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『ダンガル きっと、つよくなる』<予選:その2>選手紹介①

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さてさて、インドに来ていても、気になるのは日本の情勢。といっても「もり・かけ」問題の情勢ではなく、『ダンガル きっと、つよくなる』をめぐるあれこれです。4月6日(金)の公開まで1ヶ月を切ってしまい、宣伝もいよいよ佳境に入っている時ですね。こちらでもcocoのツイッターをよくチェックしているのですが、宣伝にツッコミどころが多くて、それを読むたびに少しだけ関係者の私も背中に冷や汗が流れます。たとえば、「副題:きっと、つよくなる」→テークダウンで2点失う、「純朴なチラシ」→コレクトホールドで1点失う、「川崎のぼる先生のすばらしいイラスト」アップロード@公式サイト失敗(今はちゃんと見られます)→場外でマイナス1点か、と思われましたが、からくも逃げてノーカウント、という感じでしょうか。ギャガさんと共に宣伝を分担しているアニープラネットさんとスキップさん、がんばって下さい!

さて、日本を出る前に画像もたくさんいただいたので、ちょっと登場人物と俳優の紹介をしておきたいと思います。その前に、いつもの基本データをどうぞ。それにしても、川崎のぼる先生のイラストとコメント、すばらしいですね。まだ見ていない方は、下のアドレスから公式サイトに飛んで下さい。

 

(c)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016

『ダンガル きっと、強くなる』 公式サイト

2016年/インド/ヒンディー語/140分/原題:Dangal
 監督:ニテーシュ・ティワーリー
 主演:アーミル・カーン、サークシー・タンワル、ファーティマー・サナー・シャイク、ザイラー・ワシーム、サニャー・マルホートラー、スハーニー・バトナーガル、アパルシャクティ・クラーナー、リトウィク・サホーレー

 配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン/ギャガ
※4月6日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国公開

では、本作で見事な戦いっぷりを見せる登場人物たちをご紹介していきましょう。 

 (c)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016

マハヴィル:アーミル・カーン

フルネームではマハヴィル・シン・フォガト(正確に音引きを付けた書き方をするとマハーヴィール・シン・フォーガート。以下、かっこ内は同様)。レスリングでインドのナショナル・チャンピオンとなりますが、家庭の事情からレスリングに生きることはあきらめ、普通の勤め人となります。その後の展開は、いろいろと脚色はあれどほぼ映画に描かれた通り。今では、「フォガト・シスターズ」と呼ばれる女子レスリング選手グループの生みの親&育ての親として名を知られる人です。「フォガト・シスターズ」は実の娘であるギータ(ギータ-)、バビータ(バビータ-)、リトゥ、サンギーターに加え、姪のプリヤンカーとヴィネーシュの6人を指して言います。この姪の2人が、劇中ではオムカルという甥に転化されているようです。

 (c)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016 

アーミル・カーンは1965年3月14日生まれなので、明日で53歳。今日の新聞に、「明日は誕生日だけど、今撮っている『Thugs of Hindostan(インドのトゥグたち)』の最後の撮影がジョードプルであるので、ワーキング・バースデーになるんだよ」とコメントが出ていました。
アーミルは父もプロデュ-サー兼監督だったのですが、伯父が有名なプロデユーサー、監督として1960・70年代にヒット作を連発していたため、伯父の作品で子役としてデビューします。大人の役者として認識されたのが、ケータン・メーヘター監督の『Holi(ホーリー祭)』(1985)で、この時は大学寮に住む学生の1人という役柄でしたが、続く従兄マンスール・カーン監督作『Qayamat Se Qayamat Tak(破滅から破滅まで)』(1988)で大ブレイク、ジュヒー・チャーウラー相手に演じた「ロミオとジュリエット」ストーリーは、純愛映画ブームを巻き起こすきっかけとなったのでした。
以後、トップスターとして順調にキャリアを重ね、『Dil(心)』(1990)、『Rangeela(ギンギラ)』(1995)、『Raja Hindustani(インドのラージャー)』(1996)等々、数え切れないヒット作に出演します。その間にもアート系の作品、ディーパー・メーヘター監督の『Earth(大地)』(1998)などに出演して演技力を磨き、2001年、2つの作品で新境地を開きます。1つは日本でも上映されてソフト化されているアーシュトーシュ・ゴーワーリーカル監督の『ラガーン』、もう1つはファルハーン・アクタル監督の『Dil Chahta Hai(心が望んでる)』です。後者は自然体の演技や撮り方で、いわば「21世紀のボリウッド映画」をスタートさせた作品といえ、これを期にアーミルは作品を厳選し、ほぼ年1本の主演作を完璧に撮りあげる「Mr. Perfect」となります。
その後のヒット作は、『きっと、うまくいく』(2009)、『チェイス!』(2013)、『PK』(2014)と日本でも公開されていますが、その他の作品では、『ミルカ』のラーケーシュ・オームプラカーシュ・メーヘラー監督作『Rang De Basanti(愛国の色に染めろ)』(2006)や、『スタンリーのお弁当箱』のアモール・グプテー監督との共同監督にも挑戦した『Tare Zameen Par(地上の星たち)』(2007)などがあります。この『Tare Zameen Par』は中国で大人気となったため、その後アーミルの作品は中国の人々にとって大好きな作品となり、今回の中国での『ダンガル きっと、つよくなる』の大ヒットにもつながりました。
現在撮影中の 『Thugs of Hindostan(インドのトゥグたち)』は、『チェイス!』のヴィジャイ・クリシュナ・アーチャーリヤ監督作品で、共演はアミターブ・バッチャン、カトリーナ・カイフ、そして『ダンガル』のギータ役で一躍有名になった、ファーティマー・サナー・シャイクらです。「トゥグ」は反逆者、強盗・殺人集団としても知られた人々で、どんな映画になるのかまだ情報が流れてきませんが、アーミルが出演を承諾した映画だけに、単なる犯罪映画ではないものと期待できます。
なお『ダンガル』では、若い時にナショナル・チャンピオンになった姿から、年を取るに従って太っていくアーミルが見られますが、下に付けたメイキング映像によると、「それでは、若い時を最初に撮って、だんだんと体重を増やしていってもらいましょうか」と監督が提案したところ、「いや、反対にしてほしい。今からだんだん太るから、その最後にダイエットして若い時を撮って下さい。そうすれば、すぐに元の生活に戻れるから」と言ったようです。メイキング映像では、アーミルがいかにすごい意思の人かが見られます。ぜひ、日本版ソフトに収録してもらいたいですね。

Fat To Fit | Aamir Khan Body Transformation | Dangal | In Cinemas Dec 23, 2016

 

アーミルだけでも長くなってしまったので、あとは延長戦ということでまた次回に<つづく>。



『ダンガル きっと、つよくなる』<予選:その2=延長戦=>選手紹介②

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昨日のお父さん、アーミル・カーンの紹介に続いて、今日は家族・親族の皆さんの紹介です。いただいた画像をトリミングしたものが多いので、ここにクレジットをまとめて書いておきます。(c)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016

マハヴィルの妻ダヤー(これだけは「ダーヤ」から訂正してほしいです。「ダヤー」は慈しみ、哀れみ、というような意味で、いい名前なんですよ):サークシー・タンワル

SakshiTanwarFMI.jpg

(画像をいただきそこねたので、Wikiにある写真を付けておきます)
ダヤーお母さんは、典型的な家庭婦人、というイメージです。夫を信頼して従い、スパルタ親父と化す夫と娘たちとの間に立って、その関係を和らげるよう心を砕きます。娘しか産めない(映画の中でも産婆さんが、赤ん坊の産声で体を浮かすマハヴィルに対し、「女の子だよ」と素っ気なく言うシーンがありますが、これが男の子なら、「おめでとうございます、男の子ですよ」になるんですね。特に農村部は、そんなあからさまな男尊女卑の世界なので、”娘しか産めない”という表現になるのです)ことで夫に引け目を感じつつも、どの娘にも愛情をたっぷり注ぐ、とてもやさしいお母さんです。そんなダヤーお母さんが一度だけ夫に対し、烈火のごとく怒るシーンがあります。台所は神聖な場所なのに、というわけで、いつも控えめなダヤーお母さんも、ここだけは譲れない、と自分の主張を貫きます。このシーンに、ぜひご注目下さい。 

演じているサークシー・タンワルは、1973年1月12日、ラージャスターン州生まれの45歳。1998年、デリーのカレッジ卒業後テレビ番組への出演からキャリアをスタートさせ、やがてテレビドラマに出演、その演技で名前が知られるようになります。映画出演は2006年からで、ヒンディー語映画のほかマラーティー語映画にも出ていますが、大きな作品は『ダンガル きっと、つよくなる』が初めて。テレビドラマでは主演女優賞など数々の賞を獲っている彼女ですが、今後は映画界からもオファーが多くなるかも知れません。 

ギータ(長女/青年期):ファーティマー・サナー・シャイク


ギータ(ギーター)は父親マハヴィルの夢を最初に実現して、2009年のコモンウェルス・ゲーム(旧イギリス領の国々が属するのが英連邦で、旧名British Commonwealth, 現在ではCommonwealth of Nationsと呼ばれている。その中で行われるスポーツ大会)で金メダルを獲得します。父親のレスリング指導と、国家チームに属した時のコーチのレスリング指導とが異なり、悩んでしまうのもパイオニアのつらさ。ギータが戦うレスリングの国際試合は、映画の大きな見所となっています。 

ファーティマー・サナー・シャイクは1991年1月11日、アーンドラ・プラデーシュ州ハイダラーバード生まれの27歳。両親はジャンムー・カシミール州出身だそうで、色が白いのはそのせいかと思われます。1997年に『Ishq(恋)』のちょい役と、カマルハーサン主演作『Chachi 420(偽物おばさん)』の脇役でデビューし、以後約10本の映画に出演します。そして、『ダンガル きっと、つよくなる』への大抜擢で一挙にブレイク。現在はアーミル・カーン主演作『Thugus of Hindostan(インドのトゥグたち)』に出演中で、アーミルの引き立てによってトップ女優への道が開けた格好です。レスリングの特訓にも耐えた、がんばり屋さんです。 

ギータ(長女/幼少期):ザイラー・ワシーム


幼少期のギータは、この映画の主役と言ってもいいぐらい、前半のストーリーをひっぱってくれます。おさげの髪に赤いリボンを結んだかわいい中学生姿から、スパルタ父さんに鍛え抜かれてついにはショートカットにされてしまうくだり、そして、その後レスリング選手としてどんどん強くなっていく姿は、観客をこの映画にぐぐーっと引き込む大きな要素になっています。特に、最初のダンガル(レスリングの試合、特に賞金、賞品が出る対戦のことを言います)での試合ぶりとその結果は、マハヴィルだけでなく、観客のすべてが記憶にとどめておきたくなるほどドラマチックです。

ザイラー・ワシームは2000年10月23日、ジャンムー・カシミール州スリナガル生まれ。学校の成績もよく、優等生だったようです。映画に出演する前に、マイクロソフトがスポンサーとなった公共広告のような宣伝フィルム『Sapne(夢)』に出演し、カングナー・ラーナーウトに励まされて自分のやりたいファッション・デザインの道に進む少女を演じました。その後に出演した『ダンガル きっと、つよくなる』は大ヒット、ザーイラーは数々の映画賞を手にしますが、その中には国家映画賞の助演女優賞も含まれています。それを受けて、ザイラーにはすぐさま次の作品のオファーがアーミル・カーン・プロダクションからあり、『Secret Superstar(秘密のスーパースター)』(2017)に主演、歌手になりたい夢を叶えるイスラーム教徒の少女を演じて、再び注目を集めました。アーミルも出演したこの映画はインドでは興収ベスト20には入らなかったものの、『ダンガル きっと、つよくなる』に続いて中国では大ヒット。現在は学業を続けながら、出演したいと思わせる、優れた脚本が出てくるのを待っているところだそうです。 

バビータ(次女/青年期):サニャー・マルホートラー

バビータ(バビーター)はいつも姉ギータの後を追っていく存在として描かれますが、時には姉のやり方に納得がいかず、姉に意見することも。父マハヴィルへの信頼は姉よりも強いとも言え、その言葉が姉を動かし、再び父の指導を受ける方向へと向かわせます。バビータ自身も2010年のコモンウェルス・ゲームでは銀メダルを獲得、翌2011年のコモンウェルス・ゲームでは見事金メダルを獲得するのです。 

サニャー・マルホートラーの写真がなくて残念なのですが、サニャーの少女と大人の女性が同居する顔はとってもチャーミングで、『ダンガル きっと、つよくなる』のよきスパイスとなっています。彼女にはWiki項目がまだ存在しないのですが、こちらのサイトによると、デリー生まれで映画の仕事をしたいと2013年にムンバイに進出、テレビのCFなどにでていたそうです。今回の抜擢によって注目され、次の作品『Saath Rehna(そばにいて)』『Photograph(写真)』『Badhaai Ho(おめでとう)』のタイトルがIMDbには挙がっています。 

バビータ(次女/幼少期):スハーニー・バトナーガル


子供時代のバビータは、お目々のまん丸なかわいい少女。姉にいつも押し切られながらついていく、けなげさがこちらの胸をキュンとさせてしまいます。 

スハーニー・バトナーガルはデータがまったくなく、ご紹介できません、ごめんなさい。

オムカル/ナレーション:アパルシャクティ・クラーナー

オムカル(オームカール)は、マハヴィルの弟の息子です。ですのでマハヴィルのことを「ターウ-(伯父さん)」と呼んでいます。マハヴィルよりも弟の方が先に息子オムカルを作ったので、マハヴィルの長女ギータが生まれる時には、すでにオムカルは4、5歳になっています。その後、オムカルはいやいやながらマハヴィルに強いられて姉妹の練習につきあわされ、やがて全面的にマハヴィルを助けて、コーチ助手のような存在になっていきます。そのトホホな彼の心境も含めて、ナレーションでもたっぷりと語ってくれます。 

アパルシャクティ・クラーナーに関しては、すでにこちらでもご紹介したのですが、人気男優アーユシュマーン・クラーナーの弟でチャンディーガル生まれ。兄アーユシュマーンが1984年生まれなので、それより後の生まれ、というわけですね。ラジオのパーソナリティやテレビ番組の司会者としてキャリアを積み、その後この『ダンガル きっと、つよくなる』で映画デビュー。人の良さそうな、気弱そうな外見がキャラクターにぴったり、ということでの起用だったのかも知れません。また、少し前にコメントでもご指摘いただきましたが、『バドリナートの花嫁』(2017)にも出演し、徐々に映画に軸足を移しつつあります。これも写真がなくてすみません。 

オムカル(幼少期):リトウィク・サホーレー


こちらも、何かというと伯父マハヴィルにこき使われる役で、弱っちい外見がぴったりです。そのリトウィク・サホーレーも前回ご紹介しましたが、『フェラーリの運ぶ夢』(2012)でデビューしたあとこの大ヒット作『ダンガル きっと強くなる』で再び注目されたため、現在は映画とテレビドラマで順調にキャリアを重ねています。

ほかには、国立スポーツ・アカデミーのコーチ、プラモード・カダム役で、ヒンディー語映画やマラーティー語映画で活躍するギリーシュ・クルカルニーが、そして最初のシーンでマハヴィルと戦う職場の同僚ハルキンダル役で、テレビドラマを中心に活躍し、映画にも出ているちょっとハンサムな男優ヴィヴァーン・バテーナーが顔を見せています。

なかなか主演クラス以外は資料がなくて、時間がかかってしまいました。ギャガ様、すでに劇場用パンフは作成中でいらっしゃると思いますが、役に立つ情報があればそのままお使い下さい(でも、あんまりないですね、すみません)。

前回の記事の最初に宣伝側の失点をあれこれ書いたのですが、レスリング界を巻き込み、日本レスリング協会の全面的な支援を取り付けたほか、吉田沙保里選手、伊調馨選手ら著名選手にも試写を見てもらう、という快挙はテクニカル・フォール勝ちの4点を差し上げてもいいぐらいです。ギャガの方からうかがった話ですと、試写を見ている間、選手のみなさんの間からは「おおっ!」という声がもれたりし、試合シーンに集中してらっしゃる様子がよくわかったとか。試合シーンのリアルさには試写終了後皆さんが太鼓判を押して下さり、その後の記者会見などの場でも心から誉めて下さったようです。ぜひ大ヒットさせて、宣伝に出て下さった日本のレスリング選手の熱意に応えたいですね。

川崎のぼる先生のイラストをいただいたのも、4点テクニカル・フォール級。それが見られる公式サイトはこちらです。かわいくけなげなギータとバビータをフィーチャーしたショート予告編を付けておきます。

映画「ダンガル きっと、つよくなる」ショート予告

 


3Dの『Padmaavat(パドマーワト)』@ムンバイ

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ムンバイに移動して来ました。しかし何だか、ムンバイでは騙されることが多くて、私にしては負け続き、という感じです。初っぱなは、プネーから移動してきたバスの終点、ムンバイのダーダルでつかまった、タクシーの運ちゃん。メーターの所の端を布で隠していておかしいなあ、と思っていたら、最終的に最後に見た金額よりも100ルピーぐらい多い金額がメーターに提示されていて、「違うでしょ!」と抗議したら、端数を引いた「400ルピーでいい」ということになりました。ムンバイのタクシーは、メーターがギアのハンドルのちょうど向こう付いていて、すごく見にくいのです。初乗りは22ルピー(約38円)と安いのですが、いったん上がり始めると1ルピー単位でどんどん上がっていきます。それにしても、長距離バスの終点で待ち受けているタクシーは下心あり、というのは常識なので、もっと注意すべきでした。どうりで、行く道々、観光案内もどきのことをしてくれたと思った...。


そして、2回目はヒット中の映画『Padmaavat(パドマーワト)』を見に、ナリマンポイント(ムンバイの南端地区)のINOX(アイノックス)というシネコンチェーンの映画館に行った時のこと。上写真の左が建物の外に設置してあるチケット売り場で、映画館は3階にあります。INOXは豪華座席のスクリーンを設置しており、3Dの『Padmaavat』はそこで上映されていたので、通常料金の約3倍、630ルピー(約1070円)でした。3Dでの上映がすばらしく、つい休憩時間もリッチな気分が支配していたため、注文を取りに来たウェイターにホットコーヒーを頼んだところ、しばらくしてコーヒーとスプーン、追加の砂糖、ナプキン、ウェットティシューなどを持ってきてくれました。その後、映画が再開してから請求書を持って来、席のテーブルに載っていたメニューで170ルピーとあったので、その額を用意していたところ、160ルピーの請求書にその額ちょうどに減らして渡したのでした。すると、さらにしばらくして、「マダム、あなたのくれた10ルピー札が破れているから受け取れない」と持ってきたのです。普段ならここでけんかするのですが、映画が始まっていたのと、「ははあ、チップをあげなかったのでいやがらせだな」と気がつき、その10ルピー札を受け取って20ルピー札を渡し、「おつりはいいわ」と帰しました。「サンキュー」とご機嫌よく帰って行ったウェーター君、計略が成功してよかったですね。


