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Channel: アジア映画巡礼
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TIFF2017:私のDAY5

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本日はインド映画『ヴィクラムとヴェーダ』を見てきました。会場は六本木ヒルズのTOHOシネマズではなく、道を挟んで北側の渋谷寄りにあるEXシアター六本木。大きなホールなのですが、仮設に限りなく近い仕様の設備なので、イスも背もたれが低く、2時間半の上映ではちとつらいものがありました。とはいえガラ空きなので、楽な姿勢で見ることができたため、途中でついウトウトしてしまったりしたのですが。8月に1度見ているので、大好きなヴィジャイ・セードゥパティ主演作だというのに、途中で少々だれてしまいました。

『ヴィクラムとヴェーダ』
 2017/インド/タミル語/141分/原題:Vikram Vedha
 監督:プシュカル&ガーヤトリ
 主演:R・マーダヴァン、ヴィジャイ・セードゥパティ


警官ヴィクラム(R・マーダヴァン)と有名なギャングのヴェーダ(ヴィジャイ・セードゥパティ)との、奇妙な友情というか心の通わせ合いを描く作品です。下敷きになっているのが、屍鬼ヴェーターラがトリヴィクラマセーナ王の肩に取り憑き、25のお話を聞かせたという「屍鬼25話」で、映画の冒頭それがアニメになって示されるのですが、字幕では「王」としか示されず、それがヴィクラムを指し、また、木の上から彼の肩に飛び乗る小柄な鬼がヴェーダを指している、というのがわかりにくいため、「謎のアニメ」と思われたのではないでしょうか。途中、2人が何度か出会うシーンで「〇年前」と表示され、ヴェーダが過去のいきさつを語っていくのが、この屍鬼の物語にあたるものです。この物語によって、ヴェーダは自分の過去をヴィクラムに知ってもらうと共に、ヴィクラムが今行っている警官としての行動を見直させるのですが、それにより徐々に真実が見えてくる、という、複雑で面白い構造になっています。

Vikram Vedha poster.jpg

 最初に見た時は英語字幕だけだったこともあって、多くの登場人物とこの複雑な構造がいまひとつよく分からなかったのですが、今回日本語字幕(※)で見てだいぶ整理されました。とはいえ、人物を全部書き出してみて、それぞれがどの時点でどのように死んだのか、というタグでも付けていかないと、全貌がスッキリと見えてこない感じです。それにしても、築かれる死体の山のすごさには、二度目の今回も少々うんざりしました。最後の銃撃戦のシーンで、ヴェーダが見せるひょうきんさがヴィジャイ・セードゥパティの真骨頂なので、ああいうキャラを前面に出した作品が日本お披露目になればよかったのに、と少々残念です。のっそりした牛みたいなイメージの俳優なのに、なぜか観客の心を捕まえ、「Makkal Selvan/マッカル・セルヴァン/人民の俳優」と呼ばれているヴィジャイ・セードゥパティ。何か素晴らしい作品で、日本のスクリーンに正式お目見えしてくれることを待っています。

これで私のTIFF2017は一応終了です。見られなかった作品がずいぶん残ってしまいましたが、このうちの何本かのアジア映画は公開まで行くのでは、と思いますので、それを楽しみに待っていましょう。

※今回の字幕、固有名詞表記の間違いも多かったです。覚えているものを列挙しておきます。(聞いて下さればよかったのに....)

  プラバカ → プラバーカル
  ピリヤ → プリヤ
  セカール → セーカル
  パロッタ2枚 → パラータ2枚
  MKBナガー → MKBナガル(”ナガル”は”町”の意味)


インド映画『クイーン』の完全版上映を切に望む

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先日横浜シネマ・ジャック&ベティと吉祥寺のココマルシアターで先行上映され、後者ではまだ上映が続いている『クイーン』ですが、上映素材が残念ながら短縮版でした。見始めてしばらくして何か変な感じがしたのですが、それが何かハッキリ分かったのは、ヒロインのラーニー(カンガナー・ラーナーウト)がパリからアムステルダムへと列車で旅立つ場面で、駅まで見送りに来たパリでの友人ヴィジャイラクシュミー(リサ・ヘイドン)が、こういう意味のことを言うのですーー「息子と一緒に必ずインドに行くわ」。そこでハッと、彼女の息子が出てくる場面がなかった!と気づき、確か、ラーニーがパトカーに送られてホテルに戻って来たあとで、かわいい坊やが一瞬出て来たのに、と愕然としたのでした。

後半も注意して見ていると、例えば日本人のタカの心の傷について細かい描写がいくつも重ねられ、ロックコンサート場面のタカとラーニーがハグするシーンで観客の涙腺決壊となるのですが、その細かい描写のいくつかがカットされています。何とも中途半端な編集で、せっかくの感動もこれでは押し寄せてきません。よくよく考えると、今回の上映では『クイーン』の上映時間が「125分」となっていて、Wiki”Queen”に書かれている「146分」とは20分強の差があります。手元のインド版DVDも帰宅後確認してみると「145分」で、日本での上映に使われた素材はやはり20分強カットされた短縮版だったことがわかりました。

私は、必ずしも短縮版を否定するものではありません。『バーフバリ』の前後編や、それ以前には『ミルカ』も「インターナショナル版」として、監督、あるいは監督の意を受けた編集者が上手にカットした、20~30分短いヴァージョンがやって来ましたが、本当に上手につまんであって、むしろ「インターナショナル版」の方が見どころがタイトに詰まっていていい、というのが私の意見でした。ですが、こういった一部カット版でも映画を見た満足が得られるのは、あくまでも、ストーリーをゆがめたりつじつまが合わなくしたり、あるいは説明不足に陥ったりしないよう、細心の注意を払って上手にカットがしてある場合です。今回の短縮版『クイーン』は、時間合わせのためだけにカットされた感が強く、まるで機内上映のために切り刻まれた一昔前のインド映画のようでした。前述したシーン以外にも、カットされたシーンはほぼすべてが絶対に復元してほしいものばかりで、現在の上映素材は『クイーン』の良さを大きく損なっている短縮版、と言わざるを得ません。

本来は、輸入される時点で配給会社が気付き、インドの製作会社にクレームを出して差し替えるべき素材だったと思います。私も上映前にこんな短縮版である可能性に気がつかず、多くの皆様にお勧めしてしまって申し訳ありませんでした。今回の上映でご覧になった皆様には本当に申し訳ないのですが、幸いにもと言うべきか、ココロヲ・動かす・映画社〇の発表では今回は「先行限定」上映だそうで、来年正式な公開を予定している、とのこと。その時には、絶対に完全版『クイーン』を上映して下さるよう、強くお願いするものです。まだ上映中の作品に対してのクレームなので、ちょっと躊躇したのですが、来年の公開ならば素材の取り直しや字幕のやり直し等時間もないことから、11月に入った時点でブログにアップするものです。「感動」を大切になさるココロヲ社なら、必ず差し替えて下さるものと信じてお待ちしています。


台北で金馬国際影展

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来週の大学の授業が、学園祭や入試等で3大学とも休みになったため、思い切って台北の金馬国際影展にやって来ました。台北に来るのは5年ぶりで、金馬国際影展となると、以前一度だけ来たのがもう20年近く前だったか...というところです。以前に来た時は、確か長春路あたりにあった映画館での開催だったと思うのですが、今回は何と、西門町の映画館が会場になっていて、これは便利! 台北新光影城とin89豪華數位影城で、今日行った新光影城の方は古い商業ビルの4階で行くまでは場末感が漂うものの、3スクリーンある立派なシネコンでした。

 

チケットも、台北金馬影展(台湾映画界の最大のイベントと言っていい映画賞金馬奨の授賞式が11月25日に行われ、それまでの期間、金馬国際影展という国際映画祭が3週間にわたって開催されます)のHPから簡単に申し込めるので、ついつい7枚も予約してしまいました。支払いはヴィザかマスターカードで処理でき、座席指定もできます。1度に8作品まで申し込めて(時間制限があるので、これがなかなか難しい)、申し込んだ単位ごとにQRコードが付与されて来ますので、それを会場の発券機にかざせば、下のようなチケットが出てくる、という、どこかの映画祭に教えてあげたいような便利&親切なシステムです。なお、私は「敬老愛心票(シニアチケット)」なので、何と1枚125元(500円弱)。でも、普通のチケットでも前売り券なら昼間の上映で150元(600円弱)、夜の回でも190元(約750円)なので、本当にお安いのです。

 

本日見たのは、クリストファー・ドイルが自らの来し方を語る『風(Wind)』と、裸体写真家として過激な写真を街中で撮っている中国のカメラマン任航をフィーチャーした『我有一個憂鬱的,小問題(I’ve Got a Little Problem)』というドキュメンタリー2本立てでした。『風』の方は、モノクロ画面でドイルがオーストラリアで育った幼い時からの思い出を語っていき、その合間合間にカラー画面でイメージ映像やドイルの仕事の映像、そして彼がこれまで手がけた作品のクリップが挟まれる、という構成です。「小さい頃父親に海にほりこまれてね、それから海に馴染んでいったんだ」「オーストラリアは70~80%が砂漠だ。オーストラリアにいると砂漠は親しい存在なんだが、後年自分がこんなにたくさん砂漠での映画を撮ることになるとはね」といったことを英語で語っていくのですが、20歳ぐらいの時に商船に乗り込んであちこち回ったことや、イスラエルのキブツにいたこと、インドのナガランドやビハールでも灌漑の仕事をしていたことなどもその中に入っています。「インドではね、50歳ぐらいの人を使って仕事をさせてたんだよ、20歳の若造がね。なぜって、ぼくは英語をしゃべる白人だったからね」

その後香港にやって来たのが、ちょうど中国の文化大革命が終熄した頃だった、と言いますから1970年代末でしょうか。香港中文大学で北京語を学び、その時先生から「君の名前は?」と聞かれて「クリストファー・ドイルです」と答えたところ、「それでは不十分だね。杜可風にしなさい」と命名されたのだとか。「中国語で”君子可風(如風?)”という言い方があるんだよ。それから取られたみたいだ」とか、実に多岐にわたってトークを繰り広げてくれます。特にこの話以降は標準中国語でのトークが続き、台北に着いて「10ヶ月ほど学んだ普通話の知識はどこへ行ったの、私!」と落ち込んでいた私の耳にもとても分かりやすい中国語で、感心してしまいました。

もう1本の『我有一個憂鬱的,小問題』は、日本のアラーキーとかも意識しているという任航の写真やパフォーマンスをこれでもか、と見せてくれるのですが、性器がもろに写っていたりと、美を感じるよりも気持ち悪い写真が多く、ぺらぺらと話す任航という人にも好感がまったく持てなくて、げんなりしてしまいました。結構な仲間が協力してくれて、屋上やスタジオで全裸になってくれているのですが、このカメラマンのどこに人を引きつけるものがあるというの、という感じの人で、最後の方では旅の疲れもあって寝てしまいました(機内上映でアンディ・ラウ主演&スティーブン・フォン監督の『侠盗聯盟』とイ・ジョンジェ主演の『代立軍』半分をガチで見てしまい、一睡もせずだったのです)。


ところで、このシネコンにあったのが上のポスター。そう、アーミル・カーンが製作と出演もしている、『Dangal(レスリング)』(2016)のザーイラー・ワシーム主演の『Secret Superstar(秘密のスーパースター)』です。インド本国では10月19日に公開されて、すでに興収が10億ルピーを超すヒットとなっています。台湾では11月24日から公開だそうで、うらやましいですねー。


外に出たら、西門町は中国や香港からの観光客で混み合っていました。さてさて、明日もまた金馬影展のため西門町に通います。

 

台北金馬国際影展DAY2

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今日は台北の気温がぐっと上がり、昼間歩いていると汗ばむほど。そうなると困るのが映画館の冷房で、本日も映画祭の2本を見た新光影城のスクリーン1は、冷凍庫のような寒さになっていました。明日も気温が一層上がるようなので、ショールを2枚持ってこないと、と震えながら思っていました。その1本目は中国映画の『路過未来/Walking Past the Future』で、『20歳よ、もう一度』などで知られる人気女優楊子姍(ヤン・ズーシャン)の主演作です。監督は李睿珺で、今年のカンヌ国際映画祭でも上映されました。

Walking Past the Future Poster

主人公耀婷(ヤン・ズーシャン)の一家は深圳に来て10年ほど、両親も耀婷も工場で働いており、耀婷の妹は高校生です。ところが、脊髄が痛く病休を取って病院に行った父はそれを理由に辞職を迫られ、母も工場をクビになります。物価の高い深圳では暮らしていけず、一家は元々の出身地である中国北部に帰りますが、貸していた土地は「法律が変わった」と言って返してもらえず、その土地で農業労働者として働いても得られるのはほんのわずか。耀婷はまた深圳に戻り、ディスプレイを製造する工場に戻って、李菁や紅姉らと工場の寄宿舎で暮らすことに。何とか家を手に入れようと、マンションの発売があると見てまわりますが、ものを言うのはお金。美容整形にお金を掛けている李菁は、病院で新民というイケメン青年と知り合いになりますが、彼が行っている治験の仕事が結構実入りがよいとわかったため、3人ともその仕事を始めます。耀婷も新民も気がついていないのですが、実は彼ら2人はハンドルネームを使ってSMSをやり取りしている仲なのでした...。

ものすごく真面目に、かつ丁寧に作られた作品で、脚本や編集にちょっと未熟な点が目に付きますが、いまどき珍しい真摯な作品でした。経済発展する中国の象徴みたいな深圳の描写と、言葉も違う北方の村の姿を対比させ、お金ほしさに治験という危ない仕事にからめ取られていく若者たちを描いています。ヤン・ズーシャンを始めとする俳優陣もしっかりした演技を見せてくれ、特に新民に扮した俳優は魅力的でした。


