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6月のマラヤーラム語映画上映会

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Periploさんからお知らせをいただきました。6月1日(日)にも行われたマラヤーラム語映画上映会ですが、あれは5月分だったとかで、6月末に早くももう1本の上映が行われます。今度は若手の人気俳優大挙出演の青春映画だとか。しかも、監督も若い女性。どんな作品なのか、惹かれますね〜。

『バンガロールの日々』

 

(2014/マラヤーラム語/英語字幕付き/172分/原題:Bangalore Days) 予告編 

 監督:アンジャリ・メーノーン
 主演:ドゥルカル・サルマーン、ニヴィン・ポーリ、ファハド・ファーシル、ナスリヤ・ナシーム、パールヴァティー・メーノーン、ニティヤ・メーノーン、イシャ・タルワール

■日時:2014年6月29日(日)午後2:00〜
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ・彩の国Visual Plaza
■料金:大人1,900円
■主催者:CELLULOID Japan 公式FB(英語/こちらから予約可能)

ケーララ州在住の仲良し3人組、男2人と女1人のいとこ同士の3人が、就職やら結婚やらでバンガロールに移り住むことになります。結婚したのは女の子ディヴィヤ(ナスリヤ・ナシーム)なのですが、新婚の夫(ファハド・ファーシル)とは何かぎくしゃくして、あまりうまく行っていません。そこでディヴィヤはあとの2人、IT技術者として赴任したクッタン(ニヴィン・ポーリ)と、モトクロス・ライダーでレースのメカニックとしてやって来たアルジュン(ドゥルカル・サルマーン)とつるんでは、ケーララ時代のような日々を送ることになります。やがて、クッタンもアルジュンも、好きな女性を見つけて....という、男女の青春グラフィティが、ハイテクシティのバンガロールを舞台に描かれていくようです。

詳しいご紹介は、Periploさんのサイトをどうぞ。また、バンガロール在住16年というカーヴェリ川長治さんのサイト(ちょっと辛口のコメントもあります)はこちらです。この両サイトで予習すれば、英語字幕もあることですし、十分本作を楽しめるのでは、と思います。マラヤーラム語版「バンガロール・ラブストーリー」をご覧になりたい方は、お早めに予約をどうぞ。

 

そういえば昔、『マルグリの日々(Malgudi Days)』というテレビドラマもありましたね。同名のR.K.ナーラーヤンの小説を原作にしたもので、イメージ画は弟のマンガ家R.K.ラクシュマンが描き、早世した監督シャンカル・ナーグが演出した連続ドラマでした。その中から映画『スワミー』(1987)も生まれて、日本でも上映されたりしましたが、似たようなタイトルからついカンナダ語のこのドラマを思い出してしまいました。さて、マラヤーラム語で綴られる『バンガロールの日々』、主人公たちはどんな異郷体験をするのでしょうね。

 

 


『マダム・イン・ニューヨーク』まであと10日

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これまで何度かご紹介してきた『マダム・イン・ニューヨーク』、いよいよ10日後の6月28日(土)から公開です。宣伝も熱を帯びてきて、公式FBを見ると、「6月20日(金)8時〜「あさイチ」内コーナー「特選!エンタ」にて、”インド映画に見る オンナの生き方”と題して『マダム・イン・ニューヨーク』をご紹介いただきます!!」というお知らせが踊っていたり(あいや〜、特別編成のため「特選!エンタ」は休止になったそうです、残念!)、サラーム海上さんが「映画.com」に書かれた紹介文の紹介があったり。そうそう、「ミセス」にガウリ・シンデー監督のインタビューが載っていることもここで知り、先日本屋で立ち読みしました。さすがカラーページ、ゴウリ・シンデー監督のポートレートがとってもきれいで、おまけにきさらぎ尚さんのインタビューも読み応えがあります。サイフが風邪を引いていた(^^)ので、買えなくて残念&ごめんなさい、です。

(C)Eros International Ltd

ところでサラーム海上さんの文の中に、「シャシがニューヨークの街で纏う様々なサリーの色合い、美しさにも目が奪われる。中産階級という設定なのにシックすぎるのはこの際黙っておこう(笑)」とあったのですが、このサリーの謎をインタビューした時にシュリデヴィが語ってくれました。私も、あのサリーは趣味がよすぎる&素敵すぎる、ひょっとして、シュリデヴィが自分でお気に入りを指定したのかしら? とちょっと疑問に思ったので、質問したのでした。字数の関係で短い受け答えになっていますが、6月20日出る『キネマ旬報』7月上旬号でご覧になってみて下さい。(と、ちゃっかりこちらも宣伝) この号には、熊坂多恵さんによるガウリ・シンデー監督のインタビューも掲載されています。

(C)Eros International Ltd

さて、本日は、あと10日間の間に楽しんでいただきたい素材として、ラスト近くの結婚式の準備シーンで流れる歌、「Navrai Majhi」の歌詞をお届けしようと思います。映像はこちらです。歌詞は下に書いてありますが、音と合わせられる歌詞はこちらをどうぞ。

1番というか、最初のひとまとまり(&最後のリフレイン)はマラーティー語で、あとはヒンディー語になっています。マラーティー語の歌詞の読み方や意味については、大阪大学でマラーティー語のe-ラーニングを担当したりしている小磯千尋さんに教えてもらいました。では、歌ってみましょう!

 

(C)Eros International Ltd

ナヴラーイー・マージー・ラーラチー・ラーラチー・ガー
Navrai majhi laadachi ladachi ga
花嫁は 私の お気に入り (私の可愛い花嫁さん)
アヴラ・ヒラー・チャンドラチー・チャンドラチー・ガー
Avad hila chandrachi chandrachi ga
彼女は お気に入り お月様の (彼女はお月様が(の?)お気に入り)
ナヴラーイー・マージー・ラーラチー・ラーラチー・ガー
Navrai majhi laadachi ladachi ga
花嫁は 私の お気に入り (私の可愛い花嫁さん)
アヴラ・ヒラー・チャンドラチー・チャンドラチー・ガー
Avad hila chandrachi chandrachi ga
彼女は お気に入り お月様の (彼女はお月様が(の?)お気に入り)
ナヴラーイー・マージー・ナヴサーチー・ナヴサーチー・ガー
Navrai majhi navsaachee navsaachee ga
花嫁は 私の 神の授かり物 (私の花嫁は願掛けのおかげで手に入った)
アプサラー・ジャシー・インドラチー・インドラチー・ガー
Apsara jashi indrachi indrachi ga
アプサラ みたい インドラ神の (インドラ神の天女みたい)

 

(C)Eros International Ltd

スニヨージー・イスコー、ラキヨー・ジャタン・セー
Sunyoji isko, Rakhyo jatan se
お聞き 彼女を 遇して 大事に (いいかい、彼女を大事にするんだよ)
オー・バリー・ナーズク・ハイン・ナーズク・ハイン・ナーズク
O Badi naazuk hain naazuk hain naazuk
とても 繊細なのだ 繊細なのだ 繊細な (とっても繊細なんだから)
カリー・ハイ・アンモール、カリー・ハイ・アンモール
kali hai anmol.... kali hai anmol...
つぼみ だよ 貴重な つぼみ だよ 貴重な (大事なつぼみなんだから)
アーオー・ジー・アーオー、トゥムカー・ラガーオー
Aaoji aao... thumkha lagaoon...
おいで おいで 押し合いしよう (さあおいで、押し合いっこしよう)
ザラー・ベヘコー・ジー・ベヘコー・ジー・ベヘコー
Zara behako ji behako ji behako
ちょっと ゆらゆらしよう (お互いに体を揺らそう)
クシヨーン・ケー・バージェー・ドール
Khushiyon ke baaje dhol
喜び の 鳴る 太鼓が (喜びの太鼓が鳴る)
クシヨーン・ケー・バージェー・ドール
Khushiyon ke baaje dhol
喜び の 鳴る 太鼓が (喜びの太鼓が鳴る)

 

(C)Eros International Ltd

アーンコーン・メーン・イスケー・イシャーレー
Aankhon mein iske (ho ho) ishaare (ho ho..)
眼  には 彼女の そぶりが (思わせぶりな彼女の眼差し)
バレー・ナクリーレー・ナクリーレー・ナクリーレー
Bade nakhreele nakhreele nakhreele
とても 色っぽく 気取っている (とても色っぽい)
サプノー・ケー・ラーコー・ナザーレー
Sapno ke lakho (ho ho) nazaare (ho ho..)
夢 の たくさんの 眼差し (夢見るようなその眼)
サーレー・ランギーレー・ランギーレー・ランギーレー
Saare rangeele rangeele rangeele
すべてが 華やかで キラキラ (すべてがキラキラしてる)

 

(C)Eros International Ltd

ナヴラーイー・チャリー・シャルマーティー・ガブラーティー・ウォー
Navrai chali sharmaati ghabraati woh
花嫁は 歩む 恥ずかしげに 躊躇しながら 彼女は (花嫁は恥ずかしげにためらいながら歩んで行く)
ピヤー・ケー・ガル・イトラーティー・バルカーティー・ウォー
Piya ke ghar ithlaati balkhaati woh,
夫 の 家で すまして 浮き立って 彼女は (婚家で内心浮き立ちながらしとやかにしている彼女)
スルマーイー・ナイナー・チャヵーティー・チャヵーティー・ウォー
Surmai naina chalkaati chalkaati woh,
アイシャドウを付けた眼を 輝かせて 彼女は (彼女はアイシャドウが彩る眼を輝かせる)
ピヤー・ケー・ガル・バルマーティー・サクチャーティー・ウォー
Piya ke ghar bharmaati, sakuchati woh!
夫 の 家で 戸惑って 身を縮ませて 彼女は (婚家で戸惑いながら下を向く彼女)

 

(C)Eros International Ltd

ナヴラーイー・マージー・ラーラチー・ラーラチー・ガー
Navrai majhi laadachi ladachi ga
花嫁は 私の お気に入り (私の可愛い花嫁さん)
アヴラ・ヒラー・チャンドラチー・チャンドラチー・ガー
Avad hila chandrachi chandrachi ga
彼女は お気に入り お月様の (彼女はお月様が(の?)お気に入り)
ナヴラーイー・マージー・ナヴサーチー・ナヴサーチー・ガー
Navrai majhi navsaachee navsaachee ga
花嫁は 私の 神の授かり物 (私の花嫁は願掛けのおかげで手に入った)
アプサラー・ジャシー・インドラチー・インドラチー・ガー
Apsara jashi indrachi indrachi ga
アプサラ みたい インドラ神の (インドラ神の天女みたい)

(C)Eros International Ltd

最後の「ガー」だけでも、劇場でみんな一緒に歌えるといいですね。では、マダムと会えるまであと10日、カウントダウン開始です!

 

 

「キネマ旬報」にも「スクリーン」にも!

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昨日の記事で、『マダム・イン・ニューヨーク』のゴウリ・シンデー監督とシュリデヴィのインタビューが「キネマ旬報」に掲載されることをお知らせしました。こちらの号のP.104-107です。

キネマ旬報 2014年7月上旬号 No.1665 クリエーター情報なし キネマ旬報社

実はそれ以外にも、あちこちに『マダム・イン・ニューヨーク』が登場していました。何と、平田オリザさんの「読む、映画」(P.80)の中でも、『マダム・イン・ニューヨーク』が「なぜか考えた、小津映画のこと」というタイトルで取り上げられています。平田さん、ソウルに留学していらした30年前、シャシと同じような体験をなさったのだとか。それと小津映画がどう結びつくのか、ぜひお読みになってみて下さい。

平田オリザさんは現在は劇作家、演出家として演劇の最前線に立っておられますが、まだ10代の頃、自転車で世界一周をやったとかで、その頃冒険野郎の活動をバックアップしていた地平線会議の集会で報告をなさったことがあります。ポッとほっぺたの赤い平田少年の初々しい報告を、私も会場の隅で聞いていたのでした。今、地平線会議のサイトを見てみると、どうやら浅野哲哉さん(「インドを食べる」等の著者。イラストレーターでもある)の報告と同時期だったようで、私は多分浅野さんのインド人力車報告や、その後イギリスやウィスキーの専門家になってしまう土屋守さんのラダック報告などを聞きに行ったようです。平田さんと言えば韓国、とすぐ結びつけてしまうのですが、今後はインド映画もどんどん見ていただけたらと思ってしまいました。

そのほか、「REVIEW 鑑賞ガイド」の『マダム・イン・ニューヨーク』(P.123)では、PFFのディレクター荒木啓子さんが何と「★★★★★」を付けて下さってます。荒木さん、ありがとう! 

