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『バルフィ!人生に唄えば』のイリヤーナー・デクルーズのこと

『バルフィ!人生に唄えば』がいよいよ今週末、8月22日(金)から公開されます。この作品の中で重要な役割を果たすのが、イリヤーナー・デクルーズ演じる女性シュルティです。主人公バルフィが一目惚れしてしまう美しい女性であり、またバルフィとジルミルの結びつきをずっと見守ることになる、いわば狂言回しのような役割を背負う存在でもあります。そこにイリヤーナー・デクルーズをキャスティングしたアヌラーグ・バス監督の目は確かで、演技力ではジルミルを演じるプリヤンカー・チョープラーやバルフィを演じるランビール・カプールには及びませんが、その輝くばかりの美しさで、イリヤーナー・デクルーズは圧倒的な存在感を示しているのです。

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(C)UTV Software Communications Ltd.

イリヤーナー・デクルーズは、1987年11月1日ムンバイ生まれの26歳。姓からもわかるようにルーツはゴアで、ムンバイとゴアで半々に育ったとか。2006年にデビューして以降、『バルフィ!人生に唄えば』までにすでに18本の映画に出演していますが、いずれも南インドのテルグ語映画やタミル語映画だったため、ボリウッドでは名前を知られていませんでした。ところが、『バルフィ!人生に唄えば』の大ヒットですぐさまボリウッドの人気女優の仲間入りを果たし、この間公開されたヴァルン・ダワンの主演作『俺は君のヒーロー(Main Tera Hero)』もまずまずのヒットとなったため、今とても注目されている女優の一人となりました。

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インド的な美しさと共に、ヨーロッパ美人にも通じる美を備えた彼女ですが、今回の役はかなり難しかったのでは、と思います。というのが、演じるシュルティは典型的なベンガル女性という設定だからです。広いインドでは地方地方によって言葉や文化が違っているだけでなく、人の顔立ちや時には体型にも違いがあります。人種的には、南インドのドラヴィダ系の人々、北インドのインド・アーリア系の人々、東端の諸州などのチベット・ビルマ系の人々と大まかに3つに分かれていて、その中でも地域によって微妙に顔立ち等が違ってくるのです。イリヤーナー・デクルーズにとってベンガル女性の雰囲気を出すのは難しかったと思いますが、衣装や髪型などに助けられて結構雰囲気が出ており、特に結婚後のシュルティはベンガル女性そのものの形象となっています。

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上の写真はコルカタでのシーンですが、右のシュルティは木綿のベンガル・サリーを優雅に着こなし、髪型も1970年代のスター、シャルミラー・タゴールをモデルにしたような、後頭部をふくらませたスタイルになっています。シャルミラー・タゴールはサイフ・アリー・カーンの母親としても知られていますが、サタジット・レイ監督の芸術映画『大樹のうた』(1959)でデビューし、その後カルカッタ(当時)からボンベイ(当時)の映画界に移って、1960・70年代には多くの人気作・ヒット作に主演したトップ女優でした。シャルミラー・タゴール以外にもボリウッド映画界で活躍したベンガル人女優は多いものの、彼女が一番象徴的な存在と言えます。それで、今作でも彼女のスタイルが参照されたのではないかと類推している次第です。下は、1972年の作品『不滅の愛(Amar Prem)』のポスターで、主演のシャルミラー・タゴールとラージェーシュ・カンナーです。

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あと、上のスチール写真で特にご注目いただきたいのが、シュルティが腕にしている赤と白の腕輪。肘に近い方の2本です。白いのはシャンク(ホラ貝)を輪切りにした腕輪で、必ず赤いプラスチックの腕輪と共に身につけます。左手がちょっと切れていますが、シャンクの腕輪は両手に着けられるよう2本一組になっている(インドの金属のバングルはたいていが2本組か4本組なのですが)ので、左手にも赤い腕輪と共に付けられています。これが、ベンガル地方での既婚女性の印なのです。以前の記事では、北インドではマンガルスートラという金と黒ビーズのペンダントが既婚の印、と書きましたが、ベンガル地方はまた別の既婚の印があるのですね。

上のスチール写真で真ん中にいるジルミルは、シュルティの美しいサリー姿を見て対抗心を燃やし、自分もサリーをまとってみているのですが、下に着ているのがぴったり身についたブラウスでないこともあって、全然サマになっていません。サリーのブラウスはタイトなぐらい身にぴったりでないと粋ではなく、また時代時代で流行があるので、袖の長さや衿の開き具合など、なかなかに着こなしが難しいものです。シュルティのサリー姿は時代の設定が1970年代末ということもあって、ちょっとレトロっぽくなっており、とてもステキです。ジルミルが嫉妬するのもわかりますが、その後シュルティもまた、ジルミルをうらやましく思うようになるのです。そのあたり、シャンクの腕輪に注目しながら、ご覧になってみて下さい。

微妙な女心を、プリヤンカー・チョープラーに負けずに見事に表現したイリヤーナー・デクルーズ。今後ますます伸びる女優であり、成長株と言っていいでしょう。ぜひ、『バルフィ!人生に唄えば』でファンになっておいて下さいね。公式サイトには、彼女の美しいスチールがまだまだいっぱい出ています。 

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それからもう1人、ぜひ注目していただきたい人がいます。上の写真のダッタ警部役、ソウラブ・シュクラーです。インド映画ファンにはお馴染みの顔だと思いますが、芸術映画からボリウッドの大作まで、いろんな作品で脇を固めている名優です。1963年5月5日生まれですからまだ51歳。若い時から髪の毛がアレだったので、結構年を食っているように見えるのですが、お若いのですね。俳優として有名ですが、監督・脚本家でもあります。

若い時から舞台で鍛えているだけあって、とにかく演技のうまい人で、映画デビュー作『女盗賊プーラン』(1994)で早くも私はノックダウン。その後80本以上の作品に出演、『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)ではヒラの警官を演じていたので、顔を憶えている方も多いことでしょう。『バルフィ!人生に唄えば』では、バルフィの天敵のダッタ警部をユーモラスに演じて作品に厚みを持たせています。特に2人の追っかけっこシーンは、いろんな作品のパロディが入ったとても楽しいシーンに仕上がっていますので、注目して下さいね。

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インド映画2014夏の陣の最後を飾る『バルフィ!人生に唄えば』、いよいよ8月22日(金)から公開です!

<追記> 

最近、「インド映画通信」のソニアさんの記事に感心すること多し。こちらの記事「結局インド映画って何?」とか、こちらの「いろいろあるから楽しい映画評」とか。フェアな精神が感じられて好きです。昨年の『きっと、うまくいく』のヒットと、この夏のインド映画大量公開を経て、そろそろ「インド」映画ではなく、インド「映画」として見てもらえる時代がやってきたかな、と思う今日この頃...。

 

 


「台湾巨匠傑作選〜ホウ・シャオシェン‖エドワード・ヤン‖アン・リー‖ウェイ・ダーションの世界〜」

8月23日(土)から9月15日(月・祝)まで、「台湾巨匠傑作選」と題された特集上映が開催されます。取り上げられる監督はタイトルに挙げた4人で、それぞれにお馴染みの作品が上映されます。まずはチラシと上映スケジュールをどうぞ。

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監督それぞれの顔写真もいただいたので、簡単にご紹介しておきましょう。

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侯孝賢(ホウ・シャオシェン) 1947〜

侯孝賢の作品は、1980年代から日本での紹介が始まりました。それに貢献したのは、台湾映画の研究家田村志津枝さんとPFF、つまりぴあフィルム・フェスティバルです。その頃PFFには海外作品紹介部門があって、侯孝賢の脚本担当作品『恋は飛飛』(1982)の紹介から始まり、続いて監督作品が紹介されたのでした。PFFで来日した頃は、今回の上映作品にも入っている『童年往事 時の流れ』(1985)の阿孝(アハ)が大人になりかけたみたいな、活きのいい若手映画人という感じでした。その後どんどん優れた作品を発表していき、頂点とも言えるのが『悲情城市』(1989)。『悲情城市』は今回残念ながら上映されませんが、次の5作品をご覧になることができます。

『坊やの人形』1983年/主演:陳博正(チェン・ボージョン)、楊麗音(ヤン・リーイン)

『童年往事 時の流れ』1985年/主演:游安順(ユー・アンシュン)、辛樹芬(シン・シューフェン)

『憂鬱な楽園』1996年/主演:高捷(ガオ・ジェ)、林強(リン・チャン)

『フラワーズ・オブ・シャンハイ』1998年/主演:梁朝偉(トニー・レオン)、羽田美智子

『珈琲時光』2004年/主演:一青窈、浅野忠信

 

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楊徳昌(ヤン・ドウチェン/エドワード・ヤン)  1947〜2007

楊徳昌の作品も、1980年代から日本に紹介され始めました。1980年代の終わり頃来日した時、池袋の西武デパートの上にあったスタジオ200で挨拶した姿を思い出します。ニューヨーク・ヤンキースだったか、大リーグの帽子を被り、ガムを噛みながら出てきたので、この人、台湾人というよりはアメリカ人だ〜、と驚いたのでした。侯孝賢とはいろんな意味で対称的な人で、だからこそあの時代の台湾ユーウェーブ映画が面白かったのだと思います。今回は残念ながら、晩年の1作品だけです。「晩年」というほど年を取っていた時の作品ではないのですが、その後早世してしまったので最後の劇映画となりました。60歳になる前に死んでしまうなんて、若すぎますよね....。

『ヤンヤン 夏の思い出』2000年/主演:張洋洋(ジョナサン・チャン)、呉念真(ウー・ネンチェン)、イッセー尾形


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李安(アン・リー) 1954〜

もうすっかり、ハリウッドの監督となってしまったアン・リーですが、初期の「父親三部作」と呼ばれる3作品は、いろんな面で完成していない頃の彼の勢いを見ることができます。『ブロークバック・マウンテン』(2005)が好きな人も(それは私です)、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(2012)を楽しんだ方も、アン・リーの根っ子的作品にぜひ触れてみて下さい。 

『推手』1991年/主演:郎雄(ラン・シャン)、王莱(ワン・ライ)

『ウェディング・バンケット』1993年/主演:郎雄(ラン・シャン)、趙文[王宣](ウィンストン・チャオ)

『恋人たちの食卓』1994年/主演:郎雄(ラン・シャン)、楊貴媚(ヤン・クイメイ)、呉倩蓮(ウー・チェンリン)


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魏大聖(ウェイ・ダーション) 1969〜

プロデューサーとして関わった『KANO〜1931海の向こうの甲子園〜』(2014)の日本公開(2015年1月24日〜新宿バルト9ほか)も決まった魏大聖監督。監督作の2本が今回上映されますので、見逃した方はぜひ。どちらも、台湾と日本を知るための名作です。 

『海角七号/君想う、国境の南』2008年/主演:范逸臣(ファン・イーチェン)、田中千絵

『セデック・バレ』2011年/主演:林慶台(リン・チンタイ)、安藤政信


また今回は、これら4人の監督作品のほか、ドキュメンタリー映画『セデック・バレの真実』も上映されます。映画のデータはこちらです。 

『セデック・バレの真実』
 2013年/台湾/ドキュメンタリー/原題:余生−賽徳克・巴莱
 監督:湯湘竹(タン・シャンジュー)

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台湾映画、今後も公開が続くようですので、今のうちに旧作を楽しんでおきましょう!


香港に来てみれば....