寒いホール内から外へ出てみると、金馬奨の象徴である金馬の像が迎えてくれます。今日は日曜日だったので、映画街であるこのあたりは大賑わいでした。映画祭の会場となっているのは新光影城だけでなく、同じ武昌街にある日新威秀影城(下写真左)やin89豪華數位影城(下写真右)もそうで、映画祭のポスターがあちこちに躍っています。今日はもう1本見た後in89豪華數位影城で『Victoria and Abdul』を見るので、体温めも兼ねてチケットの予約に行ってきました。ちゃんとシニア料金150元(600円弱)で売ってもらえてありがたかったです。カウンターの若い女性は英語が不得手のようでしたが、一生懸命「愛心票の適用ができるから年齢は?」と国語で聞いてくれて、見事お安くなりました。

また新光影城に戻り、凍えながらの2本目は中国、アメリカ、オーストラリアの国際共同製作作品『京城之王/King of Peking』。監督はオーストラリア人だとかで、時代が少し前に設定してあるのでは、と思いますが、作りがちょっと雑で、かなりファンタジーが入っているという感じでした。主役は移動上映を仕事にしている王という映写技師とその小学生の息子。父の老王は妻と離婚し、息子を育てているのですが、この父子は二人とも映画狂と言っていいほどで、息子の小王も嬉々として父親の仕事を手伝っていました。ところがある時の上映でフィルムが焼けてしまい、映写機もおしゃかになって、やむなく老王はある映画館に清掃係としてやとわれます。地下にある部屋で暮らすようになった二人でしたが、映画館にあるフィルムを使って、海賊版のVCDを作ることを思いつきます...。

King of Peking Poster

海賊版の作り方や販売の仕方などの描写がすごく雑で、それでは買った人が怒るだろう、というやり方は見ていて白けました。コメディとして作っているようですが、あまり笑いも起きていませんでした。次の上映が迫っているので、Q&Aがあったのですがエンドクレジットの途中で飛び出してin89豪華數位影城へ。


『Victoria and Abdul』はさすがジュディ・デンチの主演作、彼女の演技によりとても見応えのある作品となっていました。イギリスがインドを植民地にしてから29年、ヴィクトリア女王に古貨幣を献上することになり、2人のインド人が選ばれてイギリスへと派遣されます。1人はタージ・マハルのあるアグラ(アーグラー)で監獄の事務員をしているアブドゥル・カリーム(アリ・ファザル)で、初めて女王にお目見えした時、禁じられていたのについ目を合わせてしまいます。彼を見た女王はあとで、「あの背の高い方はハンサムね」とコメント、おかげで国に帰ろうとしていた2人は「女王がお気に入られた」ということでイギリスに足止めされてしまいます。特にアブドゥルは物怖じせずに女王に述べたことがいちいち彼女の心に響き、やがて女王にウルドゥ語を教えるまでに。女王はアブドゥルを「ムンシー(先生)」と呼んで心を傾けていきますが、それに対して女王の周囲の人々は面白くない感情を抱き始めます...。

Victoria and Abdul Poster

アブドゥルは実在の人物だそうで、最後に写真が出て来ます。その事実をドラマチックに脚色してあるのでしょうが、老境に入って生ける屍に近い姿だったヴィクトリア女王に、アブドゥルの存在が元気と理知の光を戻していくのは感動的です。「私はイギリス領インドの女王でもあるから、インドの言葉も学ばなくては」と女王が、ウルドゥ語というか当時の言い方をすればヒンドゥスターニー語で、「マィン・ラーニー・フーン(私は女王です)」「ラーニー・バフット・アカルマンド・ハイン(女王はとても聡明です)」と言ったりするのはほほえましく、アブドゥルの書いたアラビア文字によるウルドゥ語の文章をなぞるのも、インドに関係する者としては嬉しいシーンです。アブドゥルを退けようとする人々に女王は、「有色人種でインド人だから差別するのね」とズバリ言ったりするのですが、そういうアブドゥルびいきの描写もあるかと思うと、アブドゥルが慢心しているのをちらと見せるシーンもあり、公平な描写が心掛けられたようでした。コメディを狙いすぎたところもありますが、ラストもしみじみとしていて、好感の持てる仕上がりの作品でした。

アブドゥル役のアリ・ファザルは、『きっと、うまくいく』(2009)の自殺する学生ジョイ・ロボ役で注目され、その後『Fukley(役立たず)』(2013)も小規模ヒットして、以後いろんな作品に顔を出しています。この作品には大抜擢、という感じですが、気負わずにアブドゥルを演じていて、ジュディ・デンチの芝居をきっちりと受ける合格点の演技でした。日本でも公開されるといいですね。予告編を付けておきます。

 VICTORIA AND ABDUL Trailer (2017)


台北金馬国際影展DAY3

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本日は何と、シャー・ルク・カーン主演作『Raees(ライース)』を見ました。その前に見たのが、中国映画の『引爆者/Explosion』と「台湾短打A」という短編集で、短編は『謎絲』『我親愛的父親』『海星女孩』の3本でした。


『引爆者/Explosion』は段奕宏(ドアン・イーホン)、王景春、成泰燊、余男らが出演している、中国製サスペンス映画。『白鹿原』(2011)で名を成した段奕宏、初めて画面で見ましたが、地味な40男というかおっさん臭い人というか...。私は張涵予で間に合ってます、とか脳内で思ったりしてしまいましたが、このドアン・イーホン、今年のTIFFでコンペに出ていた『迫り来る嵐』にも出演していて、見事最優秀男優賞を獲得しています。残念ながら、『迫り来る嵐』はTIFFでは見られずじまい。さらに、TIFF協賛の中国映画週間でも『潜入捜査』と『記憶の中の殺人者』が上映されていたのにこちらも未見。やっとお初にお目に掛かったのでした。

引爆者( 2017 )

舞台は地方の炭鉱。ヤクザの李毅が社長をしているこの炭鉱で、趙旭東(ドアン・イーホン)はハッパ(ダイナマイト)専門の炭鉱夫をしています。ところが、ある時仕掛けたハッパが予想以上の威力を見せて、坑内で退避していた旭東らに炎が襲いかかります。旭東は負傷だけで助かったものの、仲間の4人が命を落としました。李社長は怒り狂いますが、自分の仕掛けたハッパには自信を持っていた旭東は、何かが混入されたたに違いないと、自分で捜査を始めます。そんな彼を心配する、食堂を経営する恋人の䔥紅(余男)と、警察官の徐峰(王景春)。やがて、安全主任が飲料水の袋にガソリンを入れていたことがわかり、李社長は彼をリンチで殺してしまいますが、その罪は旭東になすりつけられてしまいます。そのリンチの現場を遠くから撮影していたのが、冷酷な程飛社長(成泰燊)の手先の男。そんな力関係の中で、旭東は真実に辿り着きますが....。

重厚なサスペンス映画で、その合間合間に美しい余男が登場して...という、うまい作りでしたが、くどいところもあって、少ししんどい作品でした。サスペンスの謎解きも、もう少々簡単で印象的な手法の方が、こちらを引き込んでくれるのに。監督は常征という人で、こういうヘビーな作品は初めてのようです。予告編を付けておきます。

Explosion (引爆者, 2017) Yu Nan action thriller trailer

短編集の方は、女児の長い髪の毛にまつわる記憶をホラー仕立てにした『謎絲』、母親が急死して認知症の症状が出始めた父親に対する対処と感情を、売れない俳優である主人公の目で描いた『我親愛的父親』、障害のある若い女性のモノローグで構成された『海星女孩』の3本でした。この日は終了後にそれぞれの監督と出演者が登壇し、Q&Aがありました。最初は『海星女孩』の監督朱詩倩と出演の女性。


監督が「渉外があるといっても、1人1人本当に違うんです」と語っていたのが印象的でした。出演者の女性は、ライトがまぶしくて帽子を出してかぶったり、会場を歩き回ったりと、じっとしていられない様子でしたが、Q&Aでは「時間が5分敷かないので、ご質問にはこれだけ答えます」とすごくシャープな発言をして会場を沸かせたりと、なかなかチャーミングな人でした。


(続きは後日アップします。明日はちょっと遠出なので、まずは前編レポートですみません)

台北金馬国際影展DAY3(後編)

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昨日の続きです。『海星女孩』のゲストお2人に続き、『謎絲』組と『我親愛的父親』組が数人ずつ登壇しました。7割ぐらいの入りの会場から大きな拍手が起きていたので、結構関係者の方がいらしているみたいでした。

 

まずは『謎絲』組の、左から郝芳蔵監督と助演の女優と主演女優です。郝芳蔵監督の名前は、日本名にすると男性名になってしまいますが、アラフォーの元気のいいお姉さん、という感じの人でした。映画祭公式サイトの経歴を見ると、江口洋介が主演した『シルク』(2006)や、2010年の『モンガに散る』等の助監督を務めた人、とのことで、実力と経験を兼ね備えた人のようです。今回は23分の短編でしたが、モノクロで撮られた映像が実に印象的で美しく、しっかりした骨格の映画になっていました。映画を印象的にしているのは、主演女優に負うところも大きく、あとでいろいろ調べてみたら、この人何と、『モンガに散る』でアザのある若い娼婦役をやった柯佳[女燕](クー・ジャーヤン)でした。あの頃に比べて、一層臈長けた美しさが出て来ていますね。目が惹きつけられて、何枚も写真を撮ってしまいました。

 

もう1人の、ヒロインの幼馴染みを演じた女優は、クー・ジャーヤンとは違う暖かみのある顔で、画面にはそれほど出てこなかったのですが、感じのいい人でした。


55分と結構長い作品である『我親愛的父親』組は、洪伯豪監督と父親を演じた俳優(この人、どこかで見た顔なんですが...)、そして老人福祉施設の職員を演じた女優の登壇でした。

 

主人公役の男優がいなかったのは残念で、いわば認知症啓蒙映画といった作品であるにもかかわらず、父役の俳優と共に上手な演技で感動を与えてくれたのでした。ですが、啓蒙映画のせいか、母親の急死後父親にあれもこれも症状が出てくる、という描写はちょっと盛り込みすぎで、かえって誤解を招くのでは、とも思われました。

Raees Poster.jpg

 

さて、Q&Aが終わると30分後には『Raees(ライース)』の上映だわ、と思ってホールから外に出てみたら、何と結構人がいます。驚いたことに午後9時からの上映だというのに(終了は11時23分!)、会場はほぼ満席でした。こんなにインド映画ファンがいるとは、とびっくりした次第ですが、南アジア系の人は皆無で、みんな地元の人のようでした。中に1人2人、インド風のロングスカートを穿いていたり、上着をはおっている人がいましたが、日本のようにクルターやサルワール・カミーズ姿の人は見当たりません。台北のインド映画ファンは、まさしく映画だけのファンなのでしょうか。

 Shah Rukh Khan In & As Raees | Trailer | Releasing 25 Jan

予告編を付けておきます。これをチョー大画面で見られたのですから、もうすごい幸せでした。字幕は英語が元々ついていて、その下に中国語の投影字幕が出ます。みんな結構字幕で笑っていて、笑いが聞こえなかったのは、『Mr.インディア』のシュリーデーヴィーなど俳優に言及したもののところだけ。ああいうのは名前を入れてもわかりませんよね。総じて反応は日本人観客よりもヴィヴィッドな感じで、一緒に見られてラッキーでした。というわけで、私の金馬国際影展は、あと1本で終わりです。

 

台湾新幹線で台中へ(上)

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昨日は映画祭をお休みし、台中へ日帰り旅行をしてきました。「高鐵(高速鉄道)」と呼ばれる台湾の新幹線で約1時間の旅です。高鐵は日本の新幹線なみというか、スカイライナー的な存在で、安いので近距離の人も結構利用しています。南港が始発、そこから台北→板橋→桃園→新竹→苗栗→台中→彰化→雲林→嘉義→台南→左營と走るのが今の路線で、そのうち左營の少し先、高雄まで路線が延びるようです。途中、いくつかの駅を飛ばして行く列車もあり、そういう列車だと南港から左營まで、2時間ほどで行ってしまいます。車体も内部も、新幹線仕様でした。

 

チケットを予約したのは2日前で、窓口の女性は英語もきちんと話せてとても親切でした。私が持っていた時刻表が古く、ちょっと予約に手間取ったので、「新しい時刻表はありますか?と言ったらしばらく捜してから、わざわざ日本語の時刻表を捜し出して渡してくれました。こういうところ、台湾の人に頭が下がります。

 

チケット代は時刻表に700元(2800円弱)と書いてあったのですが、それより安くて片道670元でした。「離峰優恵」とあるので、ピーク(峰)時間を過ぎていることによる割引のようです。その他、何日か前に買うと安いチケット代が設定されていたりと、いろいろ嬉しい特典があります。切符は最後に改札口に入れてもまた戻ってくるので、こんな風に記念品にできます。お弁当の広告が車内にもありましたが、こちらでは「便當」と書いて「ビンタン」と読みます。100元(400円弱)は安いですね。


車窓からは、工場やマンション、そして農村地帯が見えます。台北に飛行機で降りる時、多くのため池があって目を奪われたのですが、それが地上になるとこんな風景になるのですね。台湾のドキュメンタリー映画『天空からの招待状』(2013)を思い出してしまいます。この映画の齊柏林(チー・ポーリン)監督が少し前にヘリコプター事故で亡くなられたのが、残念でたまりません。この作品の予告編を、しばらくお楽しみ下さい。

『天空からの招待状』映画オリジナル予告編

台中には時間ピッタリに着きました。改札口を出てすぐの所に観光案内所がある、というので行ってみると、そこで衝撃の事実(?)を知らされました。この台中駅は「高鐵台中駅」で、普通の台中駅は別にあり、そこに行くには在来路線「台鐵」に乗って3駅先に行かないといけないのです。どうりで回りが静かだと思いました...。君は新神戸みたいな存在だったのか。写真のように、台鐵に行く表示が出ていて、少し歩いて在来線の駅「新烏日(シンウーリー)」に行けます。こちらに「新」がついている、ということは、台鐵との乗り換えのためにわざわざ駅を作ったのかしら。新しいピカピカの駅なので、多分そうだと思います。新烏日→烏日→大慶→台中、と乗り継ぎますが、電車の本数が少なく、昼近い今の時間帯では30分に1本程度しか走っていません。