さらに、編集後記では、インタビュー記事を担当して下さった編集部の岡崎さんの欄にシュリデヴィとの秘話が。これは、私も目撃&拝聴しましたので、ホントのホントです。シュリデヴィに「I remember you.」と言わせるなんて、さすがインド映画に力を入れて下さっている岡崎さんです。P.192も忘れずにご覧下さいね。

(C)Eros International Ltd

ところで、「キネマ旬報」7月上旬号と並んで、「スクリーン」8月号もすごいんです。こちらの号です。 

SCREEN2014年8月号 (スクリーン) クリエーター情報なし 近代映画社

まず、P.79-81に「インド映画が続々と到来! まずはこのインド作品を見てみよう!」ということで、『シャー・ルク・カーンのDDLJ/ラブゲット大作戦』に『ディル・セ 心から』、そして『ラガーン』などの嬉しいご紹介が。こんな『ラガーン』のスチールは初めて見ました。アーミル・カーン、若いですねー。2001年の作品です。2003年に国際交流基金アジアセンターが『ラガーン/クリケット風雲録』として上映して下さった時、超満員になったことを思い出します。

この特集では、このほか最近の作品や、シュリデヴィ始め美しいボリウッド女優のご紹介も。今後の公開予定作も一覧になっています。ここで紹介された作品の中では、『シャー・ルク・カーンのDDLJ/ラブゲット大作戦』だけが日本でソフト化されなかったのですが、今からでも遅くないです、どちらかのソフト会社様、権利を買ってDVDスルーで出していただけませんでしょうか? 字幕の二次使用料は、ご相談に乗りますので(笑)。

それから、「2004 Summer Movies」では、P.95に『ダバング 大胆不敵』と『あなたがいれば』がででーんと登場。ひょっとして、こういうご紹介は初かも知れません。公開時期の順でこうなったものと思われますので、「『バードシャー テルグの皇帝』はなぜ紹介しない!」と怒らないで下さいね、NTRジュニアのファンの皆様。(それにしても、どこかの映画雑誌で「テルグ語映画」の特集をして、全面的に紹介してほしい今日この頃。山田桂子先生か、安宅直子さんに書いていただきたいです〜)

さらに、土屋好生さんの「今月の映画ズバリ批評」では、『マダム・イン・ニューヨーク』が取り上げられています。「全編に漂うポップな味わいがいつまでも心に残る気持ちのいい映画でした」と書いて下さっている土屋さんの批評、ぜひお読み下さい。P.131です。

実は「スクリーン」の編集部にもインド映画に詳しい方がいらして、いつも力を入れて紹介して下さっています。いつか、「スクリーン」のカラーページで取り上げてもらえるようがんばるぞっ!というのが、インド映画ファンとしての心の誓いでもあります。そろそろ、スターの人気が映画公開を引っぱるという現象が起きてもいいのでは、と思われるインド映画@日本。いつの日か「スクリーン」の表紙にも、インド映画スターの顔が使われる日が来ますように。


 

韓国映画の力作、話題作続々登場!

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ここのところインド映画の紹介が忙しかったため、後回しになっていたのが韓国映画。しかし、もう待ちきれない! 来週、6月28日(土)から公開されるソン・ガンホ主演作『観相師』を皮切りに、今夏続々と面白い&面白そうな作品が公開される予定です。今日はまず、そのラインアップをお伝えしましょう。


『観相師』(2013) 公式サイト 
 監督:ハン・ジェリム
 主演:ソン・ガンホ、イ・ジョンジェ、ペク・ユンシク、キム・ヘス、イ・ジョンソク
 配給:ツイン
 6月28日(土)よりシネマート新宿、シネマート六本木ほか全国順次公開
※豪華キャストによる時代劇。ソン・ガンホの髷ものは初めてで、美しいキム・ヘスとの息もピッタリ。イ・ジョンジェの悪役にもご注目を。(1両日中に詳しくご紹介します〜)


『怪しい彼女』(2014) 公式サイト 
 監督:ファン・ドンヒョク
 主演:シム・ウンギョン、ナ・ムニ、パク・イナン、ソン・ドンイル、イ・ジヌク、ジニョン(BIA4)
 配給:CJ Entertainment Japan
 7月11日(金)よりTOHOシネマズみゆき座ほか全国順次ロードショー
※韓国では1月22日に公開され、『アナと雪の女王』に劣らぬ大ヒットに。『サニー 永遠の仲間たち』(2011)の演技も記憶に新しいシム・ウンギョンが大熱演。(のちほど詳しくご紹介します〜)


『テロ,ライブ』(2013) 公式サイト 
 監督:キム・ビョンウ
 主演:ハ・ジョンウ、イ・ギョンヨン、チョン・ヘジン
 配給:ミッドシップ/ツイン
 8月30日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷/新宿シネマカリテほか全国ロードショー
※意表をつく展開のサスペンス作品。サスペンスと言えば彼、というハ・ジョンウがニュースキャスター役で熱演してます。


『マルティニークからの祈り』(2013) 公式サイト 
 監督:パン・ウンジン
 主演:チョン・ドヨン、コ・ス
 配給:CJ Entertainment Japan
 8月下旬よりTOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー
※実話に基づいた作品。マルチティニークはカリブ海にあるフランス海外県の島で、フランスで摘発された麻薬運搬罪により、マルティニークの刑務所に約2年間収監された女性とその家族を描きます。


『監視者たち』(2013) 公式サイト  
 監督:チョ・ウィソク、キム・ビョンソ
 主演:チョン・ウソン、ハン・ヒョジュ、ソル・ギョング、ジュノ(2PM)
 配給:クロックワークス
 9月6日(土)よりシネマート新宿、シネマート六本木、シネマート心斎橋ほか全国ロードショー
※香港映画『天使の眼、野獣の街』(2007)のリメイク。梁家輝(レオン・カーファイ)が演じた悪人の司令塔役をチョン・ウソンが、任達華(サイモン・ヤム)が演じた刑事役をソル・ギョングが演じます。オリジナル作品とはだいぶ雰囲気が異なるようです。


『チング 永遠の絆』(2013) 公式サイト 
 監督:クァク・キョンテク
 主演:ユ・オソン、キム・ウビン、チュ・ジンモ
 配給:東京テアトル、日活
 9月6日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
※2001年の大ヒット作『友へ チング』の続編。3月の大阪アジアン映画祭で上映されました。


『さまよう刃』(2014) 予告編
 監督:イ・ジョンホ
 主演:チョン・ジェヨン、イ・ソンミン、ソ・ジュニョン
 配給:CJ Entertainment Japan
 9月6日(土)より角川シネマ新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷にてロードショー
※東野圭吾の小説の映画化。


『サスペクト 哀しき容疑者』(2013) 公式サイト 
 監督:ウォン・シニョン
 主演:コン・ユ、パク・ヒスン、チョ・ソンハ
 配給:ツイン
 9月より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
※『トガニ 幼き瞳の告発』(2011)で好演したコン・ユが、今回は北朝鮮の元特殊工作員役に。

「インド映画夏の陣」以上に熾烈な競作状態となる「韓国映画夏の陣」。ここにご紹介した以外にもまだまだ公開作がありますので、韓国映画ファンの皆さんは熱い夏を楽しんで下さいね。



『観相師』の意味するもの

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いよいよ今週末、6月28日(土)から、ソン・ガンホ主演作『観相師』が公開されます。ご紹介するのがすっかり遅くなってしまったのですが、ガンちゃんことソン・ガンホのほか、大好きなイ・ジョンジェ様に、さらに好きなペク・ユンシク御大まで出演とあって、試写では夢見心地でした。というわけで、出し惜しみしていた感がなきにしもあらず。本日は美しいスチールと共に、詳しくご紹介していきましょう。

『観相師』 公式サイト 

 2013年/韓国/カラー/139分/原題:観相              (↓現地版ポスター)

 

 監督:ハン・ジェリム
 主演:ソン・ガンホ、イ・ジョンジェ、ペク・ユンシク、チョ・ジョンソク、イ・ジョンソク、キム・ヘス、キム・テウ(特別出演)

 配給:ツイン/宣伝:樂舎 

※6月28日(土)よりシネマート新宿、シネマート六本木ほか全国順次公開

『観相師』は、実際にあった事件を下敷きにしています。朝鮮王朝(1392年−1910年)、または太祖李成桂がうち立てたものなので李氏朝鮮とも呼ばれる王朝が始まって60年ほどたった1453年、第五代の文宗が亡くなったあとわずか11歳で即位した第六代端宗を退けて、その叔父、つまり文宗の弟、首陽大君が起こしたクーデター事件「癸酉靖難(ケユ・ジョンナン)」がそれです。「癸酉(きゆう=みずのと・とり)」はその年の干支ですが、「靖難」は中国明代の「靖難の変(靖難の役)」でうたわれた文言「君難を靖んじる=国の危難を鎮める」から来ています。こういう大事件の裏に、1人の観相師が深く関わっていたとしたら....という発想が、この映画が作られるもとになったようです。

© 2013 SHOWBOX/MEDIAPLEX AND JUPITER FILM ALL RIGHTS RESERVED.

お話は、名家の出身でありながら今は没落したキム・ネギョン(ソン・ガンホ)が、海岸べりの高台にある貧しい住まいで筆作りをしている所から始まります。同居するのは、17歳で足が不自由な息子ジニョン(イ・ジョンソク)と、亡き妻の弟ペンホン(チョ・ジョンソク)。ネギョンは観相師としても有名なのですが、今は口の達者なペンホンに助けられながら、筆作りで細々と生計を立てているのです。ところがそこへ、漢陽の都から、お供を連れた美しい女性がやって来ます。彼女は芸妓館を営むヨノン(キム・ヘス)で、観相師としてのネギョンの腕前を聞きつけ、都に出て来ないかと誘いにやって来たのでした。ネギョンとペンホンは都に行くことを決心しますが、一方父から、「お前の顔には、官吏になると災難に遭う相が出ている」と言われながらも官吏になる夢をあきらめられないジニョンは、2人とは別れて旅立って行ってしまいます。

都に出て来たネギョンとペンホンは、ヨノンの口車に乗せられ、芸妓館の看板観相師としてこき使われます。そんなある日、芸妓館にやってきた役人の話を聞いて、宮廷で起きた殺人事件の犯人を推察したところ、これが大当たり。やがて政府高官のキム・ジョンソ(ペク・ユンシク)とも知り合いになり、役人登用試験の観相試験官として活躍するようになります。その登用試験に息子のジニョンがやって来た時には内心大いに驚きますが、父子であることを隠して採用を取りはからい、ジニョンは官吏の道を歩むことになります。

© 2013 SHOWBOX/MEDIAPLEX AND JUPITER FILM ALL RIGHTS RESERVED.

そんな折、体の弱い文宗(キム・テウ)から観相師の腕を見込まれたネギョンは、「謀反を未然に防ぐため、王座を狙う裏切り者を観相で見抜いてほしい」という依頼を受けます。こうして、文宗の弟首陽大君ら何人かの顔をそっと観察したネギョンでしたが、それらしい相をしている人物はいませんでした。それから間もなく、文宗は11歳の息子を跡継ぎに定め、高官たちや学者たち、そしてネギョンに、「幼い息子を守ってくれ」と言い残して亡くなってしまいます。その葬儀に現れた首陽大君(イ・ジョンジェ)の顔を見て、ネギョンは仰天します。それは、ネギョンが彼だと思って見つめた顔とはまったくの別人で、その面には凶暴な「オオカミ」の相が現れていたのでした。文宗が危惧していた裏切り者とは、首陽大君のことだったのです.....。

© 2013 SHOWBOX/MEDIAPLEX AND JUPITER FILM ALL RIGHTS RESERVED.

上の写真からもわかるように、イ・ジョンジェがふてぶてしい悪役の首陽大君を好演しています。しかも、元の顔のままでは「オオカミ」の相の雰囲気が出ないことから、左頬に目立つ傷を2つもつけるという念の入れ方です。ゲスト出演のキム・テウが演じる文宗は、歴史上で言うと世宗、つまりハングルの元となる訓民正音を整備した世宗大王の長男なのですが、病身で弱々しそうな雰囲気をうまく出しています。世宗には文宗のほか、息子が合計18人もいたそうで、本作では次男である首陽大君と共に、三男の安平大君もチラと出てきてネギョンに観相されています。そのネギョンの観相を避けた、ということは、首陽大君がもともと下心大ありの人物だったということでしょうね。そしてのちに「世祖」と名乗る首陽大君は、結局ネギョン一家の運命も決めてしまうことになるのです。

© 2013 SHOWBOX/MEDIAPLEX AND JUPITER FILM ALL RIGHTS RESERVED.

韓国の歴史映画でいつも感心するのは、庶民の視点がしっかりと入っていること。本作も、クーデターによる王権奪取というドラマチックな事件だけを描くこともできたでしょうが、そこに観相師一家という普通の人々を登場させることで、そこから眺めた王の一族や政府高官の姿を重層的に描くことができています。ちょっと残念なのは、最初は胸がすくような活躍をしていた観相師ネギョンが、後半は負け続けになることですが、とはいえ「官吏になると災難に遭う」という息子ジニョンの観相はドンピシャだったわけで、観相でわかってしまった運命は避けられない、という結論になっています。

ところで、観相によって運命がわかるのなら、もしその人が整形をしていたらどうなるのか? その疑問に答えてくれるエピソードも、劇中に盛り込まれています。

演技陣では、イ・ジョンジェのほか、ソン・ガンホもいつもながらの安定した演技を見せてくれますが、さらに素晴らしいのが芸妓役のキム・ヘス。芸妓館の女主人としての貫禄も十分である上、前述した「整形で観相が変わる?」のシーンやソン・ガンホとやり合うシーンでは、コメディエンヌぶりもたっぷりと見せてくれて、美しいチマ・チョゴリの数々と共に目を奪われます。キム・ヘス、ますます女っぷりが上がってきましたね。

名優たちの演技を楽しみ、中世の朝鮮王朝の内幕を垣間見られる『観相師』。「癸酉靖難」はすでに韓国ドラマ「王女の男」(パク・シフが高官キム・ジョンソの息子を演じています)などにも登場していることから、ご存じの方も多いはず。歴史好きの方は必見ですが、それ以上に、人の運命を見据えた深いドラマが胸に迫ってくる作品でもあります。私の好きな『黄山ヶ原』(2003)や『王の男』(2005)、そして『王になった男』(2012)の系譜に繋がる、秀作の韓国歴史映画です。


『マダム・イン・ニューヨーク』の公開秘話@東京新聞

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『マダム・イン・ニューヨーク』の公開まであと丸3日を残すのみになりました。そんな本日6月24日(火)の「東京新聞」夕刊社会面に、「魅惑のインド映画発掘/府中市の男性 脱サラし個人買い付け」という大きな記事が掲載されました。こちらのウェブ記事でもご覧になれます(ウェブ記事はアップ期間が短いと思うので、お早めにご覧下さいね)。

そうです、本作を個人で買ってしまった大向敦さんのことが紹介されているのです。奥さんの貴子さん(「転勤妻」というユニークなサイトの主宰者でもあります)と一緒の写真も付けられています。これまでは、「ビオスコープ」という会社名や、ツイッターでは「奈良尾花劇場」、ブログでは「ボリウッド映画を買ってみました」という、いわば匿名でしか登場しなかった大向さんですが、東京新聞が取材してやっとカミングアウト^^です。