今香港にいるのですが、ここ2、3日香港芸能界は房祖名(ジェイシー・チェン)の大麻吸引の話題で持ちきりです。8月20日の新聞には、1面にでかでかと「房祖名、8年間にわたって大麻を吸引と供述」などという見出しが躍り、北京の豪華マンションで中国警察に逮捕された時の様子が報じられていました。この時も100gを超す麻薬を所持していたとのことです。ジェイシーのマンションではたびたび大麻パーティーが行われていたようで、同時に捕まった台湾の若手俳優柯震東(クー・チェンドン)は、ジェイシーのマンションで2年前に初めて吸った、と供述しているとか。中国語の記事はこちらとかをどうぞ。

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少し前に浦川とめさんのブログで、張耀揚(ロイ・チョン)がやはり北京滞在中に麻薬吸引で逮捕された、という記事を見て「!」と思っていたのですが、今度はジャッキー・チェンの息子という大物だったので、よけいに大きく報道されているようです。とはいえ、8年間続いているということは、立派に麻薬中毒患者。ジャッキーも監督責任を感じていると発言していますが、まだまだ逮捕者が出るかもというのが大方の予想のようで、香港ならびに台湾&中国の芸能界は当分大麻事件で激震が続きそうです。

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そんな香港、昨日からいいお天気になり、気温がまた上がり始めました。会った友人の話だと、先週は暑くて36度の日もあったそうです。香港名物のソフトクリーム売りも大人気。でも、1個9HKドル(約120円)にもなっていてびっくり。バス代始め、じりじりと値上がりしている香港です。ソフトを買っているのは、インドかパキスタンから来たとおぼしき3人組のお兄さんたち。どれにするかでしばらく迷っていてほほえましかったです。

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こちらは、その夜出会った救急車。こんなかわいい救急車なら乗ってみたい? 昼間のアイスクリーム車を思い出して、歩きながらついパチリしてしまいました。

さて、そんな香港で今のところ3本見ました。

『等一個人珈琲(誰かを待つカフェ)』 予告編

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 2014年/台湾/英語題名:Cafe・Waiting・Love
 原作・脚本:九把刀(ギデンズ・コー)
 監督:江金霖
 主演:頼雅妍(メーガン・ライ)、宋芸樺、布魯斯(ブルース)、藍心湄、張立昂、周慧敏(ヴィヴィアン・チョウ)

『あの頃、君を追いかけた』(2011)の九把刀監督が原作・脚本と聞けば大納得の青春映画。ちょっと浮世離れしたところがあるのも、彼ならでは。主人公を演じる新人の2人、宋芸樺と布魯斯がチャーミングで、演技もがんばっていて引き込まれます。それにメーガン・ライの変身も魅力的。ボーイッシュな格好がこんなに似合うなんて、と目が離せませんでした。布魯斯のビキニ姿(戸外での撮影の時、恥ずかしくて大変だったらしい)とか、防腐剤かけまくりの白菜とか、突然髪の中から現れるソーセージとか、ブッ飛んだ存在がいくつも出てきますが、最近の台湾映画はこういう物使いが多いので、だんだん慣れてきました。ヒットしそうですね。

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『看見台湾(台湾を見る)』 予告編

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 2013年/台湾/ドキュメンタリー/英語題名:Beyond Beauty - TAIWAN FROM ABOVE
 プロデューサー:侯孝賢(ホウ・シャオシェン)
 監督:齊柏林(チー・ポーリン)
 ナレーション:呉念眞(ウー・ネンチェン)

台湾をくまなく空撮した映像で、その美しさには圧倒されます。特に前半は海と山が中心で、美しさに息を呑むこともしばしば。後半、その美しい台湾が各地で汚染されている情景も写されていきます。その頃になると呉念眞のナレーションが多くなりますが、前半はほとんどナレーションはなく、『セデック・バレ』に主演した林慶台(リン・チンタイ)の歌などが流れ、映像をひたすら見せていきます。そのあたりで、台湾の各地に馴染みがないとちょっと退屈してしまうかも。監督はカメラマンで、公務員として20年間空中撮影に従事していたとか。台湾では、ドキュメンタリー映画としては異例のヒットとなりました。

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『弁護人』 予告編

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 2013年/韓国
 監督:ヤン・ウソク
 主演:ソン・ガンホ、キム・ヨンエ、オ・ダルス、イム・シワン

もう皆さんご存じでしょうが、故盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の若き日を描いた作品です。1978年の釜山から始まって、当初不動産登記や税務といった弁護士がやらない領域から始め、ついには国家安全法に背いたとして起訴された被告人を弁護する、人権弁護士へと成長していく姿を描きます。高卒だったこと、貧しい家の出身であることなどで他の弁護士に白い目で見られながらも、正義を貫こうとする主人公の姿を、いつもにも増してガンちゃんが熱く演じています。

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脚本も非常にうまく、全斗煥(チョン・ドファン)の軍事政権時代に「アカ(共産主義者)」だとでっち上げられた青年たち、彼らを捕らえて拷問にかけた刑事たち、裁判をゆがめようとする検事や裁判官などをリアルに描いて、後半の裁判シーンは手に汗を握る面白さ。ことに、警察の責任者役のカク・トウォン(上)の憎たらしさは、もう絶品と言っていい演技です。ガンちゃんの弁舌や論理も冴えまくり、韓国で大ヒットしたのもうなずける出来でした。日本でもきっと公開されると思うので、楽しみにしてお待ち下さいね。

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香港では、インド映画は残念ながら上映作品なし。そうそう、今日は油麻地の天后廟に行って、『バルフィ!人生に唄えば』のヒット祈願をしてきました。天后様だと、少々担当案件が違うような気も(笑)するものの、お心が広いので何とかして下さるでしょう。平日の初日、お客様の出足がちょっと心配ですが、明日から週末なので、今後に期待しましょう。



中国語圏映画を中心に@香港

香港は、とっても暑いです。32度なんですが、日差しのきつさは日本以上。おまけに、いまいる旺角は中国大陸からの旅行者を中心にものすごい人、人、人で、地下鉄の駅などラッシュ時の新宿も負けるぐらい。人当たりしてしまいます。皆さん、中型キャリーケースを持ち歩いて、ブランドショップはもちろん、Watsonsや萬寧でも化粧品&医薬品等の小物をごっそり購入、ものすごいお買い物ぶりですです。みんなおみやげにするのかしら。

でも、以前はマナーの悪さを指摘されたりした中国人旅行者ですが、今回はマナーのいい人たちにも出会い、皆さん旅行慣れしてきたのかな、とちょっと安心。ついさっきも、道をふさいでいた人に「すみません、どいて下さい(in 広東語)」と言ったら、「ごめんなさい(in 普通話)」と謝って下さいました。こっちの方が「いえいえ」を言い忘れ、マナーの悪い人間になってしまって反省! 広東語、まだまだダメですねー。(我一路都學廣東話已経過[口左]二十年、幾時得到[口架]???)

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さて、毎回行く旺角ブロードウェイ(上左。前の道では、昼過ぎには若者4人組のミュージシャンがMV撮影をやっていてすごい人でした)で、21日に公開されたばかりの香港映画『失恋急譲』を見てきました。現在イチオシ(?)とあって、映画館のチケット売り場天井には、でっかいディスプレイが。

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映画のデータはこちらです。 

『失恋急譲』 予告編1 予告編2 予告編3 (不動産屋のCF形式になっている出演者別予告編)

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 2014年/香港/英語題名:Temporary Family
 監督:卓韻芝(ヴィシー・チョク)
 主演:張家輝(ニック・チョン)、鄭秀文(サミー・チェン)、楊穎(アンジェラベイビー)、欧豪

中国での題名は『臨時同居』 だそうで、お金儲けの必要に迫られた4人が出資して高級マンションを買い、1年以内に転売して儲けようとする、というお話です。一時そこに住むことになるので、「臨時同居」というわけであり、英語題名の「臨時家族」となるわけです。

中心人物は不動産会社に勤めるニック・チョンで、彼はCAの恋人と結婚する条件として、一等地にマンションを買うことを迫られています。彼に加えて、彼の別れた年上妻の娘で、本当の父のように彼に接している娘(アンジェラベイビー)、そして夫に一方的に離婚されてしまったサミー・チェン、さらにニックと同じ会社に勤める中国の金持ちの息子欧豪という4人が出資するわけですが、そうはうまくマンションは売れていきません。その1年間のドタバタを、ちょっと際どい設定も入れながら描いていきます。うーん、あの設定というかアレの使用がなかったら、割とよくできたコメディだったのですが。女性監督なのに、下ネタでそこまで笑いを取ろうとするとは....。

サスペンス映画の時と違ってなんか中年っぽいニック、久しぶりながら(最近は1年に1作ペース)相変わらずチャーミングなサミー、今回は8割方汚れ役でがんばっているアンジェラベイビーと、出演者はそれぞれに楽しませてくれます。ゲスト出演も豪華で、冒頭に出てくる不動産屋の客に陳果(フルーツ・チャン)監督、4人の共同所有手続きを行う弁護士に張學友(ジャッキー・チョン)、中国大陸からやってくる大物に姜武(チャン・モウ)など、どの人も貫禄十分でかつ笑わせてくれて、チケット代の元は取りました。

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なお、香港の映画料金は、今は平均75HKドル(約980円)。90ドルの映画館もあり、作品によっては60ドルで見られたりもしますが、どんどん上がっています。シニア料金は、75ドルの映画の場合は60ドル。また、初回上映は安くなり、『失恋急譲』も45ドルで見られました。そのほか、下の写真のように、「木・金は1枚買うと1枚タダ」とか、油麻地のブロードウェイ電影中心のように、あるクレジットカードで決済すると2枚目はタダとか、あの手この手の割引があります。どこが一番得か、調べるのもまた面倒ではあります....。

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他にも、中国語圏の映画を2本見ました。『3生』は製作が香港国際映画祭事務局なので、チョン・ウソンが噛んでますがひとまず中国語圏映画というくくりにしておいて下さい。

『閨密(ガールフレンド)』 予告編

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 2014年/香港/英語題名:Girls
 監督:黄真真(バーバラ・ウォン)
 主演:陳意涵(ミシェル・チェン)、薛凱[王其](フィオナ・シュッ)、楊子[女册](ヤン・ズーシャン)、余文樂(ショーン・ユー)、鍾漢良(ウォレス・チョン)、呉建豪(ヴァネス・ウー)

こちらも豪華なキャストです。大学同期の3女性、お金持ちで今は社長のキミー(フィオナ・シュッ)、ホテル勤務で彼(ウォレス・チョン)と結婚間近の希汶(ミシェル・チェン)、映画監督になるのが夢の小美(ヤン・ズーシャン)が仲良くテレビのトーク番組(司会者として、黄真真監督が出演)に出ているところから映画は始まります。しかしその後、希汶は彼の浮気がわかって結婚も取り消しとなり、廃人同様に。そんな荒れた彼女の前に現れたのが、離婚経験者のやさしい男性(ショーン・ユー)。そして、小美の前には有名なミュージシャン(ヴァネス・ウー)が現れます。そういったすべてを仕切ろうとするキミーに対し、やがて小美は反発を強めていきます...。

それにしても、『小時代』と設定が似すぎていて、いまいち新鮮味がありません。女性3人、うち一人は大金持ちで超豪華マンション住まい、彼女が主導権を握り、仕事に生きたい仲間や恋愛に迷う仲間をリードしていく....。中国語版Wikiでは「セックス・アンド・ザ・シティ」になぞらえてありましたが、こういう設定、今の中国語圏の若い女性は好きなのでしょうか? 劇場内の8割方が若い女性でしたが(女性2人で来ている率高し)、どのキャラクターに共感しているのか聞いてみたい気がしました。余談ですが、この映画の製作会社福建恒業のイントロ映像が、韓国のCJ Entertainmentのイントロ映像にとってもよく似ていました。

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 『3生』 予告編

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 2014年/香港/英語題名:Three Charmed Lives

 監督:張震(チャン・チェン)、チョン・ウソン、呉鎮宇(ン・ジャンユー)
 主演:石頭(ストーン「五月天」)、王欣元、チェ・ジノ、ウ・サンジョン、ユ・イニョン、張辛苑

今年の香港国際映画祭でお披露目されたオムニバス作品です。台湾の張震(チャン・チェン)、韓国のチョン・ウソン、香港の呉鎮宇(ン・ジャンユー)というトップ男優3人が監督したもので、呉鎮宇は監督経験があるものの、他の2人は初めてでは、と思います。香港国際映画祭事務局が夏に催している「CINE FAN 夏日國際電影節」というプログラムの一環として上映されました。観客はあまり多くなく、約30名といったところ。見たい人はすでに春の映画祭で見ているのでしょうね。7割は映画好きのような若い人で、あと3割が多分チケット代が安い(45HKドル)というので見に来た近所のシニア、という感じでした。

スチールはすべて、2014年3月の香港国際映画祭で提供を受けたものです。同じ主催者なので、使用を許して下さいね。

呉鎮宇監督作「橘子(The Tangerine/みかん)」

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ある男が林の中を逃げていくシーンから始まり、やがてその男は深[土川]の街にたどり着きます。飢えて、喉が渇いていた男の前に差し出されたのは、果物を売る若い女性の手。その上にはみかんが乗っていました。「お金はいいわ。持って行って」その夜男はホームレスの老人に出会い、そこで一夜を過ごすのですが、ホームレス狩りに襲われて老人は亡くなってしまいます。老人との交流が男の胸に響き、男は果物売りの娘の所にあることを伝えるために出かけていきます。男は実は、指名手配犯だったのでした。

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日本ではまず上映されないと思うので、ネタバレ承知で書いてしまいましたが、このお話は現実に起こった出来事だそうで、それが記憶に残っていた呉鎮宇が映画の題材にしたようです。かなりドラマチックに作ってあり、というか、センチメンタルとも言えるタッチになっていて、ラストシーンでは場内で鼻をすする音も。BGMが「運命」だったり、崔健(ツイ・ジェン)の「一無所有」の歌が流れたり、トウ小平の大きな看板の前を男が通ったりと、少しあざとい演出もありましたが、一番楽しめた作品でした。

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チョン・ウソン監督作「殺手與老人(The Killer Behind The Old Man/老人の背後の殺し屋)」