白状すると、その時私の財布には真ん中がちょっと裂けた100ルピー札があり、これで払ってしまおうか、という悪い考えが頭をもたげていたのです。でも、いくら暗くてわからないから、と言っても、それはいかんだろう、ということで、慎重にきれいな札を確かめて、用意していたのでした。インドでは、少しでも破れていたり、インクがべたっとついていたりする札は受け取りを拒否されるのが普通です(ホッチキスで綴じた跡や、計算が手書きしてあったりするのはOK)。銀行に持って行くと換えてくれる、という話ですが、どこの銀行ならOKなのか不明で、とりあえずはそういうことにならないよう、換金やおつりを受け取る時によくチェックして、これはNGと思ったら相手に「このお札は駄目だから換えて下さい」と言うのです。ヒンディー語なら、「イェー・ナヒーン・チャレーガー(これはいけません)」と言えば通じます。先に述べた100ルピー札はどこでつかまされたのかわからず、自分のうっかりミスを後悔したのですが、そんな私なのでひんぱんに「イェー・ナヒーン・チャレーガー」をやっており、INOXのウェイターが持ってきたような10ルピー札は私の財布には存在してなかったのでした。INOXさん、二度とこんなことはしないようにしてね、と言うと、マダム、チップをあげるのを忘れないようにして下さいね、と言われそうですが、皆様もご注意下さい。

Deepika Padukone in Padmaavat (2018)

さて、3Dの『Padmaavat』ですが、最初のクレジットタイトルから、前面のクレジット文字と最奥のミニアチュール風スケッチ画の間に火の粉が飛ぶ画面にやられてしまいました。物語は歴史上の出来事を元に、サンジャイ・リーラー・バンサーリー監督が構成した誇り高い王妃パドマーワティーの物語になっており、こう言っては何ですが、様式美を追求したあまり、生身の人間劇としての面白さが希薄になってしまったという、最近のバンサーリー監督作と同じ出来上がりになってしまっていました。でも、その様式美や、私がいつも悪口で言う「無駄に豪華」という各部分が3Dにはぴったりで、目の正月であったことは否めません。3D作品に仕上げるためのツボがよく押さえられており、デリー・スルターン王朝のうちキルジー朝(日本では「ハルジー朝」と表記されたりする、1290年から始まる王朝)を打ち立てたスルターン・ジャラールッディーン・キルジー(ラザー・ムラード~まだお元気で嬉しい限り)の娘メーヘルンニサー(アディティ・ラーオ・ハイダリー)を、ジャラールッディーンの甥アラーウッディーン・キルジー(ランヴィール・シン)が娶るシーンから始まって、森の中で狩りをするパドマーワティー(ディーピカー・パードゥコーン)とメーワール王国の若き王ラーナー・ラタン・シン(シャーヒド・カプール)との出会いのシーンなど、画面の奥行きがすばらしい効果をあげていました。

Padmaavat (2018)

ただ、アラーウッディーンが女たらしで、妻を娶ったもののパドマーワティー王妃の美しさの評判を聞けば彼女を手に入れんとしてメーワールまで攻めていく、というこの映画の軸となる動機は、その描き方に難があって、映画のストーリーを弱いものにしています。アラーウッディーンの寵臣で、のちに実権を握るマリク・カーフール(ジム・サルブ)も道化か宦官のようなキャラになっていますし、歴史物はやっぱり難しいなあ、と思いました。最後、アラーウッディーンはラタン・シンと一騎打ちをするも、マリク・カーフールの奸計でラタン・シンは倒されてしまい、未亡人となったパドマーワティーはアラーウッディーンの手が及ぶ前に火にその身を投じてサティー(夫への殉死)を行う、というのがストーリーなのですが、なぜこれが、ヒンドゥー至上主義者たちの非難の対象になったのかよくわかりません。公開前、抗議活動がいろいろ起こっている時に監督は「映画を見てもらえばわかる」と言っていましたが、まさしくその通り。でもまあその騒動がかえって観客の興味をあおり、1月25日の公開から2ヶ月近く経つ現在もロングラン中、というのはすごいですね。すでに興収も56億ルピーを超え、歴代興収トップ10にランク入りしました。予告編はこちらです。なお、当初『Padmaavati(パドマーワティー)』というタイトルだったのが『Padmawat(パドマーワト)』に変わったのは映画検定局(CBFC)の指示で、詩人の書いた物語に依拠する、ということを示すためにその詩のタイトル通りにしなさい、ということのようです。

Padmaavat | Official Trailer | Ranveer Singh | Shahid Kapoor | Deepika Padukone

この予告編ではわかりませんが、ディーピカー・パードゥコーンが演じるパドマーワティーは、時々語尾に「現代の女の子」的なニュアンスがこぼれて、こちらは現実に引き戻される、ということが何度かありました。そういう点では、メーヘルンニサーを演じたアディティ・ラーォ・ダハイダリーの方が、ぴったり役にはまっていたと思います。また、メーワール王朝のラタン・シンにはすでに妃がいて、パドマーワティーを第二妃として娶るのですが、この最初の妃役のアヌプリヤ・ゴーエーンカーも高貴さが皆無で今ひとつ。サンジャイ・リーラー・バンサーリー監督の前作『Bajirao Mastani(バージーラーオとマスターニー)』(2015)でのプリヤンカー・チョープラーの演技の素晴らしさを思い知らされた次第です。もうちょっと、ストーリーに深みを持たせてくれると、日本での上映にも可能性が出てくるかも知れません、サンジャイ・リーラー・バンサーリー監督作品。


INOXでは未だにカメラを持っていると、バッテリーを抜いて預けさせられます。でも、スマホではバンバン写真が撮れる時代なのに、しかも3D映画なのに、カメラを持って入ったってどうということはなかろうに、と思ってしまうんですけどね。バッテリーは台帳に書き込んで入り口のセキュリティーの人が預かったあと、トークンをくれます。鑑賞後にそれを渡してバッテリーを返してもらい、「大丈夫かどうか撮るわね」と言って撮ったセキュリティ担当のお姉さん。笑顔が素敵です。

あとは、1本、明日公開の『Raid(強制捜査)』ぐらいしか見るものがなく、ホテルでのパソコン相手の仕事が多くなりそうなムンバイでした。


インド版『Raid(強制捜査)』@メトロ映画館

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本日公開のアジャイ・デーウガン主演作『Raid(強制捜査)』を見てきました。地方の税務署に赴任した署長が、地方の大物に対し税法違反の強制捜査をかける、という物語です。予告編を何度か見せられてすごく期待していたのですが、ちょっと期待外れでした。昔、アクシャイ・クマール主演で作られた、騙しのプロ集団が税務署の捜査官を装って強制捜査に入り、金品を残らず巻き上げる、というニーラジ・パーンデー監督の『Special 26』(2013)の方がよほどうまかったなあ、と思いながら、この、ラージ・クマール・グプターという監督の作品を見ていました。

Ajay Devgn in Raid (2018)

物語は、1981年ラクノウでの出来事、と設定されています。税務署に赴任したパトナーヤク(アジャイ・デーウガン)は、これで7年間で4回目(確か、そう言っていたような...)の転勤。つまり、きちんとした税務処理を行ってはうとまれ、左遷される、という正義の人物でした。今回のラクノウ税務署は、どうやら大地主であり、政界にも大きな影響力を持つ「ターウー・ジー(伯父さん)」ことラーメーシュワル・シンには楯突けないようでした。彼の脱税の証拠をつかもうとしていたパトナーヤクは、匿名の密告者からコンタクトを受けます。それによると、ラーメーシュワル・シンは膨大な隠し財産を自宅に持っている、とのこと。書類で裏付けを取ったパトナーヤクは、強制捜査に踏み切ります。警官隊に守られて邸内に入ったパトナーヤクたちは、あちこち隠されていそうな所を探し回りますが、何も出てきません。でも、新たなる密告があり、また、ラーメーシュワル・シンの年老いた母親がつぶやく言葉をヒントに、パトナーヤクたちはついに宝の山を探し当てます。すると、出てくるは出てくるは....。ところがそこから、ラーメーシュワル・シンの悪あがきが始まります。州首相から、さらには中央政府の首相(当時はインディラー・ガーンディーなので、そっくりに扮した人が出てきます)まで陳情という名の脅しを利かせ、「これまでそっちの党には献金を山ほどしただろうが」と迫るのですが、パトナーヤクが臨機応変に処理してしまい、不発に。やがて、ラーメーシュワル・シンはパトナーヤクの妻(イリヤナ・デクルーズ)を襲わせ、手を引かせようとしますが....。

Raid | Official Trailer | Ajay Devgn | Ileana D'Cruz | Raj Kumar Gupta | 16th March

上が予告編ですが、駄目だった点は、①あまりにも隠し財産が多く発見されすぎで、それもいいかげんな隠し方がされているので、リアリティが非常に希薄、②妻に精神的に頼っている、という設定もわからないではないのですが、外界から遮断して捜査中のラーメーシュワル・シンの屋敷なのに、妻の差し入れは受け取りにいったり、ひんぱんに妻に電話したりと、「統率者がそんなことでどうする」と叱りたくなるシーンが多かったこと、③税務署長の家なのに召使いを雇っていないなど、細部の不自然さがストーリーを白けさせたこと、等々で、妻役もイリアナ・デクルーズは演技・表現力から言ってもミスキャストでした。せっかく280ルピーも払ったのになあ。


今回見たのは、昔のメトロという映画館がINOXに買収された映画館です。基本的に、古い建物を残してあってとてもいい感じなのですが、やはりカメラは電池を預けさせられたため、スマホ写真誌か撮れずじまい。2回へ上がった階段の踊り場には、こんな映写機が飾られています。


壁には古い時代の写真がいろいろ飾ってあったのですが、シャシ・カプールが昨年亡くなったためか、シャシ・カプールとラージ・カプールに関するものが多かったです。出口でやっとバッテリーを返してもらい、「動くかどうか試すわね」とここでもパチリ。こちらもかわいい二人の娘さんたちがセキュリティをやっていました。


映画館メトロの隣はカフェ・メトロという喫茶店兼レストラン。1939年から、とメニューに書いてあったので、1938年にメトロ劇場ができてすぐ開業したのですね。


ここのボーイさんはかわいい紺の制服を着ていて、「チェッカーズ」とでも呼びたいおじさんたちになっています。


映画館でサモサ2個140ルピーを食べていたので、アイスクリーム系にしてみました。「セワーイー・クルフィー」という、私も初めて見るメニューで、インド式アイスクリームのクルフィー(丸い円盤形になっている)を8等分し、星形に飾って、中にセワーイー(インド式そうめん)を入れてトッピングする、というものです。セワーイーはほとんど味がついておらず、おいしいかと言われるとビミョーでした。クルフィーだけで食べた方がよかったかも、です。


アイスクリームと言えば、マリーンドライブにあるこちらのナチュラル・アイスクリームに行ってみたのですが、この場所、来た覚えがある...。そう言えば、プネーの町歩きの先達Oさんが、「ナチュラル・アイスクリームはムンバイが発祥の地」と言っていたっけ。


思い出しました。2011年、女優のスハーシニー・ムレーに夕食をおごってもらったあと、「とってもおいしいアイスクリーム屋さんがあるのよ。デザートを食べに行きましょ」と連れてきてもらったのが、マリーンドライブにあるこの場所だったのでした。あの時はおいしいと思ったものの、3.11のニュースをスハーシニー宅でパソコンをネットにつなぎ(ホテルではネットにつながらなかったのです)、見入ったあとだったので、あまりよく味を覚えていませんでした。


お店の人に聞くと、16年前からここにできていたそうで、2011年当時はまだ全然名前を知られていなかったのです。それが、現在はこんなにメニューが増え...、というわけで、ココナツとマンゴーのダブルをコーンでいただきました。これで120ルピーです。


日本に進出してほしいお店の最有力候補ですが、日本だと1スクープ300円ぐらいになってしまうんでしょうねえ。インド式アイスクリームのクルフィーでもいいな。ぜひ日本へレイドを駆けて下さい。


 

ムンバイでの映画グッズ獲得はますます望み薄

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ムンバイでは、いつも訪ねるお店3軒を回って映画グッズをゲットするのですが、今回はポスター屋さん以外はどこも映画グッズを扱うのをやめていました。最初にいつも訪ねるのは、クロフォード・マーケットから北に延びるAbdul Rahman Street(アブドゥル・ラフマン・ストリート)です。ここは、おもちゃや文具関係の店がわちゃっと集まっているところで、最近はパーティー・グッズのお店が大流行。通りの南の入り口では、果物売りが何軒か、露天の店を広げています。珍しいタマリンド売り(右)がいたので、パチリしました。ほかにもロンガンとかキウィとかイチジクとか、珍しいものを売っています。


そこから北へ10分ぐらい歩き、アブドゥル・ラフマン・ストリートの中頃にあるBajipala Lane(バージーパーラー通り)へと右折すると、3軒ほど間を置いて、奥からHiroo MFG Co(ヒールー)という店とS.T.Bookwala & Bros.(S.T.ブックワーラー)という店が並んでいます。これまでは、『Chhota Bhim(チョーター・ビーム)』という人気アニメのキャラグッズとか、スターブロマイドとか、何かかにか出てきていたのですが、今回は両方とも「ないよ」とけんもほろろといった調子で門前払いを食らわされました。映画界から、何かアクションがあってお叱りとか受けたのかも知れません。


本来なら、この問屋さん街と言ってもいいところはみんな愛想がよくて、今回もバージパーラー通りの入り口にある店の人が、「俺たちの写真撮ったら?」とポーズしてくれたりしましたが、もう映画グッズが出てくる可能性はなさそうです。その店の向かいは、アンベードカル・グッズというか、ダリト(被差別民)の運動に使うようなバッジやステッカー、旗などが売っているお店でした。去年はヒールーでアンベードカルの缶バッジを見つけ、映画『裁き』の公開で何か役に立つかも、と思って買ったのですが、こんなにいろんなグッズがあるとは。アンベードカルのシールをつい買ってしまいました。


もう一つの希望の星は、グラントロードのポスター屋さん。いつも「ドリームランド・シネマ」と言ってタクシーに連れて行ってもらうのですが、今回は2回行った2回とも、運転手さんがドリームランドという映画館を知らなくて、違う道を曲がってしまったりしてその前にはたどり着けませんでした。でも、もう20年ぐらい通っているので、どこで降りればどう行けるか、ということもわかっています。ドリームランド・シネマ(地図には「ドリームランド・シアター」と出ていて、ムンバイでも「シアター」を付けるのが一般的になっているようです)はこれですよ、これ。


で、いつものポスター屋Mansi Graphics(マンシー)に行ってみれば、昨年ご主人のラージューさんが予言していたように、表店から引っ越して、裏の倉庫みたいな所に店をかまえていました。新しい住所は、Shop No. A-20,Ground Floor, Simplex Building, Opp. Vijay Chamber, Pavwala Police Chowky, Grant Road (E), Mumbai-400004です(あれ、昔もらったカードの一緒の住所みたい。ショップ番号はあてにしない方がいいかも知れません)。


上写真の手前、左右に走っているのがパーウワーラー・ストリートで、右手後ろにはこの地区の警察署があります。正面の小路を奥へ入っていくと、左手に薄暗い路地が延びています。真ん中にドブが切ってあり、そこをネズミが走ったりしている、まさにドブ板長屋みたいなところです。こんな感じなので、特に初めての方にはあまりお勧めできません...。


上の突き当たり、右手が、マンシーの新しい店舗でした。新しい、というか、ラージューさんが前から確保していた物件で、表店の家賃が月27,500ルピー(約45,000円)にもなったため、とても払えないと裏に引っ込んだ、というわけなのでした。ラージューさんは別の仕事をしていてめったに店に来ないようで、お名前を忘れたのですが、なかなか気の利く助手さんが留守を守っていました。右の少年は助手見習いなのかしら、途中からやってきていろいろ手伝っていました。ポスターは希望のものがあまり揃わなくて、『Padmawat』は全然出回ってこなかったそうでナシ、『バーフバリ 王の凱旋』のポスターもナシ(『バーフバリ 伝説誕生』は2種類ゲット)、『Tiger Zinda Hai(タイガーは生きている)』もナシでした。


ポスターも高くなって、普通のものでもRs. 50(去年はほぼ全部Rs.40だった)、シャー・ルク・カーンとサルマーン・カーン主演作はRs.100、特別なもの(今回はシャー・ルク主演の『Devdas(デーウダース)』のポスターをゲット)はRs.200、そしてマンシーが印刷所に頼んで作っている半切りサイズのクラッシック映画ポスターはRs.750だとのことです。最後の最高値のものには、『放浪者』(1951)、『渇き』(1957)、『マザー・インディア』(1957)、『ガイド』(1965)等々があり、映画ポスターの展示をするために、とかの理由で結構引きがあるそうです。「版権取ってないんでしょ、勝手に作っちゃって大丈夫?」とちょっと心配になったのですが、一応50年経っているので、版権には引っかかってこないのかも知れません。

帰途、ホテルの近くのCST、チャトラパティ・シヴァージー・ターミナスの前を通ると、きれいにライトアップされていました。CSTから伸びるD.N.ロードに面したホテル、レジデンシーが今回の宿なのですが、数年前に泊まった時に比べると、リニューアルされていてお部屋がきれいになっていました。とっても狭いのですが、まずまず快適なホテルです。

狭いので、衣装ダンスの下の引き出しにお茶セットが収まっています。


泊まり客は欧米人が多くて7割ぐらいを占め、あと2割がインド人、そして私のような東洋人が1割いるかいないかという感じです。朝食を食べるレストランの席が少なく、大体朝はいつも待たされます。右に立っている責任者のピーターさんがさばいて席を見つけてくれるのはいいのですが、同じテーブルをシェアするにしてもテーブルが小さいので、相手の方に迷惑がかかってしまいます。


というわけで、半二階のソファ席でいつも待つ私です。でも、古いホテルなので調度とかが落ち着いていて、ここで待つのは全然苦になりません。


この一画はムンバイGPO(ジェネラル・ポスト・オフィス)の南に展開する、印刷所や文具関係の店が多い一画で、近年コピー屋や電話屋もいっぱいできています。プネーでリチャージした349ルピー分が早くもなくなり、下の電話屋さんで「無制限の市内&長距離通話、1日100SMS、1日1ギガまでのデータ通信、84日間有効で399ルピー」というのを再度設定してもらいました。「日本の文字だからわかんないよ~」とか言いながら、何とかやってくれるインドの若者はエライ!


郵便局も近くで、小包屋さんのサジャルさんとも無事再会。インドの鳩居堂チマンラールへもすぐ行けますし、場所はとっても便利です。歩き疲れて戻ったら、レモン水がロビーで待っていてくれました。うう、おいしい!