 

この新烏日駅、面白いスーベニアショップがあって、ここでしばらく遊んでしまいました。台湾中の鉄道グッズを置いているお店で、下のような巨大なジオラマまであります。鉄ちゃんが来たら、いろいろ大人買いしてしまうだろうなあ。


で、在来線に10分ほど乗って台中駅へ。ここも新しくてきれいな駅でした。何かのガイドブックで「昔の駅がそのまま残っている」とあったのですが、それは帰途に見ることにして、まずは台中公園に行ってみることにしました。ところがここでとんでもない間違いをしてしまい、今いる新しい駅がちゃんとした駅前だと思ってしまったのです。ところが、あとで分かったのですが、この新駅の裏側にある旧駅側がメインの町並みで、刊行案内所でもらった地図に書いてあった名所のある側なのでした。


とりあえずグーグル地図で今いる場所を捜してみると、先の方に公園が出て来ます。2.28記念公園とのことで、台中公園はそういう名前でも呼ばれているのかしら? とずんずん行ってみることにしました。しかし、行けども行けども公園に行き当たりません。おまけに暑くなってきて、30分も歩くと汗みずくに。やっと、興大附農という、国立中興大学の附属農学校の巨大な敷地を通り過ぎて、それらしきものが見えてきました。


2.28事件はご承知のように1948年に発生し、多くの犠牲者を出した、本省人と外省人が対立した事件です。しかし、これは台中公園じゃないよなあ。もう疲れてぐったりしていたのですが、とりあえず台中駅まで行けるバスのバス停を捜してみることにしました。というのも、観光案内所の女性が進めてくれて、スイカみたいな交通系のカードをセブン・イレブンで買ったのです。「10キロ以内ならバスは無料になるし、台北の地下鉄にも乗れるし便利ですよ」というわけで少し歩いてバス停を見つけ、涼しいバスに乗って台中駅まで。こちらのバスは、2つある乗降口のうちどちらから乗ってもよく、乗る時にカードをタッチします。そして、ボタンを押して降りる時にも、機械にカードをタッチすればOK、というシステムです。降りるのも、前、後ろ、どちらでもかまいません。

 

そうして着いたのが、新駅とは反対側にある旧駅でした。こちらがメインなのか~。しかし、この駅前、何か活気がなく、建物も古びていて、つぶれたレストランとかがそのままになっています。お昼なのでご飯を食べたいのですが、目立つのは「補習班」と呼ばれる予備校ばかりで、気温が30度ぐらいまで上がってきたこともあって、頭がクラクラしてきました...。(続く)

 

台湾新幹線で台中へ(下)

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昨日の続きです。

で、観光客が山盛りのアイスクリーム(みんなパフェみたいなのをカップに盛ってもらって、店から出て来ていました。有名なお店なのかしら?)に群がっている一画を抜けて、ちょっと行ったところのビルに入ってみました。ケータイの店が並ぶ、バンコクMBKの一画みたいな感じです。3階にヴェトナム料理屋があるみたいなので行ってみたのですが、そしたら、広い3階の一画が、ヴェトナム料理とタイ料理のレストランがいくつも入っている区画になっています。ぬわんじゃあ、この治外法権的雰囲気は。ヴェトナムの人とタイの人が、台中には多いのでしょうか。


とりあえず、手近なお店に入ってみました。30歳半ばの女性がいたのですが、ちょっと話をしてみるとヴェトナム華僑で、台湾に働きに来ていて、中国語は話せるものの漢字は読めないのだとか。ヴェトナム華僑って広東系が多いのかと思ったら、福建系の人もいたのですね。そのお店では、鉛筆で注文の品にチェックを入れるオーダー票が漢字とヴェトナム語の両方で書いてあり、これなら漢字がわからなくても大丈夫ね、と思いました。私も、「Pho/フォー」ぐらいは読めるので、漢字と付き合わせていろいろチェックします。お姉さんは、「日本人なのに国語(標準中国語の台湾での言い方)ができるの? 漢字も書けるの?」とか相手になってくれ、感じのいい女性でした。でもあとはお料理を作るのに専心し、私をほおっておいてくれて、おかげで友人への手紙などが書けました。私が頼んだ料理は、フォーの牛肉炒めと空心菜炒め、それとアイスコーヒーでしたが、空心菜炒めはとってもおいしかったです。フォーの方は量がすごく多い上、味がイマイチで、牛肉と野菜だけ食べてフォーは半分ほど残してしまいました。アイスコーヒーは、下に氷を入れたグラスと金属製のコーヒー濾し器の登場を期待したのですが、ごくフツーのグラスに入ったアイスコーヒーでした、残念。


この3階は、あとはほとんどがケータイ屋ですが、安い服を売っているお店も2、3あったので、思い切って1枚買ってしまいました。この日は台中は台北より涼しい、という予測だったのでハイネックのTシャツを着てきたところ、もう暑くて暑くて...。というわけで、290元(1150円ぐらい)を250元(1000円弱)にまけてもらい、お店の隅にあった布で囲っただけの試着室で着換えさせてもらいました。あー、楽になった~。で、元気を出して、歩いて10分ぐらいの台中公園へ。広くてきれいな公園で、噴水が涼しげでした。

 

ここの目玉は湖心亭という、四阿(あずまや)というか池に張り出した建物で、1908年(明治41年)に日本の皇族が来た時に建てられたものだとか。2006年に修復され、公園の目玉になっている、とのことです。湖心亭内部の建築も、当時のハイカラなインテリアがうまく配されています。

 

でも、今、中は鳩さんのお休みどころになっていて、「ポッポッポ、やっぱ暑いと屋内がいいよね~」「ホンマですわぁ、ポッポッポ」という鳩さんの声が聞こえてきそうです。池を覗いて見ると、たくさんの鯉や亀(すっぽんか?)が泳いでいて、これで座るところがあったらしばらくボーッとしていたい、と思ってしまいました。中は小さなベンチがひとつしかなく、しかも、陽がガンガン当たるところにあって、とてもじゃないけど座りたくない状態だったのです。

 

台中公園からは、ちょっと行ってバス停を見つけ、台中の街をナナメに走る台中港路を北西に走って新光三越・遠島前まで行きました。どちらもデパートの名前で、ブランドものの店舗がいっぱい入っている高級百貨店です。その横を入ったところに、台中国家歌劇院(台中国立オペラハウス)があるので、見に行ったのでした。日本人の伊東豊雄氏が設計し、話題になった建物で、なるほど外も内も斬新な建物でした。中のカフェで一休みしているうちに夕方になり、光が灯ります。余談ですが、台中の人は電飾好きなのか、台中公園もいろんな建物や橋に電飾がぶらさがっていましたし、街中でも電飾をよく見かけました。

 

さて、その後は中華路で開かれている夜市を見て、早めに高鐵台中駅へ、と思っていたのですが、よく確かめずに乗ったバスが「次ぐらいが中華路かな」(日本と同じで、前の方に次の停留所を示すテロップが流れます)と思っていた時に突然右に曲がってしまい、しばらくして停まった停留所であわてて降りました。その後元の道に戻り、中華路まで行こうと歩き始めたのですが、夜のことでもあって、どこがどこやらわからなくなり、ついにタクシーに乗る羽目に。グーグルマップも見ていたのですが、現在位置がウロウロと動いたりして、ますます混乱してしまいます。本日の教訓:知らない街を夜暗くなってから歩いてはいけません! 下のようにお店がある所は明るいのですが、普通の会社の前だったりすると通りはうす暗くて、聞こうにも人は通らず...と、本当にあせりました。


というわけで、二度にわたり道に迷った台中でした。やっぱり地図は、紙に描かれたものがよいですね。本屋さんで捜したのですが、見当たらなくてあきらめたのが失敗の元でした。観光案内所も、台北市のものみたいにもっときちんとした地図にしてくれるといいのに。ところで、次は台南を狙っているのですが、はてさて、何年後に行けるやら...。



台北金馬国際影展 MY LAST DAY

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11月9日(木)に台北から戻りました。台北発午後4時20分という便だったため、その日の午前10時半から、1本映画を見てくることができました。金馬国際影展に出ている許鞍華(アン・ホイ)監督の『名月幾時有』です。会場は、今回初めての日新威秀影城で、前にこの映画館の写真(↓)を出しましたが、IMAXの超巨大画面でアン・ホイ作品を見ることになりました。座席はかなり傾斜がある階段状で、従って画面がとっても見やすく、割と下の方の席だったため大迫力でした。ここで『バーフバリ』を見たら、あまりの大迫力にショック死するかも、と思ったりしました(^^)。


『名月幾時有』は、現代の香港の、モノクロ映像から始まります。今はタクシーの運転手をしている老年の男(梁家輝/レオン・カーフェイ)が、自分は戦争期に子供ながら抗日の遊撃隊に参加した、という話をしていき、やがて画面がカラーになって、1941年末の香港へと移っていきます。物語の主人公は学校の先生である26歳の女性方蘭(周迅/ジョウ・シュン)で、母親(葉徳嫺/ディニー・イップ)と住む家に、中国大陸から香港に逃れた作家茅盾(郭濤/グォ・タォ)夫妻が下宿するようになったため、徐々に茅盾こと沈徳鴻の影響を受けていきます。当時香港には茅盾のほか、鄒韜奮や夏衍が潜伏しており、彼らを守り抗日運動を行う母体として「廣東人民抗日遊撃隊東江縦隊」が結成されていました。その中心となって神出鬼没の活躍をしたのが、まだ25歳ぐらいだった劉黒仔(彭于晏/エディ・ポン)でした。

Our Time Will Come.jpg

香港の街には日本兵が溢れ、人々は食糧を手に入れるのも容易ではなくなっていきます。学校は閉鎖されていたため、方蘭はすることもなく日々を送っていましたが、同僚でボーイフレンドの李錦榮(霍建華/ウォレス・フォ)の求婚にはすなおにイエスと言えず、やがて2人は別れてしまいます。そんな時方蘭は茅盾らを香港の外に逃がす手伝いをし、黒仔と知り合います。一方錦榮は日本軍の憲兵隊本部に勤務するようになり、その漢詩に関する知識を山口大佐に気に入られ、親しく付き合うようになりました。しかし、実は錦榮は日本軍の内情を探るために、憲兵隊に入り込んでいたのでした。方蘭は遊撃隊に加わり、家を出て新界に暮らすようになります。そこにいたのがかつての教え子の少年で、彼こそこの物語をアン・ホイ監督に語ってくれたタクシー運転手でした...。

周迅 彭于晏 霍建華【明月幾時有】首波預告(粵語)

アン・ホイ監督は、前作『黄金時代』(2014/TIFFで上映)では、日中戦争時代に生きた女性作家䔥紅(シャオ・ホン)を主人公に、ちょうど今回の作品に描かれた時代の直前を描きましたが、今のところ1930・40年代がアン・ホイ監督の一番の関心事のようです。今回も様々に時代考証が重ねられているようで、香港人や中国人の描写は細かいところまで行き届いている印象を受けました。ところが、日本軍人が出て来た途端、すべてが茶番になってしまいます。だらしない軍服姿、珍妙な日本語や振る舞いなど、アン・ホイ監督ですらこの程度の認識なのか、と嘆きたくなりました。永瀬正敏も、長い髪に、何やら珍妙な通過儀礼で父親に付けられた傷痕など、「それはないだろう」点が目立ちます。さらに、軍人やそのほかの日本人がクラブのような所で酒を飲むシーンでは、これまた実に珍妙なキモノ姿と島田髷のようなカツラをかぶった女性が何人も出現、がっかりしてしまいました。

【明月幾時有】 終極版預告 7/7再見月光

もう一つ、予告編を付けておきましたが、さすがアン・ホイ監督、と思ったのは、出演者が豪華なこと。前述の俳優以外にも、『生きていく日々』(2008)の鮑起静(パウ・ヘイチン)や、お久しぶり!の李燦森(サム・リー)に呂良偉(レイ・ロイ)等、出番は短いのですが、強く印象に残りました。でも、アン・ホイ監督、次はぜひまた現代香港に舞台を戻して下さいませ。

Chasing the Dragon film poster.jpg

このほか、11月8日には、街の映画館で2本映画を見ました。1本目は甄子丹(ドニー・イェン)が1960年代の暗黒街のボス「跛豪」こと伍世豪に扮し、一方劉徳華(アンディ・ラウ)がかつて演じたこともある警察署長雷洛(リー・ロック)に扮する『追龍』です。王晶(ウォン・チン)とあと2人の共同監督作品なのですが、かなりの力作で、香港の60年代になぜ汚職が横行したのかをわかりやすく見せてくれていました。主役の2人以外の出演者も豪華で、特にアンディ・ラウや梁朝偉(トニー・レオン)と共に昔「無線五虎将」と呼ばれた湯鎮業に黄日華も出ていたのは懐かしかったです。アンディもですが、皆さん年を取りましたねー。下が予告編です。そうそう、なぜか上映されたのは広東語版でした。

9.29【追龍】終極預告 梟雄篇

 

2本目は、林育賢(リン・ユゥシエン)監督と郭樂興監督によるドキュメンタリー『翻滾吧!男人』。これは、日本でも公開されて評判になったリン・ユゥシエン監督の『ジャンプ!ボーイズ(翻滾吧!男孩)』(2005)の続編で、あの体操少年たちの10年後を撮ろうと当時から考えていた企画を実現させたものです。実はちょっとドジをしまして、映画の後半だけしか見られなかったのですが、中心人物は、当時同じクラスで仲良しだった2人、「市場っ子」李智凱(リー・チーカイ)と「ハッタリ君」黄克強(ホアン・クーチャン)です。李智凱はリオ・オリンピックに出るまでになりますが、その直前に足首をケガし、手術を余儀なくされます。オリンピックでは活躍できなかったものの、彼の鞍馬は実に見事で、今年台湾で開催されたユバーシアード大会で見事金メダルを獲得、リン・ユゥシエン監督の兄でずっとコーチをしてきた林育信(リン・ユゥシン)コーチを感激させます。一方、大学で日本人コーチの濱田氏に鍛えられている黄克強は、昔から変わらぬ明るい性格の自信屋ですが、彼にも体調の変化が襲います...。前作を知っている人間には面白く、また感激する作品なのですが、前作のような新鮮な驚きはなく、平易なドキュメンタリーという感じでした。予告編を付けておきます。