スポーツ・ジムでスタッフとして働く殺し屋、という設定がまず意表を突きます。さらに、この殺し屋役の人の表情もよく、チョン・ウソン監督のしっかりした演出が感じられて出だしは上々でした。でも、ドライブインシアター(チョン・ウソンの主演作『武士−ムサ−』を上映中というサービスあり)で殺しの仲介者である若い女性が車に乗り込んでくるとか、妙に作り込まれたアジトで殺し屋がワインを飲んで食事したりオペラを聴いたりとか、だんだんとステレオタイプの殺し屋世界になってきて面白味に欠けていきます。彼のターゲットである老人との関係性もあまり納得できず、ラストも「何、それ?」で消化不良に...。 

張震監督作「尺蠖(Inchworm/尺取り虫)」

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妻子もいるのにゲーム会社を解雇された男が、部屋に引きこもってずっとゲームに浸るという生活に。気が付いた時には、赤ん坊だった娘は保育園児となり、「パパ」と愛らしい笑顔で迫ってきます。妻に泣かれても引きこもりを止めなかった男ですが、娘の手で外界へと戻ることができるのでしょうか....。

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これもよくわからず、のところが多々あり、消化不良状態でした。五月天の石頭の演技もそれなりに様になっているのですが、理解しにくいキャラクターで、入り込めませんでした。でも、娘役の女の子が本当にかわいくて、それだけが救い。天性のものでしょうか、演技もとても上手でした。あと、内湖地区が出てきたのも個人的には懐かしかったです(むかーし、映画を見るためにバスに乗って行ったことがありまして)。昨年結婚したばかりの張震、まだしばらくは俳優として活動した方がいいと思います....。


飛行機の遅延

一昨日帰国したのですが、その夜は結局成田で1泊することになりました。香港発のキャセイ便の出発が遅れたためです。

当初の予定では、CX500便の出発は午後3時10分。成田到着は午後8時30分の予定でした。香港国際空港でのゲートは23番で、搭乗も予定通り2時半頃に始まりました。私はマルコポーロ・クラブの会員で、グリーン色の一番下っ端会員ではあるものの、一応ファーストやビジネスの人たちと同じく優先搭乗させてもらえます。機内に入り、上のロッカーに荷物を入れようとして驚いたのは、キャビンの上の方に熱風が渦巻いていたこと。冷房の吹き出し口から、暖かいと言うより熱い空気が出てきていたのです。まだ空調が効いていないんだな、とは思ったのですが、その熱さにびっくりしたのでした。

その後、乗客全員が乗り込んだところで機長のアナウンスがあり、機体の整備不良とかで出発が遅れるというようなことが聞こえてきました。そして続いてまたアナウンスがあり、この機体では飛べないので、乗り換えてもらう、という話になってしまいました。結局、3時過ぎには全員手荷物を持って機体から出され、次の出発予定の27番ゲートへと移動。その前に機内で、出発予定時刻が午後4時30分になったこと、ビジネスクラス以上の人たちは23番ゲート近くにあるラウンジを利用できること、エコノミーの乗客には軽食が出ること、等がアナウンスされました。

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27番ゲートでは、キャセイの職員や空港職員が集まり、ちょっと騒然とした雰囲気。でも、乗客はしごく落ち着いていて、皆さんすぐイスに座って辛抱強く待つ態勢に。インド亜大陸の人らしき若い男性乗客が、カウンターの係員に何かを訴えていましたが、まあ成田からの乗り継ぎ便もない時間帯だし、ほとんど東京が最終目的地の人ばかりだったので、あまり心配していなかったのかも知れません。私は遅延証明書がもらえるはず、とカウンターに行き、英文の印刷したものに「4時30分出発予定に変更」と記入してもらって確保しました。これで、何か費用が派生したら、海外旅行保険から支払ってもらえます。

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4時すぎになって、飲み物とパウンドケーキが配られました。飲み物は水のほか、こういう缶入り清涼飲料が2、3種用意されていて、カウンターまで取りに行く人のほか、イスに座ったままの人には職員がカートで配って歩いていました。パウンドケーキはおいしくいただいたのですが、飲み物は常温だったので、飲まずにそのままキープ。しかし、この調子ではとても4時半に出発できそうにありません。

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27番ゲートには先ほどまで中華航空の機体が停まっていて、それが出て行ってキャセイの機体が入ってきたのが4時15分頃。中国人乗客の間から、「来了!」という声が上がります。早速ケータリングのトラックがやってきて、機内積み込みを始めました。CAら搭乗員が乗り込み、お掃除のおばさんたちが引き上げていき....で、結局機内へと乗客が入ったのが5時15分前ぐらい。また先に機内に入って、あとから入ってくる人を見ていたのですが、皆さんの〜んびりした顔つき&足取りで、それは平和なもの。2時間遅れですから、成田に着いたらもうスカイライナーもリムジンもない時間です。心配じゃないのかしら?

最終的に香港を出たのが午後5時10分、そして成田到着予定は午後10時20分。飛行機に乗っている間に、上野に12時までに着ければ、銀座線から乗りついで最終電車に間に合う、とか計算してみたのですが、この到着時刻では、上野に12時までに着けそうにありません。ホテルに1泊として、ホテルはどうやって捜すのか、一覧表をキャセイで用意してくれているのか、等々、今度の旅行中で一番頭を使った時間でした(笑)。こういう時、スマホとか持ってると検索できていいですねー。ガラパゴス人間として、大いに後悔した一瞬でした。

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でも、それは杞憂に終わり、成田に着いたらキャセイの職員の人が荷物受け取りの所で待ちかまえていて、相談に来た人にすぐ対応してくれました。

実は、機体着陸後のアナウンスで、英語のアナウンスのみ最後に、「お困りの方には、地上係員がお世話致します」という一文が付け加えられていたのでした。どのアナウンスも到着の遅れに対する謝罪はあったのですが、広東語と日本語のアナウンスはいつも通りの型にはまった内容で、そんなことはひと言も付け加えられずじまい。特に日本語のアナウンスには期待していただけに、唖然としました。「都内への主要交通機関が終了しておりますが、特別にバスを手配しました」とかいうアナウンスを期待していたのです。非常に不親切だと思いました。

機体を出た所でも、女性係員が1人いるだけで、聞くと「いろいろ手配がしてありますので、荷物の受け取り場所に行って聞いて下さい」と言ってはくれますが、心配の解消は先送りされます。私なら、書かれたものを用意しておいて、乗客全員に配るのになあと思いました。日本語、英語、中国語で、「帰宅等でお困りの方は、次の用意がございます。1.臨時リムジンバス、2.ホテル宿泊、3.....、詳しくは、荷物受け取り場所におります地上係員にお尋ね下さい」と書けばいいだけですよね? 

とまあ怒り半分で荷物受け取り場所に行ったのですが、そこにいた数人の地上係員の人は、も〜のすごく低姿勢。「ご迷惑をおかけして本当に申し訳ございません」と何度も謝って下さるし、こちらの相談にも辛抱強く乗って下さいます。最初、横浜までの臨時リムジンが出る、という提案に一瞬心が傾いたのですが、11時半頃の出発だというのと、途中ノンストップ、というので、横浜駅からわが家までタクシーで帰ることを思うと、二の足を踏みました。

で、「ホテルに泊まりたいんですけど...」とホテルを教えてもらおうと思ったら、「はい、ご用意がございます」と即座に返事が返ってきました。キャセイの費用で泊めてくれる準備があるようです。というわけで、ありがたくその恩恵に浴したのでした。現場が混乱していて実際にホテルへ着くまでちょっとモタモタしましたが、その間の対応は本当に丁寧で、少し前まで感じていたキャセイへの怒りはきれいに消え失せました。あの折の地上係員の皆様、ありがとうございました。

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泊められたのは、成田の東武ホテル。ビュッフェ朝食付きです。こんないいお部屋でした。キープしていたクリームソーダ缶は早速冷蔵庫で冷やし、お風呂上がりに飲みました。おいしかった!

というわけで、帰宅が半日ほど遅れたのですが、今回はいい体験になりました。しかしながら、どこの航空会社もこうやってくれるわけではないらしく、次の日、空港への送迎バスを待ちながら義姉に電話して事情を話していると、それをそばて聞いていた方が、「主人のケースですけど、エア・アジアで4時間遅れてKL空港に午前2時に着いたのに、何のケアもなくて空港で寝る羽目になったんですよ」と話しかけてこられました。LCCだからでしょうか。今回は成田という特殊性があったから、この厚遇だったのかも知れませんね。

 

『神さまがくれた娘』DVD本日発売!+マラヤーラム語&カンナダ語映画上映会

南インド映画の情報を、どかっとまとめてご紹介します。

まず、2月に公開された『神さまがくれた娘』のDVDが本日発売となりました。レンタルも9月5日(金)から始まります。 

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神さまがくれた娘 [DVD] クリエーター情報なし マクザム

『神さまがくれた娘』 公式サイト 予告編

 2011年/インド/タミル語/149分/原題:Deiva Thirumagal/英題題名:GOD’S OWN CHILD
 監督・脚本:A.L.ヴィジャイ 
 出演:ヴィクラム、ベイビー・サーラー、アヌシュカー、アマラー・ポール、ナーセル、サンダーナム
 提供:マクザム、太秦/配給:太秦

詳しいストーリーや見どころ等は、以前のこちらの記事をどうぞ。

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私が字幕を担当したから言うわけではないのですが、珠玉のような作品で、特に主演のヴィクラムとベイビー・サーラーの演技には感服するやら泣かされるやら。『アイ・アム・サム』のリメイクということで「そんな映画なんて」と思ってらっしゃる方は、素晴らしい出会いを逃すことになります。女優のアヌシュカーやアマラー・ポールも今どんどん活躍していますし、この映画を見逃すと一生後悔しますよ〜。そして上映館がなかった地域の皆様方、お待たせしました! ぜひご自宅で楽しんで下さいね。

先日見つけたのですが、『バルフィ!人生に唄えば』に関するツイートの中で、「なんで同じように ほとんど歌も踊りもない感動作だったのに、『神様がくれた娘』は全く話題にもならず、客の入りもアレだったんだろう。宣伝の問題か?それ とも、上映のタイミングが時期的にちょい早すぎたんだろうか。非常に残念。もったいない。」というツイートがアップされており、「そうだっ!」と思わずこぶしを握ってしまった私です。まあ、これも映画の運命、というものでしょうか。

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インド映画が盛り上がっている今、ソフト発売によってこの作品も再評価されることを願っています。

そして、Periploさんからいただいた情報です。これまで活動してきたテルグ語映画とマラヤーラム映画の上映会に加え、カンナダ語映画も日本に参入。カルナータカ州は他の南インド3州とはまた違う雰囲気を持っていて、州都ベンガルール(旧バンガロール)は昔からパブ文化が根付いていたり、今はハイテク産業の中心地となっていたりと、なかなかに興味深い土地柄です。私は芸術系の映画を何本か見ただけなので、映画に関してはまったく知らないも同然ですが、今のカンナダ語の商業映画ってどんな感じなんでしょうねー。

『治療者』(2014/マラヤーラム語/152分/原題:Apothecary)  予告編 公式サイト 

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 監督:マーダウ・ラーマダーサン
 主演:スレーシュ・ゴーピ、ジャヤスーリヤ、アーシフ・アリ
■日時:2014年9月6日(土)午後2:00〜
■会場:千葉県市川市イオンシネマ市川妙典 アクセス
■料金:大人2,200円
■主催者公式FB(英語)
Periploさんの詳しいご紹介ページ。予約方法などもこちら

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『オッガラネ』(2014/カンナダ語/122分/原題:Oggarane)  予告編 

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 監督:プラカーシュ・ラージ
 主演:プラカーシュ・ラージ、スネーハ、テージャス、サムユクタ・ホラナード
■日時:2014年9月7日(日)午後1:30〜
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ・彩の国Visual Plaza アクセス
■料金:大人2,500円
カーヴェリ川長治さんの詳しいご紹介ページはこちら
Periploさんの詳しいご紹介ページ。予約方法などもこちら

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これであとタミル語映画の上映会が定着すると、南インド4言語の映画は日本にいながらにして最新作が見られるようになります。やがて、英語字幕もきちんとつくようになり....と、日本のインド映画ファンをさらに増やしてくれるイベントになりそうです。

<オマケ>

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ボリウッド映画も、インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパンががんばって新作を紹介してくれていますね。今年の上映は10月10日(金)〜17日(金)@東京・ヒューマントラストシネマ、10月18日(土)〜24日(金)@群馬・シネマテークたかさき、そして同じく10月18日(土)〜24日(金)@大阪・シネヌーヴォです。公式サイトにはすでに上映スケジュールも出ました。オープニング作品『マドラス・カフェ』に関係する大物ゲストの来日もあったりするのかしら? 映画の正式タイトル(昨年のような、絶妙の邦題を付けて下さいね〜)決定はこれからのようですが、大作&良作が今年もいっぱい。その他、TIFFなどもありますし、10月は再び「インド映画が熱い!」月になりそうです。