やっぱりムンバイが、一番「私の街」という気がします。いつも親切にしてくれる知り合いの皆さんに感謝!です。


チェンナイのタラ・ブックス

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ムンバイからチェンナイに移動してきました。チェンナイでもいろいろ行きたいところはあるのですが、まずは先日日本での展覧会が好評だったタラ・ブックスへ。住所は「No.9, CGE Colony, Thiruvanmiyur, Chennai-600090」で、中心街から南へだいぶ下ったところです。こちらではウーバーを使い倒しているのですが、「Tara Books, CGE Colony」と目的地を入れるとすぐに車が来てくれました。スプール・タンク・ロードにある仕立屋さんにまず行って、そこからウーバーを呼んだのですが、料金は185.49ルピー(約320円)でした。オートリキシャだと交渉になるので、もっとふっかけると思います。助かりました。


CGEコロニーに着くと、こんな案内板が立っています。「ハウジング」の文字が入っていますが、住宅地として開発された一画にこういう名前を付けて、「~町」に代わる表示になっているわけです。この後ろ左手にも同じ看板があるのですが、その間の道の向こうにタラ・ブックスの看板が見えました。


この角を曲がると、入り口へのスロープになります。わんこが昼寝中。入り口で靴を脱ぐのですが、その靴脱ぎ場から撮りました。


入り口から内部を見たところです。暗いですが、右手カウンターが受付というか案内所で、本の代金もここで払います。


入ってすぐはこんなガイダンスや、新しくできた本でしょうか、特設展示みたいなスペースが設けられています。


その奥に、出版物を展示した棚が続きます。

外国で出版された本を並べた棚もあり、韓国語版、日本語版、フランス語版などが並んでいます。

  

奥には、原画の展示もありました。


そして、ソファー席がある横には、イチオシ出版物なのでしょうか、こんな展示も。

その反対側には、中庭風の空間が作られています。


二階はオフィスだとのことで、階段の上に原画展示が見えたので上がろうとしたら止められました。この二階に続く壁面が素敵な絵に彩られています。上の写真と重なりますが、付けておきます。

 

結局今回は、親友がほしがっていた「夜の木」の原本(Rs.1500)と、タミル語と英語の両方で出ている絵本2冊(タミル語はRs.150、英語はRs.200)、そしてカードをいくつか(1枚Rs.65)を買いました。ビル(勘定書き)を見たら代金は2割引になっていて、思わず「来てよかった!」と思ったものです。現金で買いましたが、カードが使えるかどうかは確認し忘れました。

カウンターには「ナヴァラサ」の本から作った絵はがきがあったので、「これはいくらですか?」と尋ねたら「無料です」とのお返事に、遠慮なく全部いただいてきました。上の4枚と、あともう1種類ありました。ほくほく。ちょっとお話をうかがうと、この前の展示以来日本人の訪問者がぐっと増えたそうです。チェンナイ在住の方にとっても、ここはセミナーなども行っているので、立ち寄りたいスポットになっているようです。タラ・ブックス・ファンの方、一度はぜひこのお店にいらしてみて下さい。


チェンナイのインド映画関連スポット

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チェンナイでも、いろいろ映画関連のものを探しています。昔はまず本屋のLandmark(ランドマーク)に行って、本と共にDVDやCDを探していたのですが、今Landmarkはほとんど見かけなくなり、代わってショッピングモールで見かけるのがStarmark(スターマーク)という本屋さん。ヒンディー語のDVDが古いのも含めてよく揃っていて、今回はもうスーツケースがぱんぱんなのであきらめたのですが、ほしいDVDがあれこれありました。Starmarkは中心部にあるモールExpress Avenue(エクスプレス・アべニュー)にも、南の方のPhoenix Market City(フェニックス・マーケット・シティ)にも入っていますので、映画を見に行くついでにチェックしてみて下さい。なお、映画を見るにはこちらのサイトが便利です。これまでの街では紹介し忘れましたが、どの都市でも上映作品がチェックできますので、ご希望の都市で検索をかけてみて下さい。下はフェニックス・マーケット・シティのLuxe(ラックス)シネマです。


そのほか、一昨年連れて行ってもらったポスター屋さんのことを友人Aさんに、「入り組んでいた場所で二度と行けない」と言ったところ、Aさんが次に行った時にそのあたりを探検してくれて探し出してくれたポスター屋さんにも、今回は行ってみる予定でした。Aさんからはわかりやすい地図をもらったのですが、それは残念ながら今回アップできません(版権問題とスキャナーがないので)。というわけで、行き方を写真入りで書いておきましょう。


まず、Casino Cinema(カジノ・シネマ)に車を向かわせます。ここは昔、ヒンディー語映画の封切館だったのですが、今はテルグ語映画の上映館になっています。Google Mapでこの名前で検索すれば出てきます。アンナー・サライ(旧マウントロード)の中央郵便局を少し北上し、左に曲がった所です、と言いたいのですが、映画館の前の通りは一方通行なので、郵便局から来ると左折できません。ほんとにチェンナイは一通が多くて、それを口実にオートは料金をふっかけます。


無事カジノ・シネマに到着すると、右手へ少し行くと小路がありますのでそこを入っていきます。奥に行くと、バイクが両側に駐車してあって、どんどん道が狭くなります。


その道をまたバイクが通り抜けていくのですから、歩行者は要注意です。ここをずーっと歩いて、どん詰まりの通りまで出て左折します。


左折するとしばらくして、右に曲がる道路が見えますので、そこを右折します。下の写真のように、割と広い通りです。


またしばらく行くと、左手に写真にも写っている大きな木があって、その下にブルーの町名標識板があるのが目に付きます。


町名標識板を大写しにすると、「Sunguvar Street」と書いてあります。ここが、ポスター屋さんのある通りです。ただ、この名前で検索をかけても、Google Mapでは出てきません。


そこを歩いて行くと、右手に小路が目に入ります。その角がこんなシャッターの閉まっている店でした。


で、目指す店はその手前にあるのです。数件並ぶ家のうち、小路に面した家とその手前の家を写しましたが、ポスター屋さんは手前、つまり右側のピンクの家の入り口から入って奥の部屋に店を構えています。


こちらが入り口です。どんどん奥に入って、左手を見て下さい。Bapu(バープー)さんのお店があります。


下がバープーさんです。ムスリム(イスラーム教徒)なので、「アッサラーム・アレイクム」とご挨拶しましょう。バープーさんはこのあたりでは有名なので、お店がわからなかったら「バープーさんのポスター屋さんはどこですか?」と近くの人に聞いてみて下さい。実は私も、開いているはずの店が閉まっていたり、地図が微妙にずれていたりしてちょっとわからなくなり、この近所の店で尋ねたのでした。すると店主が口頭で教えて下さったのですが、実際自分で探すとまた迷ってしまい、それを見越したのか尋ねたお店の店員さんが出てきてくれて、バープーさんのお店まで案内し、バープーさんに一声かけてくれたのでした。ご親切に感謝!です。


上半身裸なのは、お店にクーラーがなくって、扇風機は回っているもののとっても暑いからです。変なおじさんどころか、すごく誠実なポスター屋さんです。ただ、こちらで扱っているのは全紙大2枚一組の大判ポスターがほとんどで、ボリウッドのように全紙大で1枚、というポスターは少ないのです。


あと、バープーさんはもう30年ぐらいこの店をやっているそうですが、何がどこにあるのかわからなくなっているので、ほしいポスターがあれば時間をかけて探し出すつもりで来てほしい、とのことでした。ヒンディー語映画のポスターもある、とのことでしたが、「『Padmawat(パドマーワト)』は?」「ないねえ」「『Tiger Zinda Hai(タイガーは生きている)』は?」「それもないよ」「じゃあ、『ダンガル』は?」「ない」と、ムンバイでなかったものはやはりない、という感じでした。結局、大判2枚と全紙大1枚を買ったのですが、お値段は「あんたのいい値でいいよ」とのことで、「それじゃ5枚分で200ルピー」とムンバイのポスター屋さんより安値を言ったら、「とんでもない、100ルピーでいいよ」とのお返事。「えー、ムンバイでは1枚50ルピーで、シャー・ルク・カーンとサルマーン・カーンのは100ルピーするし、中には200ルピーのもあるんですよ」と言ったら、「それはぼったくりだね。私はフレンドシップのために商売をやってるんだから、そんなに高額をもらうわけにはいかない」と、どこかのポスター屋さんに聞かせたいようなお言葉が出ました。「ありがとうございます!」と言ったらしっかり握手され、「時間があったら、また来てくれると嬉しい」とのことなので、皆さん、ぜひ行ってみて下さい。1日つきあうと、ラジニSirのやらヴィジャイのやらいろいろお宝が出てきそうです。


帰り道は、そのまま進んで川に面した道まで出ました。


この道は、オートリキシャの製造工場や、バイクに飾りを付ける店などがいろいろあります。下がバイクの装飾見本です。そう言えば、亡くなった元州首相ジャヤラリタのアップを付けているバイクがあって、思わず身をよけました。


オートの製造工場では、働いていたお兄さんが「写真撮って」と言ってくれたのですが、突然カメラの調子がおかしくなってしまい、結局スマホで撮りました。ウーバーばっか使ってごめんね。でも、オートの運転手はすごいふっかけてくるんだよ。みんなメーターで正直に走ってくれれば喜んで利用するのに。


でも、今日のウーバーは変な運転手さんばかりに当たり、当初明記された料金を払おうとすると、「違う、提示されているこれを見ろ」と10ルピーぐらい高い料金をスマホで見せてきます。これまでになかったことなので(チェンナイでは一度、「94ルピーだけど84ルピーでいいです」と言ってくれた運転手さんがいて感心してたのに)、最後に乗った時、「今、料金表示が84ルピーと出ているけどこれでいいのね? 今日は2回も最後に高い料金を言われるということがあってね、結局その人たちには乗車後の評価で星2つを付けざるをえなかったの」と言ったら、「いいです。でも、道の混み具合とかで料金も変わってくることがあって、ムニャムニャ」とつぶやいていましたが、ホテルに着いて80ルピー出してあとコインを出そうとすると、「あ、もうこれでいいです」とすごい弱腰でした。もちろんコインを4ルピー渡したのですが、どうもウーバーの明朗会計はいまひとつのようです。

そうそう、結局わかりやすいカジノ・シネマ前からウーバーを呼んだものの、その前に夕食の仕込みを、と思ってカジノ・シネマからマウントロードまで歩いたら、角に少し広々とした食堂がありました。上に袋の写真を付けた「ギーター・コーヒー・センター」と言う店です。イラストからすると、「バガバッド・ギーター」から取ってあるようですね。テイクアウトすることにしたので、「オニオン・ウッターパム、パーセルでね」と頼みます。「パーセル」とは小包のことですが、インドの食堂でこう言うと「包んでね=テイクアウト」ということになるのです。

 

ホテルに持ち帰って食べたウッターパムはすごくおいしかったです。ちゃんとバナナの葉に乗せて包んでくれるんですねえ、チェンナイは。上の右側の袋はサンバル、左は2種類のチャトニーですが、どれも「これよ、この味!」というおいしさで、今のホテルの朝食ビュッフェで出てくるものより格段においしかったです(これで70ルピーだもの、庶民レベルでやっぱり旅したい)。北インドでも、朝食ビュッフェに必ず南インド料理の軽食、ウッターパム、イドリー、ドーサーなどが出てくるのですが、サンバルとチャトニーの味が今ひとつどころか、「ちがうだろー!」と言いたくなる味なのです。北インドのコックの皆さん、チェンナイのフツーの食堂でぜひ修行し直して下さいね。


チェンナイで見た「女性映画」3本

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チェンナイでは、実は3,000字の原稿を書いていたりしたので、1日1本ずつしか映画が見られませんでした。自宅で書く時は、何度か手を入れるたびにプリントアウトして読み返すのですが、旅先ではプリンタがないのでそれができません。でも、もしかしてワードのファイルにしておいたら、こちらでもプリントアウトできるのかも、と思いつき、ファイルを入れたUSBを持ってスペンサー・プラザに行ってみました。すると、パソコン屋さんというか、パソコンを2台とコピー機兼用のプリンタを置いて商売している小さな店で、見事に日本語文が印刷されて出てきました。これで最終チェックができる、と喜んだものの、ホテルに戻って直すとまたプリントアウトしたものがほしくなります。それを何とかやりくりして、やっと拙稿を送稿したのでした。そのメール送信も、うまく流れる時と流れない時がある(OCNが送信を拒否してくる)うえ、なぜかパソコンが立ち上がらない時があったりと、今回も電子機器トラブルでだいぶ消耗しました。

そんな中で見たので、希望する作品が全部見られたわけではなかったのですが、偶然にも3本の作品が「女性映画」というか女優さんががんばっている作品だったので、まとめてご紹介してしまおうと思います。まずは、ヒンディー語映画『Pari:Not a Farytale(「パリー」は妖精、という意味なんですが、妖しい精霊、と言った方がいい作品で、そのため副題が「おとぎ話ではありません」とついているのでしょう)』から。

『Pari:Not a Farytale』は先日のインド映画講座でも取り上げた、アヌシュカー・シャルマーの主演作です。今回も彼女がプロデューサーの一人で、『NH10(国道10号線)』(2015)や『Phillauri(フィッロールの人)』(2017)と同じく、自ら製作し、主演しています。今回は、コルカタとその近郊のベンガル地方が舞台となり、『女神は二度微笑む』の若き警部パラムブラト・チャテルジーが共演者です。

Pari - Poster.jpg

ある雨の日、父親の運転する車で母親と共にコルカタに戻る途中だった新聞社勤務のアルナブ(パラムブラト・チャテルジー)は、父と母が早く結婚をと勧めるのを困った顔で聞いていました。父が顔を一瞬こちらに向けて話していた時、車に衝撃が走ります。道に倒れていたのは年老いた女性で、車に飛び込んできたのではないかと思われました。彼女を病院に運んだものの、彼女は亡くなり、3人は警官からも事情を聞かれます。その後、警官とアルナブは女性の身寄りを探して再び事故現場に行き、村人から教えられた彼女が住むあばら屋へとやってきます。犬が何匹も飼われている小屋の中には女性の娘だというルクサーナー(アヌシュカー・シャルマー)がいましたが、なぜか鎖につながれていました。ルクサーナーが連れて行かれて母親を確認したり、葬儀の手はずをととのえるのをアルナブは罪悪感もあって手伝いますが、その後なぜかルクサーナーはアルナブが一人で住むアパートに姿を現し、彼のもとに住みついてしまいます。その頃、昔バングラデシュにいたカーセム・アリー教授(ラジャト・カプール)とその仲間は、ルクサーナーを探していました。どうやらその背後には、過去のいまわしい事件が存在しているようなのでした...。

Pari Poster

とにかく、ショッキングなシーンが続きます。過去のシーンで、おどろおどろしい宗教儀式があったかと思えば、カーセム・アリー教授らが女性を無理矢理出産させようとしているとか、いくつもそういうシーンが出てくるのですが、残念ながらそれが有機的につながっていかないので、本当の意味での恐怖はあまり感じられません。アヌシュカーが演じるルクサーナーも、正体に一貫性がなく、血まみれになろうが闇夜を飛ぶように駆け抜けようが、全然怖くないのです。これは脚本の失敗としか言いようがなく、まだ『NH10』の方が、あれも思わせぶりが過ぎるところがあったけれど、怖かったです。アヌシュカーは汚れ役をがんばって演じていますが、むしろ無名の若い女優とかの方がよかったかも、です。アヌシュカーより存在感があったのは、アルナブの見合い相手で、この事件に巻き込まれる看護師を演じたリーターバリー・チャクラボルティーという女優さん。ベンガル人独特の美しさがありました。監督は、これが長編劇映画のデビュー作となるプロシト・ロイという人です。最後に予告編を付けておきます。

Pari Trailer | Anushka Sharma | Parambrata Chatterjee | Releasing on Mar 2


2本目は、タミル語映画『Naachiyaar(ナーッチヤール)』で、主演はジョーティカ。以前チェンナイで見たジョーティカの女性応援映画というか女性が起業するお話『36 Vayadhinile(36歳になって)』(2015)が面白かったので、今回もジョーティカの作品を見つけてぜひ見ようと思っていたのですが、チェンナイでご自宅にお邪魔した研究者Fさんのお話だとバーラ監督作品だとのことで、よけいに見なくては、と思ったのでした。バーラ監督は、サルマーン・カーン主演作でヒンディー語映画でもリメイクされた『Sethu(セードゥ)』(1999)や、スーリヤとヴィクラムの共演作『Pithamagan(偉大なる父)』(2003)、それに『Naan Kathavul(我は神なり)』(2009)など、かなり特異な作品を作ってきた人です。そのバーラ監督がジョーティカと組むとあっては、見逃すわけにはいきません。

In front of a table, spread with masonry equipments like Drill, Hammer, Wedge and others a visibly upset women wearing black shirt, neck-scarf and tingy blue baseball cap is seen with a gunny sack covering her right hand upto elbow over which she twirls with barbed wire using her left hand.

