード(年のところはシールを貼ったのですが、透けて見えますね~)。中国語圏で一番有名なサルと言えば、もちろん孫悟空です。「藝之軒」というカード出版元のクレジットが裏にあるのですが、画家の名前などはなし。


これも、以前香港で買ったカードです。「月をつかまえたくて(水中𢭐月)」という画題で、画家は侯寶明(中国天津市)、カード発売元はDragon Heart。中国の故事「猿猴取月」に由来する画で、このお話、元々はインドの故事だったようです。水に映ったお月様を取ろうとサルたちが次々と数珠つなぎになってぶら下がったものの、いざ水面に手が届くという時にサルの重みで枝がポキンと折れてみんな水中に、ということで、無知や愚かさ、あるいは骨折り損を言う時に使うたとえなのだとか。この現代民画は、サルたちの描き方がとってもチャーミングで大好きです。


そして、インドで一番有名なサルはハヌマーン。古代叙事詩「ラーマーヤナ」に登場するサルの武将で、魔王ラーヴァナにさらわれた妻シーターを捜すラーマ王子に協力し、様々に活躍するスーパーおサルさんです。よく描かれるポースが上の図で、左手に抱えているのはヒマラヤの山。ラーヴァナとの戦いの中でラーマの弟ラクシュマナが傷つき、その傷に効く薬草を採りにランカー島からヒマラヤの山中にひとっ飛びしたものの、薬草が隠されていたため、「えーい、いちいち探すのは面倒だ。山ごと持って帰ることにするぞ」と山を引っこ抜いて持ち帰ったエピソードを描いたものです。インドのポストカードから取りましたが、ハヌマーンはヒンドゥー教の神々と同じぐらい崇められていて、神様シールでもいろんなデザインで登場しています。


ハヌマーンの別名はいっぱいあって、その一つが「バジュラングバリー(Bajrang Bali)」。「強固な体格を持った強者(つわもの)」というような意味で、「バジュラング」だけで呼ばれることも。こういったことから、力自慢の人々、特にクシュティーと呼ばれるインド式レスリングをする人々に信奉されているのがハヌマーンで、2015年の大ヒット作『バジュランギー兄貴(Bajrangi Bhaijaan)』もこのハヌマーン信仰が下敷きになっています。劇中で出てくる、ハヌマーン・ジャヤンティ(ハヌマーンの誕生祭)を祝うシーンはこちらです。

'Selfie Le Le Re' FULL VIDEO Song - Salman Khan | Bajrangi Bhaijaan | T-Series


そして、今年もお年賀状をたくさんいただきまして、どうもありがとうございました。

毎年楽しみな各配給会社さんからのお年賀状の中に、今回もアジア映画公開情報がちらほら。わかっているものだけ、書き出しておきますね。

彩プロ(配給)


『ヘリオス 赤い諜報戦』  公式サイト 
2015年/中国/広東語・北京語・韓国語・英語/119分/原題:赤道
 監督:(リョン・ロクマン)、(サニー・ルク)
 主演:張學友(ジャッキー・チュン)、張家輝(ニック・チョン)、張晨(チャン・チェン)、余文樂(ショーン・ユー)、チ・ジニ、チェ・シウォン、王学圻(ワン・シュエチー)
※1月9日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開 

 

スキップ(宣伝)


『メモリーズ 追憶の剣』 公式サイト
2015年/韓国/120分
 監督:パク・フンシク
 主演:イ・ビョンホン、チョン・ドヨン、キム・ゴウン、ジュノ(2PM)
配給:クロックワークス
※1月23日(土) 新宿バルト9ほか全国公開。台湾映画『黒衣の刺客』を思わせる、美しい時代劇作品。 

『内部者たち(原題)』
2015年/韓国
 監督:ウ・ミンホ
 主演:イ・ビョンホン、チョ・スンウ、ペク・ユンシク
配給:クロックワークス
※3月TOHOシネマズ新宿ほか全国公開。2015年観客動員数第4位、とご紹介したばかりの本作が早くも公開とは嬉しいです!

 

TWIN(配給)


『ドラゴン・ブレイド』 公式サイト 
2014年/中国・香港/103分/原題:天将雄師
 監督:李仁港(ダニエル・リー)
 主演:ジャッキー・チェン、ジョン・キューザック、エイドリアン・ブロディ、チェ・シウォン(SUPER JUNIOR)
※2月、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー。2015年中国映画興収第8位。 

『背徳の王宮』
2015年/韓国/131分
 監督:ミン・ギュドン
 主演:チュ・ジフン、キム・ガンウ、イム・ジヨン
※3月19日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー。なお、18歳未満の方はご覧になれません。 

『The Long Way Home(英題)』
2015年/韓国/原題:西部戦線
 監督:チョン・ソンイル
 主演:ソル・ギョング、ヨ・ジング、イ・ギョンヨン
※春公開予定 

『Northern Limit Line(英題)』
2015年/韓国/原題:延坪海戦
 監督:キム・ハクスン
 主演:キム・ムヨル、イ・ヒョヌ、チン・グ
※春公開予定。2015年韓国映画観客動員数第6位の作品です。

 

アンプラグド(配給/宣伝)

『あなた、その川を渡らないで(仮題)』
2014年/韓国/ドキュメンタリー
 監督:チン・モヨン
※初夏公開予定。韓国で2014年観客動員数第9位となった話題のドキュメンタリー映画。

あと、私が舌を巻いた斬新なアイディアの韓国映画『ビューティー・インサイド』(2015)も1月22日(金)から公開されます。こちらは、のちほど別途ご紹介する予定。2016年も素敵なアジア映画がたくさん公開されますので、ぜひ映画館に足を運んで下さいね。そうそう、配給会社の皆様、インド映画もぜひよろしく!!

<追加>

1月2日に届いたお年賀状から、情報を追加でアップします。

岩波ホール(上映予定作品)

『鏡は嘘をつかない(原題)』
2011年/インドネシア/原題:Laut Bersemin
 監督:カミーラ・アンディニ
 主演:ギタ・ノファリスタ、アティカー・ハシホラン
 配給:パイオニア映画シネマデスク
※2011年の第24回東京国際映画祭で上映され、アジア映画賞スペシャル・メンションを獲得した作品。カミーラ・アンディニ監督はガリン・ヌグロホ監督の娘です。字幕がありませんが、現地版予告編を付けておきます。

The Mirror Never Lies (Indonesian)


『シアター・プノンペン』
2014年/カンボジア/原題:The Last Reel
 監督:ソト・クォリーカー
 主演:マー・リネット、ソク・ソトゥン、トゥン・ソーピー
 配給:パンドラ
※2014年の第27回東京国際映画祭で『遺されたフィルム』という題名で上映された作品。これも女性監督の作品で、2015年のあいち国際女性映画祭でも上映されました。英語字幕付き予告編はこちら。

 The Last Reel - Official Cinema Trailer (English version)

東南アジア映画もどうぞよろしく! このほか、タイ映画の公開もチラと聞こえてきていますので、詳細がわかり次第お伝えします。


2015年インド映画興収ベスト10

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早くも花粉症に悩まされているcinetamaです。クシャミが出る出る~、で、あまりの暖かさを恨んでいます。やっぱり冬は寒くなくっちゃ。さて、興収ベスト10、今回はインドです。 

国内興収ベスト10

(1位の興収はこちらこちらの記事に依拠。2~10位の興収は、MT Wikikoimoi.comのうち額の大きい方を採用/1ルピー=1.8円) 

1.『バーフバリー:はじまりの章』Bahubali: The Beginning   51億1350万ルピー
    監督:S.S.ラージャマウリ
    主演:プラバース、ラーナー・ダッグバティー、アヌシュカー・シェーッティー、タマンナ-

Baahubali Trailer || Prabhas, Rana Daggubati, Anushka, Tamannaah || Bahubali Trailer  

※ヒンディー語版の興収だけでも11億1380万ルピーを上げており、テルグ語版、タミル語版の興収を合計するとダントツの1位に。日本での公開が待たれます。


2.『バジュランギー兄貴』Bajrangi Bhaijaan  32億870万ルピー
    監督:カビール・カーン
    主演:サルマーン・カーン、カリーナー・カプール、ナワーズッディーン・シッディーキー、ハルシャーリー・マルホートラー

Bajrangi Bhaijaan | Official Trailer with English Subtitles | Salman Khan, Kareena Kapoor

※インド+海外の歴代興収では、『PK』(2014)に続く第2位となる興収をあげた本作。かわいい子役のハルシャーリーと名脇役ナワーズの魅力、そして、印パ問題を上手に落とし込んだカビール・カーン監督の手腕も加わって、サルマーン・カーン作品としては最高の成績を残しました。これに続く、『愛という豊かな宝を得よ』と併せて、2015年はサルマーン・イヤーだったと言えます。

 

3.『愛という豊かな宝を得よ』Prem Ratan Dhan Payo  20億7400万ルピー
    監督:スーラジ・バルジャーツヤー
    主演:サルマーン・カーン、ソーナム・カプール、ニール・ニティン・ムケーシュ

Prem Ratan Dhan Payo Official Trailer | Salman Khan & Sonam Kapoor | Sooraj Barjatya

※作品としての評価はあまり高くなかったものの、2015年ディワーリー祭公開作品として大ヒットとなりました。

 

4.『バージーラーオとマスターニー』Bajirao Mastani  16億2350万ルピー
    監督:サンジャイ・リーラー・バンサーリー
    主演:ランヴィール・シン、ディーピカー・パードゥコーン、プリヤンカー・チョープラー

Bajirao Mastani Official Trailer with Subtitle | Ranveer Singh, Deepika Padukone, Priyanka Chopra

※実在の人物を描いた作品なので、公開時にはマハーラーシュトラ州の人々から「事実と違う」と抗議運動が起きたりしましたが、それを押さえて大ヒット。また、同時公開のシャー・ルク・カーン主演作『心ある人』よりもインド国内でヒットした、という結果は、人々に驚きを持って迎えられました。日本では12月に英語字幕での上映がありましたが、1月9日(土)と16日(土)にも追加上映があり、また1月30日(土)には関西での上映があります。詳しくはこちらをどうぞ。 

 

5.『続・タヌはマヌと結婚する』Tanu Weds Manu Returns  15億2000万ルピー
    監督:アーナンド・L・ラーイ
    主演:カングナー・ラーナーウト、R.マーダヴァン、ジミー・シェールギル

Tanu Weds Manu Returns | Official Trailer | Kangana Ranaut, R. Madhavan

※前作『タヌはマヌと結婚する』(2011)では、カングナー・ラーナーウトが演じるタヌことタヌージャーのトンデモ娘ぶりが大人気となりましたが、今回はそれに加えて、カングナーがクスムというクールでスポーティーな女性も演じて「一粒で二度おいしい」展開に。唯一と言っていい女性映画のヒット作として気を吐きました。 