私が大向ご夫妻と初めてお会いしたのは1年程前。そこから私も、『マダム・イン・ニューヨーク』の公開に向けてちょっぴりお手伝いをすることになったのですが、昨夏のあいち国際女性映画祭で来日したガウリ・シンデー監督夫妻の写真を何度かブログにアップできたのは、大向さんから提供していただいたからなのでした。もう一度、その写真をアップしておきますね。

名古屋に到着してすぐ、和食レストラン(というと聞こえはいいのですが、和風居酒屋)でくつろぐガウリ・シンデー監督&夫のR.バルキ監督です。詳しくは、「ボリウッド映画を買ってみました」のこちらの記事をどうぞ。


ご存じの方も多いかと思いますが、夫のR.バルキことR.バーラクリシュナン監督は、アミターブ・バッチャン主演作の『砂糖は控え目(Cheeni Kum)』(2007)や『パパ(Paa)』(2009)の監督であり、現在もアミターブ・バッチャンとダヌシュが主演する『シャミターブ(Shamitabh)』を撮影中です。この間も、撮影風景のスナップショットが、Yahoo!Indiaのニュースに出ていました。お、ガウリ・シンデー監督とカラン・ジョーハル監督とのツーショットもありますね。ではこちらももう1枚、大向さんにご提供いただいた「浴衣姿のシンデー監督」を付けておきましょう。


こんな素敵な監督によって撮られた『マダム・イン・ニューヨーク』、ぜひ初日にご覧になって下さいね。主人公シャシに合わせて、サリーをお召しになってのご鑑賞もいいかも知れません。銀座に映えるようなサリーを着て、ぜひお出かけ下さい。何ならうちのサリーをご提供して、「あなたもマダムに変身〜サリー着付け&映画鑑賞の夕べ」とかを一度やってみたいものです。ホントに、何枚美しいサリーが登場するのやら『マダム・イン・ニューヨーク』!(ため息...)テレビ露出も増えているようですので、公式FBをご参照のうえ、チエックしてみて下さいね。

(C)Eros International Ltd

この映画と、実はもう1本『ダバング 大胆不敵』も買ってしまった大向さん。まったく、「こっちの方が”大胆不敵”−ボリウッドの大 ヒット作を買ってしまった男」ですねー。『ダバング 大胆不敵』の宣伝手腕にも注目していますので、配給会社の太秦さんと共にぜひぜひがんばって下さいませ〜。

 


テルグ語映画『あなたがいてこそ』のジャンルは?

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テルグ語映画2本の宣伝を担当しているオムロさんから、やっと最終的なヴィジュアル素材をいただくことができました。とはいえ、『あなたがいてこそ』は、本国から送付されてきた画像が300枚もあるのに、すべてがソング&ダンス・シーンなのだとか。しかも、ほぼ全部が「ラーエ・ラーエ」の歌のシーンらしく、衣装は2、3違っているものの代わり映えしない雰囲気のものばかり。約4分で300枚のヴィジュアル素材をキャプチャーするとは、楽な仕事してますねえ、ですね。文句言ってても始まらないので、今日は手始めに『あなたがいてこそ』を素材に、テルグ語映画に詳しいPeriploさんから教えていただいた「ラーヤラシーマのファクション映画」のお話を。

まず、『あなたがいてこそ』の基本データをどうぞ。

 

『あなたがいてこそ』 公式サイト 
(2010/インド/テルグ語/125分/原題:Maryada Ramanna) 
  監督:S.S.ラージャマウリ
  主演:スニール、サローニ、ナジニードゥ、スプリート、ヴェーヌゴーパール、ブラフマージー
  提供:マクザム、アジア映画社、アジアヴォックス
    配給:太秦
  宣伝協力:オムロ
※7月26日(土)シネマート六本木、8月2日(土)シネマート心斎橋にてロードショー公開


物語は、1982年、対立する家系の2人の男が殺し合う場面から始まります。1人はラーガワ・ラーオ、もう1人はラーミニードゥ(ナジニードゥ)の弟。ラーガワ・ラーオが弟を殺したと知ったラーミニードゥは、まだ幼い自分の2人の息子マッラスーリ、バイレッディと共に復讐を誓うのですが、その頃ラーガワ・ラーオも負った傷がもとで息絶えていました。復讐を恐れたラーガワ・ラーオの妻は、幼い息子のラームを連れて大都会ハイダラーバードへと逃れます。

28年後、母を亡くしたラーム(スニール)は、観光名所チャール・ミーナールのあるハイダラーバードの下町で、ボロ自転車で荷物の配達に廻る毎日。でも、自転車では機動力に欠けるため、ついに配達員をクビになってしまいます。そんな時、父親の残した土地を相続できるという知らせが舞い込み、その土地を売ってオートリキシャを買おうと、ラームは土地の処理のために列車で故郷へと向かいます。


その列車の中で知り合いになったのが、絵の好きな娘アパルナ(サローニ)。実は彼女はラーミニードゥの娘だったのですが、そんなこととは知らない、というか、そもそも父親の確執を何も知らない脳天気なラームは、アパルナの忘れたスケッチブックを手にして、故郷の村に急ぎます。村に着いたラームが道を聞いたのは、何と強面に成長したマッラスーリ(スプリート)。お互い宿敵の間柄とはつゆ知らず、マッラスーリは目的地のモスクまでラームをバイクに乗せて運んでくれる始末。あとでラームがラーガワ・ラーオの息子と知ったマッラスーリは、あわててドスをかざして追いかけますが、ラームは見つからず地団駄を踏みます。

一方、自分の土地を確かめたラームは、土地のもめ事なら有力者のラーミニードゥに相談するのが一番、とアドバイスされ、寺院に参っているラーミニードゥとバイレッディ(ヴェーヌゴーパール)父子の所へ。気に入られたラームは、ラーミニードゥの家に招かれます。そこでアパルナと再会し、彼女の許嫁と周囲がみなしている彼女の従兄シュリカント(ブラフマージー)にも紹介されたラームは、すっかりうち解けてしまいます。ところがそこへ怒りに燃えたマッラスーリが戻ってきて、父ラーミニードゥと弟バイレッディに真実を告げたからさあ大変。たちまちラームは彼らから命を狙われることに。

ラーミニードゥは、家に来た客はもてなすという信条と、神聖な家を血でよごしたくないことから、ラームが家の敷居をまたいで外に出たら殺そうと待ちかまえます。やがて事情を知ったラームは、何とか家を出て行かないですむ方法は、と四苦八苦。何も事情を知らないアパルナも巻き込んで、ラームの決死の作戦が展開していきます....。


冒頭のタイトルからして楽しい映画で、自転車の車輪がテルグ語の文字へと変化していくアニメは何度見てもあきません。そして、ラームのボロ自転車が擬人化され、CGで表情(主にライトが表現します)が変わったり、しゃべったりするお楽しみも。とはいえ、ラームはまったく自転車の独り言に気づいていないんですが。ところが、そういう楽しさと相反する血なまぐさい抗争シーンや、何かというとドス(というか、香港のヤクザ映画でも出てくる長い片刃包丁みたいな武器なんですが、正式には何と言うのでしょう?)を持ち出し、人を殺すのもいとわないラーミニードゥ一家の残忍さもてんこ盛り。これぞまさしくテルグ語映画のテイスト、と思ったのは、昔見た『愛と憎しみのデカン高原』(1997)もそうだったからです。

テルグ語映画に詳しいPeriploさんや、本作の字幕監修を担当した山田桂子さん(字幕は藤井美佳さん)のお話だと、こういう映画は「ファクション映画」と呼ぶのだとか。「ファクション(faction)」とは、党派、派閥、派閥争い、内紛という意味だそうで、つまりは「抗争映画」とでも訳せばいいのでしょうか。こちらに、Periploさんが以前にお書きになった解説があります。そこにあるように、「抗争映画」の舞台となるのがアーンドラプラデーシュ州の南西部、ラーヤラシーマ地方で、「ラーヤラシーマのファクション映画」というのがテルグ語映画のひとつのジャンルになっているそうです。『愛と憎しみのデカン高原』もこの地方が舞台だったとかで、なるほどね〜というところです。

いわば、韓国映画でヤクザ映画といえば釜山、という感じなのかも知れませんね。日本で言えば、広島を舞台にした『仁義なき戦い』シリーズに通じるようなものでしょうか。Periploさんのお話だと、タミル語映画ではタミルナードゥ州マドゥライが、カンナダ語映画ではカルナータカ州の州都である大都会、ベンガルールの裏社会がその舞台となることが多いそうです。「抗争映画」という概念はボリウッド映画では聞いたことがないだけに、とっても興味深かったです。

その「抗争映画」に、笑いもふんだんに盛り込まれ、ラブロマンス要素やソング&ダンスシーンももちろんバリバリに入っている、というところがすごいですね。『あなたがいてこそ』は特にその配分や盛り込み方がうまく、さすが『マッキー』(2012)のS.S.ラージャマウリ監督、と感心します。皆さんもぜひ、「ラーヤラシーマのファクション映画」の洗礼を、『あなたがいてこそ』で受けてみて下さい。病みつきになりますよ〜。そうそう、『シャー・ルク・カーンのDDLJラブゲット大作戦』(1995)のパロディも出て来ますから、ボリウッド映画ファンの皆さんも必見です!



『マダム・イン・ニューヨーク』の一家が住む町プネー

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『マダム・イン・ニューヨーク』、6月28日(土)に無事初日が開きました。おめでとうございます! 知人の話ですと、昼間の回はほぼ満員で、終了後拍手も起きたとか。最後に自然と拍手が起きるなんて、『きっと、うまくいく』以来ですね。

ところで、『マダム・イン・ニューヨーク』というタイトルになったため、ニューヨークだけが舞台と思われがちですが、最初の30分ぐらいは、主人公シャシの一家が住むプネーの町でお話が進行します。プネーは、マハーラーシュトラ州の州都ムンバイから南東に約170キロ。急行列車だと4時間ほど、飛行機だと50分ぐらいで着いてしまいます。デカン高原上にあり、ムンバイに比べて気候がいいため、昔から学園&研究都市として栄えました。有名なデカン・カレッジ等たくさんの教育・研究機関があるのですが、中でもプネー大学はサンスクリット語やインド哲学の研究で有名で、名古屋大学を始めとする日本各地から留学生がやってきます。

近年は学園&研究都市以外に、IT産業の盛んな町としても知られており、「東のシリコンバレー」とも呼ばれているとか。あと、日本語教育も盛んで、私の知人もプネーでもう何十年も日本語教育に携わっています。IT技術者で、きれいな日本語を話すインド人がいたら、「プネーのご出身?」と聞くと大体当たりかも知れません。


さらに、プネーにはインドの映画大学に当たる国立の映画&テレビ研究所(Film & Television Institute of India=FTII/上の写真はその入口ゲート)や映画史料館(National Film Archive of India)など、映画関連の施設もあります。今はインド各地に国立や州立、私立の映画学校がいろいろできていますが、FTII設立の1961年から30年間余りは、ここが映画青年たちの希望の星でした。俳優コースは一時なくなって、また現在復活していますが、卒業生にはジャヤー・バッチャン、シャバーナー・アーズミー、ナスィールッディーン・シャーら錚々たるメンバーがいます。

そんな、近年発展しつつも落ち着いた雰囲気のある町で暮らすシャシの一家。一家の名字はゴードボーレーと言い、デーヴァナーガリー文字(ヒンディー語やマラーティー語で使われている文字)で書かれた「ゴードボーレー・ニワース(ゴードボーレーの住まい)」という門柱の表札が一瞬映ります。ゴードボーレーはマハーラシュトラ州に特有の名字で、にも書きましたが、「〜エー」で終わる姓(シンデー、デーシュパーンデー、ゴーカレーなど)は、「〜カル」で終わる姓(マンゲーシュカル、カーレーカル、パーテーカルなど)などと共に、すぐにマハーラシュトラ州の人だとわかってしまう名字です。ちなみに、シャシのお姑さん役を演じているのは、1970年代のアート系映画によく出ていたスルバー・デーシュパーンデーという女優さんです。

(C)Eros International Ltd

ゴードボーレー家に朝配達される新聞は、「タイムズ・オブ・インディア」という英語紙と、「ナヴ・バーラト・タイムズ(新インド新聞)」というヒンディー語紙。シャシと、それからもしかしたらシャシのお姑さんもヒンディー語紙を読むのでしょうか。マハーラーシュトラ州の言語はマラーティー語なので、ヒンディー語よりもマラーティー語の新聞の方が読みやすいのでは、と思いますが、これはヒンディー語映画なのでこういうアレンジになったのでしょうね。この新聞の言語は、ラストのシーンにも関わって来ます。

ヒンディー語がもうひとつ関わってくるのは、娘サプナの学校で会う英語の先生との会話。この英語の先生は神父さんでもあるのですが、南西インドのケーララ州南部にある町コッタヤムの出身なのです。ケーララ州は教育程度が高く、みんな州の言語であるマラヤーラム語以外に英語もしっかりと身につけています。ところが、英語ができるためヒンディー語はあまり必要がないことから、言語系統も違うし、中央政府が押しつけるヒンディー語はイヤだし、というわけで、南インド4州の人たちはヒンディー語ができない人も多いのです。そんなインドの言語事情が、、映画の中には盛り込まれています。

(C)Eros International Ltd

ところで、『マダム・イン・ニューヨーク』こと「English Vinglish」は、南インドの言語であるタミル語版も作られています。タミル語版は基本的には吹き替え版なのですが、ちょっと異なっているのは、アミターブ・バッチャンに代わって、タミル語映画の大物俳優アジートが「飛行機の中で出逢う面白い人」に扮しているところ。こちらに画像がありますが、アジートもなかなかに渋い演技を見せてくれてチャーミングですね。タミル語版では上記のような言語問題はどのように表現されているのか、ちょっと見てみたい気もします。そうそう、上にリンクを貼ったシーンでは、ヒンディー語版でワインを飲んでいたシャシは、タミル語版ではコーラを頼みます。タミル語版は、シャシにはあくまでも良妻賢母イメージという保守路線^^なのでしょうか。