 《翻滾吧!男人》正式預告 網路版

映画もいっぱい見られた満足の台湾旅行、さて、次はいつお邪魔できるでしょうね...。


インド映画連続講座12月「プリヤンカー・チョープラー」&1月「アヌシュカー・シャルマー」

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昨日、スペース・アーナンディ/インド映画連続講座第Ⅱ期「女優が輝くボリウッド映画の魅力<第2回>プリヤンカー・チョープラー」が無事終了しました。直前キャンセルの方が出たりしたのですが、この回は予約が満員になったため、少し前に2回目もやることに決め、12月を2回目に充てることにしました。昨日の講座では、プリヤンカーの成長には分岐点があったこと、アメリカ進出の先陣を切っているインドのトップ俳優であること、恋の噂等々を見ていきましたが、あともう2、3本、代表作を持たせてあげたい、という思いがしました。終了後に得た情報によると、今年4月には「世界で最も美しい女性」の第2位にも選ばれたのだとか。ドラマ「クワンティコ」でのプリヤンカーのファンの方も、この機会にぜひ彼女の活躍ぶりを辿ってみて下さい。(写真はWikiより)

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スペース・アーナンディ/インド映画連続講座第Ⅱ期
「女優が輝くボリウッド映画の魅力」
<第2回>プリヤンカー・チョープラー

 スペース・アーナンディでは、毎年1つのテーマで行う「インド映画連続講座」を開催中ですが、4人の男優を取り上げた第Ⅰ期「スターで辿るボリウッド映画史」に続き、第Ⅱ期では女優を取り上げています。昔は男優のお添え物的存在が多かった女優たちですが、プリヤンカー・チョープラーの『メリー・コム』(2014)のように、ヒロイン中心の作品も多くなるなど、今世紀に入ってインド映画は変化しつつあります。今回はマチズモからフェミニズムへ、という映画界の変化を担う女優たちを5人、順番にご紹介しています。
 <第1回>のディーピカー・パードゥコーンに続いて登場するのは、今やハリウッドでも大活躍中のプリヤンカー・チョープラー。歌手としても有名ですが、「クワンティコ」等のテレビドラマでも大人気で、ディーピカーに先んじて欧米に顔を知られました。インドでは『バルフィ!』(2012)等意欲的な作品に多く出演しており、その足跡を辿ると興味深いことがわかってきます。役柄分析もまじえながら、彼女の魅力に迫っていきます。
 なお「スターで辿るボリウッド映画史」に続いて、「女優が輝くボリウッド映画の魅力」でも、講座と抱き合わせで「映画で学ぶヒンディー語塾」を開講します。当塾では一応順番に文法の要点を押さえていっていますが、毎回独立した内容なので、初めての方でも初心者の方でもノープロブレム。30分の濃密なヒンディー語学習体験をどうぞ。

 日時:2017年12月16日(土) 15:00~17:30
 場所:スペース・アーナンディ
    (東急田園都市線高津駅<渋谷から各停で18分>下車1分)
 定員:20名
 講座料:¥2,500(含む資料&テキスト代)
 講師:松岡 環(まつおか たまき)

ご予約は、スペース・アーナンディのHP「受講申し込み」からどうぞ。ご予約下さった方には、ご予約確認と共に、スペース・アーナンディの地図をメール送付致します。床におザブトンをひいて座っていただく形になりますので、楽な服装でお越し下さい(申し訳ないのですが、スペースの関係上イス席はご用意できません。悪しからずご了承下さい)。
皆様とお目にかかれるのを楽しみにしております。(松岡 環)

[講師紹介]
1949年兵庫県生まれ。麗澤大学、国士舘大学非常勤講師。大阪外大(現大阪大)でヒンディー語を学び、1976年からインド映画の紹介と研究を開始。1980年代にインド映画祭を何度か開催したほか、様々なインド映画の上映に協力している。『ムトゥ踊るマハラジャ』『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』『きっと、うまくいく』『pk』など、インド映画の字幕も多数担当。著書に、「アジア・映画の都/香港~インド・ムービーロード」(めこん/1997)、「インド映画完全ガイド」(世界文化社/2015/監修)など。

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また、来年(もうあと少しで2018年なんですね~)には「<第3回>アヌシュカー・シャルマー」の講座開催も決まりました。昨日の参加者の方がすばやくお申し込みになったので、残席が少なくなっています。お申し込みはお早めに。

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スペース・アーナンディ/インド映画連続講座第Ⅱ期
「女優が輝くボリウッド映画の魅力」
<第3回>アヌシュカー・シャルマー

 

(2013年3月ムンバイでのインタビュー時に撮影) 

 スペース・アーナンディでは、毎年1つのテーマで行う「インド映画連続講座」を開催中ですが、4人の男優を取り上げた第Ⅰ期「スターで辿るボリウッド映画史」に続き、第Ⅱ期では女優を取り上げています。これまで、ディーピカー・パードゥコーン、プリヤンカー・チョープラーと続き、今回は、『PK』(2014)で日本のインド映画ファンのハートを射貫いたヒロイン、アヌシュカー・シャルマーが登場します。
 デビュー作がシャー・ルク・カーンとの共演作『Rab Ne Bana Di Jodi(神が作り給うたカップル)』(2008)というラッキー・ガールで、次にランヴィール・シンとタッグを組んだ『Band Baaja Baaraat(花婿行列が賑やかに)』(2010)もヒット。再び『命ある限り』(2012)でシャー・ルクと共演したかと思えば、アーミルとは『PK』で、サルマーンとは『スルターン』(2016)で共演し、いずれも大ヒットという、ものすごい強運の持ち主なのですが、ご本人はいたってシンプル。日本食好きが判明したインタビュー時の様子などもまじえながら、今はプロデューサーとしても実績を重ねているアヌシュカーの魅力に迫ります。
 なお、「女優が輝くボリウッド映画の魅力」でも、講座と抱き合わせで「映画で学ぶヒンディー語塾」を開講します。一応順番に文法の要点を押さえていっていますが、毎回独立した内容なので、初めての方でも初心者の方でもノープロブレム。30分の濃密なヒンディー語学習体験をどうぞ。 

 日時:2018年1月20日(土) 15:00~17:30 
 場所:スペース・アーナンディ
    (東急田園都市線高津駅<渋谷から各停で18分>下車1分)
 定員:20名
 講座料:¥2,500(含む資料&テキスト代)
 講師:松岡 環(まつおか たまき) 

ご予約は、スペース・アーナンディのHP「受講申し込み」からどうぞ。ご予約下さった方には、ご予約確認と共に、スペース・アーナンディの地図をメール送付致します。床におザブトンをひいて座っていただく形になりますので、楽な服装でお越し下さい(申し訳ないのですが、スペースの関係上イス席はご用意できません。悪しからずご了承下さい)。
皆様とお目にかかれるのを楽しみにしております。(松岡 環)

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ここでちょっとお詫びを。以前naokiさんが寄せて下さったコメントへの返信には、「1月の頭にはアヌシュカー・シャルマーをやる予定です」と書いたのですが、諸般の事情により1月20日になってしまいました。すみません! お詫びに、アヌシュカー・シャルマーの出ているCFを付けておきます。相手が実生活での恋人ヴィラート・コーフリー(有名クリケット選手)とは、大胆ですねー。「マィン・ハメーシャー・キャール・ラクーンガー(僕はいつも君を守るよ)」というのが殺し文句です。

Virat and Anushka's Naye Vaade


台北「安かろう、旨かろう」モンあれこれ

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もう一つ、台湾旅行ネタを書いておきます。「台湾に旅行に行ってくる」と友人に言うと、たいてい「おいしいものが食べられていいわねえ」と言われてしまうのですが、中華な世界では、ひとり旅だと本格的な中華料理を食べる機会はまずありません。小籠包にしても、やはり数人で行って食べないと、あの一籠を空にするのは無理というもの。というわけで、今回もB級グルメ旅になったのですが、どんなものを食べてきたのか、ちょっと記録しておこうと思います。

台湾で私が一番好きなのは、「自助餐」と呼ばれる食堂。1980年代末に台北に行き始めた当時、結構あちこちに自助餐のお店があって、言葉ができなくても指さしだけでご飯が食べられてこれは便利!と大好きになりました。自助餐とはバイキングのことで、カウンターの上に20~30種類ぐらいおかずが並んでいて、発泡スチロールのトレイをもらい、食べたいものを指さしていけば、そのトレイの上に載せてくれます。最後に「ご飯は?」「小椀(小ライス)」とか言ってお盆の上に乗せてもらい、会計係のおばさんが見た目で計算して「〇〇元」と言ってくれる、というものです。おかずは非常に豊富で、野菜料理も各種揃っているほか、豚肉料理、魚料理、豆腐料理、ゆば料理、卵料理等々、どれを取ってもらおうか迷うほど。その後香港に行くたびに、「なぜ香港には自助餐がないのだ!」と不満を言っていた私ですが、香港では自助餐の店がショッピングモールの食堂に出現したかと思うとつぶれ...、というわけで、香港人にはあまり好評でなかったようです。反対に東南アジアでは、フードコートに中華料理のほかマレー料理やインド料理の自助餐もある所が多く、ひとり旅は快適です。ただ、台北では2000年代に入ると自助餐の店がだんだん少なくなり、今回も2軒しか目にしませんでした。

 

 

その一つが、泊まっていたホテルのある漢口街一段をまっすぐ西へ行き、中華路を渡って西門町に入った漢口街二段にある上の写真の店。丸い看板に書いてある「海山味珍」というのがどうもお店の名前らしいのですが、昼時には入り口から長蛇の列が中華路に至るまでのびていきます。でも、バイキングなので列はさっさか進み、20人ぐらい列んでいても、10分もすれば中に入れます。お弁当にしてもらって持って帰る人も多い上、1階と2階を合わせると50席ぐらいあるので、回転も早いことからすぐ座れるのです。昔は発泡スチロールだったおかずのトレイやご飯のお椀は、環境保護のためか紙になっていました。1枚目が最初に行った時で、野菜不足にあえいでいたので野菜料理3種とイカの炒め物に鶏唐揚げ甘煮、そしてたっぷりの味噌汁がついて128元(500円強)でした。味噌汁はちゃんと削り節でだしが取ってあります。2枚目が2回目の時で、野菜料理2種にクラゲの炒め物と鶏肉の甘煮、そして魚のソテーです。スープはタケノコスープ(これはあまり味がよくなくて失敗でした)で、こちらは大きな魚が高かったのか、170元(約650円)でした。それぞれのトレイに載っている小さなコップはレモン水とお茶で、こちらはおかわり自由です。料理のお味は「まあまあ」から「美味」まで様々でしたが、このお店に行き当たるまでは下のような屋台で焼き肉を買ったり、コンビニで売っているピザロールを買って、映画と映画の合間に立ち食いしたりしていたので、自分的には「豪華昼食!」でした。


夜も映画の合間に軽く食べる、といった感じでしたが、帰国前日は台北駅の地下街でおみやげを買ったりしたので、ホテルに持って帰って食べようと、台鐵のお弁当を買ってみました。「傳統排骨便當」という名称で、60元(240円弱)です。安いですね~。お弁当の箱に写っている熊2匹は、どうも台鐵のマスコットみたいで、くまモンを意識しているのかも。買った時はほかほかと温かく、これは嬉しい、と思ってしまいましたが、中華系の人にとっては冷たいお弁当を食べる方が異常なことでしたね。中身はご覧のとおりで、ご飯を敷き詰めた上に白菜の煮物みたいなのが載っていて、その上にでん!と衣を付けて揚げてから甘煮にした骨付き豚肉の大切れが載っています。あと、煮玉子とゆばのこれまた甘煮が付いていました。この排骨豚肉が結構なボリュームで、結局ご飯は半分残し、煮玉子も残して、次の日のお弁当にしました。ご飯はビニール袋の中で握ってちょっと塩を振りかけ(喉が弱いもので、うがい用に常に塩は携帯してます)、煮玉子とで立派に1食分になりました。次の日、アン・ホイ監督の映画を見てから荷物をピックアップして空港行きのバスに乗り、桃園空港までの50分ぐらいの間にこのお弁当を食べたのですが、塩味のおにぎりと煮玉子が絶妙のマッチングでおいしかったです。


 

あと、スナックなどでは、時間を潰すために入ったマクドナルドで食べた芝麻聖代(ごまサンデー)がすごくおいしかったです。アイスクリームの上に黒ごまソースがかかっているだけなのですが、この黒ごまソースが絶品! 台湾にいらした時にはお試し下さい。左はアイスティーです。

 

そのほか、泊まったホテル名邑旅店(ミーイーホテル)では、ミネラルウォーター2本のほかに、毎日小袋スナックを3袋置いていってくれます。ここに写っているのはポテトとオニオンリングですが、ほかにかっぱえびせんもあり、映画を見ていて小腹が空いた時に重宝しました。


名邑ホテルは台北駅前の新光三越の裏手にあり、西門町まで歩いてすぐの便利な場所で、とても助かりました。部屋をアップグレードしてくれ、何と3人部屋に泊めてもらって、ベッド1つを荷物置きにできてラッキーでした。デスクも下のような形であるのですが、ファイルやらパソコンやらを置くとたちまちいっぱいになってしまうので、買ってきたおみやげとか本とか、ベッドに置けたのでありがたかったです。

 

お風呂にはバスタブもあり、サービスも合格点で、気持ちのいいホテルでした。1泊税込みで8,000円弱ですが、旅行サイトAgodaの貯まっていたポイントを使ったので半額になり、ほくほく。そんなわけで、快適な5年ぶりの台湾旅行を楽しんだ次第です。今回は航空券も、貯まっていたマイレージがここのところ次々と失効していくため、思い切ってビジネスクラスのタダ券を取って、ドン!と使ってしまいました。ビジネスクラスの、行きの朝食、帰りの夕食はこんな感じでした。

 

 

ビジネスクラスと言っても、キャセイは昔に比べるとお料理がちょっと貧相になりましたねー。とはいえ、夕食のラム肉など、見た目は悪いですがお味はとてもよかったです。ちゃんとビジネスクラスに乗ったのは、2008年に香港で手術・入院して、退院直後に帰国した時以来です。この時は全額海外旅行保険でまかなってもらえたのですが、病み上がりで機内ではずっと寝ていたので、ビジネスの恩恵にあずかれずじまい。今回、久しぶりに贅沢をさせてもらいました。今回の旅でいろいろ楽しんだので、また仕事をがんばるぞ! 