 

6.『心ある人』Dilwale  14億1580万ルピー
    監督:ローヒト・シェーッティー
    主演:シャー・ルク・カーン、カージョル、ヴァルン・ダワン、クリティ・サノン

Dilwale Trailer | Kajol, Shah Rukh Khan, Varun Dhawan, Kriti Sanon | A Rohit Shetty Film

※「シャー・ルク・カーンの演じる役はいつも同じ、マンネリ気味」という批判も出て、海外興収では同日公開の『バージーラーオとマスターニー』を抑えたものの、国内では負ける結果に。2016年7月に公開が予定されているシャー・ルク主演の犯罪映画『ライース』に、早くも次の期待が集まっているようです。 

 

7.『誰でも踊れる2』ABCD2  10億5740万ルピー
    監督:レモ・デスーザ
    主演:ヴァルン・ダワン、シュラッダー・カプール、プラブデーヴァ

Disney's ABCD 2 | Trailer | Varun Dhawan | Shraddha Kapoor | Prabhudheva | In Theaters June 19

※前作『誰でも踊れる(ABCD=Any Body Can Dance)』(2013)のヒットを受けて作られた続編は、若手スターを投入して興収ベスト10入りを果たしました。ダンス監督のレモ・デスーザが監督しただけあって、今回もダンスシーンは見応えがあります。 

 

8.『ベイビー』Baby  9億5500万ルピー
    監督:ニーラジ・パーンデー
    主演:アクシャイ・クマール、タープシー・パンヌー、ラーナー・ダッグバティー

Exclusive: 'BABY' Official Trailer | Akshay Kumar | T-Series

※トリッキーな映画を作るのが得意なニーラジ・パーンデー監督の作品で、今回はアクションも本格的になりヒットしました。 

 

9.『ウェルカム再び』Welcome Back  9億4870万ルピー
    監督:アニース・バーズミー
    主演:ジョン・アブラハム、シュルティ・ハーサン、アニル・カプール、ナーナー・パーテーカル

Welcome Back | Official Trailer with English Subtitles | Anil Kapoor, Nana Patekar, John Abraham

※『ウェルカム』(2007)の続編。前作のアクシャイ・クマールに代わり、本作の主演はジョン・アブラハム。 

 

10.『シンは宝石』Singh Is Bliing  9億370万ルピー
    監督:プラブデーヴァ
    主演:アクシャイ・クマール、エイミー・ジャクソン、ラーラー・ダッター

Singh Is Bliing Official Trailer with English Subtitle | Akshay Kumar, Amy Jackson

※『シンは王様(Singh Is Kinng)』(2008)の続編的作品。「Kinng(King)」に続き「Bliing」という変な綴りの単語が出てきて、これが謎。ネットには、「Blingは人目を引く宝石のこと」という記述があるのですが....。


以上はインド国内での興収ですが、これに海外興収を合算すると少し順位が違ってきます。

国内+海外興収 (1ルピー=1.8円)

1.『バジュランギー兄貴』       62億6000万ルピー
2.『バーフバリー:はじまりの章』   60億2000万ルピー
3.『愛という豊かな宝を得よ』     43億1000万ルピー
4.『心ある人』              34億8790万ルピー
5.『バージーラーオとマスターニー』 32億1780万ルピー

『PK』(2014)の73億5000万ルピーには届きませんでしたが、『バジュランギー兄貴』と『バーフバリー』も堂々たる成績で、しばらくの間このベスト3の成績を抜く作品は生まれないのではと思います。『バーフバリー:はじまりの章』の続編『バーフバリー:決着の章(Bahubali:The Conclusion)』の公開は本年末に予定されており、こちらが前作を抜く成績を上げられるかどうかにも注目が集まっています。



 


奈良に来ています

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50数年ぶりに奈良市内にやってきました。なら国際映画祭が毎月開催している「ならシネマテーク」という上映会で、今月はインド映画『マダム・イン・ニューヨーク』(2012)が取り上げられるため、そのトーク・ゲストとしてお邪魔するのです。詳しくはこちらをどうぞ。


今回は新幹線を京都で降り、近鉄線に乗り換えての奈良入りでした。その前に、新幹線の中で驚いたことが一つ。途中目にした富士山に、ほとんど雪がなかったのです。この半世紀ぐらいの間に何度となく冬の富士山を見てきていますが、こんな姿、「真白き富士の嶺」ならぬ「まだらの富士の嶺」は初めてです。地球温暖化に強く反対しましょう、お富士さま!


さて、京都から西大寺を経由して奈良まで行ける近鉄京都線。私にとって近鉄奈良線は大学時代からお馴染みの路線で、上六から鶴橋、布施、花園(大阪外大の寮がラグビー場のすぐそばにあった)、石切、生駒などなどは、何度往復したかわかりません。でも京都線は初めてで、沿線の景色につい見入ってしまいました。東寺の塔も見えました。


で、今夜は奈良ホテルに泊まっています。明日はなら国際映画祭の方で用意して下さったホテル(こっちはちょいいわくのあるホテルで、そのお話はまた明日にでも)に泊まるのですが、もう1泊は前から泊まってみたかった奈良ホテルに、というわけで、1日早く奈良入りしたのでした。奈良ホテルのことは、皆様ご存じだと思いますが、1909年創業の由緒あるホテルです。


建物をざっと写してみました。


上は正面玄関とその右翼の建物です。下は2階へ上がる階段と、上がった踊り場にあるロビー。

庭には鹿もいます。

お部屋は旧館で、スチームがとっても暖かくて、鼻や喉の弱い私には、エアコンでない暖房が何よりもありがたいです。お部屋にもマントルピースがあり、鏡台もクラシック。


さて、今日はこれから、打ち合わせにならシネマテークの会場奈良女子大に行ってきます。明日は2回の上映のあとトークをするのですが、さて、どんなネタがいいでしょうねー。今日の上映も含んだ、ならシネマテークの上映予定は次の通りです。


開催日時

1月8日 (金)10:00/14:00/19:00
1月9日 (土)14:00/19:00
1月10日(日)11:00/15:00

開催場所

奈良女子大学 講堂
奈良県奈良市北魚屋西町

料金

当日券:500円
上映1時間前より当日券配布(先着順)
各回入替制

また、会場でなら国際映画祭の皆さんが、「インド映画完全ガイド」を販売して下さっているので、そのお手伝いもちょっとしようかと思っています。トークが終わったら本の販売場所にいますので、お声を掛けて下さいね。本ブログをいつも見て下さってる方は、「『アジア映画巡礼』見てまーす」と言って下さったら、ささやかなプレゼントを差し上げますので、ぜひ一声どうぞ。では、皆様にお目にかかれるのを楽しみにしています~。


ならシネマテークのお仕事

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奈良にかつて存在した映画館尾花座。その跡に作られたホテル・サンルート奈良に移動してきました。さあ、いよいよ本番のお仕事です。まずホテルの入り口にある、尾花座の石碑をパチリ。高校の先輩、桂米朝さんの揮毫によるもので、これを拝みたかったのです。


実は、こんな映画館だった尾花座をしのんで、昨夜一足先にホテル・サンルート奈良の和食レストラン「おばな」に行ってきました。ここは会席料理のコースが何種類かあるのですが、ホテルの宿泊客向けにリーズナブルなコース「おばな」というのが作られています。それを知らずに行った私は、「明日ここに泊まるんですが、今日、このコースをいただいてはダメですか?」とずうずうしく言ってみたところ、「はい、かまいませんよ。どうぞどうぞ」と係員の方がやさしく言って下さって、めでたく「おばな」を頂戴することができました。こういう融通性のあるお店、素晴らしいですね~。


「おばな」コースはお味もすばらしく、初春らしい献立で十二分に満足させていただきました。上は左から順番に、先附(ブロッコリー、湯葉、柚子麩、人参、大根、酢味噌かけ)、煮物椀(お清まし仕立てで、助子真丈、しゃぶ餅、白木耳、で柚子の香りつけ)、炊合わせ(蕪蒸しで中には鰆、百合根、銀杏で、山葵が乗り、吉野葛の餡掛けが全体に)という本日のベスト3。器も凝っていて、目でもおいしさを感じさせてくれます。お料理は最後のデザート(何とおぜんざい!)まで入れると全8種で、お腹がいっぱい、どころか200%満杯になりました。普通は1時間半ほどかけてゆっくりといただくコースなのですが、「午後8時に約束があって...」というと、15分ぐらい早回し(?)で供して下さり、こちらもとっても助かりました。


その後腹ごなしを兼ねて奈良女子大の講堂へ。『マダム・イン・ニューヨーク』の上映は、この日は終了後事務局の中野さんがまとめのトークをなさっていました。観客の方にマイクを向け、感想を聞いたりもなさるのですが、驚いたことに観客の皆さんはものおじせずにどんどん発言なさっています。素晴らしいですね、奈良の皆さん。

この中野さんは、『マダム・イン・ニューヨーク』の提供元ビオスコープの社長というか、大企業のサラリーマンを辞めてインド映画を買ってしまった人として有名な大向敦さんの従妹さんです。大向さんは小さい時から、伯父さんの経営しておられる映画館尾花座(尾花劇場)に入り浸っていたそうで、映画の虫が最後はインド映画に着地した、というわけなのでした。なお、『マダム・イン・ニューヨーク』ともう1本のビオスコープ作品『ダバング 大胆不敵』のポスターなどを担当なさった図案計画のデザイナーのルフィさん(「ワンピース」のルフィそっくり!)こと坂東さんも、大向さんと小学校からの同級生で、つまり「コンビ奈良」がこの2本を日本で有名にしたと言っても過言ではありません。というわけで、ある意味『マダム・イン・ニューヨーク』@奈良は凱旋上映でもあるのです。


今回の上映会場は奈良女子大(左はかわいい正門で、その向こうに見える記念館と共に何と重要文化財)の講堂(右写真)。奈良女子大も歴史が古い大学で、私の遠縁の女性(稲葉文枝と言います。遺伝学の研究者だったらしい)が先生をしていたこともあり、昔からご縁のあった大学でした。この大学に行く途中には、古ーい映画ポスター掲示板がまだ残っていて、今はなくなってしまった奈良市内の映画館の名前が読み取れました。


奈良の街中にはもう映画館が1軒もなく、それもあって、なら国際映画祭のスタッフの皆さんがシネマテークという名前で自主上映を続けておられるのですが、この掲示板、「中央劇場」「奈良観光会館地下劇場」「奈良三条通り谷井興行KK」というような文字が読み取れます。今朝の新聞の映画案内欄には、「イオンシネマ西大和」「シネマサンシャイン大和郡山」などのシネコン名がいくつか載っているものの、市内の目抜き通りにあって、ちょっと仕事帰りに寄って見ていこう、というような映画館はもう姿を消して久しいのだとか。ミニシアター系の作品を見たい時には、皆さん大阪や京都まで行ってご覧になるのだそうです。

でも、なら国際映画祭が始まってから、少しずつ状況は変わってきているのでは、と思います。その一つがこのシネマテークでの上映で、作品選択もナイスなら、観客の皆さんもこれまたナイス。事務局には、高校生、大学生のボランティアの皆さんもいて、未来の映画ファンが育っている感じでした。というわけで、事務局の皆さんとパチリしました。今回だけ、例外的にcinetamaが素顔を出しています(お見苦しくてすみません;;;)。みなさんが抱えて下さっている「インド映画完全ガイド」もよく売れて、本当にありがたかったです。

で、最後に、『マダム・イン・ニューヨーク』に関して、観客の皆様や事務局の皆様から出た質問で、特に多かった3つをまとめておきます。 

1.原題が「English Vinglish」ですが、「Vinglish」ってどういう意味?