ナーッチヤール(ジョーティカ)は正義感あふれる女性警部。時には突っ走ってしまうのが難点ですが、今日も身重の女性を拉致して逃げる車をとことん追いかけ、運転していた男たちが逃げてしまうと、後部座席に乗せられていた若い娘アラシ(イヴァナ)を救出しました。アラシは警察で、別の罪で逮捕され、少年院に送られるところだった若い男カータヴァラヤン(G.V.プラカーシュ・クマール)を見つけて顔を輝かせます。カータヴァラヤンの方も嬉しそうでしたが、実はこれには訳があるのでした。アラシとカータヴァラヤンはある結婚式の手伝いで出会い、やがて恋に落ちます。アラシがお手伝いさんとして雇われている家で、主人一家の留守番中に結ばれた二人でしたが、赤ん坊はその時の子供かと思いきや、生まれた子をDNA検査にかけると、「カータヴァラヤンとはDNAが一致しない」という結果が出てしまいます。ナーッチヤールはアラシをレイプした男がいるに違いない、と追求していきます...。

Fさんも言ってらしたのですが、本作ではむしろ、若いカップルが主人公と言えます。フラッシュバックで過去の出会いを詳しく描き、みずみずしい恋が展開するのは、ちょっとバーラ監督作とは思えません。特に、青年役のG.V.プラカーシュ・クマールがすばらしく、もう30歳だというのにとてもそんな年には見えない童顔と演技力でした。この人、A.R.ラフマーンの甥だそうで、自身も作曲家としての実績があるほか、プレイバック・シンガーとしても活躍しているとのこと。演技もうまくて、ちょっと背が低いのが難点ですが、これから人気が出るかも知れません。最後に予告編を付けておきますが、ジョーティカのアクションシーンは警部としては暴走するシーンなので、見ている時は拍手喝采というよりも「これこれ、いけません」と止めたくなりました。

Naachiyaar - Official Theatrical Trailer | Director Bala | Jyotika, G. V. Prakash

そしてもう1本は、『Baagamathie(バーガマティー)』という、『バーフバリ』に出演したアヌシュカ・シェッティの主演作です。本年の1月26日(インドの共和国記念日ですね)の公開なのに今もロングラン中で、見られて嬉しい限りです。こちらは、ラジニカーントとジョーティカが主演した『チャンドラムキ』(2005/すみません、副題省略)にちょっと似た部分があり、古びた館に赴いたアヌシュカ・シェッティ扮する主人公に、バーガマティという女性の霊が取り憑く、というお話です。

Bhaagamathie poster.jpg

お話の初めで、多くの村人が殺され、寺院の神像が盗まれるシーンが出てきます。そして政治家イーシュワル・プラサード(ジャヤラーム)が集会で、自分の政治生命をかけてこの像を取り戻す、と言っているシーンが続きます。その後、サンチャラ(アヌシュカ・シェッティ/テルグ語版ではチャンチャラ)という女性囚人の独房に、彼女と交代する女性が連れてこられます。不審を抱くサンチャラが連れて行かれたのは、古びた屋敷でした。サンチャラは婚約者のシャクティを撃ち殺した罪で服役しているのですが、元は行政長官で、農村開発プロジェクトの担当者に労働運動の活動家だったシャクティを抜擢し、それ以来2人は親しくつきあうようになったのでした。ところがサンチャラはシャクティを射殺。シャクティの兄である警部(ムルリー・シャルマー)は、今回CBI(中央捜査局)の女性捜査官(アーシャー・サラト)の尋問を受けさせるため、サンチャラを連れ出してバーガマティの霊が出るというこの屋敷に隔離したのでした。サンチャラは1人で屋敷に住みますが、CBIの監視カメラには不思議な光景が次々と写ります....。

Anushka Bhaagamathie Movie HD Poster Image

元々はテルグ語映画なのですがタミル語版での上映で、珍しく英語字幕というか英語訳(直訳の全訳で、長くて読み切れない...)が付いていました。いろんな謎が解き明かされていくのと、最後まで謎めいた出来事になっているものとがあって、うまい作りだなあ、とちょっと感心。アヌシュカ・シェッティは演技の中の演技(実はあれはサンチャラの演技だったんだ、とかいう部分)も要求されて、大変な役を全力でこなしていました。「マダム」と呼ばれていた長官時代の威厳に満ちた姿は『バーフバリ』のデーヴァセーナをほうふつとさせ、また、バーガマティになって現れる時も、伝統的な衣装姿になるのでデーヴァセーナと二重写しになります。最後は政治劇の決着という形になるのですが、バーガマティの憑依に関してはすべてが解き明かされているとは言えず、これは続編ができるのかも。最後に予告編を付けておきます。

Bhaagamathie - Official Trailer | Anushka Shetty | Unni Mukundan | Ashok G | S S Thaman | 4K

私の旅は、もうちょっと続きます。(いつになったら日本に帰るんだ!?)



第42回香港国際映画祭に来ています

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1993年から毎年来ている香港国際映画祭ですが、昨年はイースターが4月にかなりずれ込み、3月末に日本にいなければならなかった私は、参加できませんでした。ことしもインドに長くいる必要があったので、参加はほんの3日ほどになってしまうのですが、とりあえずはいいアジア映画をチェックしたいと思って、プレスパスをいただきました。で、今朝10時から、香港文化中心(香港カルチャーセンター)の行政楼4階にある映画祭事務局で、オンデマンドで見られる映画を次々と見ていく活動を開始しました。いつもですとDVDをいちいち借りては返さないといけないのですが、今回は9台のモニターがオンデマンド方式になっており、1台だけがDVD対応なのだとか。早速見たのは、次の3本です。まだスチールをいただけていないので、ポスター等になりますがお許しを。映画祭の公式サイトはこちらです。


『旺扎的雨靴/Wangdrak's Rain Boots(ワンジャ(?)の雨靴)』(中国/2017)

旺扎的雨靴

主人公はチベットの小学生で、旺扎という名前の発音が正確に聞き取れませんでした。チベット語のおわかりになる方、ご教示下さい。旺扎の家は、お父さんは農業をしていますが、今は遠くに働きに行っていて留守で、やさしいお母さんと二人、お父さんの帰りを待つ日々です。旺扎の悩みは雨靴がないこと。このところ雨続きで道がぬかるんでいるのに、いつものズック靴で登下校しないといけないのでした。近所の女の子アチラモ(?)が同情して、時には旺扎をおぶって泥水の所を渡してくれたりするのですが、それが友人たちにからかわれたりと、くさることおびただしい旺扎です。そんな旺扎の自慢は、お父さんが買ってきてくれた飛び跳ねる蛙のおもちゃ。「筆箱と交換して」と言う子がいても断固拒否です。やっとお父さんが帰ってきたのですが、「おもちゃも買ってやったし、テレビが見たいと言うからから衛星アンテナとテレビも買っただろう。それ以上甘やかしてどうする」と雨靴は買ってくれません。村に小型トラックでやってくる移動式雑貨屋が青い雨靴を持ってきたのを見て、旺札はいいことを思いつきます...。

上のポスターではチベットの伝統服を着ている子供が描かれますが、小学生たちは一貫してジャージ姿。旺扎役にはかわいい子を選んであり、演技もなかなかのもの。ただ、お話からイラン映画の『運動靴と赤い金魚』とかをつい思い浮かべてしまい、既視感があるのが残念でした。全体的に作りすぎの感もあり、せっかくのペマ・ツェテン監督プロデュース作品ながら、Lhapal Gyal監督には「次作に期待してます」でした。


『柔情史/Girls Always Happy』(中国/2018)

柔情史

こちらは『旺扎的雨靴』とは真逆の、熟女熟男が幅を利かす作品です。主人公は、北京に住む一組の母娘。2人とも書く仕事をしており、もう30歳近いのでは、と思われる娘(楊明明)は、抗日ドラマのシナリオなどを書いています。もう1人、老人が同居しているのですが、母親(耐安)の父親なのか舅なのか、よくわかりませんでした。老人にはそろそろ痴呆症状が出てきており、母親がいらいらしながら鍵の閉め方とかを教えています。この老人も抗日ドラマの大ファンらしく、テレビでずっと見ています。娘にはかなり年上のボーイフレンドがおり、彼の家に行っては独り用サウナでくつろいだり、おいしいものを食べさせてもらったりと、わがまま放題という感じの娘です。でも母親からは、「あとしばらくして仕事が見つからなかったら、さっさと結婚しなさい」と言われてしまい、娘はむくれます。一卵性母娘かと思えば派手な言い合いもする、奇妙な母娘関係がえんえんと描かれていきます...。

いやー、しんどい映画でした。アップも多くて、ベタ顔の主人公お二人の迫力に耐えるのが大変でした。ところが途中で資料を見てみると、娘役の楊明明が監督だとわかり、ちょっと唖然。かなり嫌な役なのに、勇気がありますね。最後のオチ(娘の抗日ドラマのシナリオが確か35,000元で売れて、これで1年遊んで暮らせると母娘は大喜び)の意味もよくわからず、楽しめない作品でした。この中国映画2作品は、「火鳥大奨(ファイアバード・アワード)」の候補作品です。


『結他少女mou得弾/Village Rockstars(ギターを弾けない少女)』(インド/2017)

Poster of Village Rockstars.jpg

インドのアッサム州の農村が舞台になっています。主人公のドゥヌ(バニタ・ダス)は中学生。いつも男の子たちとつるんで遊んでいて、時には村のおばさんたちから「あんたももうすぐ一人前の女になるんだからやめなさい」とお説教をくらうことも。ドゥヌの夢はギターを弾くことで、高価なギターが買えないため、発泡プラスチックを切り抜いてエレキギターもどきを作り、それを抱えて男の子たちとバンドの真似をする毎日でした。ドゥヌの父親は洪水で亡くなり、母親が糸を買ってきて機織りをしたり、畑仕事をしたりしながら、何とかドゥヌを育てていたので、ギターなどはもってのほか。ギターがほしいドゥヌは木登りが上手なことを生かし、他の家のベテルナッツを木に登って取っては、小銭稼いで家の竹の柱に空けた穴に落とし込んで貯めていました。母親は、父のように洪水で亡くなってほしくないと、水浴びをするたびにドゥヌに水泳を教えます。雨期が来て、今年も村が水に浸かってしまい、水は引いたものの、母親が植えていた陸稲も全滅してしまうことに。そんな時、ドゥヌに初潮が訪れ、村の女性たちが集まって、大人になる儀式をしてくれます。きれいなサリーを着せられて、はにかむドゥヌ。次の日からはまたいつものように短いワンピースを着て、男の子たちと木に登るのをやめないドゥヌでしたが、大人の自覚ができてきたのか、貯めていたお金を母親に差し出します...。

これも女性監督リマ・ダスの作品です。彼女自身がアッサムの村の出身だそうで、農村の風景を実に見事に切り取っていて、ハッとするような映像が次々と現れます。脚本はもちろん撮影もリマ・ダス監督自身だそうで、すでに長編劇映画を1本撮っている実力から生まれた本作は、各地でいろんな賞を受賞しているようです。ただ、残念だったのは、スクリーナー(試みに見る人のために製作会社が用意する映像をこう呼びます)の音声がずれていたことで、画面に英語字幕が出てあれ?と思っていると、7、8秒遅れてその音声が聞こえてくる、という状態が、開始後1時間までずっと続きました。1時間を境にシンクロしたのですが、こんなスクリーナーは初めてで、しかもいい作品だっただけに、とても残念でした。女性映画祭とかにぴったりの作品ですので、映画祭をお考えの方は「ちゃんとしたスクリーナー送ってね」とおっしゃって、公式サイトのセールス会社にコンタクトしてみて下さい。予告編を付けておきます。

VILLAGE ROCKSTARS Trailer | TIFF 2017

あと、ささいなことで疑問に思ったのは、発泡スチロールはインドでそんなに簡単に手に入るのか、ということです。結婚式の装飾(字を書いて切り抜き、浮かし貼りにする)に使われたりしているのを映画で見たことがありますが、相当高いのでは、と、プチプチを求めてムンバイとチェンナイを探し歩いた(というほどでもなく、2、3軒の文房具屋で聞いただけですが)身としては疑問に思ったのでした。この作品、すでにインドでは公開済みのようです。


以上がDVDで見た作品です。そのほか、映画祭は文化センターを中心にあちこちの映画館や文化施設を使って上映されているのですが、九龍塘にあるショッピングモール又一城の映画館で上映されていたインド映画『Omerta(オメルタ)』も見ました。残念ながら、監督のハンサル・メーヘター、主演のラージクマール・ラーオなどゲストは誰も来ていなかったのですが、ほぼ半分ぐらい席を埋めた香港の観客と一緒に見てきました。

『Omerta(オメルタ)』(インド/2018)

Omerta film.jpg

「オメルタ」というのは私は知らない単語だったのですが、日本では「(マフィアの)血の掟」と訳されたりするようです。この名前を冠した「オメルタ~沈黙の掟~」というアダルトゲームも検索に引っかかってきました。本作では、イスラーム教徒テロリストの血の掟を指すようです。実在のテロリストであるアフメド・オマル・サイードをモデルにしており、描かれるのは1992年から2002年まで。映画のトップシーンは1994年に、ラホールでインド人の偽パスポートと偽身分証、それにインドルピーをオマル(ラージクマール・ラーオ)が宗教指導者から受け取るシーンなのですが、その後インドに侵入してのテロ活動と同時に、フラッシュバックで彼の過去の軌跡も描かれていきます。オマルはロンドン在住のムスリム(イスラーム教徒)で、サラエボ事件を知ってムスリムへの迫害に抗議の声をあげたことから、宗教指導者に見込まれてパキスタンに訓練のため派遣されます。パキスタンとアフガニスタンで軍事訓練を受け、たくましくなったオマルは、教育程度が高く、英国籍ということからパキスタンの諜報機関にリクルートされて、インドでの工作を依頼されます。それは、「まずアメリカ人、そしてイギリス人、あるいはその他の白人を殺せ」という工作でした。イギリスなまりの英語を話すローヒトというヒンドゥー教徒に化けたオマルは、デリーの組織と手を組み、チェコ人とイギリス人2人の3人の男性と、アメリカ人女性を誘拐して世間に公表します。その時はデリー警察によって計画が阻まれますが、オマルは様々な西洋人に対するテロで、次々と主要な役割を果たしていきます....。

Omertà Official Trailer | Rajkummar Rao | Hansal Mehta | Releasing on 20th April 2018

『Citylight(街の灯)』(2014)や『アリーガルの夜明け』(2015)を作ったハンサル・メーヘター監督作なので期待して見に行ったのですが、後味の悪い映画でした。アダルト指定になっていて、最初に全裸セックスシーンが出てくるのでそれかと思ったのですが、後半アメリカ人のジャーナリストを誘拐して殺害した時に首を切り落とし、それを画面で見せるシーンがひっかかったようで、趣味がいいとは言えません。「いかにしてテロリストは作られるか」を見せたかったのだと思いますが、4月20日公開予定のインドでの反応はどうでしょうね...。

画像をいただいけたらまた置き換えたりする予定ですので、まずは簡単ながらのご報告まで。


第42回香港国際映画祭2日目は韓国映画『Last Child』が出色

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本日は日曜日、香港はどこもすごい人出です。今日は友人と飲茶の約束があったので、その前後に3本見ただけですが、韓国映画『Last Child/살아남은 아이』にすっかり心を奪われました。ググってみると、昨年の釜山国際映画祭で上映されたようですが、韓国ではまだ公開されていないのでしょうか。韓国語のポスターとかが出てきません。香港国際映画祭の事務局にお願いしている画像がちっとも送られてこないので、今回も仕方なくポスターでご紹介します。

『Last Child/살아남은 아이(最後の子)』(韓国/2017)

살아남은-아이

小さな内装会社を妻ミスク(キム・ヨジン)と二人で経営するソンチョル(チェ・ムソン)は、内装業者として確かな腕を持っており、誠実に仕事をこなす人間でした。ところが、たった一人の高校生の息子が友人を助けようとして川で溺れ、亡くなってしまいます。悲しみに沈む夫婦でしたが、人命救助の市民賞が亡き息子に授与されたり、学校に寄付をして奨学金に使ってもらったりと、さまざまな対応をする中で、次第に立ち直っていきます。ただ、ミスクは息子のことを話してくれる相手を求め、その時一緒にいた男子学生を呼び出してみたりしたのですが、なぜかその子は口をつぐんだまま去って行きます。一方ソンチョルは、息子が助けたという同級生キユン(ソン・ユビン)が配達のバイトの途中なのか、黄色いバイクに乗って奇声を発しながら走り去るのを見ます。やがてキユンと知り合ったソンチョルは、彼がレストランの出前のバイトをしていること、母は蒸発し、父もほとんど家に帰らない中で自分で生活費を稼いでいること等々を知るようになります。バイクを盗んだ疑いでレストランを首になったキユンをソンチョルは内装の仕事に誘い、資格試験を受験できるよう、参考書を買い与えたりして面倒を見ます。最初はいいかげんだったキユンですが、やがてまじめに内装の仕事に取り組むようになり、ミスクとも顔見知りになって、見事資格試験に合格します。お祝いに郊外にピクニックに行き、家族のように楽しく過ごす3人。ですがその帰途、いつかの同級生に会ったとたん、キユンは人が変わったようになり、やがてミスクに衝撃の告白をするのでした...。

シン・ドンソク監督はこれが長編デビュー作で、脚本も書いていますが、実にしっかりした脚本になっていて、冒頭10分ぐらいで映画に引き込まれます。主人公を演じた3人も素晴らしく、特に男優2人、チェ・ムソンとソン・ユビンはずっとその演技を見ていたいと思わせるものがありました。ソン・ユビンの巴旦杏のような目が印象的で、どこかで見たことがあると思ったら、チェ・ミンシク主演『隻眼の虎』(2015)の息子役の俳優でした。あれからまた大きく成長したようで、17歳という実年齢と同じ役ながら、影のあるキユンという人物像を見事に形作っていました。妻役のキム・ヨジンも、抑えた演技からにじみ出るものがあり、ソン・ユビンとのからみでは何度か目頭が熱くなりました。予告編はこちらです。

BIFF2017 l New Currents : Last Child


『Black Kite(黒い凧)』(2017/アフガニスタン、カナダ)

Black Kite Poster

こちらは、ターリバーン時代のアフガニスタンを描いた作品です。冒頭、初老の男がターリバーンに捕らえられ、絞首刑を宣告されます。幼い彼の娘は泣きますが、その男アリアンは牢屋へと引き立てられて行きます。牢屋には先住の男がおり、その男に請われて、アリアンはこれまでのいきさつを語っていきます。父親が凧職人だったアリアンは、幼い時から凧に夢中でした。そのため学校の卒業試験にも落ち、卒業資格が取れませんでしたが、父親の後を継いで様々な凧作りに励んでいました。やがて美しい妻を娶り、女の子も生まれて幸せな毎日でしたが、妻が銃撃戦に巻き込まれて亡くなり、ターリバーンの支配下で「凧などまかりならぬ」という風潮になります。ところが娘は姿を消した凧を見たがり、その噂を聞いた人が寄贈してくれたりして、やがてアリアンの家は凧でうまります。でも、それを空に揚げることはできません。そんなある日、新月の闇夜に黒い凧を揚げたらどうだろう、と思いついたアリアンは、それから闇夜を待ちわび、娘と共に黒い凧を揚げるのに熱中します。でも、ある時そのまま屋上で寝てしまった2人は、ターリバーンに見つかってしまったのでした...。

お話の進行と共に、画面にアニメーションが現れ、青系と橙系の美しいアニメが話を説明してくれます。さらに、当時のアフガニスタンのドキュメンタリー映像も使われていたりして、知らない光景に目を奪われます。アイディアも面白いのですが、凧大好き人間のアリアンの描写がちょっと弱く、いまひとつ真実味に欠けていたのが残念でした。予告編ではないのですが、一部をピックアップしたものを付けておきます。

BLACK KITE Clip | TIFF 2017


『Ava(アーヴァー)』(イラン/2017)

Ava (2017 Iranian film).png

イランの女子高生アーヴァーが主人公で、ボーイフレンドと会っていただけで処女性を疑われて母親に医者に連れて行かれるなど、いろんなフラストレーションがたまっていく日常を描いています。そこそこお金持ちの娘でバイオリンを習いに行くなど、欧米文化にも触れている存在として描かれていますが、学校へは父母が車で送り迎えするなど、イスラーム教の規範はがっちりと守らされています。ところがこの映画、ものすごくディベイトが多いのです。父と母の、あるいは母とアーヴァーの、うるさいまでの言葉の応酬シーンが何度かあって、ものすごく疲れました。

AVA Trailer | TIFF 2017


西アジアの映画を見たので、突如羊肉とかが食べたくなり、チュンキン・マンションのインド料理店へ。下のお二人がやっている店で、写真を撮ったらしっかり名刺を渡されました。「Wakas Sweets」というお店で、1階のショップNo.55です。