英語以外の言語にも注目して見ると興味深い『マダム・イン・ニューヨーク』。明日は映画ファン感謝デーなので、料金がお安くなります。また金曜日は、シネスイッチ銀座のレディース・デー。リピーターの方は、お得な料金を選んでご覧になって下さいね〜。


 


『マダム・イン・ニューヨーク』古風なシャシ(前回の続き)

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前回のプネー紹介と関連して、これまで書き忘れていたことが2つほどあったのでこの機会に。一つは、シャシがあまり「ありがとう」と言わないことと、もう一つは彼女が常に身につけているネックレス、マンガルスートラのことです。

(C)Eros International Ltd

まず「ありがとう」ですが。最初に『マダム・イン・ニューヨーク』をDVD(香港で買った海賊盤です、スミマセン)で見た時、何度か「あれ、そこに"Thank you"のセリフはないの?」と思いました。例えば、ニューヨークへ行く飛行機の中で、アミターブ・バッチャン扮する隣席の人にいろいろ教えてもらったり、助けてもらったりした時、小さな声でもいいから「Thank you」が入っていないのにちょっと引っかかったのです。でもその後、二度、三度と見直しているうちに、これもヒロインのシャシ(シュリデヴィ)のキャラクター作りかも、と思うようになりました。

というのも、もう40ン年前になりますが、大学でヒンディー語を学んでいた時、「ダンニャワード(ヒンディー語で”ありがとう”)」という言葉が出て来て、それについてインド人の先生がこうおっしゃったのです。「”ダンニャワード”はほとんど使うことはありません。我々インド人は、口で”ありがとう”と言うことはまずないのです。感謝の気持ちは、示す態度やちょっとした仕草、眼差しに込めたりするもので、言葉に出して言うものではありません」

その後数年してからインドに行き始め、以来40年ぐらいインドに通っている訳ですが、思い返してみると「ダンニャワード」という言葉を聞いたことはほとんどありません。壇上でのスピーチの時ぐらいで、普段のお付き合いでは耳にしたことは記憶にないのです。「ダンニャワード」に代わる言葉としては「Thank you」がよく使われますが、それもモダンな欧米化した人々の間で、という条件が付きます。いわゆる庶民の人たちは、例えば前年に撮った写真を持って行って仕立屋さんやジュース屋さんにあげたりしても、ちょっと小首をかしげるような動作をして、謝意を表してくれるのが普通でした。

脚本も担当したゴウリ・シンデー監督は、もしかしたらご自分のお母様の言動を観察し、シャシのキャラを作り上げたのかも知れません。「ダンニャワード」はもちろん、「Thank you」も連発しないという、どちらかというと古風な女性。それがシャシとして設定されたキャラクターなんだな、と試写の時プレスの監督インタビューを読んだりして、さらに確信を深めたのでした。

これを思い出したのは、ある方がツイートで、「いろいろな人に親切にされてるのに「サンキュー」と言わないヒロインに違和感。」(COCOの「『マダム・イン・ニューヨーク』に関するみんなのつぶやき」2014.6.15)と、私の最初の感想と似たことをつぶやいていらしたからです。上記のような可能性もあることを、ちょっと書いておきたかったのでした。

ニューヨーク到着当初は気分的に余裕がないこともあってか、道を教えてもらっても態度で謝意を示すことすらしなかったシャシですが、やがて「Thank you」が出るようになります。以前親切にしてもらった同級生のフランス人ローランにも、「あの時はありがとう」という言葉を言うシャシ。そしてクライマックスでは、素敵な「Thank you」が彼女の口からこぼれます。「ありがとう」シーンだけを繋ぎ合わせてみても、なかなか上手な脚本だということがわかりますね。そんなところにも注意して、ご覧になってみて下さい。

(C)Eros International Ltd

続いてマンガルスートラの話ですが。これは、黒いビーズと金色の鎖とでできているネックレスで、トップには金のペンダントが下がっています。北インドの既婚女性が身につけるもので、夫が存命の人しかつけられません。シャシも常につけているのですが、ほとんどの場合トップがサリーの胸元の下に入っていて、見えていないのです。上の写真もそうですね。

珍しくマンガルスートラが外に出ているのが、ローランとのいざこざ(?)があったあとで、姉宅に戻って顔を洗うシーンです。体をかがめたからマンガルスートラが外に出た、ということでしょうか、それとも....。深読みすると、既婚の印のマンガルスートラが抑止力になった、と見ることもできます。

(C)Eros International Ltd (トリミングしました)

もう1箇所、マンガルスートラがシャシの胸に輝いているのは、クライマックスの結婚式シーンです。下のシーンのほか、別の赤いサリーの時もマンガルスートラが別のネックレスと共に胸元に光っています。

(C)Eros International Ltd (トリミングしました)

この両方の写真からわかるように、トップはお椀を伏せたような半球形の金細工が2つ並んでいます。このお椀型はマハーラーシュトラ州の人が好む形だそうで、このほか四角いプレート型や、扇形、楕円形、逆三角など、いろんな形のトップがあります。マハーラーシュトラ州では、新婚ホヤホヤの時はお椀の内側が見えるような形で首に掛け、数ヶ月するとこのシャシがつけているような形に変えるのだとか。これで、新婚さんかどうかがわかるわけですね。

インドの既婚女性はこのマンガルスートラを誇らしげにつけていて、たいていトップがよく見えるようにサリーの外に出しています。本作のシャシが常に内側に入れ込んでいるのは、婚姻に黄信号がともりつつあったため? それとも、高価な金のトップを泥棒などから守るためでしょうか?

実はマンガルスートラは『めぐり逢わせのお弁当』にも登場していて、ヒロインであるイラの心情を代弁してくれます。こちらはマハーラシュトラ州の州都である大都会ムンバイが舞台ですが、イラもかなりコンサバな女性で、下の写真のように、若いのにマンガルスートラを常に身につけているのです。

(C)AKFPL, ARTE France Cinema, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC, Rohfilm - 2013

この2本の映画で、マンガルスートラ深読み論が書けるかも知れませんね。サリーの美しさと共に、こんな所にもぜひご注目下さい。さて、明日は東京の上映劇場シネスイッチ銀座のレディースデー(珍しく金曜日なんですよ)。こちらの劇場のサイトや『マダム・イン・ニューヨーク』の公式サイトをご参照の上、お得な映画鑑賞をお楽しみ下さいね。


 

 

なりきり『ダバング 大胆不敵』キメ台詞はこれだっ!![その2]

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[その1]からはや1ヶ月半。怒り狂ったチュルブル・パンデーに殺されそうなVJ cinetamaです。あの警部、キレたらマジ怖いので、このあたりでご機嫌を取っておかないといけません。何せ『ダバング 大胆不敵』の中では、当初「逃がしてやれ」と部下に言っていた銀行強盗一味を、次に出会った時には情け容赦なく「バンッ!バンッ!バーン!」ですからね。いくらその時見初めた美女ラッジョーにいいところを見せるためでも、ちょいと行きすぎではないかい....てなことを言っていると、また銃口がこっち向きそうなので、さっさと今日のキメ台詞をご紹介しましょう。

実は今日は番組に大物解説者の方がいらしているので、その方にご登場いただきます。チュルブル・パンデーのような問題警官を支持していると知られたくないため、名前は出してもらいたくないそうでして、「特に名を秘す」とボカシ処理をお許し下さい。でも、「胸がすくような男らしさですねえ」とホレボレしてらっしゃるところから、ご無理を言って解説と紹介をお願いしました。はい、では、よろしくお願いします! 3、2、1、キュー!!

§ § § § § § § § § §


そろそろ梅雨明けも間近ですね。梅雨が明けて真夏の太陽が照りつける季節にピッタリなのが、『ダバング 大胆不敵』というインド映画です。

インド映画と言えば思い出すのが、1998年に日本でも大ヒットした『ムトゥ 踊るマハラジャ』ですね。あちらは小太りのヒーロー、こちらは筋肉質のヒーローという違いはあるのですが、どちらも口髭が似合う、ちょっと純情なマッチョ・ヒーローです。『ムトゥ』はインドの中でも南の方、タミル語という言葉の映画で、あれが南インド映画のテイストなのだそうですが、ヒンディー語映画であるこの『ダバング』にも、共通したテイストが流れています。

それがわかるのが、始まって10分ぐらいのところに出てくる歌と踊りのシーンです。そこまでの10分間もすごいですよ。主人公チュルブル・パンデーの幼少期から話を始めて、家族環境を説明し、21年後に銀行強盗事件が起きて、その一味を警官になった主人公がやっつける、という展開があるんです。相当スピーディーな展開ですね。インド映画は本当に盛りだくさんで、最初の10分間でも圧倒されてしまいます。

その主人公、チュルチュル(あ、噛んでしまった!)、ではないチュルブル・パンデーがどんな人物なのか、というのを歌詞でわからせるのが、最初の挿入歌のシーンです。『ムトゥ』でも同じように、冒頭に登場する歌でムトゥの思想が語られていたのを憶えてらっしゃいますか? 聞くところによると、『ムトゥ』の主役を演じたラジニカーントという俳優は「スーパースター」と呼ばれているそうで、彼の映画はどれも同じような構造になっているとか。この最初の歌を「お名乗りソング」と呼ぶ人もいるそうです。

『ダバング』の主役サルマーン・カーンも、ボリウッド映画のスーパースターなので、同じようにしてみたのでしょうね。あ、ボリウッド映画というのは、ヒンディー語映画が作られているムンバイの昔の名前「ボンベイ」と、「ハリウッド」とを重ねて作った造語です。

では、藤井美佳さんのお上手な字幕を借りて、チュルブル・パンデーの「お名乗りソング」をちょっと見てみましょう。リフレインのところは「ウルウル・ダバング・ダバング・ダバング・ダバング」と言っているようですね。私はもう憶えてしまいました。公式サイトの予告編でも出てきますので、こちらをご覧下さい。レイバンのサングラスかけて、カラオケで歌ってみたいですね(笑)。


ダバング ダバング 大胆不敵な男

意志は強く 岩のように動じない
ガチで戦う警察官
ダバング ダバング 大胆不敵な男

臨戦態勢の荒くれ者
我らが頼れる兄貴
ダバング ダバング 大胆不敵な男

いいですねー。私は特に、「ガチで戦う警察官」が気に入りました。映画を見ていると、主人公チュルブル・パンデーはいいかげんそうに見えて、いつも全力でぶつかっていきます。悪党にも、恋にも、そして家族にも、ガチで向き合う男。少々過激すぎるきらいはあるものの、まさに「漢(おとこ)」と言うべきでしょう。そのあたりがインド人の心を捉えて、インドでは2010年ボリウッド映画のナンバーワンヒットになったのでしょうね。

今の日本も、ガチで向き合わないといけない問題が山積しています。乱暴な手法は問題ではありますが、『ダバング』で悪と立ち向かうチュルブル・パンデーの姿勢に学び、私たちもこれからの行動を考えないといけません。今、国会では....

§ § § § § § § § § §

カメラ、切り替えて! あー、本日はどうもありがとうございましたっ! では、最後にキメ台詞を復讐、もとい復習して、番組を終了することに致します。さあ、本日のキメ台詞はこれだ!!

「ガチで戦う警察官!」 Translation by藤井美佳 

マヌ・バルワーン、ラゲー・チャッターン、ラヘー・マイダーン・メーン・アーゲー
Mann balwaan lagey chattaan rahe maidaan mein aagey
心は 強い 〜のよう 岩/動じないもの いる 戦いの場 で 前に
意志は強く 岩のように動じない ガチで戦う警察官

全曲はこちらでどうぞ。「ガチで戦う警察官」が大暴れする『ダバング 大胆不敵』は、7月26日(土)からの公開です。劇場やその他の情報は、公式サイト公式FBでどうぞ。

公式FBにもあるとおり、7月18日(金)には「大胆不敵な爆音マサラ先行上映」がシネマート六本木で、8月6日(水)にはトークイベント「マサラムービーナイト第二弾!大胆不敵にスーパースターを大特集!」が阿佐ヶ谷ロフトAで開催されます。詳しくは公式FBにて。では、また来週!(ゼーゼーハーハー...)


 

『怪しい彼女』がやって来る!!