→「何かかにか」の場合の「かにか」に当たる言葉で、ゴロ合わせで作られた言葉です。

 

(C)Eros International Ltd

2.オープニングタイトルで、スタッフ・キャストの名前や担当名の英語が一部、赤字で違う文字に変わりますが、あれは?

→同じ音のヒンディー語の文字(デーヴァナーガリー文字と言います)に変わっています。下のポスターのように、「ENGLISH VINGLISH」の最初の「G」と、2番目の単語の最後の「SH」が「ग」と「श」に変わっていますね。本来なら「ग」は「ga」、「श」は「sha」という発音であるものの、いくつかの法則性(次に長母音が来た時や、語末だったりすると「a」の音が落ち、子音のみとなる)により「g」「sh」の音にもなるので、これを見たインド人は「インガリッシュ」ではなく「イングリッシュ」、「ヴィングリッシャ」ではなく「ヴィングリッシュ」と読める、というわけなのでした。オープニングタイトルを細かく見てみると、観客が元の発音で読みやすいところがデーヴァナーガリー文字に変化させてあります。ぜひ、DVDで確認してみて下さい。


3.中にラドゥというお菓子が出てきますが、あれはどうやって作るのですか?

→ラッドゥ(laddu)の方が正確な発音に近いのですが、まん丸に固めた甘いお団子ですね。ベーサンと呼ばれるひよこ豆(チクピー)の粉で作るのが一般的で、映画の中ではゆるく溶いたタネを穴あき杓子から油の中に落として小さな揚げ玉を作り、それをシロップで固めていたと思います。ベーサンに砂糖やギー(インドのバターのようなもの)を混ぜてそのまま丸めるやり方もあり、アーターと呼ばれる全粒粉を使うものもあるようです。インドのお菓子屋さんでもよく売っていますが、ヒジョーに甘いです。大きさは、日本の月見団子ぐらいのものから、ゴルフボール大ぐらいまでが多いです。

(C)Eros International Ltd

奈良での『マダム・イン・ニューヨーク』上映、2日間続けて見に来て下さった方や、「ブログ、読んでます」と言って下さった方、わざわざ大阪から来て下さった朝日カルチャーの方などなど、楽しい出会いがいろいろありました。なら国際映画祭の皆様、お世話になりましてありがとうございました! また来たい、奈良&ならシネマテークでした。



アイディアが見事な韓国映画『ビューティー・インサイド』

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やっと1月らしい寒さになってきましたね。数年前まではこの時期になると韓国へ行って、映画を見たり資料収集をしたりしていたのですが、よく大雪や零下10数度という寒さに悩まされたものです。最近は、韓国映画が本国公開から間をおかずして日本でも公開されるようになり、すっかり韓国ともご無沙汰になっています。でも今年はあまり寒くなくて動きやすいと思うので、ちょっと行ってみたい気がふつふつと。どうも、奈良に行ってから、旅行の虫がもぞもぞとうごめき出したようです。

さて、その韓国映画から、またまたとんでもない作品が誕生しました。脚本の出来と俳優の演技のうまさにはいつもうならされている韓国映画ですが、今日ご紹介する作品はアイディアでアッと言わせられる1本です。タイトルは『ビューティー・インサイド』。これだけだと女性の美しさの話かと思ってしまうのですが、いえいえいえ、思いも寄らないアイディアを使った作品で魅了されます。まずは、基本データとストーリーをどうぞ。

(C)2015 NEXT ENTERTAINMENT WORLD. All Rights Reserved.

『ビューティー・インサイド』 公式サイト

2015年/韓国/127分/原題:뷰티 인사이드(Beauty Inside)
 監督:ペク
 主演:ハン・ヒョジュ、パク・ソジュン、上野樹里、イ・ジヌク、キム・ジュヒョク、ユ・ヨンソク他
 配給:ギャガ・プラス
 宣伝:田中館、菅野
※1月22日(金)よりTOHOシネマズ新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次大公開!


主人公は、29歳のウジン。家具デザイナーとして友人サンベク(イ・ドンフィ)と共に著名な家具工房を持っている彼には、重大な秘密がありました。それは何と、眠りについてから次に目覚めると、まったくの別人に変わってしまうという”病気”でした。これが発症したのは高校生の時からで、ある朝起きるとウジンは、額が後退した中年男(ペ・ソンウ)に変身していたからさあ大変! 母(ムン・スク)は冷静に受け止めてくれ、以後、母と親友サンベクのみがこの秘密を共有して彼を支え、何とかウジンは社会生活を続けてこられたのでした。

ウジンが変身する人間は千差万別。同じ年頃の男子もいれば、年寄りも子供もいますし、女性への変身も頻繁に起こります。時には金髪碧眼の外国人女性になることもあり、まったく予測のつかない、目覚めた時の「出たとこ勝負」的変身なのです。ところが、そんなウジンがアンティーク家具専門店で働く女性イス(ハン・ヒョジュ)に一目惚れしてしまったため、話がややこしくなっていきます。様々な姿でイスに会ったあと、若くてイケメンの姿になった日に彼女に話しかけ、ずっと眠らずその姿を保っていようとしますが、3日目についウトウトしてしまい....。こんなウジンの恋は実るのでしょうか。

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これまで映画で、一人二役、一人三役というような試みはいっぱいなされてきましたが、反対に二人で一人を演じるというのは年齢変化を表すなどごく限られた場合のみ、が普通でした。それを、『ビューティー・インサイド』では何と123人がウジンという一人の人物を演じるのですから、何とも大胆な試みです。こんな設定では見ている方も大混乱....かと見るまでは思っていたのものの、不思議なことに、何とも自然に画面で起こる現実を受け入れていけるのです。それどころか、むくつけきヒゲのおじさんになったウジン(キム・サンホ)や、イスと初めて会う時の知的な中年ウジン(イ・ボムス)の中に、その前の若いイケメンのウジン(ト・ジハン、パク・ソジュン(下の写真)など)の残像をつい求めてしまったりと、すっかり映画の中に引き入れられてしまったのでした。

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ウジンが女性になった時も、まったく違和感なく見ていられるのですが、それは日本人女性になったウジン(上野樹里/下写真)のように、演じる俳優たちの演技がごく自然体であることも関係しているのかも知れません。ペク監督はこれが監督第1作とのことですが、確かな演出力を感じさせてくれます。

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ほかにウジンとして登場する俳優たちの中には、主役級の大スターであるキム・ジュヒョク(下写真)や、

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『尚衣院-サンイウォン-』(2014)の若き王様役で印象的な演技を見せたユ・ヨンソク(下写真)、

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『怪しい彼女』(2014)では細面のTVプロデューサーだったのに、本当はマッチョな人だったイ・ジヌク(下写真)らがいます。このイ・ジヌクの登場場面は、ちょっとトーンが変わっていて面白いです。

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とはいえ、こんなめまぐるしい現実を受け入れる相手、イスの方は相当大変には違いなく、それゆえにストーリーは一度転換点を迎えます。そこから2人の関係がどうなっていくのかがまた実に巧みに描かれるのですが、こんな風に「毎日姿の変わる男」を描きながらも、その底では普遍的な愛の物語を描いているところがこの映画の良さと言えるでしょう。ドタバタ劇に陥ることなく、むしろしっとりしたラブストーリーになっていて、見終わった後どのウジンのシーンも印象に残ります。ウジンの変身が何に起因しているか、というのが最後に明かされたりするのが不要なぐらい、123人が形象するウジンを抵抗なく受け入れられる不思議な作品でした。下に、海外版の予告編を付けておきます。

The Beauty Inside Official Trailer #1 (2015) - Jin-wook Lee, Hyo-ju Han Korean Romantic Drama HD

こんな未知の領域に踏み込んだ作品を世に出す韓国映画、やっぱりタダモノではありません。ぜひ、大画面でこの不思議な感覚を味わってみて下さい。なお、ハン・ヒョジュは目下来日中で、明日1月14日(木)には虎ノ門のニッショーホールでの試写会イベントに登壇の予定です。取材記事がいっぱい出ると思いますので、ファンの方はチェックしてみて下さいね。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

さて、お陰様でこのブログも丸5年を迎えることができました。本日までのトータル訪問者数は784,222人、ページビューは2,695,211です。これからも、どうぞよろしくお願い致します。

そんな時に、悲しいお知らせが届きました。字幕翻訳者として活躍しておられた太田直子さんが、1月10日、ガンのため亡くなられたそうです。享年56。元々は天理大学と早稲田大学でロシア語・ロシア文学を専攻した方で、英語とロシア語の作品の字幕が多かったのですが、『初恋のきた道』(1999)などアジア映画の字幕もたくさん担当、またインド映画も『頭目(ダラパティ 踊るゴッドファーザー)』(1991)などの字幕を担当して下さっています。さらに名エッセイストとしても知られ、「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」(光文社新書、2007年)、「字幕屋のニホンゴ渡世奮闘記」(岩波書店、2013年)、「字幕屋に「、」はない」(イカロス出版、2013年)などのエッセイ集というか、鋭い字幕論も残しておられます。その上マンガもお上手で、よくタバコをくゆらす自画像を描いておられました。「字幕屋のニホンゴ渡世奮闘記」では、カットも自ら手がけておられます。

こちらのラジオ番組のサイトに、お写真がいっぱい載っていました。太田直子さんのご冥福をお祈りします、と書いていてもいまだ信じられず、「私を勝手に殺さないでよぉ」と斜め下を向いた眼差しの太田さんからお叱りを受けそうな気がしてしまいます。字幕翻訳界にとって、本当に大きな損失です....。

 

南インド映画上映会のお知らせ

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Periploさんからお知らせをいただきました。本年のマラヤーラム語映画上映第1号です。年末にインドに行ってらしたPeriploさんのお話だと、「インドで2回見ましたが、自信を持ってお勧めできる1本だと思います」とのこと。主演が昨年のTIFFで上映された『OK Darling』のドゥルカル・サルマーンなので、あの映画で彼のファンになった方は必見です!