下がショーケースで、実はこの右側にお菓子がいっぱい並ぶショーケースもあったのでした。というわけで、「ワカス菓子店(スイーツ)」という名前はウソではありません。


食べたのは最下段左のベジタブル・カレーと真ん中の段右端のラムカレー。どちらもすごくおいしかったです。パンはパラーターにしたのですが、上段のナーンでもよかったかも。あとチャイを飲んで、これで合計50香港ドル(約700円)。安いですねー。おいしかったので、明日もここで食べようかな。あれだけインドにいたのに、映画館の中でドーナツとかあまりまともなインド料理を食べなかったため、今、取り返している感じです...。


第42回香港国際映画祭3日目は中国映画特集

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香港国際映画祭の事務局へは、毎朝10時のオープンと共に入れるよう、いつも10分前ぐらいに行って閉まっているドアの前で待っています。24日は土曜日だったせいもあってか、6人ぐらい待っていたのですが、昨日は3人、そして今日は誰も競争相手はいませんでした。


部屋は大きく3つに仕切ってあって、一番手前はカタログ等を販売するデスク、次のデスクがゲスト・パスの受付とゲストの世話で、その真ん中パートにはソファーがあり、簡単なお茶セット(インスタントコーヒーとクリームの大瓶や、ティーバッグなど)も用意されています。そして一番奥にメディア・パスの受付があり、そこに毎日朝10時から午後7時まで座っているのが右の男性、ミスター・リー(李先生)なのでした。非常に公平で、かつ親切な人で、今回本当に助かりました。多分、イベント会社から派遣されている人だと思いますが、日本の名古屋と大阪に行ったことがある、と言っていました。いつもは外で待っている私も、今日は「もう用意はできているから中に入っていいですよ」と5分前に呼びに来てくれた李生(レイサン/レイシンサンを縮めてこう呼びます)の好意に甘えて、少し早めにスタートさせてもらったのでした。


このデスク以外の3面には、こういうモニターが並んでいます。全部で10台あるのですが、見ておわかりのように大型画面もあれば、普通のPCモニターぐらいのものもあります。小さい画面だと英語字幕が読めないので、これも李生にお願いして、毎回大型画面で見せていただきました。昨日は音声が聞こえにくいモニターがあり、それも場所を代えてもらうなど、いろいろ便宜をはかっていただいて助かりました。女性の係の人は毎日違う人が来ていましたが、彼女たちも親切、かつ丁寧で、とても感じがよかったです。


モニター画面はこんな風になっていて、右側にアルファベットが並び、英語題名の初めの文字で探せばすぐこんな画面が出てきて、見たい映画を即クリックできます。映画それぞれにカタログのページが資料として付けてあり、これもどんなストーリーか見当を付けたりするのに便利です。よく考えられたシステムでした。TIFFも昨年からオンデマンドになって便利になりましたが、HKIFFのやり方も参考にしてさらに使いやすくしていただければと思います。で、今日見たのは2本+αです。

『北方一片蒼茫/The Widowed Witch(寡婦のシャーマン)』(中国/2017)

北方一片蒼茫

主人公の女性王二好(田天)は3度結婚して3度とも夫に死なれてしまった寡婦です。今は夫の弟で、しゃべるのが不自由な少年と共に、白いバンで寝起きしています。彼女の周りには、借金とりから逃げ回っている中年男や、見捨てられたような暮らしをしている老人、女の子しかいなくて次の出産で男の子を望む夫の妹など、いろんな人がいます。そんな中、二好は次第にシャーマンの素質があるとされるようになり、やがて老人からシャーマンの道具をもらって村人を相手にお祈りや予言をするようになります...。

ものすごくわかりにくい映画でした。シーンそれぞれは単純な内容なのですが、作り方がジグゾーパズルのピースを次々に見せていくだけ、という感じで、全体像がわかりません。また、最初は雪深い林の中をあるく二好と兄(?)をカラーのきれいな画面で撮っていたのですが、やがてモノクロになり、またカラーに一時戻ったかと思うと再びモノクロで物語が進行し...と、なぜそこだけカラーなの? というのが見ている方にはわからないという作品でした。モノクロの最初のシーンでは、二好は死んだことになっていて、その彼女の声と周囲の人の声が録音の調子を変えて聞こえてくる、という状態で、しかも二好は体が動かないのをいいことにレイプされる...と思ったら、次のシーンからはしっかりと生きている人間として登場してくるし、私の理解ではついていけない作品でした。しかしながら、ロッテルダム映画祭では受賞したとかで、これが第1回長編劇映画である蔡成傑監督が中国のマスコミには大きく取り上げられたりしていました。予告編を付けておきます。

The Widowed Witch - trailer | IFFR 2018  

 

『米花之味/The Taste of Rice Flower』(中国/2017)


こちらはとてもわかりやすい作品でした。舞台は中国南部、雲南省の傣族の村です。上海で働いていた葉南(英澤)は、仕事を辞めて故郷の村に帰ってきます。陽光のもと、濃い緑の中に青い屋根の大きな家々が山の斜面に並ぶ絵のような村には、葉南の年老いた父と、父に預けっぱなしの小学生の娘喃杭が住んでいました。昔ながらの茶摘みや織物が続いている村ですが、子供たちはゲームに夢中だし、若者はバンドなどもやっていて、村に太陽光発電機があることといい、ずいぶんと開けてきています。喃杭もゲームに夢中で、同級生と唯一Wifiがつながるお寺に陣取って、夜遅くまでゲームをしています。携帯を取り上げると、母親の携帯をこっそりと盗む始末。ずっと家にいなかった母親と娘の関係は、なかなかなめらかになりませんでした。そんな時、ゲームをするお金ほしさに喃杭が友達とお寺に奉納してあったお金を盗むという事件を起こします。そしてその友達が病気でもう手遅れだということもわかり、あっという間に環境が大きく変化していきます...。

まず、暖かい光のあふれる場面が、これまでの映画にない、画面を見る喜びをもたらしてくれます。ありふれたストーリーと言えばそうなのですが、それをあえてひねらず、直裁的に呈示してある手法をみずみずしく感じたのは、ひねりすぎの作品を見たあとだったからでしょうか。主人公も決して百点満点の人物ではなく、また、牧歌的な村も理想郷とは描かれていません。主人公はイライラするとタバコに手を出すし、最初笑顔が続いた顔も、険しい鬼のような表情になったりします。また、主人公は夫と離婚したことを娘に隠していたのですが、それが村の年長女性によって暴かれたり、病気の少女にカンパをつのる活動を村をあげてしていたのに、彼女が亡くなると「金は返ってくるのか」という村人がいたりと、そのあたりのリアルさが巧みな作品でした。監督は鵬飛という人で、これが2作目です。脚本には主演女優の英澤も関わっており、また、音楽は日本のミュージシャン鈴木慶一が担当していました。予告編はこちらです。

The Taste of Rice Flower (米花之味, 2017) de Song Pengfei

この予告編にある最後のシーンの後、母と娘が傣族の踊りを踊るのですが、明らかに娘を演じた少女の方が踊りが上手でした。きっと、傣族の女の子なんでしょうね。劇中では「お母さん、踊りが上手ね」という台詞がでてきて、確かに手首のスナップの利かせ方なんか上手だなあ、と思って見ていたのですが、最後のシーンで少女の手の動きの方が格段にうまくて、びっくりしました。いい表情をしていたので、女優の道を歩んでもいいのでは、と思います。


もう1本、『尋狗啓事/Looking for Lucky』(中国/2017)という作品も見始めたのですが、手持ちカメラが動き回る画面に酔いそうになってしまい、さらに、昨日辟易したディベイト劇っぽかったので(孫が指を犬に噛まれた、と太ったおばさんが怒り、犬の飼い主である主人公の父が言い返し、主人公がそれをなだめる、というのがトップシーンで、えんえんと続く)、15分ぐらい見てパスしました。あとのアジア映画は、先日の大阪アジアン映画祭で上映された作品だったり、昨年の東京国際映画祭や東京フィルメックスで上映されたものだったり、というわけで、また日本で公開されるかも知れないからいいか、とスルーしました。

それと、今日はどうしても見ておきたい作品があったこともあって、午後4時から旺角の映画館に走ったのです。その作品とは...

Monster Hunt 2 Poster.jpg

そうです、『モンスター・ハント』(2015)の続編『捉妖記2』なのでした。今回は、前回のメンバーに加えて梁朝偉(トニー・レオン)と楊祐寧(トニー・ヤン)の二人のトニーが加わるという豪華版。妖怪側もウーバーに加えて、上のポスター左下にいる笨笨が梁朝偉の相棒で活躍、いい味を出していました。ただ、妖怪との戦いのシーンになった時からすっかり寝てしまい、最後4分の1ぐらいが記憶欠落。ツインさんがまた買って下さって、日本で見られるといいなあ...。映画館のディスプレイの写真を付けておきます。


もちろん、予告編もどうぞ。

 捉妖記 2 | HD粵語中字電影預告

旺角の映画館には、こんな写真も。


『シークレット・スーパースター』、台湾も香港も私が行った少し後で公開、というパターンばっかですね。中国では『ダンガル きっと、つよくなる』に続いて大ヒットだったそうで、日本でも同じように...続いて公開とはいかないでしょうかね、アーミル・カーン様。

 

『ダンガル きっと、つよくなる』<最終予選>

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香港から戻りました。香港を発つ直前まで、「キネマ旬報」次号(4月5日発売)の『ダンガル きっと、つよくなる』特集のゲラ校正をしていたため、最後に空港のマック・カフェから携帯で訂正箇所を送信した後は、何だか抜け殻のようになって飛行機に乗り込みました。本当は、香港版『ダンガル』こと『打死不離3父女』のDVDを買って、その感想も交えながらこの<予選:その3>である<最終予選>を香港滞在中に書こうと思っていたのですが、なじみの廟街のDVD屋さん精美唱片に行ったら「未出(メイチョッ=まだ出てない)」と言われてしまいそれも挫折。うーん、中国盤は出ているという話だったのになあ。その代わりに『Bajrangi Bhaijaan』こと『把[女也]帯回家』を勧められたので、すでに持っているものの39香港ドル(約550円)だったし、買ってしまいました。以前こちらで書いたのでご存じでしょうが、『ダンガル』は中国、香港、台湾でそれぞれの中国語タイトルがみんな違うため、中国盤を持ってきて香港で売る、というのは普通のDVD屋ではやっていないのです。ポスターを付けておきますが、上から順に、香港版、中国版、台湾版です。

漢字は見ると意味がおわかりかと思いますが、ちょっとわかりにくいものを説明しておくと、「父女」は「父と娘」ということです。「3父女」は3組の父娘がいるのではなく、「父と娘2人で合計3人」という意味で、同じような表現に「両公婆(夫婦)」があります。中国版の「摔跤」はレスリングのことだそうで、今回私も初めて知りました。「爸爸」はお父さんです。台湾版にある「冠軍」は優勝、第1位のことで、準優勝、第2位は「亞軍」と言います。キャッチコピーもいろいろ違っていて面白いですね。

さて、『ダンガル きっと、つよくなる』紹介<予選>の最後は、監督紹介です。アーミル・カーン作品は、『きっと、うまくいく』(2009)や『PK ピーケイ』(2014)のラージクマール・ヒラニ監督以外は、監督の影がどうしてもうすくなってしまうのが難点ですが、さすが「Mr.パーフェクト」だけあって、アーミルはいつも実力派の監督とタッグを組んで仕事をしています。今回のニテーシュ・ティワーリー監督も、実はすごい経歴の持ち主でした。


 (c)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016 

ニテーシュ・ティワーリー監督の生年は調べたのですがわからずじまい。身長や体重まで出ているサイトにも「生年月日:不明」とあって笑ってしまったのですが、あとで述べる奥さんのアシュヴィニー・アイヤル・ティワーリー監督の生年月日が1979年10月15日なので、ニテーシュ・ティワーリー監督も40歳ちょっと過ぎぐらいかな、という感じです。生まれは北インドの中央部マディヤ・プラデーシュ州のこれまた中央部にある町イタールシー。そこで初等&中等教育を受けたあと、ムンバイのインド工科大学(Indian Institute of Technology=IIT)に進学します。ご存じの方も多いと思いますが、IITはインドの理科系大学の名門で、今では全国に23校が展開しているのですが、ティワーリー監督が卒業したIITBことIndian Institute of Technology Bombayは2番目に開校したIITで、2018インド大学ランキングでは1位に輝くすごい大学なのです。 

冶金学と材料科学分野で学位を取り、この名門大学を1996年に卒業したティワーリー監督は、世界的に知られたアメリカの大手総合広告代理店レオ・バーネット社に入社します。その後映画界に転身するまで、彼はそこでクリエイティブ・ディレクターとして勤務するのです。奥さんのアシュヴィニー・アイヤル・ティワーリー監督ともその職場で知り合ったとかで、職場結婚したあと2人とも映画界に転身というか転進するわけですね。なお、ご夫妻には、男女の双子のお子さんがいるそうです。

その第1歩となった監督第1作が、スマッシュヒットした『Chillar Party』(2011)で、タイトルは『ガキんちょ党』とでも訳せばいいのでしょうか、子供たち10人が主役の作品です。あるインタビューでティワーリー監督が語っていたところによると、この作品の共同監督であるヴィカース・バフル監督はレオ・バーネット社時代のクライアントだったそうで、この子供映画を作るアイディアを持っていたため、2人で脚本に取り組み完成させたのだとか。ところが、映画化の話が出ても、「子役を10人も使うなんて」と誰も監督を引き受けたがらず、結局脚本を書いた2人が監督もやることになったということです。ところで、ヴィカース・バフル監督と表記してしまったのでおわかりになりにくいかと思いますが、この人、日本で監督作品が公開された時は「ビカース・バール」と表記されたんですね。そう、あの『クイーン 旅立つわたしのハネムーン』(2014)の監督なのです。因縁というか、いろんなご縁がつながっているのですね。

  (c)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016 

『Chillar Party』は、その後UTVとサルマーン・カーンの製作会社が製作に名乗りを上げ、2011年7月8日に公開されます。チャンダン・ナガル・コロニーという住宅地に暮らす小学生の悪ガキどもの日常が描かれるのですが、YouTubeで部分的に見てみると、子供たちがすごいスラングを使ったりしていて、大人は口あんぐり、というシーンが出てきます。ポスターは大勢の子供たちがパンツ姿で勢揃いしていて、わんぱくでお下劣な雰囲気満載。サルマーン・カーンもカメオ出演しているようで、サルマーンたじたじ場面もYouTubeで見られたりします。この、元気のいい、本音でしゃべる子供たちがうけたのか、『Chillar Party』は製作費の8倍の興行収入をあげ、さらにインド国家映画賞(National Film Award)で最優秀児童映画賞、最優秀子役賞、脚本賞まで獲得してしまいました。素晴らしい転進第一歩となったわけです。

その後、ティワーリー監督は児童映画作りの才能を見込まれてか、2014年には『Boothnath Returns(幽霊王が帰ってきた)』も監督します。前作『Boothnath(幽霊の王)』(2008)では、アミターブ・バッチャンが幽霊に扮し、シャー・ルク・カーンとジュヒー・チャーウラーと小学生の息子が引っ越してくるゴアの旧家に出没して大騒ぎを起こす、というお話でしたが、それを踏襲しながらも、今度はムンバイのスラムを舞台に政治もからめながら幽霊の王(ブートナート)を活躍させるお話にしてあります。アミターブ・バッチャンは再度主役を演じたものの、シャー・ルク・カーンとジュヒー・チャーウラーのような大スターは出なかったので、興収は前作ほどではなかったのですが、こちらもまずまずのヒットとなりました。

 (c)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016 

そして、3本目の監督作『ダンガル きっと、つよくなる』で大ブレイクするのですが、その間にティワーリー監督は、2本の映画の脚本を書いています。1本はシャード・アリー監督(『踊り子(Umrao Jaan)』(1981)のムザッファル・アリー監督の息子)の『Kill/Dil(心を殺せ)』(2014)で、ゴーヴィンダー、ランヴィール・シン、アリー・ザファル、パリニーティ・チョープラーが主演したもののこちらはヒットせずの作品になりました。もう1本が、妻のアシュヴィニー・アイヤル・ティワーリー監督の作品『ニュークラスメイト』(2016)で、この作品は2016年の埼玉SKIPシティ国際Dシネマ映画祭で上映されました。『ダンガル きっと、つよくなる』の公式サイトには、この作品は「コメディ映画」と紹介されていますが、ユーモアは多く含まれているものの、決してコメディ映画ではありません。そう断言できるのは、私が字幕を担当したからです(笑)。

2016年に映画祭上映される時はこちらでもご紹介したほか、さらにその前にこちらでもご紹介しています。これらの記事に書いたつもりだったのですが、この映画が公開される時の「Filmfare」誌の紹介文の中に、アシュヴィニー・アイヤル・ティワーリー監督がこの映画を作るきっかけとなった出来事が紹介されていました。それは、インドの女子中学生の作文で、ちょっとうろ覚えなのですが、「赤ちゃんが誕生する時、男の子だと産婆さんから、”おめでとう、男の子ですよ(ムバーラク・ホー、ラルカー・フアー・ハィ)”と言われる。でも女の子だと、”女の子だよ(ラルキー・フイー・ハィ)”としか言われない。私も”おめでとう”と言われて生まれたかった」というような内容で、監督はこれに衝撃を受けたのでした。そして、「女の子だから」「お手伝いさんの娘だから私もお手伝いさんになる」という主人公の娘の考えを、主人公である母親が自分も学業に挑戦することで変えさせていく、というこの作品を作ったのです。字幕を作りながら、ユーモアをまぶしつつ盛り込まれた主張に感心したのですが、ただ、母親が地方長官に会いに行ってすんなり会えたりするシーンや、娘ががんばって最終的には地方長官になる、というくだりに、ちょっと安易すぎる気もしたのでした。

  (c)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016 

その同じ欠点が『ダンガル きっと、つよくなる』にも少し見られることを、今度の「キネマ旬報」の文には書いたのですが、でも『ニュー・クラスメイト』と比べると格段に練られた脚本になっていて、さらに演出力も出色のものとなっています。だからこそ、インドでも、そして中国でも大ヒットとなったのでしょう。『ダンガル きっと、つよくなる』はいよいよ来週、4月6日(金)からの公開です。来週はこのブログも、<準決勝戦><決勝戦>へと進んでいきますので、お楽しみに。

 

4月1日に思うこと~生き延びた10年(上)

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今日は4月1日、エプリルフールでした。香港の歌手であり、映画俳優でもあった張國榮(レスリー・チャン)のお命日でもあります。亡くなったのは2003年で、その後13回忌まで、毎年4月1日に小さなブログ記事を載せていたのですが、2017年からはそれをやめました。ただ、今年は私が香港で大きな手術を受けて命をとりとめてから10年目に当たるので、生き延びたことを感謝し、あらためて香港およびレスリー・チャンとのご縁を振り返ってみたいと思います。