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おそらく、本年の韓国映画@日本ナンバーワンヒットになるであろう作品『怪しい彼女』が、いよいよ7月11日(金)から公開されます。2014年はすでに『7番房の奇跡』『新しき世界』『ミスターGO!』『観相師』等々、話題作、人気作がいっぱい公開されている韓国映画ですが、『怪しい彼女』のパワーの前には、囚人もヤクザもゴリラも観相師もカワユく見えること間違いなし。キャッチコピーは「突然、20歳(ハタチ)」。では、まずは基本データをどうぞ。


『怪しい彼女』  公式サイト 

(2014年/韓国/125分/カラー)
 監督:ファン・ドンヒョク
 主演:シム・ウンギョン、ナ・ムニ、パク・イナン、ソン・ドンイル、イ・ジヌク、ジニョン(BIA4)
 配給:CJ Entertainment Japan
※7月11日(金)よりTOHOシネマズみゆき座ほか 全国順次ロードショー

『怪しい彼女』の主人公は、70歳になるオ・マルスンおばあちゃん(ナ・ムニ)。でも、「おばあちゃん」なんて呼んだら100ぐらい罵り言葉が返ってきそうな、チョー元気者かつ口の悪い70歳です。若くして夫を亡くし、極貧の中で地べたをはいずるようにして一人息子のパン・ヒョンチョル(ソン・ドンイル)を育てた甲斐あって、ヒョンチョルは今や国立大学の教授様。その自信も裏打ちしてか、マルスンはヒョンチョルの嫁(エジャ)にも言いたい放題だし、孫娘のパン・ハナ(キム・スルギ)やその弟パン・ジハ(ジニョン)にもガミガミ言って、家族から煙たがられています。マルスンをかばってくれるのは昔彼女の家の使用人だったパク(パク・イナン)だけで、家族はついにマルスンをどこか施設に入れることを考え始めます。


(c)2014 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

そんなある日、「半地下(パン・ジハ)」というバンドをやっている孫のジハとその仲間に、何かご馳走してやろうと待ち合わせの場所に向かっていたマルスンは、途中で「青春写真館」という写真スタジオを見つけます。表のウィンドーに大好きだったオードリー・ヘップバーンの写真があったので、つい中に入ってしまったマルスン。遺影を撮りたいと言うマルスンに写真館の店主は、「私が50歳若くしてあげますよ」と言って写真をパチリ。するとあーら不思議、マルスンは50年前の自分、つまり20歳の頃に戻ってしまっていたのでした。孫のジハも、彼女を見ても誰だかわかりません。こうして、オ・ドゥリ(シム・ウンギョン)という別名を使って、マルスンは50年前の自分を生き始めます。


(c)2014 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

ところが、外見は溌剌たる20歳なのに、しゃべり出すと中身は70歳のマルスンそのまま。若い声でトンでもないばあちゃん物言いと罵り言葉を連発するオ・ドゥリに、周りの人は目をシロクロ。正体がバレないのをいいことに、オ・ドゥリはパクの家に下宿し、再びの青春を謳歌し始めます。彼女が歌う昔のヒット曲を聞いたテレビ局のプロデューサー、ハン・スンウ(イ・ジヌク)は、彼女の声に惚れ込んでしまい、彼女をメインボーカルに迎えたジハのバンドはテレビ出演することに。こうして周囲に大嵐を巻き起こしていくオ・ドゥリでしたが、やがてパクが疑問を持ち始めます。さあ、「怪しい彼女」はいつまで周囲を欺すことができるのか....。


(c)2014 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

本作の魅力は、何と言っても外見20歳/内面70歳のオ・ドゥリを演じるシム・ウンギョン。『サニー 永遠の仲間たち』 (2011)の時も元気のいい役でしたが、今回はそれに輪を掛けた元気のよすぎる役柄を、見事な演技力で演じています。実生活でもシム・ウンギョンは、今年の5月31日で20歳になったばかり。かわいい顔のその口から、「クソ食らえってんだ!」てな過激な言葉が飛び出すミスマッチがもうたまりません。おまけに元の韓国語は全羅道(チョルラド)の方言も入っているそうで、なまってもいるのだとか。それも含めて日本語字幕では上手に表現してあり、口元をゆがめて泡をとばさんばかりに吐き捨てるシム・ウンギョンの表情と相まって、何度も笑わせられてしまいます。久保直子さんという方の達者な日本語字幕には、拍手パチパチです。

 

(c)2014 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

イケメン好きの方は、プロデューサー役のイ・ジヌク(上写真)のほか、ラストにアッと驚く人がゲスト出演していますのでお楽しみに。監督のファン・ドンヒョクは、コン・ユ主演の『トガニ 幼き瞳の告発』(2011)や、ダニエル・ヘニー主演の『マイファーザー』(2007)を撮った人ですが、本作ではシリアス路線から180度転じてコメディ路線まっしぐら。とはいえ、老人問題、母と子のきずな、家族愛など今の社会で生きる人に訴えたいテーマもうまく盛り込んであり、さすが社会派映画を撮った監督だけある出来映えです。見終わったあとは、20歳の人も、70歳の人も、心が暖かくなることでしょう。


(c)2014 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

もう一つこの映画の魅力を挙げておくと、劇中ではオ・ドゥリが何度か歌を歌うのですが、それがすべてシム・ウンギョン自身の声であること。1970年代の懐メロをしっとりと歌い上げる歌唱力は、素人とは思えません。プレスに掲載された秋月望明治学院大教授によると、「ロスに行けば」(1978)、「雨水」(1976)、「白い蝶」(1975)などが使われているそうで、今70歳前後の韓国人観客には、懐かしい思い出がいっぱい詰まった曲だったのでしょう。でもそういうことを知らなくても、シム・ウンギョンの歌は聞く人の胸を打ちます。

(c)2014 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

「マルスン」という名前も、『愛してる、マルスンさん』(2005)という作品で聞き覚えがあったため、ちょっと調べてみました。ムン・ソリ主演で母と中学生の息子の生活を描いた『愛してる、マルスンさん』も、1970年代後半が舞台です。「マルスン」に関しては、「韓国で一番人気の名前は何?」という記事に、こう載っていました。

「女の子の場合、上からイルスン(一順)、イスン(二順)、サムスン(三順)……と続き、末っ子は「これが最後」という意味を込めて、マルスン(末順)と。」

なるほど、日本の昔の「留(とめ)」とか「末(すえ)」に当たる名前なんですね。『怪しい彼女』のマルスンさんは大きなお家の一人娘だったようですが、少々古臭い名前ということで監督が選んだのかも知れません。そんなマルスンとオ・ドゥリが、笑わせて、泣かせて、心に贈り物を残してくれるのが『怪しい彼女』。怪しい人も怪しくない人も(笑)、皆さんぜひご覧になってみて下さい。


 

 

『めぐり逢わせのお弁当』<その2>イラ

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8月9日(土)から公開される『めぐり逢わせのお弁当』、今日は前回のサージャンに続き、ヒロインであるイラのお話です。

(C)AKFPL, ARTE France Cinema, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC, Rohfilm - 2013 

イラは、ムンバイ市の北の方に住んでいる平凡な主婦。ちょっと古びたフラットの、3階ぐらいにある部屋に住んでいるイラ一家の家族構成は、30代前半と思われる割とハンサムな夫(ナクル・ヴァイド)、30歳前後のイラ(ニムラト・カウル)、そして小学校低学年の娘ヤシュヴィの3人です。夫は鉄道を利用して、シティと呼ばれるムンバイの中心街に出勤しています。前に取り上げたサージャンが住んでいるバンドラという地区が、シティと郊外との境目になっているのですが、イラの一家はそれよりも北、つまり郊外地区に住んでいることがわかるようになっています。

どうしてわかるのかって? それは、最初にイラの家庭が映された時、娘ヤシヴィが乗り合いのオートリキシャ(オート三輪のタクシー)に乗って学校へ行こうとするシーンが出てくるからです。ムンバイでは、オートリキシャはシティに乗り入れることを許されていません。バンドラ以北しか走ってはいけないという決まりがあるのです。

この時のオートリキシャには、小学生がすでに何人か乗っています。いくつかの家庭がオートリキシャの運転手と契約して、毎朝各家庭を回って子供たちをピックアップし、学校に送り届けてもらうというシステムです。小さい子供なので、定員2名の座席でも詰め込めば5人ぐらい乗れるのですね。下校時は反対に、学校から各家庭へ。そういう子供たちを満載したオートリキシャには、街でもよく行き合います。

(C)AKFPL, ARTE France Cinema, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC, Rohfilm - 2013 

イラは娘を学校に送り出すと、すぐに夫のお弁当作りに取りかかります。夫は朝はチャイ(ミルクティー)とビスケットぐらいで済ませたのでしょうか。何となく、トーストなどをゆっくりと食べてから出勤する夫には見えません。通勤時間も長いし、会社に着いたらすぐまたチャイも出てくるし、というところですね。朝食をしっかり食べて出勤する人は、庶民ではそう多くない感じがするのがムンバイです。

一方インドの昼食時間は午後1時からなので、お弁当はそれぐらいの時間に各職場に届けられます。とすると、集荷は10時半頃でしょうか。イラがこの日作っていたのは、ご飯(何か炊き込んであるようです)とチャパティ、それに細切りココナツをかけたお野菜のカレーとダール、つまり汁気の多い豆のカレーです。それを4段重ねのお弁当箱に順番に入れて、お弁当袋に入れてからダッバーワーラー(弁当配達人)に委ねます。上の写真で、イラの後ろにかかっているのがお弁当袋です。このグリーンのお弁当袋、よく憶えておいて下さいね。

この時、上階に住む「おばさん(アンティ)」ことデシュパンデー夫人から声がかかります。おばさんは、上階に流れてきた匂いで、あるスパイスが足りないと察知し、それを籠に入れておろしてくれます。おばさんは自信に満ちた声で、「料理は愛を深めるんだよ」と言ってくれます。実はこの時、イラは夫の心変わりをうすうす感じており、何とかその愛情を取り戻そうとして腕によりを掛けたお弁当を作っていたのでした。

ところが、そのお弁当がダッバーワーラーの手から手へと渡り、電車に1時間ほど揺られてシティに運ばれたあと、配達された先は定年間際の会社員サージャン(イルファーン・カーン)の事務机の上でした。ダッバーワーラーの誤配の確率は600万個に一つというのに、どうしてまた? 映画の中にそれを解くヒントが隠されていますので、ご覧になって見つけて下さいね。

(C)AKFPL, ARTE France Cinema, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC, Rohfilm - 2013 

こうしてお弁当箱を通じて、イラとサージャンの文通が始まり、その過程でイラの事情がいろいろと明らかになっていきます。イラの夫はやはり浮気をしているようであること、イラの実家はムンバイのシティにあり、父は肺ガンで床についていて母が看病していること、イラの弟は試験(大学入試のようです)に失敗して自殺してしまったこと....。ある日娘と一緒に実家を訪ねたイラは、実家が経済的に困窮していることを知ります。イラの家は夫の給料がよいらしく、すぐに実家に援助を申し出るのですが、このようにイラも決して幸せではないことがわかってくるのです。

妻をずっと前に亡くし、定年間近という孤独なサージャンと、平凡な主婦の幸せを手中にしているように見えながら、不幸の種を抱えているイラとが、手紙のやり取りで少しずつ少しずつ距離を縮めていきます。そしてついに、イラは自分の方から一歩踏み出そうとします。受け身のように見えて、イラは本当は芯の強い女性なのです。

そのイラの精神的支柱となってくれるのが、上階のおばさんです。「イラ」という名前は「大地、大地の女神、パールヴァティー女神、サラスワティー女神」等々の意味を持つのですが、おばさんこそ大地の女神にふさわしい貫禄と心映えを持つ女性です。おばさんも本当は不幸の種を抱えていることが映画の中で語られますが、その種を育てて花を咲かせてしまうようなパワーがおばさんにはあって、イラならずとも頼りたくなってしまいます。映画の中でおばさんは声でしか出てこないので、観客が様々なおばさん像を描くことができるというのも、とっても粋な演出ですね。

(C)AKFPL, ARTE France Cinema, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC, Rohfilm - 2013 

それにしても、イラにはほかに友人はいないのでしょうか。そういう設定とか、イラに思いっきり地味な衣装を着せているのは、監督の深い意図があってのことかも知れません。何せ倍ぐらいの年であるサージャンに惹かれるためには、イラの側にも彼を受け入れられる要素がたくさんないといけませんからね。イラの衣装は、家庭ではもちろん、外出時もサルワール・カミーズ(パンジャービー・ドレスとも言います)です。それも、細かい模様の色目も地味なものばかり。夫に自分の魅力をアピールするために着てみせる新婚旅行の時のサルワール・カミーズも、かわいい柄ではあるものの白色なのです。フツー新婚さんは、もっと派手な色目のを着るでしょうに。

というわけで、『めぐり逢わせのお弁当』には、『マダム・イン・ニューヨーク』のようにきれいなサリーを鑑賞する楽しみはありません。でも男と女の心が、一度も会ったことがないままどのように触れ合い、結びついていくのかを、私たちはじっくりと見ることができます。そして、愛情を込めて作られたおいしい食事が、どんなに人の心を軟らかくするのかも。

イラを演じているニムラト・コウルは、演劇畑の出身だそうです。これまで映画に出たことはあるのですが、まったく知られていない女優でした。それだけに、著名な男優2人、サージャン役のイルファーン・カーンとシャイク役のナワーズッディーン・シッディーキーに挟まれて、彼女のパートがよけいに光を放ちます。名優2人の演技には見られないひたむきさのようなものが伝わってきて、それがイラと二重写しになるのです。

先日のブログに書いたマンガルスートラ(婚姻の印のネックレスで、夫が存命である妻だけが付けることができる)にもご注目下さい。『めぐり逢わせのお弁当』は2度ご覧になると、劇中に散りばめてあるいろんなサインに気づくことができます。とても緻密で、胸にしみ入ってくるような作品ですので、ゆったりとしたご鑑賞をお勧めします。詳しくは、公式サイト公式FBでどうぞ。

 

 

『バルフィ!人生に唄えば』のランビール・カプールのこと

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すでに公式サイト等でご存じだと思いますが、『バルフィ!人生に唄えば』の初日が8月22日(金)に決定しました。前回、監督のアヌラーグ・バスを紹介してからはや1ヶ月、今日はタイトルロールバルフィを演じたランビール・カプールのことをちょっとご紹介しようと思います。『バルフィ!人生に唄えば』のストーリーや基本データは、前回の記事や、公式サイトを見て下さいね。

ランビール・カプール、日本での知名度はまだまだ低いですよねー。この人です。1982年9月28日生まれなので現在31歳ですが、童顔で若く見えます。

(C)UTV Software Communications Ltd.