Charlie 2015-Malayalam film poster.jpg 

『Charlie(チャーリ)』

2015年/マラヤーラム語/130分/英語字幕
 監督:マールティン・プラッカート
 主演:ドゥルカル・サルマーン、パールヴァティ・メーノーン、アパルナ・ゴーピナート
■日時:2016年1月24日(日)午後3:00~
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ・彩の国Visual Plaza 
■料金:大人1,800円
■主催:セルロイド・ジャパン HP 

Charlie stills 5

ドゥルカル・サルマーンはご存じのように、マラヤーラム語映画の大御所スターであるマムーティの息子です。『OK Darling』(2015)はマニラトナム監督によるタミル語映画でしたが、今回はホームグラウンドのマラヤーラム語映画で勝負! 一方ヒロインのパールヴァティ・メーノーンは、人気作『Bagalore Days』(2014)でもドゥルカル・サルマーンと共演していましたね。このあたり、詳しくはPeriploさんのブログをぜひお読み下さい。また、カーヴェリ川長治さんのブログも大いにご参考になるかと思います。

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私にとって「おお!」なのは、1980年代・90年代のマラヤーラム語映画でお馴染みだったネドゥムディ・ヴェーヌが老人役で出ていること。彼の初出演作であるアラヴィンダン監督の『サーカス』(1978)は、我々が主催した第1回インド映画祭(1983)で上映したのですが、それ以降、芸術系の作品と言えばこの人が出ている、という状態が長く続きました。今IMDbを見てみると、何と出演作品が358本も! 2000年代に入っても、たくさんの作品に出演していたのですね。

Charlie stills 8Charlie stills 11

不思議な映画らしい『Charlie』、予告編はこちらです。

Charlie Malayalam Movie Official Trailer HD - Dulquer Salmaan - Parvathy - Martin Prakkat - Unni R


なお、うっかりしていたのですが、明日、1月17日(日)、スペースボックスの主催でタミル語映画『Rajinimurugan』の上映もあるようです。興味がおありの方は、主催者サイトをご覧下さい。以前こちらでご紹介したのですが、上映延期になっちゃった作品ですね。雑な紹介の仕方で申し訳ありませんが、取り急ぎお知らせまで。 

 



「シーズン・オブ・レイ」ふたたび

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2015年9月に開催された、「シーズン・オブ・レイ」。本ブログでもこちらでご紹介したのですが、インドの偉大な映画監督サタジット・レイの作品2本、『チャルラータ』(1964)と『ビッグ・シティ』(1963)を日本で再び公開する、というもので、デジタル処理された美しい画面は新たなサタジット・レイ・ファンを生んだのでは、と思います。

その「シーズン・オブ・レイ」が帰ってきました。しかも首都圏では、横浜と早稲田、2箇所での上映となります。

『チャルラータ』

1964年/インド/ベンガル語/119分/B&W/原題:Charulata
監督・脚色・音楽:サタジット・レイ
原作:ラビンドラナート・タゴール
主演:マドビ・ムカージー、ショウミットロ・チャタージ、ショイレン・ムカージ

サタジット・レイ監督は、タゴールの原作で3本の作品を作っています。『三人の娘(Teen Kanya)』(1961)、『チャルラータ』、そして『家と世界』(1984)ですが、そのほかにドキュメンタリー作品として『詩聖タゴール』(1976)も撮っており、タゴールへの深い理解と心酔を感じさせます。これらの作品は『三人の娘』以外はすべて日本公開されており、サタジット・レイとタゴールというベンガル文化二大巨人の顔合わせが、日本の観客にも大きくアピールしました。『チャルラータ』はタゴールの原作では「毀れた巣」というタイトルになっていて、日本でも「タゴール著作集第四巻」に大西正幸さんの訳で収められています。


『ビッグ・シティ』

1963年/インド/ベンガル語/131分/B&W/原題:Mahanagar/英語題:The Big City
監督・脚色・音楽:サタジット・レイ
原作:ナレンドラナート・ミットラ
主演:マドビ・ムカージー、アニル・チャタージー、ジョーヤ・バドゥリ

こちらは、サタジット・レイのモダンな側面が出た興味深い作品です。女性が外で働くということを巡って、本人の内面や家族の間で起きる葛藤、妥協、意識の目覚めといったものが、うまく描かれています。ここに描かれる現象は、当時アジアのいろんな国で起こっていたことでは、と思いながら以前見たのですが、昨年見直してみて気がついたのは、ヒロインの同僚となるアングロ・インディアン(イギリス人の血が入った人々)の女性は常に偏見の目で見られている、というところ。19世紀をピークに、1911年に都がデリーに移るまで英領インドの中心地だったベンガル地方にはアングロ・インディアンが多く住んでいて、彼らを主人公や脇役にした作品が何本もあるのですが、『ビッグ・シティ』もその系譜に入れていい作品かも知れません。


プレイタイムの配給による「シーズン・オブ・レイ」、公式サイトはこちらですが、今回は下の2箇所で上映されます。

 

●シネマ・ジャック&ベティ アクセス

 1月23日(土)~2月5日(金)
 1日1回、両作品が日替わりで上映されます。詳しいスケジュールはこちら

 1月31日(日)の『チャルラータ』上映(14:10~16:15)後には、cinetamaが短いトークをさせていただくことになっています。お近くの方はぜひお運び下さい。昔ながらの良き映画館の雰囲気を持つ、素敵なミニシアターです。下の写真は、12月28日にイラン映画『ボーダレス ぼくの船の国境線』(すごく見応えのある作品でした!)を見に行った時にパチリしました。


●早稲田松竹 アクセス 

 1月30日(土)~2月5日(金)
 こちらは1日まるまる「シーズン・オブ・レイ」で、『チャルラータ』が3回、『ビッグ・シティ』が2回上映されます。詳しいスケジュールはこちら

最後に、『チャルラータ』の中で出てくる歌「Ami Chini Go Chini Tomare, O Go Bideshini(あなたのことを知っていますよ、他国から来た娘さん)」のシーンを付けておきます。映画の中ではいくつか、タゴールの詩に曲を付けた歌(「タゴール・ソング」と呼びます)が出てきますので、どうぞお楽しみに。

AMI CHINI GO CHINI - CHARULATHA

<追記>

この歌詞の訳がどうなっているのか、「シーズン・オブ・レイ」のパンフレットでちょっと調べてみました。このパンフには、両作品の再録シナリオが掲載されているのです。「私は知ってる 異国から来たお嬢さん」となっていました。

あと、最初に日本で公開された時のパンフを見てみると(これにもシナリオが採録されています。岩波ホールでの上映作品は、全部かどうかはわからないのですが、パンフにシナリオが掲載されているのでとても助かります)、何と歌の部分には音譜の記号が! というわけで、「♬ 私は知っている 外国生まれの娘さん」となっていました。1975年の初公開当時、パンフを見た時にはこんな配慮に全然気がつかなかったのですが、今見ると「その音譜の記号にザブトン1枚!」という感じですね~。

 

中国のドキュメンタリー映画上映会

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専修大学の土屋先生から、中国のドキュメンタリー映画上映と討論、というイベントのご案内が届きました。いただいたメールをそのまま、コピペさせていただきます。

★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★ 

 ⦿上映と討論…………………………………………………………

胡傑監督 インディペンデント・ドキュメンタリー作品
『星火』 字幕修訂版
『文革宣伝画』 本邦初公開!

場所:専修大学神田校舎(地下鉄神保町)
日時:2016年2月6日(土)
『星火』 上映  14:00 ~ 15:40 終了後討論30分 102 教室
『文革宣伝画』 上映 16:30 ~ 17:40 終了後討論1時間 102 教室
参加自由、申込み不要

コメント:土屋 昌明(専修大学社会科学研究所)
主催・問合せ:専修大学社会科学研究所特別研究助成土屋グループ 
the0561 @ isc.senshu-u.ac.jp

❖作品『星火』は、1960 年中国甘粛省で発生した、知識人による反体制地下活動に対する政権の弾圧事件を扱ったドキュメンタリーである。
❖作品『文革宣伝画』は、文革中に作成されたプロパガンダ・ポスターの作家たちやコレクターにインタビューして、プロパガンダ・ポスターとは何なのかを追及したドキュメンタリーである。


ご興味がおありの方はぜひどうぞ。


 

2015年香港映画興収ベスト10

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旧正月も近くなったので、香港映画の興収ベスト10もお知らせしておきましょう。ソースはこちらの記事です(最初、浦川とめさんのブログで教えていただきました、多謝!)。

★   ★   ★   ★   ★   ★   ★

第1位 『Little Big Master(原題:五個小孩的校長)』 4700万香港ドル 
 監督:關信輝(エイドリアン・クワン)
 主演:楊千[女華](ミリアム・ヨン)、古天楽(ルイス・クー)
※昨年のアジアフォーカス・福岡国際映画祭でも上映され、その時のタイトルがここに書いた英語原題でした。確かに、春大ヒットになっていましたが、こんなに支持を集めたとは。香港の観客は、やはり香港らしい物語が好き、という証明ですね。

電影【五個小孩的校長 Little Big Master】 香港預告 HK Trailer


第2位 『我的少女時代(私の少女時代)』 4393万香港ドル
 監督:陳玉珊(フランキー・チェン)
 主演:宋芸樺(ヴィヴィアン・ソン)、王大陸(ワン・タールー)、李玉璽(ディノ・リー)
※女性監督フランキー・チェンは、数々のヒットドラマを世に出した人。この青春映画が初監督作品とのことですが、青春ノスタルジーものというジャンルに加え、劉徳華(アンディ・ラウ)や言承旭(ジェリー・イェン)もゲスト出演しているそうで、台湾でも大ヒットしました。

電影【我的少女時代】正式預告終極版 -1080P高畫質版 -8月13日勿忘我!


第3位 『賭城風雲2(澳門風雲2)』 2840万香港ドル
 監督:王晶(ウォン・チン)
 主演:周潤發(チョウ・ユンファ)、張家輝(ニック・チョン)、劉嘉玲(カリーナ・ラウ)
※香港と中国では公開タイトルが違っているため、両方併記してあります。賭け事と發哥と言えば、香港ではもう鉄板です!