とりあえずは、今週末から始まる第18回東京フィルメックスです。皆さんは、もうご覧になる作品は決まりましたか? 公式サイトをご参照の上、ぜひ足をお運び下さいね。では、次は有楽町でお目に掛かりましょう!!

 

過去の名作デジタルリマスター版の公開続く

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宣伝会社ポイント・セットから、香港映画『欲望の翼』(1990)がデジタルリマスター版として甦り、来年2月に全国公開されるお知らせが届きました。以下、お知らせをそのまま貼り付けます。

★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★

ウォン・カーウァイ監督の原点『欲望の翼』

2018年2月 リバイバル上映決定!!

閃光のごとき衝撃と陶酔──ウォン・カーウァイ監督初期の傑作が13年ぶりにスクリーンに甦る

1960年代の香港を舞台に、若者たちの恋愛模様を描いた群像劇。第10回香港電影金像奨で最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞(レスリー・チャン)を受賞。それまでの香港映画と一線を画す、浮遊感と疾走感の入り混じる語り口と映像美。レスリー・チャン、マギー・チャン、カリーナ・ラウ、トニー・レオン、アンディ・ラウ、ジャッキー・チュンらの当時「香港映画史上最初で最後」と言われたほどに豪華な、6人のトップスターを起用したキャスティング。モノローグを多用し、時系列に沿わないストーリー、印象的な音楽──『欲望の翼』はウォン・カーウァイ監督独特のスタイルが確立された原点と言え、実際に本作のモチーフは名作『花様年華』、そして『2046』へと引き継がれた。

クエンティン・タランティーノや、2017年のオスカーに輝いた『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督も影響を公言し、2015年にNY・メトロポリタン美術館で行われた「鏡の中の中国」展の芸術監督も任されるなど、ジャンルや国境をも超えて今なお熱烈に支持されるウォン・カーウァイ監督。その色褪せることない傑作群の中でも『欲望の翼』は2005年以降日本での上映権が消失しており、今回公開する劇場であるBunkamuraル・シネマが今年初夏に開催したウォン・カーウェイ特集上映でも本作の上映は叶わず、スクリーンでの上映は実に13年ぶり。「あの時にしか生まれ得なかった」奇跡の傑作が、制作から28年の時を経て新たな疾走を始める。

この度解禁するポスターも、ウォン・カーウァイの手によって当時の香港の空気感をそのまま閉じ込めたかのようなビジュアルとなっており、主人公ヨディ(レスリー・チャン)がスー(マギー・チャン)に語りかけるセリフ「1960年4月16日3時1分前、君は僕といた。この1分を忘れない。君とは“1分の友達”だ。」が印象的だ。

<作品データ>
『欲望の翼』
1990年/香港/広東語/95分/原題:阿飛正傳/英語題:DAYS OF BEING WILD
監督・脚本:ウォン・カーウァイ(王家衛)
撮影:クリストファー・ドイル
美術:ウィリアム・チャン(張叔平)
主演:レスリー・チャン(張国栄)、マギー・チャン(張曼玉)、カリーナ・ラウ(劉嘉玲)、アンディ・ラウ(劉徳華)、ジャッキー・チュン(張学友)、トニー・レオン(梁朝偉)
配給:ハーク

※2018年2月よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開

 ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★

また、もう1本、韓国映画『スキャンダル』(2003)も、デジタルリマスター版となって明年公開されます。同じくポイントセットから届いたこちらの情報も、お知らせをそのまま貼り付けます。

   ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆

あの傑作が、製作から15年の時を経てデジタルリマスターで鮮やかに蘇る

ペ・ヨンジュン初主演作『スキャンダル』 

2004年に日本で公開され、当時9億円の興行収入を記録したペ・ヨンジュン初主演作『スキャンダル』がデジタルリマスター版が2018年1月20日(土)より全国順次公開と成ります。  

本作はフランスの古典恋愛小説『危険な関係』を、18世紀の李氏朝鮮を舞台に映画化した華麗な恋愛ドラマ。華やかな朝鮮王朝を舞台に、優雅に繰り広げられる恋愛ゲームを描き、時代劇ならではの鮮やかな衣装や装飾品の評価も高く、ペ・ヨンジュンと2007年に『シークレット・サンシャイン』での演技により第60回カンヌ国際映画祭女優賞を受賞し今や世界的な実力派人気女優チョン・ドヨンとのベッドシーンが話題となった。監督は、『世界で一番いとしい君へ』『フライ・ダディ』のイ・ジェヨン。主演は公開当時、これまでの誠実なイメージではなく、プレイボーイを熱演しファンを驚かせた韓流の先駆者ペ・ヨンジュン。その他、『造られた殺人』『うつせみ』のイ・ミスクなどが出演。  

日本での公開当時は、「冬のソナタ」がNHK総合チャンネルで放送スタートした直後で、本作の公開直前に来日したペ・ヨンジュンを一目見ようと羽田空港に7000人を超えるファンが来るなど、言わずと知れた韓流ブーム全盛期。その立役者のペ・ヨンジュンによる映画初主演作ということもあり、公開するや否や劇場には人が連日押し寄せ、社会現象となった。韓国では当時、「韓国映画最多週末観客数記録」など数々の記録を塗り替え、韓国最大の映画の祭典である青龍映画賞2003では、最優秀作品賞にも輝き、作品としても高評価を得ている。このたび、脚色・演出・演技・衣装・美術、いづれも第一級であるという作品的価値を映画ファンの皆様に再認識していただきたいという思いから、制作から15年という節目の2018年にリバイバル上映する運びとなった。 

<作品データ>
『スキャンダル』
2003年/韓国/韓国語/123分/原題:스캔들 - 조선남녀상열지사
監督・脚本:イ・ジェヨン
原作:ピエール・コデルロス・デ・ラクロ
主演:ペ・ヨンジュン、チョン・ドヨン、イ・ミスク、チョ・ヒョンジェ
配給:ハーク

※2018年1月20日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開

 ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆

「配給会社ハークのアジア映画名作リバイバル劇場」とでも名付けたいですね。2018年の新春をどうぞお楽しみに。


『バーフバリ 王の凱旋』公開まで秒読み!シリーズ<1>額(ひたい)に注目!

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12月29日(金)の『バーフバリ 王の凱旋』公開まであと6週間。つい先日、素晴らしい場面写真がいくつもリリースされて、『バーフバリ』ファンの心を躍らせしました。こちらこちらのサイトでその場面写真を見ることができますが、「アジア映画巡礼」にも配信していただきましたので、それを使いながら、今後公開日まで数回にわたって『バーフバリ』の魅力を探っていこうと思います。

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『バーフバリ』がインド古代叙事詩「マハーバーラタ」を下敷きにしていることは、こちらの拙ブログ記事やパンフレットの拙文などでお伝えしましたが、同じく古代叙事詩「ラーマーヤナ」の要素も垣間見えることも、こちらの記事などでお伝えしてきました。そして、『バーフバリ 王の凱旋』を見た時に思ったのは、『バーフバリ 伝説誕生』を支配していたのはシヴァ神の影だと思っていたのに、ヴィシュヌ神の存在をも感じさせるものがあった、という発見でした。

ご承知のように、インドのヒンドゥー教には三大神が存在します。シヴァ神、ヴィシュヌ神、そしてブラフマー神ですが、現在のインドで人気を二分するのはシヴァ神とヴィシュヌ神。ブラフマー神は妻(ヒンドゥー教の主な神々は、妻や子を持っているという設定になっています)のサラスワティー(サラスヴァティー)女神の方は人気が高いものの、ブラフマー神の方は図像を捜すのも一苦労です。余談ながら、学問と智恵、音楽の神サラスワティー女神(下図はインドの絵はがきから)は日本に渡来して弁財天となり、一方ブラフマー神は梵天と呼ばれるようになりました。


これもインドの絵はがきから、シヴァ神とヴィシュヌ神の画像を下に付けておきましょう。シヴァ神は毛皮を身にまとい、首にはコブラが巻き付いて、また髪の毛からはガンジス川が流れ出しています。座する前には、シヴァ神を象徴する、男性性器を象ったリンガが置かれ、後ろには三叉矛と太鼓が描かれています。アーミル・カーン主演の『PK』(2014)で、PKが捜しているリモコンは、この太鼓というか鼓というか、でんでん太鼓方式の楽器に付いた皮を打つビーズだ、とえせ宗教家の導師様が強弁していましたね。あと、後ろの方にはシヴァ神の乗り物である白牛の姿も見えます。一方ヴィシュヌ神は、ナーガ(蛇)をバックに、4本の手にはそれぞれホラ貝、蓮の花、円盤、そして棍棒を持って立っています。シヴァ神もヴィシュヌ神も、この姿は一例で、他にもいろんな姿で描かれることがあるのですが、とりわけヴィシュヌ神は十変化をするので、その変化後の姿、アヴァタール(ネット用語「アバター」の語源です)として描かれ、信仰を集めることも多いのです。ヴィシュヌの十変化については、のちほどまたご説明しましょう。

 

こんな人気二大神のシヴァとヴィシュヌですが、『バーフバリ 伝説誕生』では、川から助け上げられた幼子がシヴドゥと名付けられたところから、シヴァ神の影が色濃く漂ってきます。極め付けは成長したシヴドゥ(プラバース)が、育ての母サンガ(ローヒニ)の願掛けの灌頂(かんじょう)を助けようとして、巨大なシヴァリンガを持ち上げ滝の下に移動させるこのシーンです。シヴァ派の人なら、もう拍手喝采! いやいや、シヴァ派でなくったって、心躍るシーンでした。

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「心躍る」と書きましたが、実はシヴドゥ、このシヴァリンガを滝の下に据え付けたあと踊るんです。日本で公開されたインターナショナル版ではカットされているのですが、岩場を飛び跳ねるようにして短い踊りを披露してくれます。これもシヴァ神を想起させる動きで、ヒンドゥー教の神々は誰もが様々な別名を持っているのですが、シヴァ神の別名の一つに「ナタラージャ(踊りの王)」があり、下のような像で表されます。

『バーフバリ 伝説誕生』のタミル語版ポスターの前で撮ったのでちょっと見にくいですが、インド古典舞踊のポーズを決めるシヴァ神で、古典舞踊の公演の時などにはよく舞台に飾ってあります。シヴドゥの踊りは、シヴァ神との二重写しのダメ押しとなっていたわけでした。

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また、シヴァ派かヴィシュヌ派かは、寺院で付けてもらう額の印でも見分けられるのですが、典型的なシヴァ派のマークは上写真の右端、僧侶の額に付けられている3本の横線です。また、真ん中のビッジャラデーヴァ(ナーサル)の額には、シヴァ神の三叉矛のマークが描かれています。これは映画のための飾りかと思いますが、「わしらはシヴァ派じゃ」という感じです。

ところで、ヴィシュヌ派の人たちが額につけるマークは? それはU字マークとでも呼べばピッタリのマークなのですが、これが『バーフバリ 王の凱旋』では出現します。アマレンドラ・バーフバリ(プラバース/二役)の妻となるデーヴァセーナ(アヌシュカ・シェッティ)の従兄、クマーラ・ヴァルマ(スッバラージュ)の額についているのがそれです。

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クマーラ・ヴァルマは今回初めて登場するキャラで、どんな人物なのかは映画をご覧になってのお楽しみ、としておきましょう。デーヴァセーナはクンタラ王国の王女なのですが、この一族はヴィシュヌ派という設定になっているようで、これも今回のインターナショナル版ではカットされているシーンの中に、クリシュナ神を祭るソング&ダンスシーンもありました。ここに画像を貼り付けておきます。

Kanna Nidurinchara Video Song - Baahubali 2 Video Songs | Prabhas, Anushka

ヴィシュヌ派とクリシュナ神がどうつながってくるの? と思われた方もいらっしゃるかも知れませんが、クリシュナはヴィシュヌ神の十変化の1人なのです。ヴィシュヌ神の十変化の画像を下に付けておきますが、トップから時計と反対回りに、(1)マツヤ(魚)、(2)クールマ(亀)、(3)ヴァラーハ(野猪)、(4)ヌリシンハ(人獅子)、(5)ヴァーマナ(矮人(こびと))、(6)パラシュラーマ(斧を持つラーマ)、(7)ラーマ、(8)クリシュナ、(9)ブッダ、そして(10)カルキです。それぞれがどんなキャラクターなのかは日本語版ウィキでも項目がありますので、そちらをお調べ下さいね。こんな風に、クリシュナや「ラーマーヤナ」のラーマ、さらには仏陀まで入っているのが、ヴィシュヌの十変化なのです。


で、この画像を見て何かひらめきませんか? 注目していただきたいのは、左一番下のヴァーマナの図像です。上とは別の図像を付けておきましょう。

これは、ヴァーマナの姿になったヴィシュヌ神が、神に対抗する力を持ったバリという男の頭を押さえて地界に押し込めようとしている絵なのですが、『バーフバリ』をご覧になった皆さんには連想されるシーンがあるのでは、と思います。そう、下の予告編にもチラと出てくる、カッタッパ(サティヤラージ)が赤ん坊だったマヘンドラ・バーフバリ(シヴドゥ)の足を額に付けるシーンです。

インド映画の記録を塗り替える『バーフバリ2(原題)』予告

そこまでいくと深読みしすぎでしょうか....。いずれにせよ、『バーフバリ 王の凱旋』をご覧になる時は、ぜひ額にご注目下さい! 『バーフバリ 王の凱旋』公式サイトはこちらです。おお、上映される劇場がどんどん増えています。沖縄の桜坂劇場でも公開なんですねー。 バーフバリ・ファンよ、日本中に増殖せよ。ジャイ・マヒシュマティ!