バルフィは耳が聞こえず、従って発話もできない、という難しい役なのですが、ランビール・カプールはこれをイキイキと演じています。無音の世界にいるので顔はむしろポーカーフェイスであるものの、豊かなジェスチャーというか体の動きが、バルフィの考えや感情をたっぷりと伝えてくれます。美女シュルティ(イリヤーナー・デクルース)との出会いのシーンも、何て素敵なパントマイム、という感じです。現地版予告編の方が少し長めにこのシーンを見せてくれていますので、こちらをどうぞ。

演技が達者なのも当然と言えば当然。ご存じの方も多いでしょうが、ランビール・カプールはボリウッドで一番有名な映画ファミリーに生まれた超サラブレッド俳優なのです。いちいち説明するのは面倒なので、カプール家の家系図を付けておきましょう。サイレント映画時代の人気俳優で、後年『偉大なるムガル帝国』(1960)のアクバル大帝役でも名を馳せる曾祖父プリトヴィーラージ・カプールから数えて、ランビールはカリシュマー、カリーナーらと共に第四世代にあたります。


「インド映画界のキング」と呼ばれた祖父のラージ・カプール(『放浪者』『詐欺師』など)、そして1970年代から80年代のトップ男優の1人で、今も活躍する父リシ・カプール(『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え!No.1!!』など)と、リシと組んで数々の青春映画をヒットさせた母ニートゥー・シン(『命ある限り』など)の血を受け継ぎ、俳優になることを運命づけられていたランビールですが、デビュー作は大コケでした。

ランビールのデビュー作は、有名監督サンジャイ・リーラー・バンサーリーの『愛しい人(Saawariya)』(2007)で、これはアメリカのメジャー資本がインド映画製作に進出した第1号でした。共演は、これも映画初出演のソーナム・カプール。アニル・カプールの娘です。こういう話題満載の豪華恋愛ミュージカル作品だったのですが、ハリウッド映画『ムーラン・ルージュ』などを意識しすぎたのか、騒々しいだけの作品になってしまって大コケしたのでした。

でも、続く『美人さんたち、ご用心(Bachna Ae Haseeno)』(2008)はまずまずのヒットになります。父リシ・カプールの主演映画の挿入歌からタイトルを取ったこの映画は、主人公が昔つき合った3人の女性のもとを訪ねて、自分のひどい仕打ちを謝って歩く、というちょっと変わった作品でした。元カノは、ミニーシャー・ラーンバー、ビパーシャー・バス、そしてディーピカー・パードゥコーンという豪華な面々。これで、ランビールは一挙にスターの仲間入りを果たしたのです。

(C)UTV Software Communications Ltd.

以後、ちょっとクセのある主人公たちを演じた一連の作品――アヤーン・ムケルジー監督の『目覚めよ、シド(Wake Up Sid)』(2009)や、シミト・アミーン監督の『ロケット・シン 年間最優秀セールスマン(Rocket Singh: Salesman of the Year)』(2009)などでますます注目され、2010年にはプラカーシュ・ジャー監督の地方政治ドラマ『政治(Raajneeti)』への出演で、しっかりした演技ができる若手俳優としての評価を確実にします。地方政界の大物を父に持ち、その後継者である兄(アルジュン・ラームパール)の活動を冷めた目で見ていた主人公なのに、否応なく政治の世界に巻き込まれてその素質を発揮する――ランビール・カプールは、こうして父や祖父に負けない力を持った俳優であることを証明して見せたのでした。

以後、プリヤンカー・チョープラーと共演した『見知らぬ男と見知らぬ女(Anjaana Anjaani)』(2010)、ナルギス・ファクリーと共演した『ロックスター(Rockstar)』(2011)、以前恋人として噂になったディーピカー・パードゥコーンとの共演『この青春は狂おしい(Yeh Jawaani Hai Deewani)』(2013)と毎年のように主演作が興収上位入りし、今では押しも押されぬドル箱スターとなりました。ダンスの上手さにも定評があり、昨年の興収第4位となった『この青春は狂おしい』の歌「お行儀の悪い心(Badtameez Dil)」の映像では、そのチャーミングなダンスが堪能できます。ランビールの大叔父さんシャンミー・カプールはインドのエルヴィス・プレスリーと言われた人なのですが、その大叔父さんの血が流れているのがわかりますね。

(C)UTV Software Communications Ltd.

こうした身体能力の高さが、『バルフィ!人生に唄えば』でも遺憾なく発揮されています。イケメンか、と言われるとちょっと「う〜ん」なのですが(それを理由に、ランビール・カプール作品に手を出すのを見送った配給会社もあったらしい....)、演技のうまさはピカ一です。ぜひ本作で堪能してみて下さいね。その他、詳しい情報は公式サイト公式FBをどうぞ。

 

 

 

なりきり『ダバング 大胆不敵』キメ台詞はこれだっ!![その3]

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7月26日(土)の公開初日も迫ってきたインド映画『ダバング 大胆不敵』。公式サイト公式FBなどにも次々と情報が追加されていますが、本日は、闇ルートを通じて手に入れたインドのゴシップ誌、「ほぼラヴィ」の情報をご紹介しましょう。

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こちら「ほぼ週刊ラヴィワール」編集部です。略して「ほぼラヴィ」は、当地UP州ラールガンジでただ一つのゴシップ雑誌です。「ラヴィワール」とは日曜日のことで、毎週日曜日、ご家庭で当地のゴシップネタを仕入れてもらい、月曜日からまた始まる退屈な仕事に彩りを添えていただこう、という意図のもと、約10年前に発刊されました。しかしながら「ほぼ週刊」と銘打っているように、出たり出なかったりで信用度ゼロ。おまけに最近はSMSやらツイッターやらでゴシップはたちまち拡散し、こちらが取り上げる頃にはみんな知ってる、というていたらく。どいつも金持ちになって、ブラックベリーとか持ってるんだもんなあ。

それでも続いているのはなぜかって? それは強力なスポンサー様がいるからなんですねー。今回はそのスポンサー様であるお大臣、ぢゃないお大尽が、特にこれを載せろ!と厳命してきたネタを皆様にご披露しようと思います。「お大臣」なんて、ちょっとスポンサー様の素顔を類推させるようなことを言っちゃってすみません。手下が殴り込んで来ねーだろーなー。アブナイ、アブナイ。

さて、では本日のゴシップはこれだ! One, Two, Three, GO!

『ダバング 大胆不敵』男、チュルブル・パンデー恋にメロメロで腰くだけ

「どの腰がくだけとるって?」

わがラールガンジの名物男、泣く子も黙る強面の警部チュルブル・パンデー(サルマーン・カーン)が恋に落ちたことは、皆さんとっくにご存知のはず。銀行強盗一味を捕らえようと町を走り回っていた時に、壺作りの娘ラッジョー(ソーナークシー・シンハー)に出会って一目惚れ。しかもその時、ラッジョーはピチピチのブラウス姿で、上にオールニー(ドゥパッター、チュンニー、チュヌリー等々いろんな呼び方がある大判のスカーフ)をかけていなかったがために、豊かなバストの形がはっきりくっきり。それでチュルブル・パンデーの喉がゴクリ、という見てきたようなツイートも出回っていた。

その時に早くも「結婚は?」「見合いの予定は?」と聞き出したチュルブル・パンデーだが、どちらの返事も「ナヒーン(いいえ)」だったことにすっかり舞い上がり、その後は猛烈アタックを開始。しつこく壺を買いに行くは、飲んだくれの父親に取り入ろうとするは、と勘違いアタックに明け暮れている。自分の妄想の中では、ラッジョーがすっかり自分のものになったと思っているチュルブル・パンデーだが、前途は多難だ。

「♪ 私はあなたのもの ♪って、単なる歌の歌詞よ〜」

また、自分の母親には早手回しに「結婚したら家を出る」と宣言し、大笑いされているチュルブル・パンデー。だが、相手が壺作りの娘とわかった場合、パンデー家の人々は結婚を認めることができるのか? 「パンデー」は四種姓(いわゆる「カースト」の4段階)で言えばバラモン階級だし、一方壺作りと言えば四種姓では一番下のシュードラ階級。恐らく父親パンデー氏は猛反対、勘当になることは間違いないだろう。それも見越しての「家を出る」宣言か? カースト制度など認めず、愛を貫こうとする姿勢は立派だが、これでまた町に波風が立つことは火を見るより明らかだ。

さらにチュルブル・パンデーが恋愛にかまけているせいで、悪人の取り締まりはゆるみ放題。強盗もスリもここのところ全然捕まっていない。小さなワル以外の巨悪の面々も、「恋は盲目とはよう言うたものよ。あのサングラスは、盲人用かも知れんぞ、ワッハッハ」と高笑いしている。この事実を中央政府にチクれば、たちまちチュルブル・パンデーは左遷されるはず。ますます風雲急を告げるラールガンジ情勢、もうチュルブル・パンデーの動きから目が離せない! 次号「ほぼラヴィ」を待て!!

<本誌が撮った証拠写真>


「ラッジョーの跡を付けるチュルブル・パンデー」


「ラッジョーの留守中家に忍び込んだチュルブル・パンデー」

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チュルブル・パンデーの恋の行方が気になるところですが、恋愛に関する彼のキメ台詞を探してみたところ、ごくごく平凡なものしか見つかりませんでした。やっぱ恋には不器用なヤツ、というわけで、本日のキメ台詞はコレだ!

 「お前の新しい人生だ。結婚してくれ」 Translation by藤井美佳 

ライフ・バナー・ラヘー・ハイン・ハム・トゥムハーリー|シャーディー・カルナー・チャーフテー・ハイン・トゥム・セー
 Life bana rahe hain hum tumhari   Shaadi karna chahte hain tum se
 人生 作ろうとしてる 俺は お前の   結婚  したい  お前と
     お前の新しい人生だ        結婚してくれ

なお、公開前には先行ロードショー上映「大胆不敵な爆音マサラ先行上映!」が7月18日(金)にシネマート六本木にて開催されます。開始時間は18時30分。上映前にはプチ・ダンスレッスンもあるとのことで、チュルブル・パンデーの腰ベルトダンスとか、ムンニーお姉さんのセクシー・ダンスとかのレッスンが行われるのでは、と期待されます。チケットはチケットぴあで絶賛発売中です。

この「爆音マサラ先行上映」ですが、新たな情報も入っています。先のマスコミ向けマサラ試写では、ちょいワル親父風チュルブル・K社長が登場し、会場を沸かせました。レイバンのサングラスがとってもよく似合い、「セリフをしゃべると髭がはがれそうだぜい」とアドリブのセリフも決まったチュルブル・K社長。ユルキャラの向こうを張るマジキャラの登場かと一部では大いに話題になったのですが、7月18日には、もっと若くてモデル体型、チュルブル・K社長に負けないイケメンのチュルブル・N氏が登場するとの情報が入っています。本当かしら、と興味を持たれた皆さんは、ぜひ金曜日の夜はシネマート六本木へGO!! 蒸し暑さも吹っ飛ぶぜい、でございます〜〜〜。



凄腕フィリピン映画『牢獄処刑人』公開!

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フィリピンから、すごい映画がやって来ます。その名も『牢獄処刑人』。原題は『On The Job』です。このタイトルを聞いてピンと来た方は相当なフィリピン映画通ですが、昨年カンヌ国際映画祭の監督週間で上映されて注目を浴び、本国以外にアメリカでも公開されたほか、韓国のプチョン国際ファンタスティック映画祭などで上映されて話題になりました。ハリウッドでのリメイクも決定しているそうで、すでに続編『On The Job 2』の製作もアナウンスされています。

監督は、『スパイダー・ボーイ ゴキブリンの逆襲』(2004年/東京国際映画祭では『ガガンボーイ クモおとこ対ゴキブリおとこ』という邦題で上映されました)のエリック・マッティ。『スパイダー・ボーイ』は変身ダメヒーローもののユルユル・コメディ映画だったのですが、あれから10年、エリック・マッティ監督が大化けしました。まずは、基本データをどうぞ。


『牢獄処刑人』 公式サイト

2013年/フィリピン/タガログ語・英語/115分/カラー/原題:ON THE JOB
監督:エリック・マッティ
脚本:エリック・マッティ、ミチコ・ヤマモト
出演:ジョエル・トーレ、ジェラルド・アンダーソン、ピオロ・パスカル、ジョーイ・マルケス

配給・宣伝:彩プロ

2014年7月19日(土)〜8月1日(金)シネマート六本木にて公開

 

© 2013 On The Job LLC.

映画の冒頭、初老の男と若い男の2人組が、人々で賑わう通りで殺人を犯します。ターゲットは、携帯電話を片手に会話中の中国系の男。初老の男が鮮やかな手際で撃ち殺し、補佐の若い男と共に逃亡しますが、初老の方はタタンこと本名マリオ(ジョエル・トーレ)、若い方はダニエル(ジェラルド・アンダーソン)でした。2人は仲間の女が乗った車に回収され、報酬をもらったあと別れます。しかし、ダニエルはなぜか秘密めいた行動を取ります。自宅を遠く臨みながら母親に電話するダニエルは、実は中東のドバイで出稼ぎ中ということになっていたのでした。また、妻と娘が待つ自宅に戻ったタタンも、一晩家にいただけで「次に戻れるかどうかは、雇い主の機嫌次第だがな」と赴任地らしき所へと発っていきます。途中スーパーで酒やタバコ、食料品をどっさりと買い込んだ2人が向かった先は、何と刑務所でした。2人は刑務所に収監中の囚人で、警察と結託して、殺し屋稼業のため一時的に出獄していたのです。

© 2013 On The Job LLC.

この殺人事件を担当したのは、地元の刑事アコスタ(ジョーイ・マルケス)。一方、政界の大物パチェコ将軍は、マンリケ議員の娘婿である国家警察捜査局(NBI)の若手捜査官フランシス・コロネル(ピオロ・パスカル)に事件を担当させようとしていました。こうして、たたき上げの刑事アコスタとエリート警察官フランシスは手を組むことになるのですが、やはりそりが合いません。

© 2013 On The Job LLC.

その後刑務所の中で一段と度胸を付けたダニエルは、タタンとの次の仕事では実際に殺人も犯すことに。そして、やがてその自信が彼らを危機へと追い込んでいくのです....。

© 2013 On The Job LLC.

冒頭のシーンのあと、タイトルクレジットと共に様々なニュース映像が挿入されて、フィリピンでの殺し屋の存在や、闇の勢力の暗躍が語られていきます。しかし、その殺し屋たちが普段は刑務所に潜んでいるとは....。法の盲点をついた、このアイディアがまず秀逸です。さらに、まるでタコ部屋というか工事現場の飯場のようなフィリピン刑務所の描き方も、けれん味たっぷり。これが実態だとすれば、法はまったく機能していないのでは、と思わせられます。

© 2013 On The Job LLC.