《賭城風雲2》電影預告


第4位 『12金鴨(12人の輝くホスト)』 2430万香港ドル
 監督:鄒凱光(マット・チョウ)
 主演:呉君如(サンドラ・ン)、劉浩龍(ウィルフレッド・ラウ)、姜皓文(フィリップ・キョン)

《12金鴨》終極預告 12 GOLDEN DUCKS final trailer


第5位 『衝上雲霄(空での勝利)』 2163万香港ドル
 監督:葉偉信(ウィルソン・イップ)、鄒凱光(マット・チョウ)
 主演:古天樂(ルイス・クー)、鄭秀文(サミー・チェン)、呉鎮宇(ン・ジャンユー)、張智霖(ジュリアン・チョン)
※人気テレビドラマの映画版。ドラマの時より俳優陣がちょい豪華になっています。

【衝上雲霄】Triumph In The Skies - Regular Trailer


第6位 『葉問3(イップ・マン3)』 2050万3700香港ドル
 監督:葉偉信(ウィルソン・イップ)
 主演:甄子丹(ドニー・イェン)、熊黛林(リン・ホン)、張晋(チャン・ジン)

葉問 3 IP Man 3 Official Teaser Trailer 2 (24th Dec 2015 Legend Continues)


第7位 『セーラ』 1700万香港ドル
 監督:邱禮濤(ハーマン・ヤウ)
 声優:任達華(サイモン・ヤム)、蔡卓妍(シャーリーン・チョイ)
※原題は『雛妓』で、このタイトルで昨年の大阪アジアン映画祭で上映されました。

《雛妓》香港預告片 Trailer


第8位 『陀地軀魔人(暗黒の保持者)』 1675万香港ドル
 監督:張家輝(ニック・チョン)
 主演:張家輝(ニック・チョン)、張継聰(ルイス・チョン)、郭采潔(アンバー・クオ)
※『盂蘭神功』(2014)に続くニック・チョンの監督作品。ダーク路線がお好みのようですが、ヒットさせるとは立派。

Keeper of Darkness 陀地驅魔人 2015 Film Trailer


第9位 『ヘリオス 赤い諜報作戦』 1615万香港ドル 公式サイト
 監督:陸劍青(サニー・ルク)、梁樂民(リョン・ロクマン)
 主演:張學友(ジャッキー・チュン)、張家輝(ニック・チョン)、余文樂(ショーン・ユー)、チ・ジニ
※日本でも現在公開中のサスペンス映画。香港、中国、韓国の豪華俳優陣顔合わせが話題に。

映画『ヘリオス 赤い諜報戦』予告編

 

第10位 『殺破狼2(S.P.L.2)』 1342万香港ドル
 監督:鄭保瑞(ソイ・チェン)
 主演:トニー・ジャー、呉京(ウー・ジン)、任達華(サイモン・ヤム)
※主演がドニー・イェンからトニー・ジャーに代わったSPLシリーズ第2作。日本での公開は?

S.P.L. 2 殺破狼 II [HK Trailer 香港版預告]


★   ★   ★   ★   ★   ★   ★

中国での興収第1位だった『モンスター・ハント(原題:捉妖記)』は、なぜか香港ではヒットとならず、第16位で興収は967万香港ドル(約1億5000万円弱)。點解呀??


タイ映画ファンの皆様、お待たせしました!

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タイ映画の公開情報が、2つ届きました。まず、一昨年の東京国際映画祭(TIFF)特集上映「魅惑のタイ」で上映されて好評だった『先生の日記』(2014)が、『すれ違いのダイアリーズ』というタイトルになって5月に公開されます。また、日本では2001年に公開されて旋風を巻き起こした『アタック・ナンバーハーフ』(2000)の続編(?)かと思われる『アタック・ナンバーハーフ・デラックス』(2014)も、4月30日から公開される予定。まだ試写のご案内をいただいただけなので、詳しいご紹介は後日また、ということで、簡単なデータだけですがアップしておきます。

 ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆

『アタック・ナンバーハーフ・デラックス』
2014年/タイ/111分/英語原題:Iron Ladies Roar!

 監督・脚本:ポット・パセート
 出演:ラッタプーン・トーコンサップ、ウォラチャイ・シリコンスワン、スダーラット・ブットプロム、パランユー・ロジャナワティタム、パドゥン・ソンセーン、チャイワット・トンセーン
 配給:アクセスエー、シネマハイブリッドジャパン
 配給協力:ニチホランド
 宣伝:村井卓実、長村亜紀
※4月30日(土)よりシネマート新宿ほか全国アタックロードショー

 『アタック・ナンバーハーフ・デラックス』特報

 

『すれ違いのダイアリーズ』 公式サイト(まだ工事中のようです)
2014年/タイ/110分/英語原題:The Teacher's Diary


 監督:二ティワット・タラトーン
 出演:スクリット・ウィセートケーオ、チャーマーン・ブンヤサック
 配給・宣伝:ムヴィオラ
※5月シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテほか全国ロードショー

 [日本語字幕]キットゥンウィタヤー(???????????、「先生の日記」)予告編

 

 ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆ 

あと、タイ映画ではありませんが、以前ちょっとお伝えしたカンボジア映画も公開予定。2016年は東南アジア映画が熱い!

『シアター・プノンペン』
2014年/カンボジア/原題:The Last Reel


 監督:ソト・クォーリーカー
 主演:マー・リネット、ソク・ソトゥン、トゥン・ソーピー
 配給:パンドラ
※7月2日(土)より岩波ホールにてロードショー

 

第10回アジア・フィルム・アワード、ノミネート発表(上)

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本日は立春。2月8日の旧正月も目前に迫ってきました。そんな時、香港に本拠を置くアジア・フィルム・アワードのノミネート作品が発表されました。今年10回を迎えるアジア・フィルム・アワード、どうしても東アジア映画が中心となりますが、今年はインド映画も作品賞にノミネート! さて、初の作品賞受賞なるか!? (記事が長くなってアップできないので、2つに分けました)

★作品賞(Best Film/最佳電影)

 『山河ノスタルジア』(フランス、日本、中国)→4月23日(土)より公開予定
 『黒衣の刺客』(香港、中国、台湾)
 『Bajirao Mastani(バージーラーオとマスターニー)』(インド)
 『恋人たち』(日本)
 『老炮兒(チンピラの六)』(中国)
 『ベテラン』(韓国)

Mountains May Depart.jpgBajirao Mastani Poster 2.jpgMr Six poster.jpg

★監督賞(Best Director/最佳導演)

 賈樟柯(ジャ・ジャンクー)『山河ノスタルジア』(フランス、日本、中国)
 侯孝賢(ホウ・シャオシェン)『黒衣の刺客』(香港、中国、台湾)
 是枝裕和『海街diary』(日本)
 管虎(グアン・フー)『老炮兒(チンピラの六)』(中国)
 リュ・スンワン『ベテラン』(韓国)

★主演男優賞(Best Actor/最佳男主角)

 甄子丹(ドニー・イェン)『葉問3(イップ・マン3)』(香港)
 長瀬正俊『あん』(日本)
 馮小剛(フォン・シャオガン)『老炮兒(チンピラの六)』(中国)
 イ・ビョンホン『インサイダーズ/内部者たち』(韓国)→3月11日(金)より公開予定
 ジョン・アルシラ『Heneral Luna(ルナ将軍)』(フィリピン)

Ip Man 3 poster.jpgHeneral Luna film poster.jpg

★主演女優賞(Best Actress/最佳女主角)

 趙濤(チャオ・タオ)『山河ノスタルジア』(フランス、日本、中国)
 舒淇(スー・チー)『黒衣の刺客』(香港、中国、台湾)
 綾瀬はるか『海街diary』(日本)
 キム・ヘス『コインロッカーの女』(韓国)
 林嘉欣(カリーナ・ラム)『百日草』(台湾)

★助演男優賞(Best Supporting Actor/最佳男配角)

 張晋(マックス・チャン)『葉問3(イップ・マン3)』(香港)
 白只(ミカエル・ニン)『踏血尋梅(Port of Call)』(香港)
  浅野忠信『岸辺の旅』(日本)
 オ・ダルス『暗殺(原題)』(韓国)
 鄭人碩(レクセン・チェン)『酔生夢死』(台湾)

Port of Call.jpgThe Lost Legend poster.jpg「韓国映画 黒い司祭たち ポスター」の画像検索結果

★助演女優賞(Best Supporting Actress/最佳女配角)

 周韵(ジョウ・ユン)『黒衣の刺客』(香港、中国、台湾)
 土屋アンナ『GONIN サーガ』(日本)
 顔卓霊(チェリー・ガン)『尋龍訣(食屍鬼)』(中国)
 上野樹里『ビューティー・インサイド』(韓国)
 パク・ソダム『黒い司祭たち(原題)』(韓国)

★新人俳優賞(Best Newcomer/最佳新演員)

 ヴィッキー・カウシャル『Masaan(火葬場)』(インド)
 春夏(ジェッシー・リー)『踏血尋梅(Port of Call)』(香港)
 藤野涼子『ソロモンの偽証』(日本)
 キム・ソリョン『江南ブルース』(韓国)
 李鴻其(リー・ホンチ)『酔生夢死』(台湾)
 ワラントーン・パオニン『スナップ』(タイ)

Masaan poster.jpgTalvarFilmPoster.jpg

(下)に続く。

第10回アジア・フィルム・アワード、ノミネート発表(下)

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(上)から続きます。

★脚本賞(Best Screenwriter/最佳編劇)

 賈樟柯『山河ノスタルジア』(フランス、日本、中国)
 翁子光『踏血尋梅(Port of Call)』(香港)
 ヴィシャール・バールドワージ『Talvar(剣)』(インド)
 宇治田隆史、黒沢清『岸辺の旅』(日本)
 リュ・スンワン『ベテラン』(韓国)

★編集賞(Best Editor/最佳剪接)

 張叔平、翁子光ほか『踏血尋梅(Port of Call)』(香港)
 ラージェーシュ・パーンデー『Bajirao Mastani(バージーラーオとマスターニー)』(インド)
 大関泰幸『バクマン。』(日本)
 屠亦然『煎餅俠(煎餅マン)』(中国)
 キム・ジェブン、キム・サンボム『ベテラン』(韓国)

Jian Bing Man.jpgBombay Velvet poster.jpg

★撮影賞(Best Cinematographer/最佳攝影) 

 クリストファー・ドイル『踏血尋梅(Port of Call)』(香港)
 李屏賓『黒衣の刺客』(香港、中国、台湾)
 佐々木原保志、山本圭昭『GONIN サーガ』(日本)
 羅■『老炮兒(チンピラの六)』(中国)
 キム・ウヒョン『暗殺(原題)』(韓国)

★作曲賞(Best Composer/最佳原創音樂) 

 林強『黒衣の刺客』(香港、中国、台湾)
 ニハール・ランジャン・サマル『Bajirao Mastani(バージーラーオとマスターニー)』(インド)
 アミト・トリヴェーディー『Bombay Velvet(ボンベイ・ベルベット)』(インド)
 大友良英『岸辺の旅』(日本)
 バン・ジュソク『思悼(原題)』(韓国)