レスリー・チャンとの出会いなど詳しいことは、2008年3月に平凡社から出た上の本「レスリー・チャンの香港」に書いてあるのでそれをご覧いただければと思いますが、レスリー・チャンが亡くなった時「何とか、彼と、彼の生きた時代の香港の姿を書き残しておかなくてはいけない」という思いに突き動かされ、4年かかってまとめた本でした。彼自身のことを突っ込んで書くためには、彼と親しかった人やご家族に取材しないといけない、という思いはあったものの、主として経済的な理由から、香港にたびたび行ったり、アポを取って相手を訪問する等を実行するための長期間滞在ができず、周辺取材だけに終わってしまったのが今思い返しても残念です。それでもやっと書き上げ、あとはカラーページへの写真使用の許可を取るだけ、という段階では、幸運にも広東語の恩師S先生にレスリー・チャンのマネージャーだったフローレンス・チャンさんを紹介していただき、直接お電話もしたりして、苦労の末何とかご家族の許可も取っていただけたのでした。

2007年3月のレスリー・チャン追悼イベント@香港のポスター

それで、出版されたばかりの本、というか見本刷りの本数冊を抱え、日本を出発してインドのムンバイに向かったのが2008年3月8日。本の奥付の出版日が3月17日なので、本当にできたてホヤホヤだったのです。私は花粉症がひどいのでそれから逃亡するためもあって、毎年3月はインドに行き、その後香港へ寄って香港国際映画祭に出る、というのが2000年代に入ってからのパターンでした。2008年も、インドに1週間ほど滞在した後3月16日の早朝5時半発の便でムンバイから香港に向かい、その後26日まで滞在して映画祭に出るかたわら、フローレンス・チャンさんにお目にかかって御礼を言い、出たばかりの本を手渡そうと思っていたのでした。ムンバイ滞在中は、途中3日間チェンナイに行ったりしてフルに動き回り、香港への移動日前日の3月15日も、列車やタクシーに乗りまくってあちこち行っていたことが、当時の金銭出納メモからわかります。そんなわけで相当疲れて飛行機に乗り込んだのですが、搭乗開始と言われて並んでから飛行機の出発が遅れ、立ちっぱなしで30分以上いたので、よけいにへとへとになりました。

出発前日に乗った満員の列車に乗り込んできた物売りの青年

早朝便なので、乗ってすぐ朝食が出ました。そしてその後、乗客はみんな寝入ったのですが、その頃になってお腹が痛み始めました。そして何と、嘔吐してしまったのです。汚い話で申し訳ありませんが、私自身はそれにあわてるより、嘔吐したという事実にショックを受けました。今もそうですが、私は過去1、2回しか吐き気を催した記憶がなく、実際に嘔吐したのは大学院時代に飲み過ぎた1回だけです。これは変だぞ、と思っていると、さらに何回かその症状が続き、持っているビニール袋も底をつく始末。隣席のインド人青年にも迷惑を掛けたのですが、彼がCAの指示で席を移ってくれ、横になることができました。でも、腹痛は続き、バンコクでストップオーバーした時は、よほどここで降ろしてもらおうかと思ったほど。その少し前にバンコク在住の友人から、バムルンラード病院のすごさを聞いていたので、「バムルンに入院してもいいかも」などと考えていたのでした。

そりゃあこういうストリートフード(インドでは「フルーツサラダ」と呼ばれるカットフルーツ)も食べましたが、それならまず下痢するでしょ!

結局香港まで行き、急病人ということで車いすに乗せられ、空港内のクリニックに連れて行かれました。担当は西洋人の医師で、いろいろ症状を訴えたのですが、「インドに行っていた」というと「それだ! インドで汚いものでも食べたんでしょ」と断定、こちらの訴えにはもう耳を貸さず、「はい、薬。これ飲んで」と言うと向こうを向いてしまいました。ところが、白湯で薬を飲むと、すぐに吐き気が襲ってきてまた嘔吐。看護師さんが先生にそれを告げますが、「ホテルに行って休めば治るよ」とまったくつれない西人医生(サイヤン・イーサン)でした。しかしながら、翌日になっても腹痛が治らないし便通もないので、3月18日の朝AIU保険(当時)の代理店に電話をして、日本語の話せるティオリナさんという担当者にクリニックに連れて行ってもらうことにしました。香港では「インド」はそれはひどい所と思われているらしく、その時の香港人の医師も、「印度(ヤンドウ)? きっと汚槽[口既][口野](ウージョウ・ゲー・イェー/汚いもの)を口にしたのでは?」という言い方をし、「お腹にガスがたまっているみたいだね」と普通の腹痛薬と吐き気止めしかくれませんでした。


ベジタリアンの友人宅での食事、これのどこが「汚い」のよ! 

しかし、何かおかしい、と私の動物的勘が告げています。次の日の朝、またティオリナさんに電話して「胃腸専門の病院に連れて行って下さい」と頼み、もしかしたら入院するかも、と下着の替えとかを用意して、換金も済ませて待ち合わせの場所に行きました。場所は旺角のグランドタワーというビルだったのですが、ティオリナさんを待っている間立っていられなくなり、しゃがみ込む状態でした。ティオリナさんに支えられてたどり着いたクリニックでは、医師が私を診るなり、ではなく、見るなり顔をこわばらせて、「すぐにレントゲンを撮ってもらってきなさい。順番をすっ飛ばしてやってもらって」と言うのです。その頃には、欠食児童のように下腹せり出していたのをめざとく見つけてくれたのですが、小さなクリニックの集まっている所では共同でレントゲン室がもうけられていて、各クリニックの患者が利用できるようになっていたのでした。で、レントゲンを見た医師は、「うちのような小さな所では手に負えない。すぐに大きな病院に行きなさい」と言い、ティオリナさんと相談して、香港島側のカノッサ病院がいいだろう、ということになりました。救急車、それともタクシーかな、とか思っていると、「香港島への海底トンネルが混んでるから、地下鉄の方が早い」。何だか意識も遠のきそうな中、地下鉄にゆられて5駅、中環(セントラル)からはタクシーで、丘の中腹の、昔の総督府の上にあるカノッサ病院にたどり着きました。

入院したカノッサ病院の香港名は「嘉諾撤医院」で、高級住宅地のミッドレベルにあります

入院したのが午後2時ごろで、海外旅行保険に入っているためサイン一つで入院できます。この時幸運だったのは、当時インフルエンザだかが流行っていて一般病室はどこも満杯で、2人部屋しか空いていなかったこと。7~8人部屋が600香港ドル/日(当時で約7000円)なのに比べ、2人部屋は1400ドル/日と倍以上なのですが、払ってくれるのはAIU保険。おかげで贅沢な入院ができました。あらためてレントゲンやCTスキャンをとり、午後4時ごろ担当医である鄧医師がやってきて説明してくれます。この時「イレウス」という単語は出てきませんでしたが、どうやら説明を聞くと腸閉塞のようでした。「すぐに手術をした方がいいんだが、僕はこれから別の病院に行かないといけなくて、戻ってこられるのが夜の9時頃になる。だから10時からなら手術できるが、夜の手術なので50%増しとなり、約10万香港ドル(約130万円)かかる。それが嫌なら明朝の手術にすれば通常料金になるけれど、僕は早い手術を勧めるね」この時、保険の保障限度額を100万円と勘違いしていた(実際は1000万円)のですが、鄧医師の切迫した言い方にこれはヤバい状態なんだな、と思い、「お金のことはいいですから、今晩手術して下さい」とお願いしたのでした。


命の恩人、鄧医師(右)と保険会社のティオリナさん

そして、午後10時から2時間半の全身麻酔による開腹手術となり、やっとこの世に生還したのが2008年3月20日未明。次の日鄧医師が言うには、「あなたはとてもラッキーだったよ。あと少しで腸が破裂する状態だった」とのこと。前日の説明の時は、「数十万円自費を出しても命が大事」と思って即手術をお願いしたのですが、その判断が正解だったことがわかり、胸をなでおろしました。あらためて保険の証書を見てみると、医療費の上限は1000万円だということもわかって、以後は「2週間で抜糸、退院できる」という先生の言葉に、それなら非常勤で行っている大学の新学期にも間に合う、と療養に努めたのでした....なら、完璧なラッキーだったのですが、そうは問屋が卸しませんでした。(つづく)


4月1日に思うこと~生き延びた10年(下)

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さて、手術後のお話です。2人部屋は広くてテレビはもちろんDVDプレーヤーまで付いており、アメニティ・グッズも支給されるほか、寝間着も貸与。毎日、看護師さんが熱いタオルで体を拭いた後で取り替えてくれます。開腹手術だったこともあって、下着は省略してズボンと長い胴着のパジャマをずっと着ていました。枕元のポットは熱湯と冷たい水で、カップもすべて貸与。文字通り、身一つで入院できます。また、部屋には電話もあり、隣のベッドの方(何と、最初に同室者になったのは、キャセイ航空の客室乗務員労組委員長のベッキー・クワンさんという人でした。香港在住の友人がお見舞いに来てくれて判明、ストがあったりすると必ずテレビカメラの前に登場する、有名なCAなんだとか)は「私は携帯を持ってるから、あなたが自由に使って」と言ってくれ、国際電話は掛けられないものの受けることはできるので、とても助かりました。日本のAIU保険センターからも電話がかかってきて、「入院は180日まで保障されますから、安心して下さい。救援者派遣は不要ですか? 航空券はもし期限が切れたとしても、新たに購入することができますからね」と要領のいい説明をしてもらって大いに安心しました。


その上、希望すると新聞も配達されます。新聞は最初英字新聞でしたが、のちに中国語新聞に変えてもらいました。確か、明報だったような気がしますが、ちょっとうろ覚えです。さらにさらに、廊下の端には談話室があって、そこには図書がいっぱい備えられているのです。中には日本語書籍満載の棚もあり、本当に助かりました。ただ、最初はそんなこととは知らず、お見舞いに来てくれた「レスリー・チャンの香港」のフリー編集者Iさんに、「お願いだから香港の日本語古本屋で文庫本を買ってきて」と500香港ドルぐらいを渡し、大きな紙袋いっぱいという、山のような文庫本を差し入れてもらったのでした。これは本当にありがたく、傷が痛む時も本を読んでいれば我慢できて、香港で入院したありがたみをしみじみと味わいました。インドだったら、こうはいきません。


鄧医師は毎日経過を見に来てくれて、イースター休暇が始まった3月21日(金)もラフな服装で回診してくれました。「動けるようになったら、ベッドから降りて椅子に座っていいですよ。もう少し元気になったら、下の庭園も散歩してOK。きれいですよ」と、「絶対安静」なんてどこの話だ?というポジティヴ発言ばかり。その鄧医師が一度だけ青くなったことがあって、それが3月22日(土)のイースター休暇2日目でした。この日はガスが出て、「ガスが出たら点滴から経口食に切り替えますから」と聞いていた私は、張り切って先生にそれを伝え、「では、明日からね」と言われて喜んでいたら、傷口のガーゼを取った先生の顔がこわばりました。「う、これは...」と鄧医師が傷口を留めていたホッチキスを2個取ったら、とたんに中から膿が...(汚い話でごめんなさい)。「傷口が化膿したんだ」と先生はすべてのホッチキスを取ったあとものすごく丁寧に傷口をアルコール消毒し、「このままでは傷口がくっつかないから、これから毎日3回ずつ消毒をして、もう大丈夫とわかってから縫い合わせることにします」と言うではありませんか。これで、2週間で退院、という予定はパーになりました。この、1日3回の洗浄は皮膚を切り裂いた部分にアルコールを塗るわけですから痛みもすごくて、特に最初は拷問のようでした。先生がいらっしゃる時は先生が(さすがに上手だった)、朝晩は看護師さんがやってくれたのですが、看護師さんは上手な人と下手な人がいて、おそらく下手な人は傷口のすごさに腰が引けていたのだと思います。今もすごい傷跡が残ってますからねー。

看護をしてくれる人たちは、3つのグループに分かれていました。ナース・キャップを付けている正看護師さんと、帽子はなくて代わりに緑のベルトを着けている、多分准看護師と思われる人、そして、黒いズボンをはいている看護助手にあたる人たちです。上の写真が私の病室をお世話してくれた人の主力メンバーですが、2人で写っているうちの正看護師さんは傷口洗浄が上手でありがたかったです。どの人も明るくて、医師と同じくポジティヴ・シンキングの人ばかり。毎朝、体温と血圧を測りにきてくれるのが准看護師さんなのですが、その時お通じの有無も訊かれます。ある時「昨日はお通じがなくて...」と言うと、「あーら、そんなの平気よ。私なんて、3日もない時があるからねー」と答えられて、いや、病人とじゃ違うでしょ、と心の中でツッコミつつも、気分がぐんと明るくなるのでした。看護助手のおばさんたちは、お湯をくんだり、食事を運んだり、シーツを換えたり、お掃除をしたりと、それはよく働く人たちばかりでしたが、私が広東語を話したとたんに、「な~んだ、広東語ができるのね。外国人だから英語しか駄目だと思った」とすっかり打ち解けて、いつもかまってくれました。


カノッサ病院で特筆すべきは、この優秀なスタッフたちと、もう一つは食事の豪華さです。毎朝上のような注文シートが配られて、昼ご飯、夜ご飯、そして次の日の朝食のメニューが選べます。いずれも、洋食か中華料理かのどちらかから選ぶのですが、朝食は中華のおかゆと点心/トーストと卵料理&ソーセージorハム/コーンフレークと牛乳&果物、の3種類が候補となります。また、飲み物も選べるのですが、ジュースだけは別料金。私が退院時に支払った費用はこのジュース代だけで、数回分で日本円で600円ほどでした。写真は上から、中華、トースト、コーンフレークの朝食ですが、コーンフレークはお得感がなく(笑)、1回でやめました。

朝食はまだ簡素という感じですが、これが昼食、夕食になると、ここは本当に病院か、と思うぐらい豪華になります。メインディッシュが中華か洋食か、という選択肢があるほか、デザートは甘いもの(アイスやゼリーなど)か果物かが選べますし、コーヒーかお茶かが付いてきます。これがホントに病人食?という写真を3枚ほど付けておきましょう。ご飯も黒いふたのポットに入ってくるので、食べようと思えば三杯飯もOKです。

最後の写真のゼリーは、パンダが底に描かれているゼリーカップで作ってあって、上面にパンダの顔が浮かび上がっていました。思わずメモ用紙にパンダの絵を描き、「大熊猫好好食(パンダ、おいしかった)」と広東語で書いて返したら調理場で大笑いになったらしく(ホントは「好吃」と書かないといけなかったのだと思う)、明くる日おばちゃんが教えてくれました。ただ、正直言うとメインディッシュの味は8割方が「いまいち~」で、このあと「おいしかった!」の札を付けて返したのは2、3回だけでした。そうそう、それから、おやつも出るのです。ピンクの紙の最下段にある「下午茶」というのがそれで、下の写真のように毎回タルトや焼き菓子などが飲み物と共に供されました。いやー、ホテルよりも充実した食生活だったと思います。

傷口洗浄さえ我慢すれば、喰っちゃ寝と読書三昧の生活でしたが、不安だったのはいつになれば退院できるか、ということ。当初の帰国予定は3月26日(水)で、その週末には「インド通信」の発送作業も控えていたのですが、これは早々に無理とわかったため、お見舞いに来て下さったMさんにお願いして自宅の鍵を持ち帰ってもらい、それを「インド通信」の事務局メンバーに渡してもらう、というお役目をお願いしました。Mさんのほか、香港国際映画際に参加した方やレスリー・チャンの追悼イベントに参加するため香港にいらしていた方などが次々にお見舞いに来て下さり、お見舞いというのは回復力をぐんと高めるんだなあ、と毎回非常にありがたく思ったものです。香港国際映画際のディレクターたちもわざわざお見舞いに来てくれたのですが、下の写真のジェイコブ・ウォン(1人で写っている人)もリー・チョクトー(2人で写っている左側。右側は元映画際のディレクターで政府高官のアルバート・リー)も、今年、2018年の映画際が終わったらディレクターを辞めるそうなので、記念にお写真を付けてみました。

結局、再縫合してもらったのが4月3日(木)、抜糸が14日(月)で、15日(火)にやっと退院でき、16日(水)の便で帰国しました。AIU保険は最後まで至れり尽くせりで、退院時はリムジンでお迎えが来、その晩はホテルに泊まって預けていた荷物の整理、明くる日はまたリムジンで空港まで、担当者が送ってくれました。飛行機は「ファーストクラスで」と提案されたのですが、昔一度乗った時にその世話焼き加減にうんざりした思い出があるためビジネスクラスにしてもらい、ほとんど寝て帰ってきました。成田でもお迎えが待っていて、自宅までバンで送ってもらったのですが、そういう話を後日すると、それまで海外旅行保険に入らなかった友人たちがその後入ってから出かけるようになったとかで、保険会社にも少しはお役に立てた、というところです。

お見舞いに、きれいなお花もたくさんいただきました

それから10年、傷跡は残ったものの元気で海外にも行っているのですが、もう一つ、精神的な傷跡が残ってしまいました。それはレスリー・チャンに関することで、入院したがためにフローレンス・チャンさんに直接本を渡して御礼を言えなかったことに起因します。本は結局、点滴が取れた時点で手紙を書き、本に挟んで何冊かをフローレンス・チャンさんの事務所宛にティオリナさんに送ってもらったのですが、手紙が目に入らなかったのか、フローレンスさんが「来ると言っていたのに来なかった」と気分を害しておられる、という話がだいぶ経ってから聞こえてきました。ラッキーなこともあれば、こういう風にご縁がとぎれることや、礼を尽くせなくて後悔することもあるのが世の中。でも、この助かった命を無駄にせず、この先もアジア映画、特にインド映画の研究と紹介を続けていこうと思っている私なのでした。


『ダンガル きっと、つよくなる』<準決勝戦>歌おう!応援歌①Haanikaarak Bapu

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『ダンガル きっと、つよくなる』は、いよいよ4月6日(金)から公開です。公式サイトにもあるように、本日は先行上映が行われ、熱いツイートがどんどん上がってきています。早くも4月13日(金)には応援上映が予定されており、レスリング試合ライブビューイング並の盛り上がりが期待できそうです。

そんな時、ぜひ歌ってもらいたい応援歌が2つあるのですが、本日はまず、レスリングを無理強いされるギータとバビータの気持ちを歌った「Haanikaarak Bapu(ハーニカーラク・バープー/有害な父さん)」に挑戦してみましょう。コミカルな内容の曲なので、メロディーもリズムも弾むような感じになっていますが、早口なのでなかなかついて行くのが難しいという、準決勝戦級の難度の歌です。でも、「♪ディング・ダンガ、ディング・ダンガ...ヘイ・バープー(父さん)!」という相の手も楽しいこの曲、発音と意味(ほぼ直訳になっています)も付けてご紹介してしまいますから、最後に付けた映像を見ながら、サビの部分を一緒に歌ってみて下さい。映画の中ではこの歌にセリフがいくつか重なっているのですが、それは省略してありますので、映画館でご確認下さいね。また、字幕もこなれた上手な訳が付いていますのでお楽しみに。

 (c)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016

アウローン・ペー・カラム、バッチョーン・ペー・シタム
Auron pe karam, bachchon pe sitam ※
他人には親切、子供たちにはひどいことを 