警察の腐敗が描かれるのはフィリピン映画ではよくあることで、ブリランテ・メンドーサ監督の『キナタイ - マニラ・アンダーグラウンド』(2009)では、麻薬の代金を払わなかった女を組織から依頼された警官が殺すというストーリーが描かれていました。『牢獄処刑人』も『キナタイ』と共通するテイストを持っており、手持ちカメラの多用や暗い画面など、撮り方も似通っています。また、背後の巨悪、実行犯、実行犯を追いつめているうちに真実に辿り着く警官、という図式が醸し出すサスペンスも一級で、『キナタイ』の緊張感に負けていません。

© 2013 On The Job LLC.

何よりも、脚本の上手さが映画を見応えのあるものにしています。フィリピン映画らしく、家族との関係の描き方は少々甘いところもあるのですが、緊迫感あふれる刑務所のシーンや"On The Job"、つまり殺し屋のお仕事シーンは、文字通り手に汗握ります。脚本は、監督のエリック・マッティとミチコ・ヤマモト。このミチコ・ヤマモトという女性についていろいろ調べてみると、お父さんが日本人、お母さんがフィリピン人だというこんなブログ記事が。2006年の東京FILMeXで上映された『マキシモは花ざかり』(2005)の脚本も担当したようで、監督のQ&Aの中でお名前が出ていました。日本人とのハーフながら、フィリピンのディープな描写ができる人、というミチコ・ヤマモトさん、今後の活躍、特に『On The Job 2』の脚本が楽しみです。

『牢獄処刑人』はスクリーンで見てこそ、その迫力が存分に楽しめる秀作です。公開期間が短いですが、ぜひ劇場でご覧下さい。劇場のサイトはこちらです。これを機に、フィリピン映画の公開が増えることを祈りつつ。

そうそう、昨年アジアフォーカス・福岡国際映画祭で上映されたタイ映画『Pee Mak』(2013)も『愛しのゴースト』という邦題で10月18日(土)より公開されます。抱腹絶倒の『ナン・ナーク』リメイクである本作の詳しい紹介は後日また! 下はタイ版のDVDカヴァーです。

 




『ダバング 大胆不敵』脇役讃歌<1>

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『ダバング 大胆不敵』公開まで、いよいよあと1週間。昨夜の六本木は、先行マサラ上映で盛り上がったようですね。この『ダバング 大胆不敵』ですが、見直してみるといろいろ気になる点がでてきまして。その一つが、とっても豪華な脇役陣です。


公式サイトにはすでに、弟役のアルバーズ・カーン(上の写真右から2人目/実生活でも弟です)、敵役のソーヌー・スード(上の写真左から2人目)、特別出演のマラーイカー・アローラー・カーン(実生活ではアルバーズ・カーンの妻)の解説が出ているのですが、まだまだきら星のような(?)脇役がいるのです。公開に先立ち、ちょっとご紹介してみましょう。

本日はまず、麗しい女性2人から。劇中のスチールがないようなので、ありあわせの写真でごめんなさい。

ディンプル・カパーディヤー Dimple Kapadiya


チュルブル・パンデー(サルマーン・カーン)の母親ナイニー役。『ダバング 大胆不敵』は、チュルブル・パンデー警部が大暴れするアクション映画であるだけではなく、チュルブルの家族愛の物語でもあります。そのキーパーソンが母親であるナイニー。夫を亡くし(多分)、幼いチュルブルを連れてプラジャーパティ・パンデー(ヴィノード・カンナー)と再婚、次男のマカンチャンド(アルバーズ・カーン)を生む、という設定になっています。今は50歳を過ぎて老年に差しかかっていますが、昔はさぞ美人であったろうと思わせる顔の人です。美人ゆえにパンデー氏が再婚を申し出たに違いない、と想像してしまう、母ナイニーです。

その20数年前を想像していただけるのが、上の1991年に撮ったディンプル・カパーディヤーの写真。マドラス(現チェンナイ)で行われた、インド国際映画祭での写真ですが、しっかりカメラ目線ですね。

ディンプル・カパーディヤーは1957年6月8日生まれ。現在57歳です。映画デビューは1973年の『ボビー』(下写真)で、ラージ・カプールが息子リシ・カプールを大人の俳優として売り出すにあたっての相手役でした。『ボビー』は公開されるや大ヒット、ゴア出身の十代の娘ボビーを演じたディンプルは、たちまち大人気となりました。特に、ビキニ姿の15歳とは思えない発達した肢体がまぶしく、当時の若者は夢中になったものです。演技ものびのびとしていて、「フィルムフェア」誌の主演女優賞を獲得したほどで、将来が嘱望されていました。

ところが、映画が公開される直前にディンプルは、当時大人気の大物男優ラージェーシュ・カンナーと電撃結婚、あっさりと引退してしまいます。その後は、2人の娘の子育てに励み、10年以上の間映画には出演しませんでした。しかしながら、ラージェーシュ・カンナーとの関係に暗雲が立ちこめるようになり、1982年には別居。以後、離婚したという噂が流れたりしましたが、ラージェーシュ・カンナーが2012年に死去した時に彼女が喪主になったことから、30年間にわたる別居生活だったのだとわかります。

別居後の1984年、ディンプルは映画界に復帰します。復帰後の作品では、リシ・カプール、カマラハーサンと共演した『海(Saagar)』(1985)などがヒットし、また『ルダリ 悲しむもの』(1993)等芸術系の映画にも出演するなど、80・90年代は意欲的に映画出演を続けてきました。ここ10年ほどは毎年1、2本の割合で映画に出演、ゆったりと生活しているようです。

娘のうち、姉トゥインクル・カンナーは女優として活躍したあと、2001年に人気男優アクシャイ・クマールと結婚。2人の子に恵まれて幸せに暮らしています。妹リンキー・カンナーも一時女優として映画に出ていましたが、2003年の結婚後はすっかり家庭に入ってしまいました。ディンプル自身は一時、妻のあるサニー・デオルとの仲が取りざたされましたが、ラージェーシュ・カンナーと最後まで離婚しなかったことから、再婚する気はなかったのでは、と思われます。


日本で上映された作品としては、『ボビー』『ルダリ 悲しむもの』そして『チャンスをつかめ!』(2009)があります。いずれも映画祭上映ですので、『ダバング 大胆不敵』が一般公開では初となります。もうちょっと、美人に撮れている作品にしてあげたかったですねー。


マーヒー・ギル Mahi Gill

『ダバング 大胆不適』でマーヒー・ギルが扮するのは、マカンチャンド(アルバーズ・カーン)の恋人です。父親(ティーヌー・アーナンド)が教師で堅物であるため、お金のないマカンチャンドとの結婚を反対されますが、相思相愛の2人は結婚の意志を貫きます。とはいえ、その結婚式もスムーズには行かないのですが....。


マーヒー・ギルも、すでに日本にお目見えしています。映画祭上映された『デーウD』(2009)、「デーウダース」の現代版のヒロイン役が彼女だったのですね。1975年12月19日にパンジャーブ州のチャンディーガルで生まれたマーヒー・ギルは、本名がリンピー・カウル・ギルとなっているところから、シク教徒ではないかと思われます。シク教徒は、男子には「シン」を、女子には「カウル」を付けることが多いのです。

2003年にパンジャービー語映画でデビューを飾り、以後、ヒンディー語映画にも出演し始めます。そして、アヌラーグ・カシャプ監督に見出されてヒロインに抜擢された『デーウD』で、その大胆な演技で一躍注目されることに。『ダバング 大胆不敵』ではどちらかというとチョイ役でしたが、その翌年の『旦那様と奥様とチンピラ(Sahib, Biwi Aur Gangster )』(2011/上写真)では若い男(ランディープ・フーダー)を誘惑する奥様役で、再び大胆な演技を披露。この映画はヒットして、続編が作られました。


続編『戻ってきた、旦那様と奥様とチンピラ(Sahibi, Biwi Aur Gangster Returns)』(2013/上写真)では、今度はイルファーン・カーン演じる中年男を相手に、またまたあんなことやこんなことをしてしまう演技を披露、夫(ジミー・シェールギル)とその想い人(ソーハー・アリー・カーン)も巻き込んだ愛憎劇を見応えのあるものにしてくれていました。演技力の備わったマーヒー・ギル、まだまだその個性を発揮してくれそうです。

こんな風にチョイ役にも豪華な俳優が使われている『ダバング 大胆不敵』。楽しみにして、来週の土曜日7月26日には劇場にかけつけて下さいね。詳しい情報は、公式サイト公式FBでご確認下さい。


 

2013年インド映画製作本数&『Dhoom 3』『Bhaag Milkha Bhaag』日本公開!

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長らく待っていた雑誌が、インドからやっと届きました。これまでにも言及したことがある、南インド映画商業会議所(South Indian Film Chamber of Commerce)の機関誌「Journal of the Film Chamber」の2014年7月号です。ここに、やっと昨年の映画製作本数=検定通過本数一覧が掲載されたのです。

依頼したのは今年の3月半ば。こんなに送られてくるのが遅くなったのは、例年なら4月号に出るはずの統計が7月号に掲載となったからのようです。掲載がのびたのは、今年から統計の仕方が変更になったためのようで、これまでは毎年1月1日〜12月31日に検定を通過した数の一覧が掲載されていたのが、今年は2013年4月1日〜2014年3月31日の統計に変更になりました。会計年度と一致させたわけですね。

興行収入ベスト10などは1月1日〜12月31日の統計になるので、これに合わせてほしかったのですが、まあしょうがない。インドのお役所の気まぐれは今に始まったことではありません。この統計自体、インド中央映画検定局のHPにはまったく載っていないのですから(てか、2011年の統計が"new"と書かれて掲載されたっきり、2年間まったく更新されていない)、インドのお役所の気まぐれ&怠惰はITがいくら発達しようと直らない、というしかありません。

さて、その統計ですが、製作本数がすごい数になっています。2桁以上の本数が製作されている言語を挙げてみましょう。

2013.4.1〜2014.3.31の検定通過本数(フィルム及びデジタル製作)

テルグ語・・・・・・・・・・・・・349本 (うちフィルム製作 15本)
タミル語・・・・・・・・・・・・・・326本 (うちフィルム製作 20本)
ヒンディー語・・・・・・・・・・263本 (うちフィルム製作 11本)
マラヤーラム語・・・・・・・201本 (うちフィルム製作  1本)
カンナダ語・・・・・・・・・・・164本 (うちフィルム製作 22本)
ベンガル語・・・・・・・・・・・162本 (うちフィルム製作 38本)
マラーティー語・・・・・・・・160本 (うちフィルム製作 43本)
ボージプリー語・・・・・・・・・93本 (うちフィルム製作  6本)
グジャラーティー語・・・・・53本 (うちフィルム製作 24本)
パンジャービー語・・・・・・・48本 (うちフィルム製作  1本)
オリヤー語・・・・・・・・・・・・・37本
アッサム語・・・・・・・・・・・・・21本 (うちフィルム製作  4本)
ラージャスタニー語・・・・・14本
チャッティースガリー語・・13本
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計40言語 総計 1,966本 (うちフィルム製作188本)

すごいですねー。ほぼ2000本という製作本数の上、もう9割以上がデジタルになっているのですね。今に、2000本超えの日も近いかも知れません。安価なソフト直結作品を約2000本製作している「ノリウッド」ことナイジェリアを抜いて、名実共に世界第1位となるのももうすぐかも。「Naverまとめ」さん、そろそろ最新データに訂正して下さいね。

そんな昨年度のNo.1ヒットは、言わずと知れたコレ! ついでに昨年の興収第6位も! なぜに第1位と第6位なのかは、下をご覧下さい。


実は本日、日活×東宝の「GOLDEN ASIA」レーベルお披露目の記者会見で、周星馳(チャウ・シンチー)監督作品『西遊記 はじまりのはじまり』(2013)の公開と共に、『チェイス!』という邦題になった『Dhoom 3(騒ぎ 3)』と、『Bhaag Milkha Bhaag(走れ、ミルカー、走れ)』の公開が発表されたのです。詳しくはこちらの公式サイトや、こちらとかこちらの記事をどうぞ。さあ、インド映画夏の陣に続いて、冬の陣もやって来ますよ!! この冬も楽しみですね〜。

 

『めぐり逢わせのお弁当』リテーシュ・バトラ監督ティーチ・イン付き特別先行試写会のお知らせ

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『めぐり逢わせのお弁当』の配給会社ロングライドさんから、急遽こんな嬉しいお知らせが回ってきました。

☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆

本作の生みの親であるリテーシュ・バトラ監督来日決定☆ そこで、リテーシュ監督のティーチ・イン付き特別先行試写会に抽選で15組30名様をご招待いたします!