「韓国映画 暗殺 ポスター」の画像検索結果「韓国映画 思悼 ポスター」の画像検索結果

★衣裳賞(Best Costume Designer/最佳造型設計) 

 黄文英『黒衣の刺客』(香港、中国、台湾)
 マクシマ・バス、アンジュ・モーディー『Bajirao Mastani(バージーラーオとマスターニー)』(インド)
 宮本昌江『駆込み女と駆出し男』(日本)
 イ・ジヨン、シム・ヒョンソプ『思悼(原題)』(韓国)
 カルロ・タビーヘ『Heneral Luna(ルナ将軍)』(フィリピン)

★美術賞(Best Production Designer/最佳美術指導)

 麥國強『葉問3(イップ・マン3)』(香港)
 黄文英『黒衣の刺客』(香港、中国、台湾)
 原田哲男『駆込み女と駆出し男』(日本)
 イ・ミンス『インサイダーズ/内部者たち』(韓国)
 カルロ・タビーヘ『Heneral Luna(ルナ将軍)』(フィリピン)

Baahubali poster.jpg

★特殊効果賞(Best Visual Effects/最佳視覺效果)

 潘國瑜ほか『モンスターハント』(香港、中国)
 シュリーニワース・モーハン『Bahubali(バーフバリ)』(インド)→本年公開予定
 プラサード・スタール『Bajirao Mastani(バージーラーオとマスターニー)』(インド)
 尾上克郎『進撃の巨人』(日本)
 チョー・ヨンソクほか『大虎(原題)』(韓国)

★音響賞(Best Sound/最佳音響)
 李耀強ほか『モンスターハント』(香港、中国)
 杜篤之ほか『黒衣の刺客』(香港、中国、台湾)
 渡邊真司『バクマン。』(日本)
 西山徹『残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-』(日本)
 キム・ソクオンほか『暗殺(原題)』(韓国)

授賞式は、3月17日(木)にマカオのホテル、ザ・ヴェネチアン・マカオで開催されます。

 

インド映画上映にマラーティー語映画も参入!

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インド人の皆さんが非商業ベースで行っている上映会に、何とマラーティー語映画を上映する団体が現れました。Tokyo Talkiesという団体です。Periploさんからいただいた情報ですが、明日の上映イベントなので、取り急ぎ作品名と時間、場所等をお知らせします。

『Natsamrat(演劇王)』
Natsamrat 2016 Marathi film poster.jpg

(2016年/マラーティー語/166分/英語字幕)
 監督:マヘーシュ・マーンジュレーカル
 主演:ナーナー・パーテーカル、メーダー・マーンジュレーカル、ヴィクラム・ゴークレー
■日時:2016年2月7日(日)午後3:00~
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典 アクセス
■料金:大人2,000円
■主催:Tokyo Talkies HP
マヘーシュ・マーンジュレーカルは、2000年頃はサンジャイ・ダット主演の『Vastav(真実)』など意欲的な作品を撮っていた監督ですが、その後俳優業の方が忙しくなり(『スラムドッグ$ミリオネア』のマフィアのボス役など)、最近はすっかり監督業とはご無沙汰していました。その彼が、自分の地元マラーティー語映画で久々にメガホンを執るとは。『ラジュー出世する』(92)のジャイ役でお馴染みのナーナー・パーテーカル主演とは、期待が高まりますね。
Natsamrat | Official Trailer | Nana Patekar

マラーティー語映画の舞台もの・演劇もの作品については、「インド映画完全ガイド」の「マラーティー語映画のいま」をご参照下さい。まずは取り急ぎ。
Natsamrat (2016)

 

インド映画特別講座<第2回>追加開催のご案内

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「インド映画完全ガイド」発売を記念し、スペース・アーナンディで3ヶ月ごとに開催しているインド映画特別講座。2月6日(土)に開催した「<第2回>インド映画のファッションを読み解く」もたくさんの受講者の方に来ていただき、いろんな実物も見ていただいたりして盛り上がりました。

実はこの<第2回>にはキャンセル待ちの方がたくさん出て、急遽4月に追加開催をすることになりました。追加開催の概要は以下の通りです。こちらの方はまだ余裕がありますので、もしご希望の方がいらっしゃいましたら、こちらのスペース・アーナンディのサイトからお申し込み下さい。お申し込みは先着順となりますので、どうぞお早めに。


スペース・アーナンディ/インド映画特別講座

「インド映画完全ガイド」発売記念:インド映画を極める!

<第2回>インド映画のファッションを読み解く

追加講座のご案内 

前述のように2月6日(土)に行った講座にはたくさんのお申し込みがあり、キャンセル待ちの方も多数出たため、同じテーマでもう一度、追加講座を開催することになりました。内容は2月6日の講座と同じで、「インド映画完全ガイド」第5章をテキストに、ファッションに焦点を当てたお話です。

 日時:2016年4月23日(土) 15:00~17:00
 場所:スペース・アーナンディ
    (東急田園都市線高津駅<渋谷から各停で18分>下車1分)
 定員:20名
 講座料:¥2,000(含む資料代)
 講師:松岡 環(「インド映画完全ガイド」監修者&編集者)
 TEXT:原千香子「インド映画の美を支えるファッションのパワー」(P.144)
(カッコ内は「インド映画完全ガイド」のページ数です)

ボリウッドと呼ばれるヒンディー語映画界を中心に、映画の衣裳が誕生するまでの過程や、映画のファッションが庶民の服装に与える影響、さらには映画における服装の記号論などをお話しますが、この講座の前月、3月にはインドに約2週間行く予定なので、そのお土産話もいろいろと。場所は、いつものように、ヨーガの先生をやっている友人のお宅スペース・アーナンディ。めくるめく映画ファッションの裏話、ぜひお楽しみに。

ご予約は、スペース・アーナンディのHPからどうぞ。ご予約下さった方には、ご予約確認と共に、スペース・アーナンディの地図をメール送付致します。床におザブトンをひいて座っていただく形になりますので、楽な服装でお越し下さい(申し訳ないのですが、スペースの関係上イス席はご用意できません。悪しからずご了承下さい)。皆様とお目にかかれるのを楽しみにしております。(松岡 環)

[講師紹介]
まつおかたまき。1949年兵庫県生まれ。麗澤大学、国士舘大学非常勤講師。大阪外国語大学(現大阪大学)でヒンディー語を学び、1976年からインド映画の紹介と研究を開始。1980年代にインド映画祭を何度か開催したほか、様々なインド映画の上映に協力している。『ムトゥ踊るマハラジャ』『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』『きっと、うまくいく』『女神は二度微笑む』など、インド映画の字幕も多数担当。著書に、「アジア・映画の都/香港~インド・ムービーロード」(めこん/1997)、「レスリー・チャンの香港」(平凡社/2008)、「インド映画完全ガイド」(世界文化社/2015/監修)など。

当日は、こんな映画のお話を致します。

English Vinglish poster.jpgChennai Express.jpg

The Lunchbox poster.jpgDevdas.jpg

Omshantiom.jpgKhan, as the title character PK, stands nude on the railroad tracks, looking into the camera while obscuring his genitals with a cassette tape player.

サリーやサルワール・カミーズ、ルンギーなどのほか、映画の中で記号的に使われるマンガルスートラ、ターリ、シャンクの腕輪、シンドゥールなども実物をお見せして、お話を進めていきます。昨日の講座でも、「映画をたくさん見ても、こういうことはずっと知らないままだったので、興味深かったです」「次にインド映画を見る時は、また違った角度からも楽しめそうです」というようなお声をいただきました。興味をお持ちの方は、ぜひお運び下さい。

昨日の講座で、ボリウッドのコスチューム・デザイナーとして、マニーシュ・マルホートラーと共に取り上げたアブー・ジャニとサンディープ・コースラーのブライダル・ファッションショーの画像を付けておきます。最後にボリウッド・スターが登場します。

BMW India Bridal Fashion Week 2015 | Day 1 | Abu Jani & Sandeep Khosla


それから、「インド映画特別講座/「インド映画完全ガイド」発売記念:インド映画を極める!<第3回>インド社会とインド映画」は5月21日(土) 15:00~17:00を予定していますが、昨日お越し下さった受講者の方ですでに予約がいっぱいとなってしまったため、こちらはあらためて追加講座の開催を検討中です。3月末か4月初めには追加講座のご案内ができると思いますので、ご興味がおありの方はその頃にまたこのブログをチェックしてみて下さいませ。

 

南インド映画の上映が続く2月の週末

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先にお知らせしたマラーティー語映画の上映情報に続く、Periploさんからのお知らせです。今月は、タミル語映画の上映が連続してあります。

『Jil Jung Juk(ジル・ジャン・ジャク)』

Jil Jung Juk.jpg

(2016/タミル語/英語字幕)
 監督:ディーラジ・ヴァイッティ
 主演:シッダールト、サナント・レッディ、アヴィナーシュ・ラグデーヴァン

【一回目】
■日時:2016年2月13日(土)午後2:00~
■会場:神奈川県海老名市、イオンシネマ海老名 アクセス
■料金:大人2,200円
■主催:Madras Movies Japan HP FB 

【二回目】
■日時:2016年2月14日(日)午後2:00~
■会場:東京都武蔵村山市、イオンシネマむさし村山 アクセス
■料金:大人2,200円
■主催:Madras Movies Japan (HP&FBは上記に同じ)

■両方の回に使える割引券もあります。こちらをご参照下さい。

Jill Jung Juk (aka) Jill Jung JuckJill Jung Juk (aka) Jill Jung Juck

Periploさんのお話によると、「英語版Wikiの解説にありますが、タイトルはシャンカル監督の旧作『Kaadhalan(恋人)』(1994)の中で使われた、(男から見た)女の子のよくある3タイプを表す俗語(造語?)とのことです。監督のディーラジ・ヴァイッティは新人で、これまで短編を手がけてきた人です。シッダールトは、若干の例外はあるものの、いつも新進監督と組み、自身が深く意思決定に参与するタイプの俳優なので、今回のタッグもいかにもといった感じです。主催のマドラス・ムービーズ・ジャパンは、新しく旗揚げした団体です」とのこと。

タイトルは主人公3人の呼び名で、予告編(下)を見るとがウガンダがからんでくるよう。シッダールトの水色の髪が印象的ですね。

Jil Jung Juk Official Theatrical Trailer | Siddharth | Deeraj Vaidy | Vishal Chandrashekhar


『Sethupathi(セードゥパティ)』

Sethupathi-Tamil film poster.jpeg

(2016/タミル語/英語字幕)
 監督:S.U.アルンクマール
 主演:ヴィジャイ・セードゥパティ、ラミャ・ナンビーサン
■日時:2016年2月21日(日)午後3:00~
■会場:千葉県市川市、イオンシネマ市川妙典 アクセス
■料金:大人2,200円
■主催:Celluloid Japan HP 

 

こちらもPeriploさんからの解説を引用します。
「『Naanum Rowdy Dhaan(俺様だってラウディーだぜ)』(2015)が昨年上映された「怪優」ヴィジャイ・セードゥパティが再びやってきます。今回はマドゥライの熱血(?)警官という役どころです。VJSの出世作となった『Pizza(ピザ)』(2012)で競演したラミャ・ナンビーサンと再び組みます。監督のS.U.アルンクマールは、『Pannaiyarum Padminiyum(地主とパドミニ車)』(2014)という心温まる田舎映画を撮った新人で、たぶん本作が2作目だと思います。このような人気若手俳優+新進監督の組み合わせの作品が、がんがんに上映されるとは凄いことになったものだと思います」

この「怪優」ヴィジャイ・セードゥパティは、「インド映画完全ガイド」の中でも、深尾淳一さんによる「タミル語映画のいま」で「今注目すべき俳優である」と紹介されています。2004年に単なるエキストラとしてスクリーン・デビュー、上記のように『Pizza』(2102)で注目されるまでは無名の俳優でした。それが最近は引っ張りだこ。ご面相はどちらかというと悪役顔(ファンの方、スミマセン!)ながら、見た人はその「怪演」ぶりに引き込まれてしまうようです。さあ、あなたもVJS(ヴィジャイ・セードゥパティ)デビューを本作で!