「グレゴリ青山展〜竹中英太郎への旅」

仕事がめっちゃ立て込んでまして、ブログ更新もままならず。昨日までは、ある大学で1日5コマ×3日のアジア映画集中講義をやっていました。今年は例年以上にステキな学生さんが多く、私の失敗をカバーしてくれたりして、楽しい3日間でした。

で、昨日遅くに帰宅してみれば、グレゴリ青山さんから疲れ目に沁みるようなお葉書が。「グレゴリ青山展〜竹中英太郎への旅」のご案内状でした。そのまま、スキャンして掲載してしまいます。あて名面の方にはグレゴリさんからの私信も入っているのですが、ここに詳しい場所等のご案内があるので、グレちゃん、載せてしまってごめんなさい、です。

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上にあるように、甲府市にある竹中英太郎記念館での開催だそうで、グレゴリさんも2日間来館なさるとか。グレゴリファンの皆様、グレゴリさんと親しくお話しできるチャンスですよ〜。私は....ちょっとその日には行けそうにありません、かんにんやで〜、グレちゃん。後日、拝見しに行くからね〜。

そうそう、竹中英太郎(1906〜1988)は、江戸川乱歩や横溝正史の小説に挿絵を描いた画家で、ルポライターの竹中労の父としても知られています。Wikiの紹介はこちらをどうぞ。竹中英太郎記念館のサイトはこちらで、ここで何点か彼の作品を見ることができます。

こんな竹中英太郎の作品に響き合うグレゴリ青山さんの作品、どんなものなんでしょうね。グレゴリ青山さんのWikiでの紹介はこちらです。著書を読んで&見てみたい方のために、いくつか本の紹介も付けておきます。では、展覧会にいらした方があれば、後日コメントをお寄せ下さいね。

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新装版 旅のグ (ちくま文庫) グレゴリ青山 筑摩書房 Image may be NSFW.
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    グだくさんのグ!! どうでもいいこだわりに溢れた人生の断片コミックエッセイ (メディアファクトリーのコミックエッセイ) グレゴリ青山 メディアファクトリー Image may be NSFW.
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ひみつのグ印観光公司 グレゴリ青山 講談社 Image may be NSFW.
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グ印亜細亜商会 グレゴリ青山 旅行人

韓国映画も熱い!<2>同時公開の男の映画2本『さまよう刃』と『チング 永遠の絆』

韓国映画は男の映画を撮らせたら実にうまい! そんな映画が2本、昨日から公開されています。本当なら公開前にご紹介すべきでしたのに、遅くなってしまい、配給会社様、宣伝会社様、すみません。この2週間、各方面に遅れをお詫びしてばかり.....。いやいや、気を取り直して力作2本をご紹介しましょう。

まずは、東野圭吾原作の父親ドラマ『さまよう刃』から。基本データをどうぞ。

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 『さまよう刃』 公式サイト

 2014年/韓国映画/カラー/韓国語/122分
 原作:「さまよう刃」東野圭吾(朝日新聞出版)
 監督・脚本:イ・ジョンホ
 出演:チョン・ジェヨン、イ・ソンミン、ソ・ジュニョン、イ・ジュスン、イ・スビン
 配給:CJ Entertainment Japan

※9月6日(土)より角川シネマ新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷にてロードショー中

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 (C)2014 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED

主人公は、冴えない中年のサラリーマンで、繊維工場に勤めるサンヒョン(チョン・ジェヨン)。妻を亡くし、中学生の一人娘スジン(イ・スビン)と2人暮らしですが、年頃の娘は父親にとっては何かと扱いにくい存在。その日も、朝出かける時に娘の機嫌をそこねてしまい、夜は夜で「駅まで迎えに来て」という娘の頼みに残業で応えられず、後ろめたいサンヒョンは大きなケーキを買って帰宅したのでした。

ところが、スジンはまだ戻っていません。連絡もなく帰宅が遅くなることなど初めてで、夜が更けるにつれてサンヒョンは居ても立ってもいられなくなります。結局一睡もできず、憔悴して出勤したサンヒョンのもとへ、警察から電話がかかってきます。スジンが、公衆浴場跡で遺体となって発見された、という知らせでした。スジンはレイプされており、薬物摂取のあともあって、どうやらムリヤリ薬物を取らされ、そのショックで死に至ったようでした。担当刑事(イ・ソンミン)はサンヒョンに同情しますが、サンヒョンは自分を責めて、立ち直れなくなってしまいます。

そんな時、サンヒョンの携帯に事件に関する情報を知らせるメールが飛び込んできました。誰ともわからない差出人の指示に従い、あるアパートに行ったサンヒョンは、忍び込んだその部屋でスジンがレイプされている映像を見つけてしまいます。レイプしていたのは、その部屋に住む高校生チョリョンと、彼やその仲間を手下のように使っている同じ高校のドゥシク(イ・ジュスン)でした。サンヒョンの頭の中は真っ白になり、ちょうどその時帰ってきたチョリョンをバットで殴り殺してしまいます。

サンヒョンは被害者の父親から、殺人者へと変貌を遂げ、警察から追われる身となります。サンヒョンの願いはただ一つ、ドゥシクを殺して娘の仇を取ることでした。謎の通報者に助けられ、サンヒョンはドゥシクがいると思われるスキー・リゾート地へと向かいますが....。

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 (C)2014 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED

東野圭吾の原作を、基本プロットを生かしながら、うまく韓国に置き換えてあります。原作ではかなり重要な登場人物となるペンション経営の女性は登場せず、その分よけいな感情が入りこまなくて、緊迫感が持続する優れた脚本です。それに応えて、父親役のチョン・ジェヨンが素晴らしい演技を見せてくれ、最初から最後まで、映画をぐいぐいと引っぱってくれます。原作では、父親と同じくらいの存在感があった刑事側ですが、本作ではちょっと影が薄く、それもチョン・ジェヨンの熱演の影響かも知れません。

さらに、レイプ犯人役のイ・ジュスンの演技にも目を見張らされます。映画の撮影時は24歳だったのでは、と思いますが、彼が演じる小ずるく残酷で、卑怯者、それでいながら頭がよく回るハイティーンの姿は、観客を父親の強力な味方にしてしまう力を持っています。見ていて、こんな役を演じたら街を歩いていても後ろ指を指されるのでは、と心配になる程でした。また、サンヒョンと偶然に会った時に浮かべる幼い表情は、「この子、改心するのでは?」と一瞬思わせられたりもして、すっかり映画に引き込まれました。イ・ジュスンはインディーズ系作品のスターとして知られているそうで、将来が楽しみです。

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(C)2014 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED

上の写真は、ちょっと影の薄かった刑事2人組。原作をすでにお読みの方にとっても見応えのある作品です。「男の映画」となっている韓国版『さまよう刃』、ぜひご覧になってみて下さい。


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『チング 永遠の絆』 公式サイト

 2013年/韓国映画/カラー/韓国語/122分/英語題:FRIEND:The Great Legacy
 監督:クァク・キョンテク
 出演:ユ・オソン、キム・ウビン、チュ・ジンモ、チョン・ホビン、チャン・ヨンナム
 配給:東京テアトル/日活
 宣伝:スキップ

※9月6日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿、シネマート六本木ほか全国ロードショー中

『チング 永遠の絆』は、説明するまでもなく、2001年に韓国で大ヒットした『友へ チング』の続編です。「チング」は漢字にすると「親旧」となり、「友、親友」という意味になります。『友へ チング』では、1970年代に小学生だった釜山の幼なじみ4人組、ヤクザの父親を持つジュンソク(ユ・オソン)、葬儀屋の息子ドンス(チャン・ドンゴン)、優等生のサンテク(ソ・テファ)、お調子者のジュンホ(チョン・ウンテク)が、高校卒業後に辿るそれぞれの運命を描いています。もちろん中心となるのはジュンソクとドンスで、ジュンソクは父の跡を継ぎ、一方ジュンソクとの対立を深めていくドンスは敵対する組に入って、最後にはジュンソクに命じられた男によって命を奪われます。

『チング 永遠の絆』は、ジュンソクが実刑判決を受けて服役しているところから話が始まり、その出所と、出所後の権力闘争が描かれていきます。ジュンソクの属している組の会長(キ・ジュボン)は、ジュンソク不在中にのしあがって副会長になったウンギ(チョン・ホビン)に実権を奪われており、出所したジュンソクを見て、男気があったジュンソクの亡き父(チュ・ジンモ)を懐かしく思い出します。

ジュンソクは、高校時代の女友達ヘジン(チャン・ヨンナム)の息子で、刑務所で面倒を見てやったソンフン(キム・ウビン)に、「オレと一緒に釜山を獲らないか」と持ちかけます。暴れ者として有名だったソンフンは、ジュンソクの右腕として活躍し始めますが、実はソンフンの父親はドンスだったのでした....。

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単なる続編ではなく、ドンス殺害の謎を解き明かすと共に、ジュンソクと若きソンフンとの関わり合いをしっかりと描いていて、優れた人間ドラマになっています。サスペンスも適度に盛り込んだ脚本が、単なるヤクザの抗争映画に陥るのを最後まで防いでおり、見事などんでん返しとも言えるクライマックスは、前作とは違うテイストの『チング』が誕生したことを教えてくれます。ジュンソクの父親パートはむしろなくてもいいぐらいなのですが、やはりユ・オソンと新人のキム・ウビンだけでは地味、ということで、チュ・ジンモの出演となったのでしょうか。

ユ・オソンは最近ヒット作がなく、オーラが薄れているのではと心配しながら見たのですが、どうしてどうして。おっさん度がアップした分、ヤクザが骨の髄まで染み込んだジュンソクという人物を、貫禄と陰影を加えて見せてくれてチャーミングでした。また、ちょっと驚いたのはキム・ウビンのハマり具合で、写真で見るといかにもモデルといった印象なのですが、映画の中での存在感はなかなかで、演技も遜色なし。これは楽しみなスターがまた一人出てきました。ちょっとキツい顔立ちなので、ラブロマンスとかは似合うかどうかわかりませんが、男くさい役柄ならピッタリです。次作を楽しみにしていましょう。

§  §  §  §  §

試写にちょっと行けていないのですが、韓国映画はまだまだ力作の上映が続きます。韓国映画はこの秋も、日本のスクリーンを騒がせてくれそうです。

 



なら国際映画祭でインド映画2本上映

秋は映画祭シーズン。インド映画もあちこちの映画祭で上映されます。9月12日(金)〜21日(日)に開催されるアジアフォーカス・福岡国際映画祭(公式サイト)では、インド映画『シッダルタ』(リチー・メーヘター監督)が上映されますが、同じ時期、9月12日(金)〜15日(月・休)に開催されるなら国際映画祭(公式サイト)でも、2本のインド映画が上映されます。間際になってのお知らせで申し訳ありませんが、関西の方はぜひおいでになってみて下さい。上映されるのは次の2本です。

<NARAtive コンペティション部門>

『Liar's Dice/ライアーズ・ダイス』 予告編 

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インド/2013年/103分
監督:ギートゥ・モーハンダース
主演:ギーターンジャリー・ターパー、ナワーズッディーン・シッディーキー

〔以下は映画祭のサイトより〕
「中国とインドの国境付近の小さな街、チットクール(Chitkul)。カマラ(Kamala)は3歳になる娘を連れ、行方不明の夫を探す旅に出る。旅の時間軸に沿いながら語られるこの物語は、現代インド社会を辛辣に浮き彫りにしていく。」

※ナワーズッディーン・シッディーキーの出演作なので、今夏シンガポールでDVDが出ていないかと捜したのですが見つからず。奈良に行きた〜い! 監督のギートゥ・モーハンダースは、マラヤーラム語映画を中心に活躍する女優でもあります。サンダンス国際映画祭での、監督と主演2人に対するインタビュー映像はこちら

<特別招待作品部門>

『Papilio Buddha』 予告編   公式サイト

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インド/2013年/108分
監督:ジェーン・K・チェリアン
主演:シュリークマール、サリタ・スニール

〔以下は映画祭のサイトより〕
「インドの西ガーツに“ダリット”と呼ばれ、ヒンドゥー社会において最も差別され、住む場所すら定まらないカースト集団が存在する。彼らはカーストの弾圧を逃れるために仏教を信仰している。政治家・思想家として知られるアンベードカルが影響を与えた、あたらしい政治運動。この作品は、ダリッドと言われる彼ら不可触賤民たちの解放運動を探る。」