[イベント内容]
映画『めぐり逢わせのお弁当』リテーシュ・バトラ監督ティーチ・イン付き特別先行試写会

[日時]
2014年7月30日(水)18:00開場/18:30開映

[会場]
京橋テアトル試写室
東京都中央区京橋1-6-13 アサコ京橋ビルB1
(東京メトロ銀座線「京橋駅」6番出口 読売中公ビル向かい)

[応募方法]
メールアドレス(info@longride.jp)へ必要事項をご記入の上、ご応募ください

 〈必要事項〉
  ★お名前(カタカナ)
  ★年齢
  ★性別
  ★返信用メールアドレス

[応募期間]
7月25日(金)17:00迄

[注意事項]
※ご当選者のみご連絡させていただきます。
※当日はご応募されたお名前を受付にお伝えいただき、当選メールを印刷または画面を拝見させていただきます。
※ティーチ・インイベントがやむを得ない事情により、急遽変更・休止となる場合がございますので、予めご了承ください。

 

(C)AKFPL, ARTE France Cinema, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC, Rohfilm - 2013 

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リテーシュ・バトラ監督のことも簡単にご紹介しておきましょう。

リテーシュ・バトラ監督は、1979年ムンバイ生まれ。アメリカの大学で経済学を勉強したあと、一時コンサルタントとして働いていたのですが、その後映画の道へ。2008年に短編『The Morning Ritual(朝の儀式)』を発表(予告編はこちら)、続いて短編『Gareeb Nawaz’s Taxi(ガリーブ・ナワーズのタクシー)』(2010)、『Café Regular, Cairo(カイロの普通のカフェにて)』(2011/YouTubeのこちらにアップされています)を発表します。これらが注目されて、初の長編劇映画『めぐり逢わせのお弁当』へとつながっていきました。さらに詳しくは、公式サイトをどうぞ。今はムンバイとニューヨークの両方をベースにしているそうで、奥様はメキシコ人、2012年に生まれたお嬢ちゃんがいるそうです。今回の来日は、お仕事なので単身かも。お顔は、こんな方です。

(C)AKFPL, ARTE France Cinema, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC, Rohfilm - 2013 

『めぐり逢わせのお弁当』撮影中のスナップですね。上の写真と同じくサージャンのオフィスで撮ったものです。このオフィス、どうしてパソコンとか置かなかったのでしょうね。そんな美術面での質問も、ぜひしてみて下さい。

今回は、誰よりも早く、リテーシュ・バトラ監督のお話が直接聞けてしまうまたとない機会です。しかも会場は、いつもは試写会に使われる小さなホール。監督との距離もチョー近い! インド映画ファンの皆さん、これは即、応募しかないですよ! 公式サイトでもう一度予告編を見て、GO!


 

『ダバング 大胆不敵』脇役讃歌<2>

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『ダバング 大胆不敵』、公開まであと丸1日を残すのみです。暑い夏がもっと熱くなるまで、もう秒読み段階ですね。さて、前回の美女ご紹介に続いて、今回はおっさんの皆さんです。

インド映画は、ファンの方でもまだまだ顔の区別がつかない脇役が多いことでしょう。ここのところ気になるのが、『マダム・イン・ニューヨーク』の英語学校の同級生、ラマ役の人を、『きっと、うまくいく』のチャトゥル役の人と間違えているツイートがちらほらあること。南インド出身のラマ役をやったのは、『マダム・イン・ニューヨーク』のパンフレットにもある通りラージーヴ・ラヴィンドラナータンという男優(名前からして、自身も南インド出身のようですね)で、チャトゥル役はインド系アメリカ人のオーミ・ヴァイディヤという男優(ルーツはゴアだとか)です。オーミ・ヴァイディヤ、『きっと、うまくいく』のヒット後2、3年はインド映画に出ていましたが、今はどうしているのやら。ジュニア・アーティストと呼ばれる脇役人生はキビシイのです。

その点、『ダバング』の脇役陣はベテランばかり。しかし、それぞれにやはりキビシイ人生も背負っていまして....。では、まずはこの方から。

ヴィノード・カンナー Vinod Khanna


チュルブル・パンデー(サルマーン・カーン)の義理の父であり、マッキー(アルバーズ・カーン)の父親プラジャーパティ・パンデー役です。チュルブルを嫌って、何かというとチュルブルと対立する役なんですが、私のひいき目のせいかあまり悪者には見えず、チュルブルいじめの根っこがようわからん、と思えてしまいます。それというのも、昔のカッコいい姿を見すぎたせいかも知れません。

1946年10月8日生まれのヴィノード・カンナーはもうすぐ68歳になるんですが、30〜40年前のカッコよさといったら! 1968年に映画デビューし、70年代に入ると次々と主演作がヒットしていきます。私が好きなのは、『ラクシャー・バンダンの紐(Kuchhe Dhaage)』(1973)、『いけにえ(Qurbani)』(1980)、そしてアミターブ・バッチャンと共演した『アマル・アクバル・アントニー』(1977)や『養育(Parvarish)』(1977)、『運命の帝王(Muqaddar Ka Sikandar)』(1978)など。そう、当時はアミターブ・バッチャンに負けないぐらいの人気スターだったのでした。


でも、80年代に入ると、宗教家ラジニーシュに心酔して彼のアシュラムに入ってしまい、やがて人気は下火に。再び映画の活動を始めたのは90年前後で、以後父親役や警部役など、脇の重要な役で出演を続けています。この間さらには政治家にも転進、先日の選挙では国会議員に選ばれました。息子2人も俳優で、ラーフル・カンナー、アクシャイ・カンナーと言えば名を聞いた人も多いはず。アクシャイ・カンナーは、東京国際映画祭で上映された『ガンジー、わが父』(2007)の主演も務めていました。2人ともまだ独身のようで、パンデーさん同様息子に関する気苦労は絶えないのかも。

 

アヌパム・ケール Anupam Kher


こちらはもう皆さんよくご存じでしょう。今回は州の大臣である政治家ダヤルの役です。とんでもない悪役から、『シャー・ルク・カーンのDDLJラブゲット大作戦』(1995)や『命ある限り』(2012)のよきパパ役まで、幅広い役柄をこなすアヌパム・ケールは、これまでの出演作が何と約370本。アジアフォーカス・福岡国際映画祭で上映された『私はガンディーを殺していない』(2005)など、芸術系の作品にも顔を出しています。『ベッカムに恋して』(2002)や『ラスト、コーション』(2007)等、海外作品でも引っ張りだこです。

妻は『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』(2007)のオームのお母さん役を演じたキラン・ケール。息子シカンダル・ケールも俳優なのですが、こちらの知名度はいまひとつ。アヌパム・ケールが主宰する演技学校にでも入り直した方がいいかも知れません。アヌパム・ケールはほかに、映画製作者、映画監督でもあり、ボリウッドで最も忙しい脇役俳優と言えそうです。実はアヌパム・ケールは、昨年もご紹介しているので、こちらもご参照下さい。

 

オーム・プリー Om Puri

Photo by Pradeep Banderkar

『ダバング』では、警部カストゥリラールを演じています。この役もいまいちよくわからない役で、チュルブル・パンデーと敵対するチェディ(ソーヌー・スード)の腰巾着といった風情。カストゥリラールの娘とチェディとの結婚が決まっているらしく、何かというとチェディは「それなら娘との結婚は取りやめるぞ」と脅します。それでカストゥリラールはチュルブル・パンデーのことをいろいろ探ろうとするのですが....。最後はどうなったんだっけ???

実は実は、オーム・プリーも昨年詳しくご紹介したので、こちらをどうぞ。(手抜き、足抜き、蹄抜き〜)

 

ティーヌー・アーナンド Tinu Anand


この人も『ダバング』のスチールがなかったので、Wikiから写真をいただきました。『ダバング』ではマッキーの恋人ニルマラの父親役です。学校の先生という設定になっているのですが、これは少々ミスキャスト。この人、卑屈な小男とか、小ずるい中年男をやらせると抜群にうまいのです。生年月日が不明ですが、1968年に映画俳優としてデビューしているので、すでに60歳は過ぎているのでは、と思います。

ティーヌー・アーナンドがその名を知られるようになったのは、映画監督としてでした。監督デビューは、リシ・カプール主演の『世界は俺のポケットの中に(Duniya Meri Jeb Mein)』(1979)。続いて、アミターブ・バッチャン主演作『カーリアー(Kaalia)』(1981)を監督するなど、80年前後はちょっとした売れっ子監督だったのです。そのうちに脇役でいろいろ出演することが目立ち始め、監督なのに演技も上手なんだ〜、などと思っていたら、すっかり俳優業が板についてしまいました。監督作品は9本あり、これもアミターブ・バッチャン主演の『私は自由だ(Main Azaad Hoon)』(1989)や『少佐殿(Major Saab)』(1989)など、悪くない出来の作品でした。う〜ん、俳優業の方がお金になったのかしら?

日本で公開された作品では、『ボンベイ』(1995)ではヒンドゥー教徒指導者役(バール・タークレーとそっくりだ、というので問題になった)、『地獄曼荼羅アシュラ』(1993)ではヒロインの義兄役などで出演しています。特にシャー・ルク・カーン主演の『地獄曼荼羅アシュラ』のワル親父役はうまいです。


マヘーシュ・マーンジュレーカル Mahesh Manjrekar

残念ながら画像がありませんが、ヒロインであるラッジョー(ソーナークシー・シンハー)の父親役です。情けない格好でしか出てこないので、顔もさだかには憶えてもらえないかも。でも実はこの人、優れた監督であり、俳優としてもうまく、おまけに政治活動もやっているのです。憶えておいて損はありません。そうそう、彼の公式サイトがありました。こちらで顔が確認できます。

「〜カル」という名前からわかる通り、マハーラシュトラ州の人で、1958年8月16日ムンバイ生まれ。今55歳ですね。監督としてデビューしたのは、1995年のマラーティー語映画『母(Aai)』。そして1999年にはヒンディー語映画に進出し、サンジャイ・ダット主演で撮った『真実(Vastav:The Reality)』で一挙に注目されます。1人のヤクザ者の生き様を描いた『真実』に続いて、タッブー主演の『存在(Astitva)』(2000)も緊張感溢れる作品となり、一躍マヘーシュ・マーンジュレーカル監督は将来を嘱望される監督となったのでした。


ところが、その後は監督としてよりも、脇役俳優として有名になっていきます。そのきっかけは2003年にサンジャイ・グプター監督が撮った『トゲ』でした。この作品は2003年の東京国際映画祭アジアの風で「リメイクと呼ばれる創造:アジアでリメイクする/される」という特集で上映されたのですが、『トゲ』はタランティーノの『レザボア・ドッグス』のリメイクでした。その中でマヘーシュ・マーンジュレーカルは一番クレイジーな役を演じ、主演のサンジャイ・ダットやアミターブ・バッチャンを食ってしまったのです。多分ここから、彼の脇役人生は監督人生を乗り越えて始まってしまったのだと思います。下写真、金髪の男がマヘーシュ・マーンジュレーカルです。


その後たくさんの映画で印象的な役柄を演じていきますが、何と言っても強く印象に残っているのは、『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)のギャングのボス、ジャーヴェード役。主人公のジャマールが想い人ラティカと再会するシーンで、ラティカを囲っているたボスが出てきます。あれがマヘーシュ・マーンジュレーカルで、貫禄十分な演技でした。


こんな豪華な脇役陣が、大暴れするサルマーン・カーンを支える『ダバング 大胆不敵』。7月26日(土)からシネマート新宿、シネマート心斎橋にていよいよ公開です。公式サイトをご参照の上、劇場にお出かけ下さい。


 

祝!『ダバング 大胆不敵』初日・大ヒット祈願!

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さーて、本日より『ダバング 大胆不敵』が、東はシネマート新宿、西はシネマート心斎橋で公開されます。1日4回上映のシネマート新宿では、初回10:45〜と最終回18:40〜がマサラ上映。思いっきり楽しみたい方はマサラ上映へ、じ〜っくりとサルマーン・カーンを見たい方は、13:35〜と16:05〜の上映へ、というわけです。フツーの上映で1回予習してから、夜のマサラ上映へ、というのもアリですね。

『ダバング』の力の入ったご紹介記事も次々と出て、これを読めばイヤでも見に行かざるを得ないだろう、というものばかり。中でも、「ボリウッド4」の時も達者な記事を書いて下さった「日刊サイゾー」の長野辰次さんの記事は抱腹絶倒。こちらをぜひどうぞ。「はみだし警部マサラ系」とは言い得て妙。長野さんの文章を読むたびに、アオリの上手さにじーんと来ます。

 はみだし警部マサラ系、ただ今ラブラブ・モードに入ってます

ところで一昨日、配給の太秦さんからプレゼントを頂戴しました。劇場売りのパンフレットと缶バッジ2種類を送ってきて下さったのです。何もお手伝いをしていないのに、どころか、「なりきり『ダバング 大胆不敵』キメ台詞はこれだ!」では勝手なことをほざいてご迷惑を掛けたのに。太っ腹の太秦さま、どうもありがとうございました。

というわけで、まず缶バッジをご披露しましょう。スキャンがやりにくいのね、缶バッジって。左が「グッジョッブ!」のチュルブル・パンデー、右は公式FBでも使われている簡易版チュルブル・パンデー、つまりトレードマークですね。劇場できっと販売されていると思うので、ぜひお求め下さいませ。

そして、パンフレットも豪華です。表と裏の表紙をつなぐとこんな感じ。

 

デザイナーのルフィーさん(仮名)渾身のデザインですね。『マダム・イン・ニューヨーク』のあのチラシをデザインした方と同一人物とはとても思えません。まさに、「大胆不敵」なデザインです。

パンフレットの執筆エッセイは、サルマーン・カーン ファン日本代表の直野佳代子さんという方による「痛快オッサンアクション映画の金字塔、『ダバング 大胆不敵』!!」と、インド映画研究家高倉嘉男さんによる「リターン・オブ・大衆−−『ダバング 大胆不敵』の意義」の2本。前者はウププ...となるような軽快な筆致でサルマーンとアルバーズのカーン兄弟の魅力を紹介、後者は格調高く、インドで『ダバング』がヒットした経緯とその意義を紹介。どちらも読み応えがあります。価格は700円です。夏のボーナスで即買い!ですよ〜。

ちょっと照れるなぁ、のチュルブル・パンデー

では最後に、本日の「なりきり『ダバング 大胆不敵』キメ台詞はコレだ!」

  「上等じゃないか」 Translation by藤井美佳  

カマール・カルテー・ホー
 Kamal karte ho.
 すごいことを する な(お前は)

このセリフはチュルブル・パンデーの口ぐせなんですが、彼がトンデモナイことをやったり言ったりしたら、画面に向かって「カマール・カルテー・ホー!」と言ってやりましょうね。皆さんで初日を、大いに楽しんで下さい〜。


ここだっ!! ビリビリビリ 「カマール・カルテー・ホー!」    

 

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