レー・バープー・メーレー・イェー・ズルム・ナー・カル
Re baapu mere ye zulm na kar ※
ねえ私の父さん、こんな罪なことしないでよ
(※2行分繰り返し) 

イェー・ズルム・ナー・カル
Ye zulm na kar
こんな罪なことしないでよ 


ディング・ダンガ、ディング・ダンガ…ヘイ・バープー
Ding danga ding danga ding danga
Ding danga ding danga hey bapu
ディング・ダンガ、ディング・ダンガ…ねえ、父さん
(4度繰り返し。以下は略) 


バープー・セーハト・ケー・リエー
Bapu sehat ke liye
父さん、健康のためには 

バープー・セーハト・ケー・リエー
Bapu sehat ke liye ※
父さん、健康のためには 

トゥー・トー・ハーニカーラク・ハィ
Tu toh hanikarak hai ※
あんたは有害よ
(※2行分繰り返し) 

ハム・ペー・トーリー・ダヤー・トー・カロー
Hum pe thodi daya toh karo ※
私たちに少しは同情してちょうだい 

ハム・ナンヘー・バーラク・ハィ
Hum nanhe baalak hai  ※
私たちはか弱い子供なのよ
(※2行分繰り返し) 

ディシプリン・イトナー
Discipline itna na ◎
こんなに規律ずくめだと 

レー・ディシプリン・イトナー
Re discipline itna ◎
ねえ、こんなに規律ずくめだと 

クドクシー・ケー・ラーヤク・ハィ
Khudkushi ke laayak hai ◎
自殺だってしたくなるわ 

バープー・セーハト・ケー・リエー
Bapu sehat ke liye ◎
父さん、健康のためには 

トゥー・トー・ハーニカーラク・ハィ
Tu toh hanikarak hai ◎
あんたは有害よ 

ハム・ペー・トーリー・ダヤー・トー・カロー
Hum pe thodi daya toh karo ※
私たちに少しは同情してちょうだい 

ハム・ナンヘー・バーラク・ハィ
Hum nanhe baalak hai  ※
私たちはか弱い子供なのよ
(※2行分繰り返し)
(◎5行分繰り返し)

 

(c)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016 

タンネー・ボーラー・ピクニック・シクニック
Tanne bola picnic shiknik
あんたはこう言う、ピクニックなんか 

ジャーナー・ハィ・マナー
Jaana hai mana
行くのは禁止だ 

ヨー・トー・トーチャル・ハィ・ガーナー
Yo toh torture hai ghana
これってひどい拷問だよ 

ヨー・トー・トーチャル・ハィ・ガーナー
Yo toh torture hai ghana
これってひどい拷問だよ 

レー・バッチョーン・セー・イー・ボーレー
Re bachcho se ee bole
ほら、子供たちにはこう言うし 

ケー・ナー・カルナー・バチュパナー
Ke na karna bachpana
子供っぽい真似はやめろ、って 

ヨー・トー・トーチャル・ハィ・ガーナー
Yo toh torture hai ghana
これってひどい拷問だよ 

ヨー・トー・トーチャル・ハィ・ガーナー
Yo toh torture hai ghana
これってひどい拷問だよ 

ヘィ・バープー
Hey Bapu!
ちょっと、父さん 

トーフィー・チューラン・ケール・キローネー
Toffee churan khel khilone
キャンディーにチューラン(スパイス味のインド式キャンディー)、遊びにおもちゃ 

クルチェー・ナーン・パラーター
Kulche naan paratha
クルチェーやナーン、パラーターなどいろんなパンにも 

カフ・ガエー・ハィ・ターター
Keh gaye hai tata
さようならを言ったのよ 

ジャブ・セー・バープー・トゥーネー・ダーンター
Jabse bapu tune danta
父さんが叱った時から 

ジス・ウムル・メーン・ショーバー・デーテー
Jis umar mein shobha dete
光り輝いて 

マスティー・サイル・サパーター
Masti sair sapata
夢中でいろいろやっているこの年頃に 

ウス・ウムル・コー・ナープ・ラハー・ハィ
Uss umar ko naap raha hai
その年頃を量っている(支配している)のが 

キューン・ガリー・カー・カーンター
Kyun ghadi ka kaanta
どうして時計のとげ(針)なのよ 

アプニー・キスマト・キー・ガーリー・キー
Apni kismat ki gaadi ki ※
自分の運命の車も 

カスター・ハーラト・ハィ
Khasta halat hai  ※
すっかり調子が狂ってしまってる
(※2行分繰り返し) 


オー・レー・ハマーレー・バープー (オー・アー・ガヨー・レー・バープー)
O re hamare baapu(oh aa gayo re bapu)
おお、私たちの父さん (父さんが来たよ) 

オー・レー・ハマーレー・バープー
O re hamare baapu
おお、私たちの父さん 

イス・ガリー・ケー・ワーハン・チャーラク・ハィン
Iss ghadi ke vaahan chalak hain
この(運命の)車の運転手だよね 

バープー・セーハト・ケー・リエー
Bapu sehat ke liye ※
父さん、健康のためには 

ハーン・トゥー・トー・ハーニカーラク・ハィ
Haan tu toh hanikarak hai ※
そうよ、あんたは有害よ  

タンネー・ボーラー・カッター
Tanne bola khata
あんたは言ったよね、酸っぱくて 

ティーカー・カーナー・ハィ・マナー
Teekha khana hai mana
辛い食べ物は禁止だって 

ヨー・トー・トーチャル・ハィ・ガーナー
Yo toh torture hai ghana
これってひどい拷問だよ 

ヨー・トー・トーチャル・ハィ・ガーナー
Yo toh torture hai ghana
これってひどい拷問だよ 

ヘィ・バープー
Hey Bapu!
ちょっと、父さん 

レー・ミッティー・キー・グリヤー・セー・ボーレー
Re mitti ki gudiya se bole
土で作った人形にこう言ってる(のと同じ) 

チャル・ボディ・バナー
Chal body bana
やってみろ、体を作り上げろ 

ヨー・トー・トーチャル・ハィ・ガーナー
Yo toh torture hai ghana
これってひどい拷問だよ 

ヨー・トー・トーチャル・ハィ・ガーナー
Yo toh torture hai ghana
これってひどい拷問だよ 

ヘィ・バープー
Hey Bapu!
ちょっと、父さん 

(c)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016

テール・レーネー・ガヤー・レー・バチュパン
Tail lene gaya re bachpan
(油をしぼっているうちに)子供時代は行ってしまい 

ジャル・ガイー・フルワーリー
Jhad gayi phulwari
散ってしまった、花園も 

カル・ラヘー・ハィ・ジャーネー・カイシー
Kar rahe hai jaane kaisi
やっているのは、なぜだか知らないけれど 

ジャング・キー・タイヤーリー
Jang ki taiyari
闘いの準備 

ソーテー・ジャーグテー・チュート・ラヒー・ハィ
Sote jagte chhoot rahi hai
寝ても覚めてもこぼれるのは 

アーンスー・キー・ピチュカーリー
Aansu ki pichkari
涙の洪水 

ピル・ビー・クシュ・ナー・フアー・モガンボ
Phir bhi khush na hua Mogambo
それでもモガンボ(のような極悪人)は満足しない 

ハム・テーレー・バリハーリー
Hum tere balihari
私たちはあんたに奉仕させられてる 

テーリー・ナズローン・メーン・キャー・ハム
Teri nazron mein kya hum ※
あんたの目から見たら私たちは 

イトネー・ナーラーヤク・ハィ
Itne naalayak hain ※
そんなにも役立たずなの
(※2行分繰り返し) 

レー・トゥジュセー・ベフタル・トー (マンネー・チョール・ドー・レー・バープー)
Re tujhse behtar toh (Manne chhod do re bapu)
あんたよりもっとましなのは (つまりもう私たちを解放して) 

レー・トゥジュセー・ベフタル・アプニー
Re tujhse behtar apni
あんたよりもっとましなのは  

ヒンディー・フィルモーン・ケー・カルナーヤク・ハィン
Hindi filmon ke khalnayak hain
ヒンディー語映画の悪人たちよ 

バープー・セーハト・ケー・リエー
Bapu sehat ke liye 
父さん、健康のためには 

トゥー・トー・ハーニカーラク・ハィ
Tu toh hanikarak hai 
あんたは有害よ

 

Haanikaarak Bapu - Full Video | Dangal | Aamir Khan | Pritam | Amitabh B | Sarwar & Sartaz Khan

「ハーニカーラク(有害な)」はタバコや酒の害を語る時によく使われる単語で、現在インドではどこの映画館でも上映前に反喫煙・反飲酒キャンペーンの映像が流されることから、観客はイヤになるほどこの単語を耳にしています。それを逆手に取った歌なので、世界中の人が敏感に反応し、YouTubeではヘビロテ・ソングとなりました。爆音上映やマサラ上映もそのうち企画されるのでは、と思いますので、「バープー、セーハト・ケー・リエー・トゥー・トー・ハーニカーラク・ハィ」だけでも、みんなで合唱できるといいですね。

では、あと3日、『ダンガル きっと、つよくなる』試合開始を待ちましょう! 



『ダンガル きっと、つよくなる』<決勝戦>歌おう!応援歌②♫Dangal Dangal♫

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さあ、明日4月6日(金)より、『ダンガル きっと、つよくなる』全国ほぼ一斉公開です。どこの劇場に見に行くかまだ決めておられない方は、公式サイトのTheaterで劇場を選んで下さいね。まだ上映館のない県の劇場様、ぜひ名乗りをあげて下さいませ。5月公開の劇場さんも多いので、まだまだ第一波に間に合います。

このブログの『ダンガル きっと、つよくなる』シリーズも、いよいよこれが決勝戦、最終回です。最終回は誰でもすぐにサビが歌える主題歌「♫ダンガル・ダンガル♫」の歌詞のご紹介です。この歌、今回上映されるインターナショナル版ではメインに流れるのがエンドロールなのですが、インド版ではオープニングタイトルとエンドロールに流れます。歌っているのはダレール・メーヘンディーという、シク教徒の超大物歌手。すでに20年以上のキャリアがあり、2000年前後には映画音楽以外のヒンディー語ポップスの普及に大貢献しました。映画音楽もたくさん手がけていて、『バーフバリ 王の凱旋』(2017)でも力強い声を披露してます。明日ご覧になったあと、映画の余韻に浸りながらエンドロールを眺めて、「♫ダンガル・ダンガル、ダンガル・ダンガル♫」とそっと歌ってみて下さいね。

 

(c)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016

♫Dangal : Title Track♫ 

レー・ラット・ガール・ドゥーン
Re latth gaad doon ※
棍棒を打ち込むぞ 

レー・ジャーラー・パール・ドゥーン
Re jaala paad doon ※
寒さを切り裂くぞ
(※2行繰り返し) 


マー・ケー・ペート・セー・マルガト・タク・ハィ
Maa ke pet se marghat tak hai ※
母のお腹から焼き場までの 

テーリー・カハーニー・パグ・パグ・ピャーレー
Teri kahani pag pag pyaare ※
おまえの物語の一歩一歩が愛おしい 

ダンガル・ダンガル、ダンガル・ダンガル
Dangal dangal, dangal dangal ※ 

スーラジ・テーラー・チャルター・ダルター
Sooraj tera chadhta dhalta ※
お前の太陽は上り、また沈む 

ガルディシュ・メーン・カルテー・ハィン・ターレー
Gardish mein karte hain taare ※
空には星がまたたいている 

ダンガル・ダンガル、ダンガル・ダンガル
Dangal dangal, dangal dangal  ※
(※6行繰り返し) 

ダルカネー・チャーティー・メーン
Dhadkane chhaati mein
鼓動が胸の中に 

ジャブ・ドゥバク・ジャーティー・ハィン
Jab dubak jaati hain
隠れてしまった時には 

ピート・タプタパー・ウヌコー・フィル・ジャーガー
Peeth thapthapa unko phir jaaga
背中をたたいてもう一度起こすんだ 

バート・バン・ジャーティー・ハィ
Baat ban jaati hai
ものごとが動き出す 

バーウレー・ハーティー・シー
Baawle haathi si
荒ぶる象のようなものだ 

ハル・チュナゥティー・ハィ・レー
Har chunauti hai re
すべて挑戦というものは 

サームネー・カリー・グールケー・バリー
Saamne khadi ghoorke badi
目の前に立ってじっと(こちらを) 

アーンク・ディクラーティー・ハィ
Aankh dikhlati hai
にらみつけてくる 

トー・アーンク・セー・ウスキー・アーンク・ミラーケー
Toh aankh se uski aankh milake
その時は自分の目を相手の目に合わせて 

ビール・ジャーネー・カー・ナーム・ハィ・ピャーレー
Bhid jaane ka naam hai pyaare
対戦に向かうお前は愛おしい 

ダンガル・ダンガル、ダンガル・ダンガル
Dangal dangal, dangal dangal 

スーラジ・テーラー・チャルター・ダルター
Sooraj tera chadhta dhalta
お前の太陽は上り、また沈む 

ガルディシュ・メーン・カルテー・ハィン・ターレー
Gardish mein karte hain taare
空には星がまたたいている 

ダンガル・ダンガル、ダンガル・ダンガル
Dangal dangal, dangal dangal

 

(c)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016

レー・ラット・ガール・ドゥーン
Re latth gaad doon ※
棍棒を打ち込むぞ 

レー・ジャーラー・パール・ドゥーン
Re jaala paad doon ※
寒さを切り裂くぞ
(※2行繰り返し) 


トース・マズブート・バローサー
Thos mazboot bharosa
固くて強い自信を 

アプネー・サプノーン・ペー・カルナー
Apne sapnon pe karna
自分の夢に対して持て 

ジトネー・ムンフ・ウトニー・バーテーン
Jitne munh utni baatein
口で言うのと同じくらい 

ゴゥル・キトノー・ペー・カルナー
Gaur kitno pe karna
思慮深くなるんだ 

アージ・ローゴーン・キー・バーリー
Aaj logon ki baari
今は他の人々に有利かも 

ジョー・カヘーン・カヘ・レーネー・デー
Jo kahen keh lene de
言いたいことを言わせておけ 

テーラー・ビー・ディン・アーエーガー
Tera bhi din aayega
お前の日が必ずやってくる 

ウス・ディン・ヒサーブ・チュカーケー・ラフナー
Uss din hisab chukake rehna
その時にカタをつければいいんだ 

アレー・ベール・キー・ハーハーカール・ケー・バドレー
Arre bhed ki hahakaar ke badle
羊どもの鳴き声に代わる 

シェール・キー・エーク・ダハール・ハィ・ピャーレー
Sher ki ek dahaad hai pyaare
獅子のほえ声の方がずっと愛おしい 

ダンガル・ダンガル、ダンガル・ダンガル
Dangal dangal, dangal dangal 

スーラジ・テーラー・チャルター・ダルター
Sooraj tera chadhta dhalta
お前の太陽は上り、また沈む 

ガルディシュ・メーン・カルテー・ハィン・ターレー
Gardish mein karte hain taare
空には星がまたたいている 

ダンガル・ダンガル、ダンガル・ダンガル
Dangal dangal, dangal dangal ※
(1行繰り返し)

 

(c)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016

レー・ラット・ガール・ドゥーン
Re latth gaad doon ※
棍棒を打ち込むぞ 

レー・ジャーラー・パール・ドゥーン
Re jaala paad doon ※
寒さを切り裂くぞ 


カル・ディカーネー・カー・モゥカー
Kar dikhane ka mauka
力を示す機会があればやれ 

ジャブ・ビー・キスマト・デーディー・ハィ
Jab bhi kismat deti hai
運命が味方する時だ 

ギン・ケー・タイヤーリー・ケー・ディン
Gin ke taiyari ke din
準備期間の日々を数えていれば 

トゥジュコー・モゥフラト・デーティー・ハィ
Tujhko mouhlat deti hai
お前に余裕が生まれる 

マーングティー・ハィ・ラーガト・メーン
Maangti hai laagat mein
費用の中から引かれるのは 

トゥジュセー・ハル・ブーンド・パシーナー
Tujhse har boond paseena
お前の一滴一滴の汗だ 

パル・ムナーファー・バドレー・メーン
Par munaafa badle mein
だが、その代わりの利益は 

イエー・ジャーン・レー・ベーハド・デーティー・ハィ
Yeh jaan le behad deti hai
数え切れないほどやってくると知れ 

レー・バンデー・キー・メーフナト・コー
Re bande ki mehnat ko
神のしもべの努力には 

キスマト・カー・サーダル・プラナーム・ハィ・ピャーレー
Kismat ka saadar parnaam hai pyaare
運命の、敬意を込めた挨拶がやってくるのが愛おしい 

ダンガル・ダンガル、ダンガル・ダンガル
Dangal dangal, dangal dangal 

スーラジ・テーラー・チャルター・ダルター
Sooraj tera chadhta dhalta
お前の太陽は上り、また沈む 

ガルディシュ・メーン・カルテー・ハィン・ターレー
Gardish mein karte hain taare
空には星がまたたいている 

ダンガル・ダンガル、ダンガル・ダンガル
Dangal dangal, dangal dangal ※
(※1行何回か繰り返し)

Dangal - Title Track | Lyrical Video | Dangal | Aamir Khan | Pritam | Amitabh B | Daler Mehndi

この歌詞の元となったのは上の映像で、ローマナイズの歌詞が画面に現れますので、カラオケ状態で歌えます。ただ、手元にあるインド版DVDを見てみると、オープニングタイトルはその尺に合わせて途中で切られており、またエンドロールに流れる時は、途中でもう少し歌詞が増え、最後が切られています。インターナショナル版はどうなっているのかわからないのですが、エンドロールで「♫ダンガル・ダンガル♫」の所だけでも一緒に歌えれば、盛り上がると思います。思いっきり歌いたい方は、4月13日(金)の応援上映にご参加下さい。詳しくは公式サイトにて! さあ、連戦連勝だ、『ダンガル きっと、つよくなる』!!