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※上記の紹介文ですが、ちょっと記述(翻訳?)に不正確な部分があります。「ダリット」、正しく書くと「ダリト(dalit)」は「抑圧された者」という意味の言葉で、以前は「不可触民、untouchable、アチュート」等差別用語で呼ばれていた人々自身が、抗議の意味を込めて自分たちのことを呼び始めた言葉です。マハートマー・ガーンディーが「ハリジャン(神の子)」と呼んだり、政府が「指定カースト」という名称を作ったりするのに対する抵抗の言葉でもあり、今では「ダリト」が定着しつつありますが、上記のようにインドの一部に住む人たちに対する呼称ではなく、インド全体の被差別カーストに対する呼び方です。また、上記の記述の中にある「不可触賤民」は差別用語に当たるので、「賤」の字は削除し、「不可触民」とカッコに入れていただければと思います。

あともう一つ文句を言わせていただければ、監督の名前「Jayan K. Cherian」の「Jayan」は「ジェーン」ではなく、「ジャヤン」が正しいです....。なお、「Papilio Buddha」とは、美しいチョウの名前でもあるようです。

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このほか、次のアジア映画も<NARAtive コンペティション部門>で上映されます。
『Men Who Saved the World(世界を救った男たち)』 予告編  
マレーシア、オランダ、ドイツ、フランス/2014年/ 93分
監督:リュウ・センタック
主演:ワン・ハニフ・スー、ハルン・サリク・バチク、アズマン・ハサン
※アジアフォーカス・福岡国際映画祭や東京国際映画祭で上映された『ポケットの花』(2007)のリュウ・センタック(劉成達)監督作品。

『騒音の騒音(The Noise of the Noises)』 
韓国/2014年/ 74分
監督:植田二郎

『The Night(夜)』
中国/2014年/
監督:ジョウ・ハオ
主演:ジョウ・ハオ
※香港国際映画祭で上映された時、このブログでもご紹介した、ジョウ・ハオ(周豪)監督・主演作品です。 

『40 Days of Silence(沈黙の誓い)』
ウズベキスタン、タジキスタン、オランダドイツ、フランス/2014年/86分
監督:サオダート・イスマイロヴァ

奈良と言えば私などは近鉄特急が思い出されますが、会場は駅からすぐの所が多いようです。奈良観光を兼ねて、関西圏以外の皆様も連休中にぜひ。余談ながら、なら国際映画祭では「尾花座復活上映会」というプログラムもありまして、実はこの奈良の尾花座、インド映画『マダム・イン・ニューヨーク』と深〜い関係があるのです。その謎は....こちらでどうぞ!

 

 

タイ映画『愛しのゴースト』したコメでお披露目上映

9月12日(金)から始まる映画祭、アジアフォーカス・福岡国際映画祭となら国際映画祭を先日ご紹介しましたが、したまちコメディ映画祭in台東も本日から始まりました。そこで東京でのお披露目が果たされるのが、タイ映画『愛しのゴースト』です。1ヶ月後には公開されるのですが、とっても面白い作品なので、早めにご覧になっておくことをオススメします。

それと、この作品、2度見るとよくわかる、という点があちこちあるのです。タイではお馴染みのゴースト・ストーリー「ナン・ナーク(ナーク夫人)」または「メー・ナーク(ナークお母さん)」の何度目かの映画化なのですが、かなり現代的にあちこち変えてあって、ホラーだけでなくサスペンスも盛り込んであるという、これまでの「ナン・ナーク」ものとは一味違う作品になっています。一度目では見逃したところも、再度見ると「そうだったのか!」。ぜひ「したコメ」と公開劇場とで、二度ご覧下さいませ。では、まず基本データをどうぞ。

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『愛しのゴースト』 公式サイト 「したコメ」サイト

 2012年/タイ/タイ語/112分/原題:Pee Mak(マークお兄さん)
 監督:バンジョン・ピサンタナクーン
 出演:マリオ・マウラー、ダビカ・ホーン、ナタポン・チャートポン、ポンサトーン・ジゥヨンウィラート

 提供:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

 配給:キネマ旬報DD
 宣伝:ファントムフィルム

10月18日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート六本木ほか全国公開

<したまちコメディ映画祭in台東>での上映
2014年9月14日(日) 開場14:00/開演14:30
開催場所:浅草公会堂

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ストーリーは、アジア映画ファンの皆さんならご存じですよね。今回は、マークの戦友4人という新キャラが登場します。

時代は18世紀末か19世紀、タイが近隣諸国と戦争を繰り返していた頃のこと。プラカノーンの村に住むマーク(マリオ・マウラー)は身重の妻ナーク(ダビカ・ホーン)を残し、戦場で戦っていました。彼と一緒に戦っていたのは、パイナップル頭でスケベなプアック、メガネのドゥー、口髭を生やしたエー、そして子供時代の頭頂部マゲをそのまま残した臆病なシンという親友4人組。彼らは重傷を負いながらも何とか生還し、まだ傷の癒えないマークを送りがてら、プラカノーンへとやって来ます。左から、プアック、ドゥー、マーク、エー、そしてシンです。

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家では、ナークが嬉しそうに迎えてくれます。マークの出征後に生まれた赤ん坊のデーンも、ゆりかごですやすや。戦友4人はマークに勧められるまま、対岸にある空き家でしばらく過ごすことにします。ところが村の市に行ってみると、みんなはマークを恐がり、何だか様子が変です。酒屋のおばさんは、「真実が知りたかったら、またの間からのぞいてみるんだね」とわめいてその後何か言おうとしたのですが、息子に口をふさがれてしまいます。5人の間に、いやーな感じが漂います。

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その後、怪しいことがいろいろと起こります。シンが夜、酒盛りにマークを誘おうと対岸に渡ってみると、マークの家は朽ち果てたあばら屋になっていたり、4人を歓迎するためのナークのご馳走が、枯れた葉っぱやうごめく虫だったり。これは、ナークが幽霊という村の噂は本当かも知れない....。裏の森でナークの指輪をしている遺体を見つけた彼らは、その確信を深めます。ですが、逃げだそうにもマークを置いては行けません。しかし、マークはナークと仲良く暮らしている様子。ということは、マークも幽霊なのか? 戦場で重傷を負ったあの時、マークはすでに死んでいたのかも.....。疑問と恐怖はふくらみ、やがてその真相が解き明かされる時がやって来ます....。

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1999年のノンスィー・ニミブット監督作品『ナン・ナーク』が、格調高く、端正なホラー・ラブストーリーだったのに対し、『愛しのゴースト』はまさに21世紀の若者版「ナン・ナーク」となっています。日本語字幕はタイ語通訳であり、タイ映画の紹介にも尽力しておられる高杉美和さんですが、現代語表現がいっぱい使ってあるところを見ると、元のタイ語も若者言葉なのでは、と思います。それが、「ドタバタ『ナン・ナーク』」「お笑い『ナン・ナーク』」とでも呼ぶべき本作に、ピッタリとハマって楽しさを盛り上げてくれます。

バンジョン・ピサンタナクーン監督は、大ヒットした1999年版『ナン・ナーク』を大いに意識して作っており、「次はあのシーンかな?」と思っていると、そのシーンをパロった場面になる、といった風に、観客の期待に応えて存分に楽しませてくれます。それが、『愛しのゴースト』が昨年、『アナと雪の女王』などを抑えてメガヒットとなり、タイ映画の歴代興収第1位を叩き出した大きな理由の1つでしょう。

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ほかにも、ヒットの理由はいくつか見つけられます。

1.原題を、「ナークお母さん」から「マークお兄さん」にしたこと。つまり、マークが主役なんだよ、とうたっているわけで、これにはどんな人も興味を引かれます。「ナン・ナーク/メー・ナーク」に対応する「ピー・マーク」。これって、ひょっとしてマークの幽霊譚なの? とタイの観客は思うはず。こりゃー見なくっちゃ、となってしまいますよね。

2.コメディ・リリーフとして、マークの戦友の4人組を登場させたこと。上でちょっとご紹介しましたが、4人ともそれぞれ個性のある顔立ちで、中でもシンは出川○朗そっくり。ちょっと知的なメガネ男子トゥーも、途中ある事情からボコボコの顔になって出てきます。その4人が思いっきりヘンな言動で笑わせてくれるという、これまでになかった「ナン・ナーク」なのです。

3.仏教の存在感を薄めたこと。今回見て驚いたのは、『ナン・ナーク』は仏教の偉大さを喧伝する物語だ、と思っていたのが、お坊さんは登場してもその存在は「耐えられない軽さ」になっている、ということでした。前作の『ナン・ナーク』では、まず村のお坊さんがマークに「ナークは幽霊だ」とダメ押しし、「心を静めてまたの間からのぞくと真実が見える」と教えます。そして、最後にナークが正体を現し、村のお坊さんの手に負えなくなったら、バンコクから高僧を呼んでナークの魂を鎮め、成仏させてやるのです。ところが今回は....。そのあたり、じっくりご覧になってみて下さい。

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(C)2013 Gmm Tai Hub Co.,Ltd. All Rights Reserved.

今回のテーマは、「仏教は偉大なり」ではなくて、「愛情&友情は偉大なり」ということのようです。それと、「笑いは魂を救う」といったところでしょうか。最後の最後まで笑わせてくれますので、「あ、エンドだ〜」と油断しないようにして下さいね。前にもアップしたのですが、バンコク北東部、マハーブット寺境内にあるナーク廟の写真を再度付けておきます。

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このナーク像も長い黒髪ですが、前作『ナン・ナーク』では史実に基づいて刈り上げのような髪をしていたナークは、今回長い黒髪になっています。やっぱりこれが理想のナーク像なんでしょうかしら。

マークを演じたマリオ・マウラーは、日本でも公開された『ミウの歌』(2007/映画祭上映題名は『サイアム・スクエア』)などで名前が知られています。一方、ナーク役のダビカ・ホーンも、今後人気女優になる可能性大。こちらでご紹介したように(名前の表記がちょっと違っています。すみません)、今夏公開されたリメイク版『傷あと』でも主演して、印象的な演技を見せているからです。本作がヒットして、タイ映画がいろいろ公開されるようになるといいですね。

日曜日の「したコメ」上映には、バンジョン・ピサンタナクーン監督がゲストとして登壇し、Q&Aが行われる予定です。この機会に、『愛しのゴースト』をぜひ!


 

「第7回したまちコメディ映画祭in台東」始まる

昨日もちょっとご紹介した、「したまちコメディ映画祭in台東」が本日華々しくオープニングを迎えました。公式サイトはこちらです。

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「したコメ」のオープニングは毎年天候に恵まれるんだそうで、本年も極上のお天気。ひょっとして、ディレクターのいとうせいこうさんが晴れ男なのかも。事務局が配信して下さった写真には、好天下の楽しそうなレッド・カーペットの写真が。アジアからのゲストはちょっと見当たらないみたいですね。レッドカーペットの写真はこちらを見ていただくとして、舞台での集合写真をどうぞ。

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オープニング作品は、周星馳(チャウ・シンチー)監督作品『西遊記〜はじまりのはじまり〜』。主演は、文章(ウェン・ジャン)に舒淇(スー・チー)、そして黄渤(ホアン・ボー)に羅志祥(ショウ・ルオ)と、豪華メンツです。

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 (C) 2013 Bingo Movie Development Limited

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(C) 2013 Bingo Movie Development Limited

今回の映画祭上映を事前にご紹介できなくてすみませんでしたが、でも、この作品って、日活&東宝が鳴り物入りで発表した「GOLDEN ASIA」の作品ですよね。ということは、他の2本、インド映画『チェイス』と『Bhaag Milkha Bhaag』も映画祭での先行上映の可能性あり???