第18回東京フィルメックスが始まりました

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第18回東京フィルメックスが、11月18日(土)より開催されています。私の初日は11月19日(日)で、デジタル・リマスター版の『山中傳奇』(1979)で幕開け。実は以前にも見ていますし、DVD(↓何だか手抜きのパッケージデザインですが、2005年11月の発売です)も持っているのですが、張艾嘉(シルヴィア・チャン)のQ&Aがあるというので、それを楽しみにして見に行くことにしました。


『山中傳奇』の物語は、写経を頼まれてある山中の寺に出向く書生何(石雋/シー・チュン)が、途中で農夫(呉家驤)に出会ったり、ラマ僧(呉明才)や笛を吹く娘(シルヴィア・チャン)の姿を遠くに見かけたりしながら、やっとのことで目的地に着くと、手配をしてくれる崔(佟林/タング・リン)が出迎えてくれます。さらには、得体の知れない男(田豊/ティエン・ファン)や家主の老婆である王夫人、その侍女、そして王夫人の娘である樂娘(徐楓/シュー・フォン)らと顔を合わせることになります。招かれた王夫人の家で、何は飲み過ぎたのか樂娘が叩く太鼓の音に気が遠くなっていき、気がつくと樂娘と一夜を過ごしていました。結局何は樂娘を妻に迎えることになりますが、樂娘や王夫人はラマ僧を嫌っており、そこには深いわけがあるようでした...。


というような筋なのですが、今回のデジタルリマスター版はかなりしつこいヴァージョンで、こんなにくどかったかなあ、と帰宅後チラとDVDをチェックしたところ、時間も大幅に違っていました。DVDが117分なのに対し、デジタルリマスター版は何と191分! 後半は樂娘とラマ僧側との戦いが延々と続き、それも煙合戦、太鼓合戦が繰り返し登場するもので、見ていて睡魔に襲われてしまいました。DVD版の方がはるかにわかりやすく、楽しめます。短縮版も、デジタルリマスターしてくれればよかったのに。


終了後のQ&Aには、ジーンズとシャツ姿のスリムなシルヴィア・チャンが颯爽と登場。もう64歳だというのに、全然そんなお年に見えません。


で、市山尚三さんの司会により、Q&Aが始まりました。この日はシルヴィアは英語での受け答えで、お上手な英語通訳さんが登場。


市山:この映画はいくつものヴァージョンがあって、今回上映したのは長いヴァージョンです。シルヴィアさんは、この長いヴァージョンを今回初めてご覧になったのでは? 感想はいかがですか?

シルヴィア:この作品は39年前のものになります。私がとても若かった頃のもので、自分の姿をこういう形でみるなんて、という感じです。見ていて思い出したんですが、この作品ではスモークをいっぱい使ったので、キャストは皆ロケ地の韓国から帰国したら、レントゲン検査をうけなくてはいけなかったんです。何せ、黄色の煙、赤の煙、緑の煙といっぱい使って、それを吸い込んだものですからね。韓国で、1年半ぐらいかけて撮った作品です。


市山:この映画にお出になったきっかけをうかがいたいのですが、確か 山田宏一さんと宇田川幸洋さんの本「キン・フー武侠電影作法」にも、映画に出る前からのご家族の友人だった、ということが出て来ますね。

シルヴィア:胡金銓監督は家族ぐるみの友人で、私が映画界に入る前から知っていました。この『山中傳奇』は『空山霊雨』と同時に撮られていたのですが、韓国で1年以上にわたって撮られていたのです。キン・フー監督は韓国へ来てくれる女優を捜していらして、それで私に声がかかりました。で、韓国に行ったのですが、行って40日間は1カットも撮影されなかったのです。そのかわり、どうやってスモークを出すのか、とか、メークの仕方とか、エキストラの配し方とか、映画作りに関することを学ばされました。


市山:1年間ずっと韓国に?

シルヴィア:私は『山中傳奇』の前には李翰祥(リー・ハンシャン)監督の『紅楼夢』を撮っていました。リー・ハンシャン監督とキン・フー監督は親しい友人だったので、キン・フー監督はリー監督に対して「すぐに韓国へこさせてほしい」とおっしゃったようです。リー監督はちょっとイヤな顔をなさったんですが、「行ってきなさい」と言って下さって、韓国に行くことになりました。でも、リー監督からは、「あなたが行って撮るシーンはきっとカットされるから」と言われました。すると案の定、沼の所で笛を吹くシーンだったのですが、カットされてしまいました。
撮っている間はまったく休みなしだったのですが、一度だけ韓国が深い雪に見舞われて、1ヶ月間お休みになったことがありました。


Q:石雋とか徐楓とかの、撮影中のエピソードを教えて下さい。

シルヴィア:そんな環境だったので、私たちはみんな、一生の親友になりました。ですので、今年の金馬奨で徐楓さんは生涯貢献奨を受賞なさるのですが、そのプレゼンターに私を指名して下さいました。あの作品は山の中を歩き回るシーンが多く、すごく寒くて風も強かったんです。特に、ソラク山できのこを採りに行くシーンは、ホテルから45分ぐらいかかって歩いて行くのですが、気温が-16℃なんですよ。だから、俳優たちはお互いに助け合い、かばい合わないといけなくて、それで仲良くなったんです。


Q:助監督のフレッド・タンですが、彼が実際に演出したということはありましたか?

シルヴィア:それはなかったですね。フレッド・タンさんはもう亡くなりましたが、元はジャーナリストだった人で、いい友人でした。あの時は初めて助監督として現場に入り、どうしていいかわからない状態で、ショックを受けていたようでした。メロドラマの部分とかは撮影に関わっていたかも知れませんが、アクションシーンはすべてキン・フー監督が仕切っていました。


Q:リー・ハンシャン監督との、演出上の違いなどはありましたか?

シルヴィア:お二人とも美術監督出身ですが、リー監督は『紅楼夢』のようにスタジオで撮ることが多く、一方のキン・フー監督はあちこち行ってはロケをすることが多かったですね。実際の風景があると、俳優もその物語へスリップすることができます。キン・フー監督はリー監督ほど製作資金が潤沢ではなかったため、市場へフェイクのジュエリーを買いに行ったりして、そんな時にもご一緒しました。あと、キン・フー監督は日本へ来ては、和服の帯をいろいろ買ったりして、いろんな衣裳をお金をかけて集めていました。布に関するセンスもいい方でした。私はリー監督よりもキン・フー監督との方が親しくて、あれこれお仕事を一緒にしましたね。
そう言えば、『山中傳奇』の中で写経用に使う紙が青い紙で、チャイナ・ブルーと呼ばれていたんですが、それがなかなか見つかりませんでした。スタッフに香港で捜してもらってもなくて、シュー・フォンさんが台湾で捜してきたのも「違う」とおっしゃる。それで、私がある日韓国でオフの時に美術品の店に寄ったら、青い紙があったんですね。それを持って行ったら、「まさにこれだ!」と言われたこともありました。その紙が調達できないばっかりに、何ヶ月も写経のカットは撮れなかったんですよ。


Q:シルヴィア・チャンさんも監督として活躍してらっしゃいますが、同じ監督としてキン・フー監督をどう見てらっしゃいますか? 今回上映される監督作品『相愛相親』には、キン・フー監督の影響はあるでしょうか?

シルヴィア:キン・フー監督には、深い、深い愛情を抱いています。監督と女優という関係だけでなくて、それ以上、先生というか師弟関係だと言っていいと思います。キン・フー監督は生涯を映画に捧げた方でした。一生、ぶれなかった人、ですね。一つ、教えていただいたことがあります。選ぶなら、シンプルなストーリー、シンプルなテーマを選びなさい、そこから発展させていけばいい、ということでした。とても尊敬しています。

と、いっぱい語ってくれたシルヴィア・チャン。『相愛相親』も楽しみにしています。

 

第18回東京フィルメックス:私の2日目(上)

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何だか1日遅れで報告を書いていますが、今回は私の2日目、11月21日(火)に見た作品についてです。この日は2作品、『氷の下』(中国/コンペ作品)と『サムイの歌』(タイ、ドイツ、ノルウェー/特別招待作品)を見ましたが、両方ともQ&Aがありました。Q&Aではどちらの作品ともネタバレがありますので、これからご覧になる方はこの記事をスキップして下さい。

『氷の下』(2017/原題:氷之下/英語題:The Conformist)は、以前東京フィルメックスで上映されたことのある『人山人海』(2011)の、蔡尚君(ツァイ・シャンジュン)監督の作品です。突然の殺人から始まったハードボイルド映画『人山人海』でしたが、今回の『氷の下』もかなりハードボイルドなタッチで、中国東北部とロシアを舞台に、暗黒街に片足を突っ込んで生き延びていく男(黄渤/ホアン・ボー)と謎めいた女(宋佳/ソン・ジア)との関係を描いていきます。『人山人海』は割と好きな映画だったのですが、今回の『氷の下』はちょっとわかりにくく、あまり乗れませんでした。小瀋陽も、それから『レッドクリフ』の劉備役尤勇(ヨウ・ヨン/現在は尤勇智)も出演していたというのに。

Q&Aに登場したツァイ監督は、若いようにも年取ったようにも見える風貌で、小柄な通訳の樋口(渋谷)裕子さんがますます小柄に見えます。

市山:面白い作品で、フィルム・ノワールの法則を踏襲している作品だと思いました。ある男が犯罪にからんで逃亡、悪女と出会いさらに窮地に陥る、という筋ですね。なぜこの題材を選ばれたのか、ということと、なぜこのロケ地を選ばれたのか、ということをまずお聞きしたいと思います。

監督:フィルメックスに招いていただき、ありがとうございます。来て下さった観客の皆さんにも御礼を申し上げます。今、言って下さったことも嬉しかったのですが、本作は『人山人海』を撮る前から構想していた作品です。当時撮ろうと思っていた内容は激変する中国の姿で、『人山人海』は中国社会への怒りが込められていたのですが、次に撮る映画は、世界の底辺にいる人の姿とその魂を撮らなくてはいけないな、と思っていました。主人公の中年男は負け犬です。その負け犬がどうすれば普通の人間として生きていけるか、彼は金についてどう考えているのか、そういった我々がつい軽視してしまうことを描きたかったのです。英語題名の「The Conformist(迎合者)」が普通の人々の生き方を物語っているんですが、社会の大きな流れに流されてしまう生き方、そういうむなしい意味合いを持っています。

ロケ地は、冬の冷たい、きりっとした空気がほしかったので選びました。その中に人間の欲望が隠されている。人間の心の中は熱いが、それが氷に覆われているように外からは見えます。場所は中ロ国境で、少し前までは金儲けができる街として、代表的な場所でした。中国、ロシア、韓国などからみんなビジネスの夢を持って集まってきていたのです。犯罪と歓楽の街ですね。


市山:具体的にはハバロフスクですか?

監督:ロシア側はハバロフスクで、アムール川を隔てた中国側は撫遠(?)という街です。


Q:最後の虎は幻想的な世界だと思うのですが、最後にこれを入れた意図は?

監督:あの虎は、主人公の彼なのです。脚本を書いている時に、「ラスト5分は全然違うものにしたい。もしかして、自分はまったく違う映画を見ていたのか、と思わせるような作品にしたい」と思ったのです。で、虎のシーンは比喩のつもりで入れました。幻想と考えていただくのも当たっていると言えますが。実は、カットしたんですが、泥棒に入った2人の男が幻想を生じさせるクスリを飲む、というシーンがあったんです。危険な薬物をとる、という表現はダメな世界なのでカットしたのですが、それでわかりにくかったかも。ただ、あそこで表現したかったのは、人間の持つ動物性、ということです。


Q:この虎のシーンは海南島で撮られたのですか?