 

(c)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016

『ダンガル きっと、つよくなる』初日に届いたアーミル・カーンからのSMS

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今、インド映画研究者のナスリーン・ムンニー・カビールが来日中です。彼女は、2000年に国際交流基金アジアセンターがやって下さった「合同アジア映画際」でのグル・ダット作品特集上映時に、上映されるドキュメンタリー映画『グル・ダットを探して』(1989)の監督として来日し、トークも行ったため、憶えておられる方もいらっしゃることでしょう。どんな仕事をしている人なのか詳しく知りたい方は、こちらのWikiをご参照下さいね。今回の来日はまったくプライベートなもので、「桜が見たい」ということでやってきたのですが、桜の満開時には少々遅れたものの、鎌倉の小津安二郎監督のお墓にもうでたり、亡き三船敏郎がプロデュースしたという六本木の日本料理の店「三船」で夕食を食べたり、京都に行ったりして、滞在を満喫しています。

 

今日は、前回の来日時に国際交流基金アジアセンターで映画祭を企画して下さった石坂健治さんが、現在学部長をしておられる日本映画大学(上写真)に招いて下さったので、新百合ヶ丘の日本映画大学まで行ってきました。石坂さんは、東京国際映画祭(TIFF)のプログラミング・ディレクターの1人でもあるので、TIFFのQ&Aなどでもお顔を知っている方は多いと思います。下は、日本映画大学の前身となる日本映画学校(1975年の創設時の名称は「横浜放送映画専門学院」)を創設した今村昌平監督が、カンヌ映画祭等で受賞した時のトロフィーが飾られた戸棚の前で撮った、ナスリーンと石坂さんの写真です。

 

お話がいろいろはずんだのですが、訪問後に我々はちょっと行きたいところがあったため、午後1時前に日本映画大学を辞去、新百合ヶ丘の駅の反対側に向かいました。ここには大きなイオンのモールがあり、その上にあるイオンシネマで、何と『ダンガル きっと、つよくなる』が今日から上映されているのです。初日最初の上映が10:45~13:20だというので、終わる頃に待ち構えていて、出口調査とは行きませんが観客の皆さんがどんな感じで出ていらっしゃるのか見てみたい、というわけで待ち構えていたのでした。


ナスリーンはスマホで上のような写真をパチリ。「トーマスのポスターがそばにあれば、インド映画と並んでこういう洋画も上映されてる、ってわかるわよね」と、それをSMSでどこかに送ろうとしています。「誰に送るの?」「アーミルよ、アーミル・カーン」ええっ!!! 「ナスリーン、アーミル・カーンとSMS友なの?!」「そうよ。今、『Thugs of Hindostan(インドのタグ(トゥグ?)たち)』の撮影中だと思うけど、撮影は休憩が多いから、すぐに見てくれると思うわ」というわけで「今、東京にいます。『ダンガル』が今日から公開です」という文がついて、メッセージはぴゅーっとインドのアーミルのもとへ。すると、待つほどもなく、ナスリーンの電話のメッセージ着信音が鳴ります。「きたきた、アーミルからよ。やっぱり待ち時間なのね」見せてもらうと、「:)Hope they like it(<笑顔の絵文字>みんな気に入ってくれるといいな)」とありました。おおおー、新百合ヶ丘イオンシネマの写真をアーミルが見てるなんて...。


その後しばらく出口で待っていたのですが、スクリーン7での上映ということは知っていたものの、出口は一緒なので、『ダンガル きっと、つよくなる』を見た人がどの人たちなのかわかりません。うう、パンフレットがないのが返す返すも残念です。パンフレットがあれば、それを持っている人を探せたんですが。というわけで、あとのレポートはアーミル・カーンには送れなかったのですが、その後ナスリーンは、このポスターにある吉田沙保里さんと松岡修造さんのコメントを私に訳させて、それをアーミルに送っていました。吉田沙保里さんコメント「父を思い泣きました。最高!」と、松岡修造さんコメント「この感動は金メダル!この映画で流す涙は、君の人生を変える!」(松岡さんのは英語に訳しにくくて困りました。ちょっと違う意味になってるかも)のうち、ナスリーンには松岡さんのコメントが「ワンダフル!」とウケていました。アーミル・カーン様、どのような反応をなさったのでしょうか? それを確かめるのを忘れたのが、悔やまれます。

(c)Aamir Khan Productions Private Limited and UTV Software Communications Limited 2016

さあ、皆さんも、この週末はお近くの映画館で『ダンガル きっと、つよくなる』をぜひご覧下さいね。公式サイトはこちらです。ついでに、『ダンガル きっと、つよくなる』の撮影中のスナップが使われている、アーミル・カーンのツイッターはこちらです。ニテーシュ・ティワーリー監督とのツーショット、ステキですね。


『バーフバリ 王の凱旋』完全版がやってくる!

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『ダンガル きっと、つよくなる』の初日が開けたと思ったら、今度は『バーフバリ』組から重大ニュースが届きました。早耳・早目の皆さんはすでにご存じだと思いますが、『バーフバリ 王の凱旋』完全版が、6月1日(金)から日本のスクリーンでも公開されます。いろんなサイトで詳しい報道がなされていますが、ここはひとつ、宣伝パブリシティの担当さんから届いた、パブのこれまた完全版(ただし、内部連絡的な部分は省いてあります)を貼り付けて、皆さんに熱い宣伝ぶりを楽しんでいただきましょう。これぐらい熱いリードが書けないと、あの『バーフバリ 王の凱旋』の宣伝はできないのです!

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映画の神様は本当にいた。

 ファンの熱い想いが実現させた奇跡! インドで数億人が観た“オリジナル完全版”ついに公開決定!

 ≪6月1日(金) 熱狂ロードショー開始!≫

 

©ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED. 

鳴り止まない拍手と喝采!

絶賛につぐ絶賛! 完売につぐ完売!

日本列島に吹き荒れる怒涛のバーフバリ旋風!

奇跡のロングラン・ヒットが生んだ新たなる伝説。

三代に渡る壮大なドラマの全貌が今、ここに明らかになる!!

 ≪今映画館で上映されている映画で間違いなく一番面白い!映画≫として、噂が噂を呼び観客が主人公バーフバリの名前を叫ぶ《絶叫上映》も話題となって異例のロングラン・ヒットを記録している奇跡の映画『バーフバリ 王の凱旋』。本作は昨年末12月29日の公開以来、≪全米初登場第3位!世界興収300億円突破! ロッテントマト100%フレッシュ!! GOOGLE・2017年検索ワードランキング≪映画部門≫第7位!≫等の世界規模の賛辞すら超える、圧倒的熱量で日々SNS等で炸裂する作品への言霊にも後押しされ≪驚異のV字回復≫と言うべき奇跡的興行を展開、現在も日本各地でロングランを続け、2月21日のDVD,ブルーレイ発売およびレンタル開始後もさらに勢いを増して興行成績を延ばしながら、≪NEXT STAGE突入≫=【日々、これ祭り】状態の≪圧倒的ヒット街道驀進≫が続き、、すでに興収1億3千万円を突破、観客動員も間もなく10万人に到達、(3月末現在)、 “絶叫上映”のチケットは毎回即時完売しています。≪映画を劇場大スクリーンで、多くの観客と共に、興奮と感動、そして祝祭的空間を共有しながら体感し、圧倒的なカタルシスを得る娯楽の頂点にして原点、そして王道に再び誘った≫とも噂されるこの映画は、多くのファンが現在上映中の141分インターナショナル版を絶賛し、リピートするなか、本国インドで公開された「オリジナル完全版も観たい!」という声が日増しに高まっていきました。

その声に応えるべく、長期間の交渉の末、ついに≪映画史上、最強・最高・最大の超絶エンタテインメント≫完全フル・バージョン『バーフバリ 王の凱旋』≪完全版【オリジナル・テルグ語版】≫の日本公開が決定しました!! 製作会社ARKAメディアワークスおよびS.S.ラージャマウリ監督が認定しているオリジナル・テルグ語完全版の上映時間は167分(ネット上で散見される171分説はインド国内審査前のデータをもとにしたもので実在しません)。 ヒロイン、デーヴァセーナが歌い踊る楽曲「かわいいクリシュナ神よ」を始め26分の初公開シーンがさらなる興奮と深い感動を呼び、バーフバリ伝説はここに真のクライマックスを迎えます!

映画の神様は本当にいた!

今年は日本の夏が、間違いなく、世界で一番熱い! “奇跡は起こる!”見逃すな!体感せよ!

 【物語】遥か遠い昔、インドに栄えたマヒシュマティ王国。国王に指名されたアマレンドラ・バーフバリは、クンタラ王国の姫デーヴァセーナと恋に落ちる。だが、王位継承争いに敗れた従兄弟のバラーラデーヴァは邪悪な策略で王の座を奪い取り、さらにバーフバリと生まれたばかりのその息子の命をも奪おうとする…。父バーフバリはなぜ殺されたのか? 母デーヴァセーナはなぜ25年もの間、鎖に繋がれていたのか? 自らが伝説の王バーフバリの子であることを知った若き勇者シヴドゥは、マヘンドラ・バーフバリとして、暴君バラーラデーヴァに戦いを挑む!

監督・脚本:S.S.ラージャマウリ(『バーフバリ 伝説誕生』『マッキー』)撮影:K.K.センディル・クマール 音楽:M.M.キーラヴァーニ出演:プラバース/ラーナー・ダッグバーティ/アヌシュカ・シェッティ/サティヤラージ/ラムヤ・クリシュナ/タマンナー/ナーサル

原題:Baahubali2-The Conclusion/2017年/インド/テルグ語/シネスコ/5.1ch/167分/字幕翻訳:藤井美佳/日本語字幕監修:山田桂子/

映倫指定区分G/後援:インド大使館 配給:ツイン 公式HP

©ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED. 

6月1日(金)より新宿ピカデリーほか、全国順次“熱狂”ロードショー開始!! 

  

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上記のリード文でも、いろんな記号が効果的に多用されていてかなり目がチカチカしますが、オリジナル版はさらに文字色がいろいろ使われていて、「何が何でも宣伝お願いしまっす!」という気迫が伝わってきます。熱いというか熱(暑)苦しいぐらいと最初思っていたものの、昨年末のインターナショナル版公開後に次々とアップされる皆さんのツイートを見ていると、パブのリードよりも熱量が多いツイートがいっぱいあって、すごいなあ、と圧倒されました。インドを旅している間も、「coco」のツイッターを楽しみにして毎日チェックしていたのですが、「13.003件」を数えてから一向に増えないのはなぜ? 昨日今日あたり、いっぱいツイートが飛び交っていると思うのに。この謎、わけをご存じの方がいらしたら教えて下さいませ。

それにしても、6月1日(金)が待ち遠しいですね。完全版公開劇場はこちらです。ぜひ、インターナショナル版と見比べてみて下さい。どこがカットされたか、という点だけではなく、映画としての全体の完成度も、客観的に見比べてみてほしいと思います。『バーフバリ』に関しては、まだこの先も新たな情報が出てくる可能性がありますので、公式サイト等をひんぱんにチェックしていて下さいね。

 

スペース・アナンディ/インド映画連続講座「女優が輝くボリウッド映画の魅力」<第4回>カージョル

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旅の疲れもほぼ取れて、いよいよルーティン・ワークが始まりました。まずは、今週末にある「インド映画連続講座」の準備です。男優から引き続いて、女優の歩みを振り返るこの企画、フィルモグラフィーが多い人はレジュメを作るのがなかなか大変なのです。前回のアヌシュカー・シャルマー(あ、今はアヌシュカー・シャルマー・コーフリーですね)はまだデビューして10年だったので割と楽だったんですが、今度のカージョルはデビューしてすでに25年。結婚後は少なくなったとはいえ。出演作も結構多いです。それも、思い出に残る作品が多いので、レジュメ作りがかえって大変。まずは、講座のご案内から。

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スペース・アーナンディ/インド映画連続講座第Ⅱ期
「女優が輝くボリウッド映画の魅力」
<第4回>カージョル

Kajol 2014.jpg

 スペース・アーナンディでは、毎年1つのテーマで行う「インド映画連続講座」を開催中ですが、男優シリーズの第Ⅰ期「スターで辿るボリウッド映画史」に続き、第Ⅱ期では女優を取り上げています。ディーピカー・パードゥコーン、プリヤンカー・チョープラー、アヌシュカー・シャルマーと続いたあとの今回は、『DDLJ』(1995)や『何かが起きてる』(1998)で古くからのインド映画ファンにはお馴染みの女優、カージョルが登場します。
 母も祖母も伯母も人気女優、父は映画監督という映画人一家に生まれ、1999年に人気男優アジャイ・デーウガンと結婚したカージョルですが、1992年のデビュー作の次に出演した『賭ける男』(1993)に始まるシャー・ルク・カーンとの共演作により、一世を風靡したことはご存じの通り。2人の相性はバツグンで、前述の作品や『カランとアルジュン』(1995)、『家族の四季』(2001)、『マイ・ネーム・イズ・ハーン』(2010)等々、ヒットした作品が目白押しです。今回はシャー・ルクとの共演作を中心に、アジャイ・デーウガンとの共演作もまじえてご紹介しながら、カージョルの魅力に迫っていきます。
 なお、「女優が輝くボリウッド映画の魅力」でも、講座と抱き合わせで「映画で学ぶヒンディー語塾」を開講します。一応順番に文法の要点を押さえていっていますが、毎回独立した内容なので、初めての方でも初心者の方でもノープロブレム。30分の濃密なヒンディー語学習体験をどうぞ。

 日時:2018年4月14日(土) 15:00~17:30 → 満席になりましたが、間際にキャンセルが出ることもあるので、ご希望の方は下の「受講申し込み」からお問い合わせ下さい。
        5月19日(土) 15:00~17:30 → 予約受付中です。
 場所:スペース・アーナンディ(東急田園都市線高津駅<渋谷から各停で18分>下車1分)
 定員:20名
 講座料:¥2,500(含む資料&テキスト代)
 講師:松岡 環(まつおか たまき)

1998年東京ファンタで来日した時のカージョル↑

ご予約は、スペース・アーナンディのHP「受講申し込み」からどうぞ。ご予約下さった方には、ご予約確認と共に、スペース・アーナンディの地図をメール送付致します。床におザブトンをひいて座っていただく形になりますので、楽な服装でお越し下さい(申し訳ないのですが、スペースの関係上イス席はご用意できません。悪しからずご了承下さい)。
皆様とお目にかかれるのを楽しみにしております。(松岡 環)

[講師紹介]
1949年兵庫県生まれ。麗澤大学、国士舘大学非常勤講師。大阪外大(現大阪大)でヒンディー語を学び、1976年からインド映画の紹介と研究を開始。1980年代にインド映画祭を何度か開催したほか、様々なインド映画の上映に協力している。『ムトゥ踊るマハラジャ』『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』『きっと、うまくいく』『pk』など、インド映画の字幕も多数担当。著書に、「アジア・映画の都/香港~インド・ムービーロード」(めこん/1997)、「インド映画完全ガイド」(世界文化社/2015/監修)など。

★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆

先日のインド旅行で、カージョルの出演作のポスターを手に入れてきました。一つは、シャー・ルク・カーン、ヴァルン・ダワンとの共演作『勇者は再び巡り会う』(Netflix題名/2015/原題:Dilwale)。ムンバイのポスター屋さんで、「シャー・ルクの映画だから」と割増料金を取られたポスターです(くぅ~)。もう一つはタミル語映画。ダヌシュと共演した『Velaiilla Pattadhari 2(失業中の大卒男2)』(2017)のポスターで、何と2枚組という大きなもの。2枚組のポスターをポスター・プレゼントにするのは初めてだと思います。今回はどちらも2枚ずつあるので、4月も5月もプレゼントはこのポスターとなります。

Dilwale Movie Poster

では、1998年に来日した時のエピソードも交えながら、いろんなお話をしたいと思いますので、皆様のお越しをお待ちしています。

『バーフバリ 王の凱旋』S.S.ラージャマウリ監督の来日も決定!

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『バーフバリ 王の凱旋』(2017)がだんだんすごいことになってきました。先日の記事では完全版が6月1日(金)から公開されることをお知らせしたのですが、何と今度は、S.S.ラージャマウリ監督の来日が決定、<絶叫上映>の舞台挨拶に姿を現すことが決まりました。ラージャマウリ監督は以前こちらの記事でもお写真を載せましたが、今回新しいお写真が宣伝チームから送られてきたので、まずはバーフバリ役のプラバースとのツーショットをどうぞ。

©ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED.

監督、なかなか品がありますね。このまま映画に出演しても違和感がない風貌です。実は、『バーフバリ 伝説誕生』(2015)では、アマレンドラ・バーフバリとバラーラデーヴァが王国の裏切り者を捜査するためにバザールに赴く場面で、監督、酒屋のオヤジとしてカメオ出演していたのです。インターナショナル版を作る時に自制が働いたのか、続くソング&ダンスシーンと共にバッサリ切ってあったのが残念だったのですが(ソング&ダンスシーンの方は、振り付けはよかったものの踊る3人の美女が全然インドっぽくないデルモ体型だったので、最初にシンガポールで見た時がっかり。カットされても全然惜しくありませんでした)、今回来日を記念して出演シーンだけ特報にして見せて下さる...とかないでしょうか、ツイン様。無理難題はさておき、S.S.ラージャマウリ監督が登場する<絶叫上映>の詳細は以下の通りです。 

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『バーフバリ 王の凱旋』 SSラージャマウリ監督 来日舞台挨拶付き<絶叫上映> 開催

チケット発売 情報概要
(※『完全版』ではなく、通常版『バーフバリ 王の凱旋』での上映となります) 

■日時:4月26日(木)  

 ①16:40~19:20 『バーフバリ 王の凱旋』上映/19:20~19:50 上映後舞台挨拶
 ②20:30~21:00 上映前舞台挨拶/21:00~23:35 『バーフバリ 王の凱旋』上映
    ※両上映共、上映開始前にV8japanによる前説&発声練習がスタートいたします。 

■会場:新宿ピカデリー【シアター1】(新宿区新宿3-15-15) 

■登壇者(予定):S.S.ラージャマウリ監督/ショーブ・ヤーララガッダ(作品プロデューサー) 

■料金:特別料金 一律 ¥1,800
 ※特別興行につき、各種招待券・株主券・割引券・SMT Membersクーポンはご利用頂けません。 

■チケット販売開始日:[劇場インターネット販売]4月16日(月)24時~(=4月17日0時~)  
 ※午前2:00~6:00はシステムメンテナンスのためご購入頂けません。
 ※その他詳細は、劇場HPにてご確認下さい。(本日正午より情報がアップされます)

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S.S.ラージャマウリ監督作品は、日本では『バーフバリ 伝説誕生』(2015)、『バーフバリ 王の凱旋』(2017)以外にも、『あなたがいてこそ』(2010)と『マッキー』(2012)がソフト化されています。まだご覧になっていない方はぜひ来日前にご覧いただきたいのですが、以前の作品は、見れば見るほど『バーフバリ』へと続く道が見えてくる気がします。さらに、『マッキー』に特典映像として付いているS.S.ラージャマウリ監督らスタッフのインタビューは、ものすごく興味深い内容となっているうえ、監督の語り口から人となりがわかる、スグレモノのメイキングです。『バーフバリ 伝説誕生』と『バーフバリ 王の凱旋』にもメイキングは付いていますが、『バーフバリ 伝説誕生』の方は「シヴドゥ」と「バラーラデーヴァ」を語る部分で監督始め語り手たちのナマ声が聞けるものの、あとはBGMに乗って編集された映像が流れるのみ。これは少々残念なメイキングでした。というわけで、『マッキー』の円盤をお持ちの方は、ぜひもう一度見直して、監督の舞台挨拶に備えて下さいね。レンタル盤にも付いているといいのですが。

最後に、S.S.ラージャマウリ監督のご挨拶が冒頭に付いた、『バーフバリ 王の凱旋』の予告編を付けておきます。ジャイ・マヒシュマティ!

『バーフバリ 王の凱旋』監督コメント入り予告編

 

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