明日の「したコメ」は昨日ご紹介したタイ映画『愛しのゴースト』と共に、香港映画の周潤発(チョウ・ユンファ)主演作品『ヴェガスからマカオへ』(原題:賭城風雲)も上映されます。監督はお久しぶりです〜の王晶(ウォン・チン)で、共演は謝霆鋒(ニコラス・ツェー)、杜汶澤(チャップマン・トー)、そして悪役の高虎(ガオ・フー/ああ、ASKA的時の人!役柄を実生活でやってはいけません)。香港版予告編はこちらです。

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ⒸMEGA-VISION PROJECT WORKSHOP LIMITED

上映は9月14日(日)午前11時より浅草公会堂にて。ゲストとして登壇するのは、香港映画といえばこの方、映画評論家の宇田川幸洋さんです。こちらへもぜひ駆けつけて下さいね。王晶監督らしく、バカバカしくも華やかな、しかもアクションの見せ場も多い娯楽作になっています。香港映画はこの秋、『ファイアー・レスキュー』(原題:救火英雄)や『レクイエム 最後の銃弾』(原題:掃毒)の公開も控えているので、香港映画ファンには忙しい秋になりそうですね。

 

 

マラヤーラム語映画上映会再び

9月6日(土)に『治療者(Apothecary)』の上映会があったばかりのマラヤーラム語映画、再び上映会が計画されています。毎度のことながら、Periploさんから情報をいただきました。ありがとうございます〜。

今回は、またまたモーハンラール主演作です。6月の上映作品『Mr.ペテン師(Mr. Fraud)』もモーハンラールの主演でしたね。やっぱり、大人気なんですね〜。トップ男優になってもう30ン年、体重が増えた時にはこれですっかりお父さん役に後退か、と思ったのですが、そのお父さん役レベルでずっと主役を張り続けているのですからすごいです。そう言えば、私はモーハンラールがデビューしたばかりの時に、日本で会ったんだった....。(興味のある方は、拙著「アジア・映画の都」をどうぞ)

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今回の作品は、『オニネズミ(Peruchazhi)』というタイトルです。「オニネズミ」って英語では「bandicoot」と言うんだそうですが、何とこの単語は元はテルグ語「pandikokku」で、意味は「pig rat」つまり「ブタネズミ」なんだそうです。元のはかなり巨大なネズミだったのでしょうか。

下にご紹介したカーヴェリ川長治さんの紹介文の中に、なぜこんなタイトルになったのか、という解説があり、「オニネズミ」の写真があります。また、Periploさんの紹介文には、ネズミではなくて害虫なのだというお話が。皆様、映画をご覧になって、「ネズミ」説と「害虫」説、どちらが当たっているか判断してみて下さいね。

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 『オニネズミ』 予告編

(2014/マラヤーラム語/154分/原題:Peruchazhi/英語字幕付き) 
 監督:アルン・ヴァイディヤナータン
 主演:モーハンラール、ムケーシュ、バーブラージ、ヴィジャイ・バーブ、ラーギニ・ナンドワニ

■日時:2014年9月28日(日)午後2:00〜
■会場:埼玉県川口市、SKIPシティ・彩の国Visual Plaza 
■料金:大人1,900円
■主催者公式FB(英語) 
Periploさんの詳しいご紹介ページ&予約方法などはこちら
カーヴェリ川長治さんの詳しいご紹介ページはこちら

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インドの選挙参謀がアメリカに渡り、インド式選挙のノウハウを駆使してアメリカの選挙を戦う、というストーリーのコメディ映画らしいです。今回は英語字幕も付いているので、きっと楽しめそうですね。舞台となるのはカリフォルニアの州知事選。さーて、どんなドタバタが繰り広げられるのでしょう。お楽しみに〜。

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今度の土日は「ナマステ・インディア2014」!

デング熱騒ぎでハラハラさせられた「ナマステ・インディア2014」ですが、予定通り9月20日(土)・21日(日)と、代々木公園イベント広場で開催されます。公式サイトには注意事項も載っていますので、参考になさりながら年に1度の大イベントを楽しんで下さいね。

今回インド映画関係のイベントでは、アルカカットさんこと高倉嘉男さんの講演があります。

9月21日(日) 13:00〜14:30
講演会
「インド映画の楽しみ方」
 高倉 嘉男
 @エア・インディア・セミナーハウス(大きなテントだそうです)
 主催:(公財)日印協会

そして、皆様がDVDをお買い求めになる時のために、昨年と今年9月までのヒット作一覧を下に付けておきます。

[2013年インド映画興収ベスト10]
※興収総計はこちらのWiki「Bollywood Films of 2013」のデータによる〔インド+海外〕興収

1.『チェイス』Dhoom 3  53億3000万ルピー
    監督:ヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ
    主演:アーミル・カーン、アビシェーク・バッチャン、カトリーナ・カイフ
※12月公開予定。果たして「でもその前に」のサプライズは??? ニュースがないかと「GOLDEN ASIA」のHPを時々チェックするのですが、もうちょっと何とかしてほしいですこのHP...。下はインド版DVDで、タミル語版も買ってしまった@シンガポール。タミル語の歌もいいですよ〜。

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2.『チェンナイ・エクスプレス』Chennai Express  42億4000万ルピー
    監督:ローヒト・シェーッティー
    主演:シャー・ルク・カーン、ディーピカー・パードゥコーン
※皆さんの関心は、10月24日(金)インド公開の、シャー・ルク・カーン&ディーピカー・パードゥコーンの新作『Happy New Year』の方にあるかも知れませんね〜。でも、『チェンナイ・エクスプレス』も忘れないで下さい。ホントに、忘れないで下さいね〜(しつこいにはワケがある...)。インド版DVDはこんなデザインです。ついでに、『Happy New Year』の新しいポスターもどうぞ。(何だか似ているぞ!)

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3.『クリシュ 3』Krrish 3  37億5000万ルピー
    監督:ラーケーシュ・ローシャン
    主演:リティク・ローシャン、プリヤンカ・チョープラー、カングナー・ラーナーウト、ヴィヴェーク・オベロイ
※リティク・ローシャンの仮面のヒーローもの第2弾。彼の作品もそろそろ公開されてもいいんですけどねー。リティク・ファンの方、いましばらくお待ち下さい。この作品は悪役の2人もよくて、オススメです。前作のポスターと共にどうぞ。(スキャンがしんどくなったので、以後はポスター画像でご勘弁下さい)

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4.『若さは向こう見ず』Yeh Jawaani Hai Deewani  30億9000万ルピー
    監督:アヤン・ムケルジー
    主演:ランビール・カプール、ディーピカー・パードゥコーン
※インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパンで上映されます。楽しみですね〜。『バルフィ!人生に唄えば』でランビール・カプールのファンになった人がどっと押し寄せるかも。IFFJの公式サイトはこちら。予告編も見られます。

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5.『ラーム・リーラー』Goliyon Ki Raasleela Ram-Leela  20億2000万ルピー
    監督:サンジャイ・リーラー・バンサーリー
    主演:ランビール・カプール、ディーピカー・パードゥコーン
※今の時期にちょうどぴったり。サンジャイ・リーラー・バンサーリー監督の特色が出過ぎて、ちょっと装飾過剰気味の作品になっています。お話は、「ロミオとジュリエット」の物語。シェークスピア作品の翻案映画、インドでも多いですねー。

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6.『走れ、ミルカ・シン(邦題は未定です)』Bhag Milka Bhag  12億6000万ルピー
    監督:R・O・メーヘラー
    主演:ファルハーン・アクタル、ソーナム・カプール
※これも「GOLDEN ASIA」レーベルで来年公開予定。見れば見るほど泣ける映画です。今、実在のアスリートであるミルカ・シン(日本公開時の表記は「ミルカー」ではなく「ミルカ」に決定)の年譜などを作りながら、作品研究に勤しんでいます。

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7.『レース2』Race 2  16億2000万ルピー
    監督:アッバース=マスターン
    主演:サイフ・アリー・カーン、ジョン・アブラハム、ディーピカー・パードゥコーン、アニル・カプール
※前作『レース』(2008)もそうでしたが、アッバース=マスターンの兄弟監督はサスペンス作品を撮らせたら非常にうまいです。本作も見応えのあるサスペンス展開で水準以上。ディーピカーたんの悪女ぶりも一見の価値があります。

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8.『愛するがゆえに』Aashiqui 2  11億ルピー
    監督:モヒト・スリ(モーヒト・スーリー)
    主演:アディティヤ・ロイ・カプール、シュラッダ・カプール
※昨年のIFFJで上映されたので、ご覧になった方も多いはず。歌がとてもステキで、主演の2人はいまや大活躍。ところで、私の買った正規版は傷があるのかスタックしてしまい、箱だけの価値しかありません...。もう一度買い直したい(泣)。

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9.『恋する人(仮題)』Raanjhnaa  10億3000万ルピー
   監督:アーナンド・L・ラーイ
   主演:ダヌシュ、ソーナム・カプール、アバイ・デオル
※この作品も本年のIFFJで上映予定。いいセレクションですねー。邦題がまだのようですが、どうなるのかしら? 幼なじみを一筋に愛した男が、周りの人々を不幸に巻き込んでいってしまう、という悲劇ロマンスものです。

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10.『R... ラージクマール』R... Rajkumar  10億2000万ルピー
   監督:プラブ・デーヴァ
   主演:シャーヒド・カプール、ソーナークシー・シンハー、ソーヌー・スード
※この作品もまた、本年のIFFJで上映される予定。未見なんですが、予告編を見ると楽しそうな作品ですね。

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そのほか、2013年のヒット作としては次のような作品があります。

『邪視よ、去れ』Chasme Buddoor(監督:デヴィッド・ダワン/主演:アリー・ザファル、シッダールト)

『弁護士ジョリー』Jolly LLB(監督:スバーシュ・カプール/主演:アルシャド・ワールシー、ボーマン・イラニ)

『フックレー/ないない尽くしの男たち』Fukrey(監督:ムリグディープ・シン・ランバー/主演:プルキト・サムラート、アリー・ファザル、マンジョート・シン)

『純国産ロマンス』Shuddh Desi Romance(監督:マニーシュ・シャルマー/主演:パリニーティ・チョープラー、スシャント・シン・ラージプート)

『スペシャル26』Special 26(監督:ニーラジ・パーンデー/主演:アクシャイ・クマール、アヌパム・ケール)

『大いなる陶酔』Grand Masti(監督:インドラ・クマール/主演:ヴィヴェーク・オベロイ、リテーシュ・デーシュムク)

『ABCD』ABCD(Any Body Can Dance)(監督:レモ・デスーザ/主演:プラブ・デーヴァ、ガネーシュ・アーチャーリヤ)

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[2014年9月までのインド映画興収ベスト5]

1.『キック』Kick  39億5000万ルピー 予告編

   監督:サージド・ナディヤードワーラー
   主演:サルマーン・カーン、ジャクリーン・フェルナンデス、ランディープ・フーダー、ナワーズッディーン・シッディーキー
※『チェイス!』に続く国内歴代興収第2位のヒットとなった作品。えー、率直な感想は当ブログのこちらをどうぞ。

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2.『ジャイ・ホー!』Jai Ho!  18億3000万ルピー 予告編

        監督:ソーヘイル・カーン
   主演:サルマーン・カーン、タッブー、デイジー・シャー
※サルマーン・カーンの今年初めのヒット作。サルマーン・カーンのファンの方はどうぞ。

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3.『シンガム再見参』Singham Returns  15億6770万ルピー 予告編

   監督:ローヒト・シェーッティー
   主演:アジャイ・デーウガン、カリーナ・カプール・カーン
※タミル語映画のリメイクで、ヒットした『シンガム』(2011)の続編。詳しくは当ブログのこちらをどうぞ。

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4.『2つの州』2 States  15億5670万ルピー 予告編

   監督:アビシェーク・バルマン
   主演:アルジュン・カプール、アーリアー・バット
※チェータン・バガト原作小説の映画化にはずれなし。パンジャーブの男子学生とタミル・ナードゥの女子学生が大学で恋に落ち...という出だしは平凡ですが、卒業後の展開がなかなか見応えアリ。

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5.『1人の悪者』Ek Villain  12億4650万ルピー 予告編

   監督:モーヒト・スリー
   主演:シッダールト・マルホートラー、リテーシュ・デーシュムク、シュラッダー・カプール
※未見ですが、シド君がかなりの演技力を発揮している模様。

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そのほかのヒット作、話題作としては....。

『クイーン』Queen(監督:ヴィカース・バフル/主演:カングナー・ラーナーウト、ラージクマール・ラーオ)

『ハンプティー・シャルマーの花嫁』Humpty Sharma Ki Dulhania(監督:シャシャーンク・カイタン/主演:ヴァルン・ダワン、アーリアー・バット)

『ならず者』Gunday(グーンデー)(監督:アリー・アッバース・ザファル/主演:ランヴィール・シン、アルジュン・カプール、プリヤンカ・チョープラー)

『ヒーローはつらいよ』Main Tera Hero(監督:デヴィッド・ダワン/主演:ヴァルン・ダワン、イリヤーナー・デクルーズ、ナルギス・ファクリー)

『街の灯』Citylights(監督:ハンサル・メーヘター/主演:ラージクマール・ラーオ、パトラレーカー)

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では、「ナマステ・インディア」を楽しんで下さいね! お天気がちょっと心配ですが、晴れますように〜。


TIFFで『チェイス!』と『ザ・レイド GOKUDO』お披露目!!

10月23日(木)〜31日(金)に六本木ヒルズ等で開催される、第27回東京国際映画祭(TIFF)の<特別招待作品>全21作品のラインアップが先ほど発表されました。詳しくは公式サイトをご覧いただきたいのですが、アジア映画の超話題作が2本入っています。<特別招待作品>は配給会社がすでに権利を買っていて、公開が決まっている作品の中から選ばれます。そして通常ですと、前宣伝を兼ねて豪華なゲスト、つまり、地味な監督ではなく(ごめんなさい、監督の皆様)スターをTIFFの時に招聘することが多いのです。ということは....。さあ〜〜〜、大いに期待していましょうね!