監督:そうです、海南島の三亜という所です。寒い所から暖かい所へ、という対比です。普段寒い所にいる人は、暖かい所に行きたがります。海南島には、中国の東北部から来た人とロシア人とがいっぱいいる、という面白い光景になっています。

Q:中国ではフィルム・ノワール、激動する中国社会の中で底辺の人々の生き方を追っていく作品、『薄氷の殺人』やこの間TIFFで上映された『迫り来る嵐』のような作品が、多くなっているのでしょうか。

監督:『白鹿原』はかなり長い時間を掛けて脚本を書いたことがわかる映画でしたが、とてもいい作品でしたね。『迫り来る嵐』はまだ見ていないのですが、これもいい作品だと聞いています。フィルム・ノワール的な作品が増えていく、ということは、また新たに一つのジャンルが増えると言うことで、いいことだと思います。人間の描き方が、一つ増えた、ということですね。


Q(中国人の男性の方でした):脚本を書く時は、どのような点にポイントを置かれますか? ストーリー性なのでしょうか? 繋ぎ方に概念的なものが強いように思われますが。

監督:いいご質問をありがとうございます。脚本を書く時は、2時間の中で物語を語り終えることを考えると、その中に収めねば、という考えについとらわれてしまいます。ただ、ストーリーを組み立てる時に、因果関係を明確すぎるものにはするまい、とは思っています。ある人物がいて、ある事件が起きると、それを直線的に解明するのではなくて、それに関わるいろいろなことを描いていくことを考えました。ある人物の変化、あるいは事件の進展、時にはある人物が下す判断によって物語が進んでいく、というやり方にしたんです。ハリウッド映画は因果関係がハッキリしたストーリーにしますが、そうではない作り方をしました。個人的な好みですが、1→2→3と進んでいくのは好きじゃないんです。1→3と来て、4まで来た時に2についての理由が語られるとか、そういうやり方ですね。観客にとってもチャレンジングで、頭を使って解いてもらうという形です。もっと簡単にしてもいいかな、という気もするんですが。


市山:『こころの湯』などの脚本も書いてらっしゃるのに、全然違いますね(笑)。『氷の下』は今週末に発表される台湾の金馬奨にも主演男優賞などでノミネートされています。中国ではこれから公開とのことですが、公開が成功することを祈っています。

監督:中国国内での上映についてはこれから決めるのですが、いい時期に公開したいと思っています。ありがとうございました。

(ちょっと長くなってしまうので、2つに分けます)


第18回東京フィルメックス:私の2日目(下)

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続いてはタイ映画『サムイの歌』です。ここのところ、ペンエーグ・ラッタナルアーン監督の作品はあれこれ見逃していて、いまだに私の中では、『シックスティナイン』(1999)と『わすれな歌』(2001)の監督、というイメージが強いのですが、『サムイの歌』はその好きな部分と、ちょっと行きすぎ、という部分とが混じり合った作品でした。下のQ&Aはネタバレがありますので、これからご覧になる方はお気を付け下さい。


物語は、夜の交通事故現場から始まります。若い女性が運転する車が道路に横たわる人間のようなものを避けようとしてハンドル操作を誤り、道路脇の林にある木に激突します。その女性ヴィ(チューマーン・ブンヤサック)は女優で、ドラマの憎まれ役とかで人気があるのですが、フランス人の芸術家の夫と、彼がのめり込むブッダガヤ教団という新興宗教、そしてその教祖(ウィタヤー・パーンシーガーム)にうんざりしていました。EDの夫は教祖に気に入られようと、ヴィを彼に差し出すようなサイテー男。ヴィは交通事故後に収容された病院で、若い男ガイ(デイビッド・アサバノン)と知り合います。いろいろ話すうちに、ガイから「何なら夫殺しを引き受けてもいいよ」とささやかれ、ついに依頼してしまいます。実はガイには寝たきりの母親がおり、その薬代にも事欠く有様で、ガイはヴィに「報酬は80万バーツ(約300万円)だ」とふっかけます。そしてある雨の日、買い物と称してヴィが家を離れたあと、ガイはクラシックをかけながら創作に励むヴィの夫のアトリエに忍び込むのですが...。


久々にお顔を見たペンエーグ・ラッタナルアーン監督、だいぶお年を召しましたね-。もう55歳なんですね。でも、とんがった作風は変わっていません。今回の司会は映画祭ディレクターの林加奈子さん、通訳は昨年私もフィルメックスでお世話になった新居由香さんでした。


林:まず、皆さんにご挨拶をどうぞ。

監督:私はこの映画を作った者で、ペンエーグと言います。以前私の作品が上映された時には来日できなくて、今回こそは、と来日しました。見に来て下さった皆様、残っていただいて、そして目を覚ましていていただいてありがとうございます。

林:タレント・トーキョーの講師としても来て下さったんですが、さて、皆さん、どこから何を聞いたらいいのか迷ってらっしゃるのではと思います。で、私からまずうかがいますが、ラストシーンから説明していただいていいでしょうか。

監督:ラストの、映画を撮影しているシーンですね。あれはヒロインのヴィが殺されそうになったけれど、反対にガイが死んで逮捕された。そしてヴィは警察署に連れて行かれたんですが、そこへ教団のハンサムな男が迎えに来る。そして、いつものメロドラマの撮影現場に戻っていく、というシーンです。劇中劇か、と言われたりするんですが、元々女優だったので、その世界に戻った、ということです。


Q:夫のマスターベーションのシーンで、男性性器がそのまま写っていましたが、タイではどうなんですか。日本では映倫を通すと、あれはあきらかにアダルト指定なると思うんですが。

監督:タイも同じです。この作品はまだタイでは公開されていないんですが、検閲局には提出済みで、「R18」の指定を受けています。でも、カットは不要だと言われました。カットなしで通過したのは、私の作品では初めてです。

Q:キャスティングはオーディションですか? それとも、個々の俳優に監督から出演依頼をなさったのでしょうか。

監督:主役としては4人いますが、フランス人の夫役の人だけ、オーディションで選びました。彼はファッション・フォトグラファーで、長年の友人でもあるのですが、映画出演は初めてです。彼は、自撮りした映像を送ってきて、それをこちらで見て、彼がいい、となりました。ヴィ役の女優さんは有名な人です(注:『すれ違いのダイアリーズ』など、日本での公開&映画祭上映作にたくさん出演しているチャーマーン・ブンヤサック)。ガイを演じた人は、以前パーティーで出会い、その後一緒に食事をしてみて、この人がいい、ということになりました。教祖役の人(これもよく顔を知られた中年男優で、ウィッタヤー・バーンシーガム/ヴィタヤ・パンスリンガムという人)は、前々から「一緒にやりたいね」と言っていて、今回の役ならピッタリ、ということで出演してもらいました。


Q:教団の教祖とは子供がいる、という形になってますよね? 最初ヴィは夫も教祖も嫌っていたのに、やはり男に頼らなくてはダメ、ということでしょうか。また、顔が元に戻っている、というのは整形したということですか?

(注:教祖と無理矢理ベッドインさせられたあと、後日ヴィがお腹の周りをいろいろ気にするシーンがあり、そこで観客はどうやら彼女は妊娠したらしい、と感知することができます。その子を産んで育てるためと、自分が殺しを依頼したことを隠すため、ヴィは夫がガイに襲撃されて数日後に亡くなったあと姿をくらませて顔を整形し、サムイ島にやってきたのでしょう)

監督:最終的には教祖と結婚せざるを得なかった、彼女には選択肢がなかった、ということです。ガイの死亡事件で、警察から救出してくれたのは教祖でしたから。ラストシーンでは、彼女はカメラに顔を向け、そこで画面はフリーズします。彼女の瞳を見てもらうことで、観客にはわかってほしかったのです。2つめのご質問ですが、あれはジョークを入れたと言っていいでしょう。誰が見ても、前半と後半ではヴィを演じる女優が変わっていることは明らかです。まったく別人だと思って見ていたのが、同じ人、元の彼女だった、ということを観客に伝えたかったので、元の顔にしました。同一人物だと気付いてしまったら、もう顔を別々にする必要はない。別の顔を持った女性になったけれど、最後には同一人物だとわかったから、最初の顔に戻したわけです。


Q:殺し屋(ガイ)が主人公の居場所を突き止めてやってきた時、内臓のような物を食べさせようとしますが、あれは何ですか? なぜそんなことをしたのでしょうか。

監督:あれは、彼のお母さんなんです、すみません。映画を作る時、私が一番弱点とするのは自己統制ができない、ということです。どうしても、奇抜なことがやりたいという気持ちを抑えられないんです。で、母親の死体の一部を取り出したわけです。あれは復讐(自分が実行したのに彼女から金を受け取れず、貧困の中で母親と共に逃亡生活を続けざるを得なかった)でもあるのと、母親が亡くなったのでもう金は必要ないが、自分にとって大切な物を彼女に押しつけようとした、ということです。実は本作の着想を得たのがスーパーマーケットで買い物をしていた時で、外国人の夫と買い物をするタイ女性を見かけ、一体何を買うのかな、と観察したことがこのストーリーになりました。3年後にこうして映画になったわけですが、彼らもまさか自分たちがモデルになっているとは夢にも思わなかったことでしょう。


う~ん、ホントにユニークな監督さんです。ところで監督、私は一つどうしてもツッコミたいシーンがあるのですが。冒頭の交通事故シーンですが、あれだけ激しく木にぶつかったら、自動車のエアバッグは膨らむのでは? それとも、タカタ製のエアバッグでしたか? というように、ツッコミどころもあったものの、教祖から命じられてガイを殺しに来た2人の男が、ガイが寝たきりの母親を残して逃亡したと知るや、「あの子は帰ってきます」という母親の言を信じて彼女の介護をしながらガイを待つ、というシーンなど、『シックスティ・ナイン』のルークトゥンを聞いて泣き出すヤクザの下っ端を思い出させて、ほのぼの~としました。次作は自己統制を効かせて、さらなる秀作をぜひお願いします!


展覧会「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」

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第18回東京フィルメックスの報告がまだ途中なのですが、明日から始まる展覧会のご紹介をちょっと。板橋区立美術館で2017年11月25日(土)から2018年1月8日(月)まで開催されるのは、インドのチェンナイを本拠地とする出版社「タラブックス」を紹介する展覧会。私も知らなかったのですが、「インド映画連続講座」に来て下さった方からチラシと招待券をいただきました。今回、タラブックスを紹介するために、原画や映像が会場で展示されるのですが、その映像の日本語字幕を担当なさったAさんが講座の常連さんなのです。このチラシがあまりにも美しいので、スキャンして付けておきます。

また、以前「インド映画特別講座」に来て下さった方からも、この展覧会を紹介するメールをいただきました。展覧会のサイトはこちら、板橋区立美術館へのアクセスはこちらです。また、インドのタラブックスの公式サイトはこちらです。このサイトにメールでの問い合わせフォームがあったので、「”Tara Books” の"Tara"は、ヒンディー語の”星”という意味ですか?」と尋ねたのですが、1週間以上経つ今も返事なし。実にインドらしいですね~(笑)。いろんなイベントもありますので、いらしてみて下さい。

 

第18回東京フィルメックス:私の3日目(上)

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本日、コンペの各賞が発表された第18回東京フィルメックス。今年は何と、最優秀作品賞が2作品という結果になり、その代わり審査員特別賞はナシになりました。最優秀作品賞の2作品は、いずれもインドネシア映画で、両方とも女性監督の作品です。

【最優秀作品賞】 
『殺人者マルリナ』
 2017年/インドネシア、フランス、マレーシア、タイ/95分/原題:Marlina Si Pembunuh Dalam Empat Babak/英語題:Marlina the Murderer in Four Acts
 監督:モーリー・スリヤ


『見えるもの、見えざるもの』
 2017年/インドネシア、オランダ、オーストラリア、カタール/86分/原題:Sekala Niskala/英語題:The Seen and Unseen
 監督:カミラ・アンディニ


私は残念ながら、両作品とも見られずじまい。日本で公開されることを願っています。

さて、後追いレポートになってしまいましたが、11月22日(水)に見た作品をちょっとご紹介しておきます。 

『ファンさん』
 2017/香港、フランス、ドイツ/87 分/原題:方绣英/英語題:Mrs. Fang
 監督:ワン・ビン (王兵/WANG Bing)


中国でドキュメンタリーを撮らせたらこの人の右に出る人はいない、と言ってもいいワン・ビン監督。今回は、中国南部の浙江省湖州市に近いある町が舞台となります。主人公は方綉英という60過ぎの女性で、これが「ファン(方)さん」。冒頭シーンではまだ散歩ができるほどだったのですが、やがて認知症が出てき来て行動が緩慢になり、あとは寝たきりになります。そしていよいよファンさんが危ないとなった2016年6月28日からの数日間、娘や息子、嫁を初めとする親族が集まって、ファンさんの最後を見守る姿がカメラに収められていきます。ファンさんの表情の変化を追っていたカメラは、20分ほど経つと耐えきれないように家の外に出てきて、親族の男性が魚獲りをするシーンに切り替わります。電気ショックを流す手持ち網を使って、ライギョやハクレンを獲る男性。そして、その後はこの漁のシーンと、ファンさんのベッド脇のシーンが交互に記録されていきます。ファンさんやその亡き夫の兄弟姉妹らがおじさん、おばさん格で、息子や娘、さらには孫たちまで三世代が集まって、「その時」を待つのですが、枕辺で葬儀の宴のことやらお墓のことやら、遠慮も何もあったればこそ、で話すのが何とも「ファンさん、聞こえてませんか? 大丈夫ですか?」という感じ。でも、どの人もこの見送りを面倒だと思っていないどころか、息子や娘世代は「孝行」という言葉をつい思い出してしまうような様子であることに救われます。さすがに臨終シーンは撮られておらず、ホッとしながら見終えました。


『ジョニーは行方不明』
 2017/台湾/ 105 分/原題:強尼・凱克/英語題:Missing Johnny
 監督:ホァン・シー (黄熙/HUANG Xi)


主人公は、台北に住む3人の男女。張以風=イーフォン(柯宇綸/クー・ユールン)はリフォーム屋を最近始めたばかり。学校時代の恩師(張國柱)の家によく訪ねて行きますが、息子と恩師の仲があまりよくないのが心配の種。台北に移ってきたばかりの若い女性で、外国人向け民宿のフロントで働く徐子淇=ツーチー(リマ・ジダン)はインコ好き。ただ、遠くに住んでいて時たまやってくるボーイフレンドは、鳥を放し飼いにすることに嫌悪感を抱いていて、何かと口うるさく言います。ツーチーの住むアパートの家主の息子李立(黄遠/ホァン・ユエン)は軽い学習障害を持っており、繊細な心を時にはいらだたせます。李立の母親がイーフォンにある家のリフォームを頼んだことで3人は出会い、やがてツーチーの過去がいろいろと明らかになってきます。また、ツーチーの携帯には、「ジョニーと代わって」という”ジョニー”なる人物の縁者からの電話がよくかかるようになりました...。

ツーチーは香港からやってきた設定のようで、国語(標準中国語)のほか、広東語、英語を話します。ボーイフレンドも香港人のようで、どうやら過去にツーチーとの間でワケありだった様子。そういったことが少しずつわかってくるのですが、このツーチーを演じるリマ・ジダン(お母さんは台湾人なのですが、お父さんがフランス人なのだとか)がちょっと不思議なムードを持つ女優で、彼女の他とは異質な魅力が光る作品でした。あとの出演者では、ホァン・ユエンがどこかで見た顔だと思ったら、以前王大陸(ダレン・ワン)の魅力に惹かれて見た『一万公里的約定』(2016)の弟役というか主演の男優でした。顔がだいぶ変わっていて、いい顔になっています。これからの成長が楽しみな男優です。あと、歌手の黄韻玲の名前もクレジットにあったのですが、あの女性家主役が彼女だったのでしょうか。ホァン・シー監督は、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督のアシスタントを務めていたとか。監督とのQ&Aがありましたので、簡単に記録しておきます。司会はフィルメックスのプログラム・ディレクター市山尚三さんです。


市山:主人公3人の繋がりがとても自然でよかったですね。脚本を書く時、どんな風に考えて作ったのかうかがいたいんですが。

監督:今日はこの作品を見に来て下さって、ありがとうございました。3人の人物を書き分ける時には、身近にいた様々な人を思い浮かべながら書きました。友人であったり、出会った人だったり、あるいは観察していて印象に残った人などをコラージュして作り上げてあります。たくさんの女性の友人たちや、イーフォンのモデルの人など、様々な人を参考にしました。

市山:それぞれ別々の脚本とかでしょうか。どんな脚本だったのですか?