Sethupathi Official Teaser | Vijay Sethupathi | Remya Nambeesan | S.U.Arun Kumar | Nivas K Prasanna



 

2016年公開予定のアジア映画ラインナップ

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本年も、「キネマ旬報」2月下旬号を元にした、2016年劇場公開予定アジア映画ラインアップをまとめてみました。

<韓国映画>

『探偵なふたり』 公式サイト  

(2015/韓国/韓国語)
  監督:キム・ジョンフン
  主演:クォン・サンウ、ソン・ドンイル、ソ・ヨンヒ、パク・ヘジュン
  配給会社:CJ Entertainment Japan
  公開予定:2月20日(土)
※クォン・サンウが久々に本格的コメディに挑む。赤ちゃん相手の奮闘ぶりや、感電死寸前のアクション・シーンは見もの。

『探偵なふたり』予告編


『インサイダーズ/内部者たち』 公式サイト

(2015/韓国/韓国語)
  監督:ウ・ミンホ
  主演:イ・ビョンホン、チョ・スンウ、キム・ユンシク
  配給会社:クロックワークス
  公開予定:3月11日(金)

3/11(金)公開 『インサイダーズ/内部者たち』予告篇


『背徳の王宮』 作品サイト

(2015/韓国/韓国語/131分)
  監督:ミン・ギュドン
  主演:チュ・ジフン、キム・ガンウ、イム・ジヨン、チャ・ジヨン、イ・ユヨン
  配給会社:ツイン
  公開予定:3月19日(土)

「背徳の王宮」予告編


『見えない目撃者』 公式サイト

(2015/韓国・中国/中国語/112分/原題:我是証人)
 監督:アン・サンホ
 主演:楊幂(ヤン・ミー)、鹿(ルハン)、王景春(ワン・ジンチュン)、朱亜文(チュー・ヤーウェン)
 配給会社:ギャガ・プラス
 公開予定:4月1日(金)

『見えない目撃者』予告編


『ノーザン・リミット・ライン 南北海戦』

(2015/韓国/韓国語/原題:延坪海戦)
 監督:キム・ハクスン
 出演:キム・ムヨル、チン・グ、イ・ヒョヌ
 配給会社:ツイン
 公開予定:4月9日(土)

映画『ノーサ?ン・リミット・ライン 南北海戦』予告編


『西部戦線1953』 

(2015/韓国/韓国語/112分/原題:西部戦線)
 監督:チョン・ソンイル
 出演:ソル・ギョング、ヨ・ジング、イ・ギョンヨン
 配給会社:ツイン
 公開予定:4月9日(土)

映画『西部戦線1953』予告編


『花、香る歌』

(2015/韓国/韓国語)
  監督:イ・ジョンピル
  主演:リュ・スンリョン、スジ、キム・ナムギル
  配給会社:CJ Entertainment Japan
  公開予定:GW

[動画]リュ・スンリョン&missAスジ主演映画「桃李花歌」メイン予告編


『キム・ソンダル(原題)』

(2015/韓国/韓国語)
  監督:パク・デミン
  主演:ユ・スンホ、チョ・ジェヒョン、シウミン
  配給会社:CJ Entertainment Japan
  公開予定:6月

『ヒマラヤ(原題)』

(2015/韓国/韓国語)
 監督:イ・ソクフン
 主演:ファン・ジョンミン、チョン・ウ、チョ・ソンハ、キム・イングォン
 配給会社:CJ Entertainment Japan
 公開予定:7月

'????' ?? ???


『弁護人(仮題)』

(2014/韓国/韓国語)
 監督:ヤン・ウソク
 主演:ソン・ガンホ、イム・シワン、キム・ヨンエ、オ・ダルス
 配給会社:彩プロ
 公開予定:2016年
※盧武鉉元大統領をモデルにした作品。

映画「弁護人」(2013年12月)予告編-日本語字幕(???, The Attorney)


<中国・香港・台湾映画>

『更年奇的な彼女』 公式サイト 
(2014/中国/中国語/原題:我的早更女友)
 監督:クァク・ジェヨン
 主演:周迅(ジョウ・シュン)、佟大為(トン・ダーウェイ)、張梓琳(ジャン・ズーリン)、鐘漢良(ウォレス・チョン)
 配給会社:エレファントハウス
 公開予定:2月27日(名古屋先行公開)、4月8日

更年奇的な彼女 予告1(90秒)


『見えない目撃者』 公式サイト 

(2015/韓国・中国/中国語/112分/原題:我是証人)
 監督:アン・サンホ
 主演:楊幂(ヤン・ミー)、鹿(ルハン)、王景春(ワン・ジンチュン)、朱亜文(チュー・ヤーウェン)
 配給会社:ギャガ・プラス
 公開予定:4月1日

『見えない目撃者』予告編



『山河ノスタルジア』 公式サイト 

(2015/中国、日本、フランス/中国語/125分/原題:山河故人)
 監督:(ジャ・ジャンクー)
 出演:趙濤(チャオ・タオ)、張艾嘉(シルヴィア・チャン)、董子健(ドン・ズージェン)、チャン・イー(張譯)
 配給会社:ビターズ・エンド、オフィス北野
 公開予定:4月23日(土)

(C)Bandai Visual,Bitters End, Office Kitano

※詳しいご紹介はまたのちほど。

『海の彼方』

 (データ不明)
 監督:黄胤毓(ホァン・インユー)
 配給会社:シグロ
 公開予定:夏
※調べてみると、黄胤毓監督は台湾で『夜晩的温度』(2013)、『五谷王北街到台北』(2010)といったドキュメンタリー映画を作っている人ですが、本作は詳細不明です。

『コードネームは孫中山』

(2015/中国=香港/原題:行動代号孫中山)
 監督:易智言(イー・ツーイェン)
 出演:懐雲(ジャン・ファイユン)、魏漢鼎(ウェイ・ハンディン)
 配給会社:アルファヴィル
 公開予定:秋

《行動代號:孫中山》官方正式預告 HD 7/11上映



『狼が羊に恋するとき』 

(2012/台湾/85分/原題:南方小羊牧場)
 監督:侯季然(ホウ・チーラン)
 出演:柯震東(クー・チェンドン)、簡嫚書(ジエン・マンシュー)、郭書瑶(グォ・シューヤウ)
 配給会社:アルファヴィル
 公開予定:秋
※SKIP CITY国際Dシネマ映画祭で上映

【南方小羊牧場】官方正式預告片 Official Trailer HD - 2012.11.09 上映



『MONSTER HUNT(英題」)』

(2015/中国=香港/原題:捉妖記) 公式サイト
 監督:許誠毅(シュー・チョンイー)
 主演:井柏然(ジン・ポーラン)、白百何(バイ・バイホー)、湯唯(タン・ウェイ)、姜武(ジャン・ウー)、曾志偉(エリック・ツァン)
 配給会社:ツイン
 公開予定:2016年

《捉妖?》2015 国?版?告片



『CHRONICLES OF GHOSTLY TRIBE(英題)』 

(2015/中国=香港/原題:九層妖塔/鬼吹打之九層妖塔)
 監督:陸川(ルー・チュアン)
 主演:趙又廷(マーク・チャオ)、姚晨(ヤオ・チェン)
 配給会社:ツイン
 公開予定:2016年

九?妖塔 Chronicles of the Ghostly Tribe (2015) 中国版?告片


<東南アジア映画>

『光の墓』 公式サイト

(2015/タイ、イギリス、フランス、ドイツ、マレーシア/タイ語/122分)
 監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
 主演:ジェンジラー・ポンパット・ワイドナー,ジャリンパッタラー・ルアンラム,バンロップ・ロームノーイ
 配給会社:ムヴィオラ
 公開予定:3月

『光りの墓』予告編


『すれ違いのダイアリーズ』 公式FB 

(2015/タイ/タイ語)
 監督:二ティワット・タラトーン
 主演:スクリット・ウィセートケーオ、チャーマーン・ブンヤサック
 配給会社:ムヴィオラ
 公開予定:5月

The Teacher's Diary Official International Trailer


『タレンタイム』

(2009/マレーシア/マレー語、中国語、タミル語、英語/120分)
 監督:ヤスミン・アフマド
 主演:マヘシ・ジュガル・キショール、パメラ・チョン
 配給会社:ムヴィオラ
 公開予定:2016年
※こちらも待ちに待ったヤスミン・アフマドの遺作です。しっかり宣伝がなされて、たくさんの人に見てもらいたい作品です。

talentime trailer 1



<西アジア映画>

『オマールの壁』 公式サイト 

(2015/パレスチナ/97分/アラビア語・ヘブライ語//原題:OMAR)
 監督・脚本・製作:ハニ・アブ・アサド
 主演:アダム・バクリ、ワリード・ズエイター、リーム・リューバニ
 配給・宣伝会社:アップリンク
 公開予定:4月16日

映画『オマールの壁』予告編


『裸足の季節』 公式サイト

(2015/フランス=トルコ=ドイツ/トルコ語/94分/原題:MUSTANG)
  監督:デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン
  主演:ギュネシ・シェンソイ、ドア・ドゥウシル、トゥーバ・スングルオウル、エリット・イシジャン、イライダ・アクドアン、ニハル・コルダシュ、アイベルク・ペキジャン
  配給会社:ビターズ・エンド
  公開予定:初夏

Mustang Official Trailer 1 (2015) - Günes Sensoy, Doga Zeynep Doguslu Movie HD


『The Idol(英題)』

(2015/英・パレスチナ・カタール・オランダ・UAE/原題:Ya Tayr El Tayer)
   監督:ハニ・アブ・アサド
  主演:タウフィク・バルホム
   配給会社:アルバトロス・フィルム
  公開予定:2016年秋

THE IDOL - Official Trailer


『父のタラップ車』

(2015/トルコ/トルコ/105分/原題:Merdiven Baba)
  監督:ハサン・トルガ・プラット
  主演:ハジュ・アリ・コヌック、エスラ・デルマンジュオウル
    配給会社:アルファヴィル
  公開予定:2016年秋

Merdiven Baba - Fragman (Sinemalarda)


※なお、アジア映画好きが楽しみにしている、大阪アジアン映画祭も今年の全ラインアップが発表となっています。こちらの公式サイトをご確認の上、アジア映画鑑賞作戦@大阪を練って下さいね。『暗殺』や『私の少女時代』始め、見たい作品がテンコ盛りです!(って、花粉症逃亡の予定の私は見られない....)