『チェイス!』
インド/原題:Dhoom 3
 監督:ヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ
 出演:アーミル・カーン、カトリーナ・カイフ、アビシェーク・バッチャン、ウダイ・チョープラー

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©Yash Raj Films Pvt. Ltd. All Rights Reserved.

『ザ・レイド GOKUDO』
インドネシア/原題:The Raid 2
 監督:ギャレス・エヴァンス
 出演:イコ・ウワイス、ヤヤン・ルヒアン、アリフィン・プトラ、松田龍平、遠藤憲一、北村一輝

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©2013 PT Merantau Films

『ザ・レイド GOKUDO』、実は昨日試写で見せていただいたばかり。前作『ザ・レイド』(2011)以上にイタいアクション・シーンが多く、スピード感に溢れていて2時間26分があっという間でした。こちらは11月22日(土)から公開予定なので、後日また詳しくご紹介しますね。

そのほか、アジアの映画スターが出演している作品も付けておきましょう。

『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』
日本
 監督:犬童一心
 出演:相葉雅紀、榮倉奈々、ハン・ヒョジュ、生田斗真

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©2014『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』製作委員会 ©2013中村航/小学館 

『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』
アメリカ/原題:The Expendables 3
 監督:パトリック・ヒューズ
 出演:シルベスター・スタローン、ハリソン・フォード、メル・ギブソン、アントニオ・バンデラス、アーノルド・シュワルツェネッガー、ジェット・リー

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©EX3 Productions,Inc.All Rights Reserved.

さらに、オープニング作品にもなつかしい(?)名前が。

【オープニング作品】
『ベイマックス』
 アメリカ/原題:Baymax-Riesiges Robowabohu/Big Hero 6
 監督:ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ
 出演:スコット・アディスト、ライアン・ポッター、ダニエル・ヘニー

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©2014 Disney. All Rights Reserved.
12月20日(土)全国ロードショー!

『マイ・ファーザー』(2007)などの超イケメン男優ダニエル・ヘニー、最近はアメリカで活躍していたんですね〜。

チケットの発売は10月11日(土)からticket boardにて。詳しくはTIFF公式サイトをご覧下さい。

 

『チェンナイ・エクスプレス』と『クリッシュ』も公開!

「ナマステ・インディア」をお楽しみ予定の皆様、本日このチラシが会場で配られますのでゲットして下さいね。

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そうなんです〜、2013年インド映画興収第2位と第3位の作品が、10月末に一挙上映されるのです。チラシの中を見てみましょう。『チェンナイ・エクスプレス』は副題が付いていて、『チェンナイ・エクスプレス−愛と勇気のヒーロー誕生−』となっています。『クリッシュ』は正確な発音では「クリシュ」なのですが、日本人が発音しやすいようにということからか、この表記になったのかも知れません。

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そして上映スケジュールは.....。

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ええー、たった3回だけ?! 1日1回のレイトショー上映で、日替わりでたった1週間。インド人が見たら泣いちゃうよ、いやいや、日本人だって泣いちゃうよ的上映スケジュールですが、まあこの時期開催されている東京国際映画祭(TIFF)の一環だと思えば仕方がないか、です。

TIFFと言えば、『チェイス!』の上映が決まり、ゲスト来日の期待が高まりますが、10月25日(土)に『きっと、うまくいく』の上映が1回だけ入っているのは、それと何か関係が??? だって、両方ともアーミル・カーンの主演作なので、妄想するなという方が無理というもの。昼は六本木、夜は渋谷に登場、なのだろうか?????

はやる心を抑えて、ちょっと字が小さい両作品のデータ部分と、それから予告編等を貼り付けておきましょう。

『チェンナイ・エクスプレス−愛と勇気のヒーロー誕生−』 予告編 歌「ルンギーダンス」
 2013年/インド/ヒンディー語・タミル語/141分/原題:Chennai Express
 監督:ローヒト・シェッティ
 脚本:ロビン・バット、ユヌス・サジャワル、サジッド・K・サブハッシュ(*)
 主演:シャー・ルク・カーン、ディーピカー・パードゥコーン、サティヤーラージ、ニキティン・ディール、プリヤーマニー

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『クリシュ 3』 予告編
 2013年/インド/ヒンディー語/145分/原題:Krrish 3
 監督:ラーケーシュ・ローシャン
 音楽:ラージェーシュ・ローシャン
 主演:リティク・ローシャン、プリヤンカー・チョープラー、ヴィヴェーク・オーベローイ、カンガナー・ラーナーウト

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(*)の印を付けた「サブハッシュ」は、元のローマナイズ表記は「Subhash」なので、正しくは「スバーシュ」、または「スバシュ」としないといけませんね。ヒンディー語が全然できない方が表記したのかしら、と思っていたら、キャスト表記は結構正しいし、ちょっと謎です。 

でも、キャスト表記も、「カンガナー」は「カングナー」の方がいいですね。ヒンディー語では、「長母音の音の前に短母音”a”が付く音が来ると、”a”が落ちて子音のみになる」という発音法則があるからです。「Kangana Ranaut」というローマナイズ表記になっていますが、音は「カングナー・ラーナーウト」となります。ローマナイズ表記は人それぞれで、皆さん占星術師に相談したりして決めているようです(日本の画数みたいなもの?)。下のポスターの真ん中が、カングナー・ラーナーウトです。

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本日配られるチラシ、よく見るとチラシ画像のキャッチコピーが「なに、コレ?!」だったりしますが、上映はしっかりした日本語字幕で見られますので、ぜひお楽しみ下さい。関西でも上映が企画中、との噂もあります。ただし、こんな形の公開なので、はは〜ん、と思われる方も多いはず。そうなんです〜、日本中のインド映画ファンヘの吉報は、クリスマスあたりでしょうか....。



『ダバング 大胆不敵』”男気”スタンプできました〜♪

LINEをやってらっしゃる皆様に朗報です。『ダバング 大胆不敵』のスタンプが、19日より購入できるようになりました。こちらのサイトをご覧下さい。『ダバング』(と『マダム・イン・ニューヨーク』も)のデザイナー、私が秘かに「ルフィーさん」と呼んでいる図案計画の坂東雄一さん描くチュルブル・パンデーが、ずらっと並んで出番を待っています。この画像、壁紙にしたいなあ。

ホントはいけないんですが、これまで使われた画像からルフィーさんの絵を抜いて、スタンプ風にしてみました。

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「みんな、買わんかいっ!」

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「グッジョッブ!」

実はこのスタンプ、かなり前から、字幕を担当した藤井美佳さん(名字幕!!)のアイディアで計画されていたのですが、申請して承認されるまでずいぶん時間がかかったのだとか。上映に間に合えばよかったのにね〜。でも、まだこれから上映の地域もありますし、どんどん使っていただいて、LINE上をチュルブル・パンデーでいっぱいにしてしまいましょう。

お前は買わないのかって? えー、私の携帯は旧機種もいいとこで、原始時代の二つ折りモデルなのです。この間は年下の友人から、「今は会社でさえも連絡はFBかLINEを使ってて、それ以外のメールを見るのは大変なんです!」とキレられたぐらい。そんなわけで、うちにはやって来ません、チュルブル旦那(泣)。

でも、こうして眺めていると、胸の前でバッテンして「ダメー!」とか、ベルトダンス踊ってるやつとか、両耳に手を当てて「もうしません、ごめんちゃい」をしているやつとか、使ってみたくなりますね〜。この青い顔色のは何でしょう? 「深く反省してます」かな? 皆様、40面相してるチュルブル・パンデーを、どうか可愛がってやって下さいませ〜〜〜。


 

秋の香港映画<1>『ファイアー・レスキュー』

今週から本職(?)の仕事が始まってバタバタしていましたが、香港映画の力作を2本、ここらでご紹介しておきます。1本は謝霆鋒(ニコラス・ツェー)と余文樂(ショーン・ユー)が主演する消防士ものアクション『ファイアー・レスキュー(救火英雄)』、もう1本は香港映画お得意の3人バディもので、劉青雲(ラウ・チンワン)、古天樂(ルイス・クー)、張家輝(ニック・チョン)主演の『レクイエム 最後の銃弾(掃毒)』です。

では、まずは『ファイアー・レスキュー』から、データをどうぞ。

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『ファイアー・レスキュー』 公式サイト 予告編 

2013年/中国=香港/116分/原題:救火英雄
監督:郭子健(デレク・クォック)
出演:謝霆鋒(ニコラス・ツェー)、余文樂(ショーン・ユー)、任達華(サイモン・ヤム)、胡軍(フー・ジュン)、安志 (アンディ・オン)、白冰(バイ・ビン)

提供:カルチュア・パブリッシャーズ
配給・宣伝:フリーマン・オフィス

※10月11日(土)よりシネマート六本木、シネマート新宿、10月25日(土)よりシネマート心斎橋にてロードショー

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サムこと何永森(ホー・ウィンサム/ニコラス・ツェー)とチウこと游邦潮(ヤウ・ボンチウ/ショーン・ユー)、そして上昇志向の強いイップこと葉志輝(イップ・チーファイ/アンディ・オン)は同じ消防署の消防士。サムは「救人比救火緊要(人命救助は消火よりも大事)」を信念にしており、要領のいいイップと対立することもしばしば。この日の火災現場でも無理をしたサムとチウは負傷。その責任を問われた彼らでしたが、チウが「俺のミスです」と申し出て署長候補の一人になっていたサムは助けられます。

しかしながら、署長に昇進したのはイップでした。サムとチウもイップが署長となった新しい消防署に配属されますが、そこにはベテランの消防士タオ(サイモン・ヤム)もいて、「伝説の消防士」と呼ばれていました。さらに、新人にしては年を食っているホイ(フー・ジュン)も加わります。ホイは大陸で消防士をしていたのですが、ある事情により香港へと移ってきたのでした。皆が訓練に励む中、イップとサムの対立は深まっていきます。

そんな時、街の小さな工場が火事になります。すぐに鎮火はしたのですが、そのそばに発電所へと通じる天然ガスパイプがあり、サムの二次災害を防ぐための進言をイップが聞き入れなかったことから、発電所の大火災が引き起こされることに。香港中の電気が消え、大渋滞する街で、サムたちは消火に従事しますが、渋滞のため後続の消防隊がやって来られません。また、折悪しく小学校の見学遠足で発電所に行っていたチウの息子が、発電所に取り残されていることもわかってきます。破壊され、危険だらけの発電所の中で、サムとチウ、タオ、ホイらは取り残された人々を助けることができるのでしょうか....。

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ハリウッド映画『タワリング・インフェルノ』(1974)以来、火災ものパニック映画はアジアでもいくつか優れた作品を生んできました。すぐ思い出すのは、香港映画『ファイヤーライン(十萬火急)』(1997)や韓国映画『リベラ・メ』(2000)などですが、本作もその系統に連なる、火災パニック+アクション+人間ドラマ仕立てになっています。

火災パニック+アクションの面では、クライマックスの発電所崩壊シーンがとにかく大迫力のひと言。CGも相当使っていると思われますが、元朗(ユンロン)に作られたという大セットがとてもリアルで、各シーン手に汗握る緊迫感をもたらしてくれます。香港版Wikiによると、このセットは3ステージ分を使った広大なもので、監督のデレク・クォックは半年間にわたって香港や中国の過去の大型火災を詳しく研究し、シーンを組み立てたとか。

予算も大型時代劇なみの1億5千万香港ドル(約20億円)で、その中にはニコラス・ツェーに掛けられた高額保険金の掛け金も入っているそうです。つまり、ニコラス・ツェーはアクションをすべて自分でこなしたわけですね。煙が充満する中でのシーンも多く、出演者は皆さん大変だったことと思います。このクライマックスはとても見応えがありますので、ぜひお見逃しなく。

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デレク・クォック監督は1976年生まれで、2007年に『野・良犬』で監督デビュー。そして3作目の『燃えよ!じじいドラゴン 龍虎激闘』で大きな注目を浴びました。その後、2013年の『西遊記 はじまりのはじまり』では周星馳(チャウ・シンチー)監督のもとで共同監督(ていうか、実質的な監督ですね)として腕を振るい、さらに『ファイアー・レスキュー』でまた一段と成長、という、今後が楽しみな監督です。今後の課題があるとすれば、ドラマ面での弱さの克服、というところでしょうか。

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『ファイアー・レスキュー』で惜しいのは、あまりにもドラマ部分が陳腐、凡庸すぎること。というわけで、人物造形も平凡なものになっています。これだけ上手な俳優を揃えたのですから、これまでにないキャラクター作りや、背景ストーリーがほしかったですね。それにしてもニコラス・ツェー、最近何だか暗い役柄ばかりでちょっと寂しい限りです。ショーン・ユーも「いい人」というステレオタイプが続きますし、アンディ・オンも「悪いヤツ」一直線。香港映画界の皆様、宝はもっと大事にして磨きましょうね〜。

と文句を言いつつも、久々に譚耀文(パトリック・タム)の顔も見られて(発電所責任者役。太っていてビックリ)、楽しんだ『ファイアー・レスキュー』でした。

 

 

秋の香港映画<2>2014秋の香港・中国エンターテインメント映画まつり

『レクイエム―最後の銃弾―』のご紹介の前に、恒例の配給会社ツインによる特集上映のお知らせを。ここ数年続いている<香港・中国エンターテインメント映画まつり>ですが、2014年秋も豪華な3本『ファイヤー・ストーム』『ドラゴン・フォー』『ドラゴン・フォー2』が上映されます。チラシと基本データをどうぞ。

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『ファイヤー・ストーム』  予告編1 予告編2
 
2013年/香港・中国/118分/原題:風暴
監督:袁錦麟(アラン・ユエン)
出演:劉徳華(アンディ・ラウ)、姚晨(ヤオ・チェン)、林家棟(ラム・カートン)、胡軍(フー・ジュン)
配給:ツイン

※11月8日(土)よりシネマート六本木、12月よりシネマート心斎橋にてロードショー

アンディ、50歳を過ぎてもアップに耐えられる顔ですねー。そう言えば、昨日9月27日はアンディのお誕生日でした。生日快樂、華仔!