監督:本作の脚本を書いている時、ほかの2本の脚本も同時進行していたのですが、その2本はハリウッド式のごく普通の映画でした。本作はエッセーのようなもので、書いている時はまだ具体的には俳優は考えていませんでした、ただ、クー・ユールンだけは頭に浮かんでいて、彼にあて書きする形で書きました。その他の人は、思い浮かんでいませんでしたね。


Q:道ばたで車が故障するシーンが出て来ますが、よく安全に撮影できましたね。台湾の人の運転マナーって、どうなんですか?

監督:確かに、道路での撮影は難しいです。ただ、本作は道路が混んでいる時間帯を撮りたかったんです。それが、台北の生活風景を表現することになりますからね。ちゃんと許可申請して撮ったんですが、ラストのシーンだけ、申請なしでこっそり撮りました。とは言っても、交通を邪魔しないようにカメラは高い場所に据え、その高い所から2台のカメラで撮ったんです。また、主人公たちの車の前後はスタッフの車で固めて、なるべく他の人に迷惑が掛からないようにしました。

市山:あのラストシーンは夕暮れですし、微妙な時間帯ですよね。本番一発撮りだったんでしょうか?

監督:1回しか撮れないから、と俳優たちには言いましたが、結局6テイクぐらい撮っています。幸い、警察とは遭遇しなくてよかったです。

Q:タイトルにもある”ジョニー”は、脚本を書く段階から正体がわからないように考えて撮られたのですか?

監督:同じような話を香港の友人から聞いたことがあるんです。その人は携帯の番号を変えたあと、見知らぬ人から頻繁に電話がかかってきて、最初はムカッとしたものの、だんだん親しみを覚えるようになった、という話です。この話を使ってみようと思い、ヒロインのツーチーに設定してみました。英語題名にある「Missing」ですが、”行方不明、消えてしまった”という意味と、”懐かしく思う”という意味との両方があります。それを”ジョニー”という名前で象徴してみたのです。


Q:ホウ・シャオシェン監督がプロデューサーになっていますが、本作ではどんな関わり方をなさったんですか? 監督が彼から学んだことは?

監督:ホウ監督の役割は、一つは、何本か書いた脚本の中で「これがいい」と言って下さったこと、そして完成させた脚本を見て「OK」だと言って下さったことです。取り終えた後、ファーストカット版を見ていただいたのですが、2時間ちょっとのヴァージョンだったので、「疲れるね」と言われてしまいました(笑)。それで、カットして97分にしたら「OKだ」と言われたのですが、今度は我々の方が切りすぎたと感じてしまい、今の105分のものになりました。ホウ監督から学んだことは、具体的な映画製作についてではなく、人に対してはどう対応すべきか、というようなことをそばにて知らず知らずの間に学んだと思います。


Q:役者さんはどのように選んだのですか?

監督:人と人との関係、というのが本作の大きなテーマです。役者さんたちには、それぞれ異なる脚本を渡しました。自分の出演シーンだけの脚本ですね。よけいな情報は与えられず本番に臨んで、映画の中に入り込んでほしいと思ったのです。

Q:自動車以外にも、MRTやバイクなど台北の一般的な交通手段がいろいろ使われていましたが、それと”Missing”との関係を脚本段階から意識されていたのでしょうか。それとも撮っていくうちにこうなったのでしょうか?

監督:私も台北に住んでいて、家からカフェに行って脚本を書いていました。台北の移動手段というもの、距離と時間軸との交わり、というものに興味を抱いていて、日常を描いた本作にも、そこに哲学的な意味とイメージを持たせたかったんです。それらは、それぞれの人物の中に反映されています。例えば、イーフォンの過去と現在、また未来に向かっていくすがたとかに現れているわけです。


市山:本作は、11月25日(土)に行われる台湾の金馬奨に、新人監督賞、新人女優賞、音楽賞でノミネートされています。実は監督はここから空港へ向かい、台湾に帰国されることになっているんです。

監督:日本も東京も大好きなので、ザンネンデス!(ここは日本語で) 次はもっとゆっくり、来たいと思っています。


『ジョニーは行方不明』は、金馬奨で見事新人女優賞をリマ・ジダンが獲得しました。おめでとうございます!

(続く)


第18回東京フィルメックス:私の3日目(下)

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前回の続きです。

『時はどこへ?』
 2017/ブラジル、ロシア、インド、南アフリカ、中国/111 分/原題:Where Has Time Gone? 
 監督:ウォルター・サレス、アレクセイ・フェドルチェンコ、マドウル・バンダールカル、 ジャーミル・X・T・クベカ、ジャ・ジャンクー (Walter SALLES, Aleksey FEDORCHENKO, Madhur BHANDARKAR, Jahmil X.T. QUBEKA, 賈樟柯/JIA Zhang-ke)


5本の短編によるオムニバス映画で、インド映画『ムンバイの霧』(上写真)が入っているため楽しみにしていたのですが、「あかんがな~、マドゥル・バンダールカル監督!」的作品でした。金持ちだけれど孤独な老人(アヌ・カプール)が公園で屑拾いの少年と出会い、彼との交流に生きがいを見いだす、というストーリーで、新味のない展開、オーバーな演技と、いい点がまったくありません。『Chandni Bar(チャーンドニー・バー)』(2001)、『Page 3(ゴシップ面)』(2005)や『Fashion(ファッション)』(2008)といった、社会への批判的視点をしっかりと持ち、かつ上手なストーリーテリングで楽しませてくれたバンダールカル監督、どうしてしまったんでしょう。他の作品では、南アフリカのSF作品『死産』のヒロインが魅力的で見入ってしまったのと、トリのジャ・ジャンクー監督作品『逢春』(主演は趙涛と梁景東)がさすがの貫禄で見応えがあったのが、印象に残りました(下写真)。



『馬を放つ』
2017/キルギスタン、フランス、ドイツ、オランダ、日本/89 分/原題:Centaur
 監督:アクタン・ アリム・クバト (Aktan ARYM KUBAT)
 配給:ビターズ・エンド

すでに来年3月の岩波ホールでの公開が決まっている『馬を放つ』。会場には上のチラシが積んであり、皆さん次々と持って行っていましたので、いい宣伝になったことと思います。また、配給元のビターズエンドが観客にアンケート用紙も配っており、感心したのですが、その場では埋められない、記述式の質問もあって、後日送付した方もあったのではと思います。ストーリー等は上記チラシを見ていただくことにして、私的に興味深かったのは、主人公の”ケンタロウス”が以前は映写技師をやっていて、今はモスク代わりとなっている映画館でキルギス映画等を上映をしていた、というくだり。主人公に好意を抱く中年女性が「インド映画が好き」と言って『合流点(サンガム)』(と、字幕に正確な訳が出ていて感動。ラージ・カプール主演のヒンディー語映画『Sangam』は1964年の作品です)という題名を出したり、『詐欺師』(1955)の歌"Mera Juta Hai Japani"が内容はまったく違うロシア語(?)の歌詞で歌われたりと、インド映画ファクターが顔を出していて、やっぱりなあ、と思ってしまいました。ラージ・カプール作品は、旧ソ連領だった地域で大人気だったのです。インド映画ファンの皆さんも、ぜひ公開時にご覧になってみて下さい。


主演も務めたアクタン・アリム・クバト監督のQ&Aをまとめておきます。司会はプログラム・ディレクターの市山尚三さんです。

監督:アリガトウ。

市山:この映画を作られたきっかけは?

監督:これは実話なんですが、私が生まれ育った村で、素晴らしい馬が盗まれたことがあるんです。盗んだ人はわかったものの、なぜその人が馬を盗んだのかがよくわからなかった。素晴らしい馬を見ると、その人は何度でも盗んでしまうんです。一体なぜなんだろう、と思い、これはいい映画になるのでは、と思いました。プロデューサーに話したら、「それは絶対いい作品になるよ」と言われて、この作品を作りました。きっかけはそうだったんですが、その後シナリオを書き始めると、映画は劇的なストーリーがないと面白くないと思い、今回映画の中に描いたようなストーリーを自分で考え出したのです。


Q:『旅立ちの汽笛』(2001年のアクタン・アリム・クバト監督作品)の時もアヒルが出ていましたが、今回もアヒルが登場しますね。何か理由があるのでしょうか。

監督:(通訳さんから質問の訳を聞いて、ウフッという感じで笑って)アヒルはお笑いシーンでしたが、ちょっと面白いかも、と思って出しました。(注:馬泥棒が侵入するとアヒルが騒ぐ、という仕掛けを馬のオーナーが施すのです。アフラックならぬアルソックがわりのあひるさん数羽登場で、笑わせてくれます)


Q:映画館が現在はイスラム教の礼拝所になっていましたが、イスラム教徒が映画を排斥した、というようなことがキルギスで起きたのでしょうか。

監督:その通りです。旧ソビエト時代には、いろんな村に映画をキープして上映する場所があったんですが、ソビエト時代が終わりを告げると、映画は大きな街の映画館でしか上映されなくなりました。これは私の村で起きた事実で、映画を上映していた場所がモスクになったんです。私の村だけでなく、あちこちでそういうことが起きました。もう一つはメタファーとして、イスラム教徒の人々は文化をこんな風に扱っている、というのを示すために描きました。


Q(英語):キルギスとは近い場所、トルコのイスタンブールから来た者です。一番好きなのはモスクで祈るシーンで、みんな横に並んで祈っている時に主人公が途中で抜けると、その抜けた場所に順番にずれていく、という所です。何か奇妙だったんですが、キルギスで上映された時の観客の反応はいかがでしたか?

監督:いや、別に特には。全体として、観客は私の作品が好きで、この映画も気に入ってもらえました。特にあのシーンに反応した、というようなことはありませんでしたよ。それから、トルコでも大好評でした。


Q:主人公の家に飾ってあった映画のポスター、『赤いりんご』(注:The Red Apple/Красное яблоко/1976年/監督:トロムーシュ・オケーエフ。日本でも上映されたことがあるようで、こちらのサイトに紹介があります)はキルギスの映画ですか? あと、かつての映写室にもポスターが貼ってありましたね。

監督:『赤いりんご(クラースノエ・ヤーブラカ)』はソビエト時代にキルギスの映画監督が作った作品で、チンギス・アイトマートフという作家の短編小説の映画化です。ソビエト時代、キルギスには映画撮影所があって、いい作品をたくさん作っていました。私も若い時から素晴らしい作品をいろいろ見てきたので、そのお礼のつもりで昔のポスターを出したんです。モスクのシーンで上映されたのも、『赤いりんご』のいくつかのカットです。当時の有名女優グリサラ・アジベコワ(?)と有名男優シュイメンクル・チョクモロフが馬に乗っているシーンでした。この2人はキルギス映画の伝説的俳優で、彼らにも謝辞を捧げたかったのです。チョクモロフは、黒澤明監督の『デルス・ウザーラ』(1975)にも出演しています。


Q:キルギスの人にとって馬が大切な存在だというのがわかりましたが、主人公が馬を放った意味を教えて下さい。

監督:この映画をご覧になった方々には、その意味が分かっていると思いますが、キルギス始め中央アジアの人々は元々遊牧民なのです。特に、一番深く遊牧に関わっていたのがキルギス人で、”馬は人間の翼である”という諺もあります。”翼”だからこそ、自由でいないといけない、ということで、馬を解き放ったわけです。


Q:主人公と妻が、息子がなかなかしゃべらない、というのを気にして、占い師の所に連れて行きましたね。ああいう占い師の存在は、キルギス独特のものでしょうか? イスラム教では禁止されていると思うのですが。

監督:イスラム教とは関係はまったくなくて、あれはシャーマンのような、超能力者的存在の人です。ソビエト時代は、必ずしもキルギス独自の文化が維持された時代ではなくて、むしろ独自の文化が奪われた時代と言ってもいいかと思います。本作は、〇〇反対、といった映画ではありません。反イスラム教の映画ではないんです。お祈りの時にキルギスの言葉ではなく、アラビア語を使うというのは気になりますが、同じイスラム教国であっても、キルギスの女性はヘジャブを強制されることはありません。女性議員もいますしね。


『馬を放つ』を見逃した方は、来年の公開時にぜひどうぞ。 


武田尋善個展「漫伽楽山(まんがらやま)」のお知らせ

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今年も、ユニット「マサラワーラー」の1人である武田尋善さんの個展が、ギャラリー「ディープダン」で開かれます。まずは、ご案内のハガキを貼り付けておきましょう。

先日来話題になっているタラブックスの絵を見ていると、武田さんの絵と通じる所があって、思い出したりしていたのですが、今回の個展はどうやらいつもよりマンガチックな絵柄になるようです。ラジニカーントらしき人もいるし、楽しみですね。毎年、今の時期の個展ではカレンダーも売り出されるのですが、今年もあるでしょうか? こちらも楽しみです。ギャラリー「ディープダン」のHPはこちらです。


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