 


春にピッタリの『マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章』

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2013年に日本公開され、ヒットした、『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(2011)を憶えてらっしゃいますか? 老後をインドのリゾートホテル「マリーゴールド・ホテル」で過ごそうとやってきたイギリス人の熟年者たちは、そこがとんでもないオンボロ・ホテルであることを発見、でもインドの現実とも向き合いながら、どんどん生きる力を付けてたくましくなっていく、というストーリーで、見る者に感動と勇気を与えてくれました。特に、主人公とも言うべき未亡人のイヴリン(ジュディ・デンチ)と、昔メイドをしていたミュリエル(マギー・スミス)の変身ぶりは、物語のハイライトでした。

その主人公たちが、続編で帰ってきます。しかも超豪華なゲスト、リチャード・ギアまでついてくる、というのですから、「マリーゴールド・ホテル」ファンとしては続編を見逃すわけにはいきません。ではまずは、データからご紹介しましょう。


© 2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

『マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章』 公式サイト
  
(2014/イギリス=アメリカ/英語/123分/原題:The Second Best Exotic Marigold Hotel)
  監督:ジョン・マッデン
  主演:ジュディ・デンチ、マギー・スミス、ビル・ナイ、デヴ・パテル、リチャード・ギア
  配給:20世紀フォックス映画
  宣伝:樂舎
※3月4日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

© 2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

前回、コールセンターの教育係として初めて働き始め、今回はまた別の仕事に就いているイヴリン(ジュディ・デンチ)。妻が本国に帰ってしまったダグラス(ビル・ナイ)と付き合いつつも、彼の離婚もまだなので、ちょっと宙ぶらりんの状態です。一方、ホテルの若きオーナーであるサニー(デヴ・パテル)の片腕としてホテルを切り回すミュリエル(マギー・スミス)は、今回サニーと共にアメリカのサンディエゴに来ていました。サニーは事業拡大のため、アメリカの投資会社社長バーリー(デヴィッド・ストラザーン)に出資を仰ぎに来ていたのです。相変わらず調子のいいサニーに対し、バーリーは「前向きに検討したいが、ついては我が社から鑑定人を送り込むからよろしく」と返事をします。

さて、一体どんな鑑定人がやってくるのか? 帰国したサニーは戦々恐々としますが、一方で恋人スナイナ(テーナ・テサイー)との結婚式も目前に迫っており、マリーゴールド・ホテルを舞台に、またまた一波乱も二波乱も起きそうな予感が....。

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今回のハイライトは、何と言ってもリチャード・ギアの登場です。ホテルの宿泊客としてやって来た、リチャード・ギア扮するガイをサニーはてっきり鑑定人だと思い込んでしまうのですが、ガイは素のリチャード・ギアのようにインドを楽しみ、思いがけない行動に出たりします。インド好きの豪華ゲストの登場、ジョン・マッデン監督の粋なはからいですね。

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そして、サニーとスナイナの結婚式では、リチャード・ギア始め、ジュディ・デンチらがボリウッド・ダンスを踊るのも見ものです。伝統的なヒンドゥー教結婚式の様子も覗くことができ、インド映画ファンやインド好きには盛り上がり必至のシーンとなっています。

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そのほか、前作のファンには、アメリカでの会議シーンにおけるミュリエルの胸のすくような紅茶指導、イヴリンの買い付けシーンでのプロフェッショナルぶり、その他、ダグラスやノーマン(ロナルド・ピックアップ)らナサケナ男たちに燃えさかる少年のような情熱、さらに男を手玉に取るマッジ(セリア・イムリー)のいいとこあるじゃん!シーンなどなど、心が満たされるシーンがいろいろ登場してサービス満点。夫のダグラスを置いてけぼりにして去った身勝手な妻ジーン(ペネロープ・ウィルトン)でさえ再登場して、娘と共に素敵なシーンを演出するのですから、見終わっての満足度は相当高くなります。

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できれば、サニーをもうちょっと光らせてほしかった、とか、インド映画界からも豪華ゲストを入れてほしかった、とか、まあ不満もあるのですが、春のように暖かい気分になれるので、3月に見るにはピッタリの作品と言うことができるでしょう。ゴージャスな色彩を楽しむためにも、ぜひ大スクリーンでご覧下さい。公式サイトでも見られますが、最後に予告編を付けておきます。

映画『マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章』予告編



イ・ビョンホンがすごい!!『インサイダーズ/内部者たち』

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韓国から、またまた秀作がやって来ました。私の大好きな「コンゲーム(騙しのテクニック)」ものです。このジャンル、韓国映画は大の得意分野というか、ハリウッドなんか抜いちゃっているぐらい、面白いプロットやアイディアを繰り出して来ます。今回の『インサイダーズ/内部者たち』も、根幹となるストーリーはもちろんのこと、周縁部の細部に到るまで驚きが詰め込まれていて、見る者を引き込みます。

そして、その核となるのがイ・ビョンホンの演技。冒頭からアッと観客を驚かせる姿を見せ、いつものイ・ビョンホンとはまったく違う姿をあれこれ見せてくれます。そんな魅力が詰まった本作、昨年末の時点では観客動員数第4位だったのですが、ディレクターズ・カット版『内部者たち:オリジナル』も公開され、年齢制限のR指定が入った作品としては歴代第1位のヒットとなりました。まずは、基本データをどうぞ。


『インサイダーズ/内部者たち』 公式サイト 

 (2015年/韓国/韓国語/130分/原題:내부자들/レイティングR15)
  監督・脚本:ウ・ミンホ
  主演:イ・ビョンホン、チョ・スンウ、キム・ユンシク
  配給:クロックワークス
  宣伝:スキップ
※3月11日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー

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冒頭、仕立てのいいスーツに身を包んだアン・サング(イ・ビョンホン)が、高級車から降りて会見場に向かいます。サングは、与党・新正党の次期大統領候補チャン・ピル(イ・ギョンヨン)と、ミレ自動車のオ会長との癒着ぶりを示す証拠書類を検察側に提出するのに合わせて、記者会見場に姿を現したのですが、実はその裏には、彼が一時期兄とも慕っていた「祖国日報」主幹イ・ガンヒ(ペク・ユンシク)の存在があったのでした。

もともと芸能事務所の経営者だったサングは、ガンヒに命じられて、チャン・ピルらのために女の斡旋までしていた男でした。そんな中で、オ会長のミレ自動車が裏金をチャンに贈っていた証拠のファイルを手に入れたサングは、それをネタにのしあがろうとしたために、完膚なきまでにたたきのめされ、肉体的にもハンディキャップを背負わされてしまいます。こうしてサングは、しがないチンピラとしてくすぶる羽目になってしまい、復讐を考えるようになっていくのです。

一方、コネなし、学閥なし、後ろ盾なしで検事になったウ・ジャンフン(チョ・スンウ)は、上司(チョン・マンシク)らからはうとまれ、出世の糸口がつかめないどころか、追っていた裏金の証拠ファイルをサングに奪われた責任を取らされて左遷されます。諦められないジャンフンは、一発逆転を狙ってサングと手を組もうとするのですが....。

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プロットは緻密に考えられており、見ていると蜘蛛の糸に絡め取られるかのように、物語に引き込まれていきます。どこにも正義の味方はおらず、今流行の言葉で言えば「ゲス」ばかり。そう、検事やその周辺にたむろする新聞記者なども「ゲス」なのです。特に、議員のチャン・ピルとオ会長が秘密の会合を持つシーンは、まさに「ゲスの極み」で、これと過激な暴力シーンがあるために、日本でもR15+になったのだと思います。

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そんなゲスどもの中で、「一寸の虫にも五分の魂」的な根性で復讐を成し遂げていくサングが、非常に丁寧に描かれているのが本作一番の魅力と言えます。しかも、それを演じているイ・ビョンホンがうまい! この人はこんなにいい俳優だったのか、と惚れ惚れします。最初の、のし上がろうとする偉そうなワルのパートもいいのですが、どん底まで落ちた小ずるい、でも人間としての誠意がほの見えるチンピラの役も本当にうまくて、双子が演じているのか、と思うほど。まあ、髪型とか外見も変えてあるので、よけいにそう思うのかも知れませんが、ビョン様、これまでにない魅力的なキャラクターを創り出しています。

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そんなビョン様に押され気味ですが、チョ・スンウも元々上手な役者なので、2人の演技対決も見応えがあります。さらに、あんまり気合いを入れていない風情のペク・ユンシクも、不気味なゲスとして存在感満点。ほかに、お馴染みの脇を固める名優たちも次々に出て来て、「あんた、この間は屋上で焼き肉食べてたでしょ~」のチョン・マンシクが上席検事役など、意外なキャスティングも楽しめます。『ベテラン』がらみで言えば、ペ・ソンウもサングのために働く男として登場するし、韓国映画は本当に脇役の演技とその使い方がうまいですね。

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こんな秀作を撮ったウ・ミンホ監督は、まだこれが3本目。これまでの2本、『破壊された男』(2010)と『スパイな奴ら』(2012)はいずれもキム・ミョンミン主演ですが、さかのぼって見てみたくなりました。『インサイダーズ/内部者たち』の原作は、ユン・テホという作家の未完のウェブ漫画「内部者たち」だそうで、漫画には検事ジャンフンは登場しないのだとか。こちらでは、それをチョ・スンウがぼやいていて笑わせてくれます。そういった未完成の原作を、ここまで完成度の高い脚本に仕上げたウ・ミンホ監督、今後注目の監督の1人となりそうです。ラストの落ちも秀逸で、タイトルの意味がよーくわかるという、文字通り「最後まで目が離せない!」作品です。

ユン・テホの漫画もチラと出てくる予告編を付けておきます。映画館で、隅々まで楽しんで下さいね。

3/11(金)公開 『インサイダーズ/内部者たち』予告篇


 

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