『ファイヤー・ストーム』はハードなガンアクションが話題になった警察もの。特捜班の刑事であるアンディ、兇悪強盗団のボスであるフー・ジュン、そしてアンディの幼なじみで、強盗団の一味であるラム・ガートンの3人が、がっぷりとぶつかり合うドラマ部分でも注目されました。監督のアラン・ユエンは脚本家としても活躍している人で、この次にご紹介する『レクイエム―最後の銃弾―(原題:掃毒)』の脚本も担当しています。ほかにも、『香港国際警察/NEW POLICE STORY』(2004)、『コネクテッド』(2008)、『新少林寺』(2011)といった作品の脚本も担当。そう聞くと、期待が高まりますね。もちろん、『ファイヤー・ストーム』の脚本もアラン・ユエンの手になるものです。たっぷりとお楽しみ下さい。


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『ドラゴン・フォー 秘密の特殊捜査官/隠密』  予告編 

2012年/中国/118分/原題:四大名捕
監督:陳嘉上(ゴードン・チャン)、秦小珍(ジャネット・チュン)
出演:[登+おおざと]超(ドン・チャオ)、劉亦菲(リウ・イーフェイ)、黄秋生(アンソニー・ウォン)、鄭中基(ロナルド・チェン)、鄒兆龍(コリン・チョウ)
配給:ツイン

『ドラゴン・フォー2 秘密の特殊捜査官/陰謀』  予告編 

2013年/中国・香港/117分/原題:四大名捕?
監督:陳嘉上(ゴードン・チャン)、秦小珍(ジャネット・チュン)
出演:[登+おおざと]超(ドン・チャオ)、劉亦菲(リウ・イーフェイ)、黄秋生(アンソニー・ウォン)、鄭中基(ロナルド・チェン)、鄒兆龍(コリン・チョウ)
配給:ツイン

※11月8日(土)よりシネマート六本木、12月よりシネマート心斎橋にてロードショー

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有名な温瑞安の武侠小説シリーズであり、黄玉郎が出している漫画(上)でも知られる「四大名捕」の映画化です。時代は宋代。皇帝直属の特務機関「神侯府」には、その創設者であり府長でもある諸葛正我(アンソニー・ウォン)のもと、「四大名捕」と呼ばれる凄腕の隠密たちがいました。狼の血を引く冷徹な剣士「冷血」(ドン・チャオ)、足が不自由ながら超能力を駆使する女性「無情」(リウ・イーフェイ)、鍛冶屋で腕力抜群の「鉄手」(コリン・チョウ)、そして天下一の借金取立屋「追命」(ドナルド・チェン)の4人です。彼らは都の警察組織「六扇門」と力を合わせて偽金作り一味を追うように命令されますが....というのが『ドラゴン・フォー』。

『ドラゴン・フォー2』では、前作で死んだと思われていた偽金作りの首謀者(演じているのは、『北京ロマンinシアトル』で湯唯(タン・ウェイ)の相手役をやった呉秀波(ウー・ショウポー)。時代劇もよくハマっていて、なかなかチャーミングな悪役となっています)が実は生きていて...、というストーリーとなります。一挙上映で、いわば前後編が一緒に見られるという嬉しい企画です。どちらか1本でも楽しめると思いますが、できれば2本ご一緒にどうぞ。

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すでに『四大名捕?』にあたる『四大名捕 大結局』も作られていて、この夏公開されていました。『四大名捕 大結局』の予告編はこちら。上はシンガポールで8月半ばに撮った写真です。とりあえず、『ドラゴン・フォー』&『ドラゴン・フォー2』をお楽しみ下さいね。


第27回東京国際映画祭全ラインアップ発表!

本日午後、第27回東京国際映画祭(10月23日(木)〜31日(金))の全ラインアップが発表されました。特別招待作品はすでにお伝えしたこちらの通りですが、その他の部門のアジア映画は次の画像をどうぞ。ちょっとご覧になりにくいのですが、リリースがチラシの各ページをスキャンする形でやってきたため、そのままの形のものを使っています。後日各作品のスチールが配信されたら、また整理してお伝えしますね。(というわけで、アジア映画以外の作品もちょっぴり混じっておりますがお許しを)

「コンペティション」部門

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「ワールド・フォーカス」部門

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「アジアの未来」部門

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「国際交流基金アジアセンター presents CROSSCUT ASIA #01 魅惑のタイ」部門

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すでにメルマガ会員向け先行販売受付(抽選)も始まっています。詳しくは、TIFF公式サイトをどうぞ。取り急ぎ、第1報まで〜。


 

秋の香港映画<3>『レクイエム―最後の銃弾―』

さて、香港映画のご紹介第3弾は、真打ちとも言うべき『レクイエム―最後の銃弾―』です。どこが真打ちかって? そのポイントは3つあります(法学部の学生口調)。

1.陳木勝(ベニー・チャン)監督作品である〜デビュー作の『天若有情』(1990)、ジャッキー・チェン主演の『WHO AM I ?』(1998)、彼自身の脚本もひっくるめて唸らされた『コネクテッド』(2008)等々、この人の作品にはどこかしらに工夫や目新しさがあって、毎回、楽しめます指数チョー高し。今回の『レクイエム―最後の銃弾―』は、『新少林寺/SHAOLIN』(2011)から2年ぶりの作品です。

2.主演が、劉青雲(ラウ・チンワン/50歳)、古天樂(ルイス・クー/43歳)、そして張家輝(ニック・チョン/46歳)の3人である〜まさに、主役級三段重ね。二段重ねは何本かありますが、3人勢揃いという大盤振る舞いは珍しい。しかも、演技に油が乗っているこの3人と来れば、期待は高まろうというものです。

3.香港電影金像奨、台湾金馬奨など、多くの映画賞にノミネートされた作品である〜どちらも受賞はならなかったのですが、金像奨では作品賞、監督賞、主演男優賞(ラウ・チンワンとルイス・クーの2人)等々、8項目にノミネート。興行収入も、2013年の作品では1、2位を争ういい成績を残しました。

まさに、秋の香港映画の真打ちですね。では、まずは作品データをどうぞ。

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『レクイエム―最後の銃弾―』 公式サイト 予告編

2013年/中国=香港/134分/原題:掃毒

監督:陳木勝(ベニー・チャン)
出演:劉青雲(ラウ・チンワン)、古天樂(ルイス・クー)、張家輝(ニック・チョン)
配給・宣伝:フリーマン・オフィス

10月4日(土)よりシネマート新宿、10月11日よりシネマート心斎橋、他全国順次ロードショー

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幼なじみの親友3人、ティンこと馬昊天(マー・ホーティン/ラウ・チンワン)、チャウこと蘇建秋(ソー・ギンチャウ/ルイス・クー)、ワイこと張子偉(チョン・チーワイ/ニック・チョン)は今は警官となり、麻薬組織一味の逮捕に取り組む日々。中でもチャウは潜入捜査官として麻薬組織に潜り込み、ハク(林國斌/ベンジャミン・ラム)の腹心の部下となっていました。

ティンとワイら警察が、チャウのおかげでハク一味の取引現場を押さえ、一網打尽にしようとした時、上層部からストップがかかります。ハクのさらに上に位置する、タイの麻薬組織のボス、ブッダ(廬海鵬/ロー・ホイパン)を捕らえるためにハクを泳がせろ、という指令でした。こうして、チャウはハクと共に逃げ延び、やがてハクはブッダと会うためにチャウを伴ってバンコクへ赴きます。ティンとワイら警察側も、バンコクに乗り込んでタイ警察やインターポールとの連携を取り付けます。

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ところが、タイ警察の警官に内通者がおり、銃撃戦となってハクが死亡。ティンたちはハクとブッダを繋いでいたタイ在住の香港人ヤクザ、ボビー(廬惠光/ケネス・ロー)を案内役に、ハク一味に化けてブッダと会おうとします。バンコク郊外の建設途中でうち捨てられた団地にやって来たのは、ブッダの息子と娘ミナ。やがてティンたちの正体がばれ、激しい銃撃戦が展開されます。

森の中へと追いつめられたティンたちは、ミナを人質に取り、ブッダと対峙しました。「娘の命を助けてくれれば、お前たちの中の1人だけを殺すことで手を打とう」。そのブッダの言葉に悩んだ末、ティンはワイを見殺しにしてしまいます。こうして、ティンとチャウは、香港へと帰ってきたのでした。

それから5年、警察組織に復帰したチャウは出世街道をひた走り、現在では麻薬捜査班のトップとなっていました。一方ティンは、5年前の事件の責任を取って左遷され、現在はしがない資料係。そんな時、香港の麻薬組織とブッダ一味の間に抗争が起こり、ブッダの息子が殺されます。今こそ取り締まりの好機であり、5年前の借りを返す時だ、とティンはチャウに進言しますが、チャウは動こうとしません。さらに、謎の人物が2人の前に現れます....。

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男3人の友情もの、ということと、タイを舞台にしていることから、つい1990年の呉宇森(ジョン・ウー)監督作品『ワイルド・ブリット』を思い出してしまいます。『ワイルド・ブリット』では3人が行くのはベトナムですが、この作品を意識してか、『レクイエム』にも『ワイルド・ブリット』と似たような構図のシーンがあったりします。

また、銃撃戦のすごさも『ワイルド・ブリット』なみ、いやそれ以上。特に、タイとマカオでのシーンは大迫力で、134分というインド映画並みの上映時間もあっという間。タイのバンコク郊外だと思うのですが、朽ち果てたコンクリートの建物の残骸がいくつも並ぶロケ現場は、よくぞこんな所を見つけてきたものだ、と感心してしまいます。1997年のアジア金融危機で建設がストップした、郊外団地とかなのでしょうか。マカオの場面も、5ツ星ホテルのラウンジを模したセットを破壊し尽くす銃撃シーンで、見ている方が痛みを感じるほど。十分にお金も掛けた、アクション大作です。

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小ワザもいろいろ効いていて、今回『レクイエム』で友情の証しとして歌われるのは、「誓要入刀山」という鄭少秋(アダム・チェン)の歌った曲。「♪誓要去 入刀山 浩氣壮 過千關 豪情無限 男児傲氣(間違えて2番の歌詞「長存浩氣」を歌っています) 地獄也獨來獨往返 存心一闖虎豹穴 今朝去幾時還 奈何難盡歓千日酔♪」 こちらに歌詞が出るMVがありますが、作曲は顧嘉[火軍](ジョセフ・クー)、作詞は黄霑(ジェームス・ウォン)という、1970&80年代の黄金コンピの曲です。歌詞の意味は....ぜひ画面でご覧になって、確認して下さいね。印象的な場面で、何度か使われています。思わず笑ってしまう、歌の録音場面はこちらでどうぞ。

最初のMVで3人が言い争いをしている「小さい時は俺が西門吹雪役だった」「お前は葉孤城だろ」というのは、古龍の武侠小説「陸小鳳傳奇」に登場するイケメン剣士たちですね。やっぱり、西門吹雪が一番いい役だったのでしょうか。花満楼は目が見えないし、陸小鳳は口髭があるし、葉孤城は敵役的存在だし、というわけで、子供たちの一番人気は西門吹雪だったのかも知れません。昔から、何度もテレビドラマになってきたこういう存在を入れるなど、香港の人々がぐっと来るツボをよく心得ています、ベニー・チャン監督。

そんな香港で今、みんなが民主主義を守るために立ち上がっていることはご承知の通り。「掃毒」ならぬ「掃中國介入」を目指して、ごくごく普通の人たちが行動に参加しています。こちらの映像は、私の地元とも言える旺角での様子。土曜日から上映される『レクイエム』をご覧になったら、ぜひ今の香港のことにも思いを馳せて下さいね。香港加油!

 


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